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ミステリの祭典

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まだ中学生(仮)さんの登録情報
平均点:6.55点 書評数:134件

プロフィール| 書評

No.134 7点 マリーナ バルセロナの亡霊たち
カルロス・ルイス・サフォン
(2026/10/23 21:27登録)
寄宿学校で学ぶオスカルは、古びた館に住むマリーナと出会う。マリーナと交流を深めるオスカルはある日、彼女と訪れた墓地で黒いマントの女性が、黒い蝶が刻まれた墓碑に花を添える光景を目撃する。
甘酸っぱさも漂う少年少女の出会いから、妖しく幻想的な冒険譚へと変貌していく様が見事。謎と郷愁の念に満ちあふれた物語である。


No.133 6点 夏がいく
伊多波碧
(2026/09/29 22:24登録)
舞台は、江戸時代の旅籠。優太は12歳で跡取り息子。旅籠には、子供の幽霊が出ると噂されている。寺子屋に新入りした清吾という浪人の子と一緒に幽霊を捕まえることに。
一方で、小町娘のおきくを巡って、二人の間に気まずい雰囲気も生じ始める。夏祭りの夜、それぞれの過去と現在の思いがぶつかり合う。次第に明かされる優太、おきく、清吾の家庭事情や葛藤。友情と恋愛と成長を描く、心揺さぶられる青春時代小説。


No.132 7点 血の魔術書と姉妹たち
エマ・トルジュ
(2026/07/25 08:04登録)
異母姉妹のエスターとジョアンナは、離れて暮らしている。ジョアンナは両親亡き後の家を継ぎ、エスターは家を出て南極基地へ。二人の一族が代々隠し、守ってきた大きな秘密、血の本。人の血をインク代わりとして書かれ、魔術を宿した本はその力で様々な人を引き寄せ、運命に絡めとっていく。姉妹と本を書く力を持つ書士ニコラスが出会った時、彼らを狙う者たちも動き出す。
魅力的な設定、生き生きした登場人物、謎めいた物語に引き込まれる。血や呪い、運命や一族の使命といった重い枷に囚われず、日の光の下に走り出していくエスターたちの覚悟が清々しい。


No.131 6点 トッケビ梅雨時商店街
ユ・ヨングァン
(2026/07/10 07:16登録)
トッケビの店で幸福を買えるという噂を聞きつけた女子高生のセリンは、ヘアサロンや書店など様々な妖怪の店をまわる。
自分探しというテーマは王道ながら、冷静な心や休みの日に風呂に入りたい気持ちなど、感情を盗んで悪戯する妖怪たちの佇まいは魅力的。とはいえ、商店街の異界感は各国共通かもしれない。


No.130 5点 聖獣王のマント
紅玉いづき
(2026/07/10 07:12登録)
苛烈な現世を離れ移った異世界で、荒れ果てた血を統べる王となる運命に翻弄される少女の物語。
味方と思っていた人に裏切られ、大切な者を奪われ諦めて当然の状況に追い込まれながら、踏み止まって王となる道を選ぶ少女の決意が心に響く。


No.129 5点 琥珀の瞳は瑠璃を映す カルジャスタン従神記
結城かおる
(2026/06/19 18:35登録)
従神者と神獣が一対で指導者となるオリエンタルファンタジー。オアシス国家の王子ルスランが召喚したのは、災厄を呼ぶという伝説がある瑠璃色の竜だった。
世界を旅して書物や口承を検証し、伝説の真偽を問う歴史学的なアプローチが作品を深める。王道ではあるが、王子と竜の絆も温かい。


No.128 6点 血眼回収紀行
可笑林
(2026/05/17 08:22登録)
天才義眼職人の弟子にされた少女が、殺された師匠が遺した異常な魔力を秘めた八つの義眼を探す旅に、元兵士の男がボディガードとして付き、杖を通して血液に籠った魔力を発動させて戦うバトルファンタジー。
世界を転覆させようと企むテロ集団に、捜査や潜入によって迫るサスペンスとしても楽しめる。


No.127 6点 そして五人がいなくなる
はやみねかおる
(2026/04/30 08:33登録)
遊園地のマジックショーの最中、一人の女の子が舞台から消えた。そのマジックショーを演じていた「伯爵」は更に四人の人間を消すと予告し、次々と子供が消失し予告が成就してしまう。
子供向けレーベルで発表された作品であり、明るく馴染みやすいキャラクターが特徴である。トリックは理解しやすいものが選ばれているが、その量と組み合わせの妙は特筆すべきものである。


No.126 7点 波の鼓動と風の歌
佐藤さくら
(2026/04/08 19:23登録)
女子高生ナギが湖に落ち異世界に転移する冒険ファンタジー。
体の一部が獣に変化した「まじりもの」となってしまったナギ。自分を救ってくれた少年サージと共に現実世界へ戻るために都へ向かう。
生きづらさを抱えた少女の自分探しと、主が「王柱」に身を変えて大地を維持する自己犠牲。両者が重なり合う枠組みによって、内省的な深みが増している。輝く海の上に浮かぶ大地と空飛ぶ船という奇観に満ちた情景もいい。


No.125 6点 赤ずきんの森の少女たち
白鷺あおい
(2025/11/25 21:38登録)
十九世紀末、女子寄宿学校を舞台にした歴史ファンタジー。
文学好きのロッテは、近くの森に残る赤ずきんと人狼伝説にまつわる謎に巻き込まれる。
はつらつとした冒険の中の赤ずきんと古代ゲルマン信仰との関係性、さらに二十世紀前半の悲劇の端緒まで織り込む。伏線回収も巧みなほろ苦い物語。


No.124 7点 呪いを解く者
フランシス・ハーディング
(2025/10/22 20:41登録)
沼の森が広がるラディス国では、強い憎しみに囚われた者が他者を異形のものに変える「呪い」が横行していた。
主人公は呪いの糸をほどく能力を持つ少年ケレン。かつて呪いをほどいてやった少女ネトルとの、恋愛を超えた相棒感に惹かれる。行く先々で悩める人たちの依頼を解決するミステリ的な読み味も小気味いいが、やはり最大の魅力は、まるでそれそのものが一つの生命体であるかのような沼地の存在感という幻想味。呪い、そして赦しと救いというテーマとの相性もよく、ずしりと重い読後感。


No.123 6点 ダ・ヴィンチの翼
上田朔也
(2025/08/26 20:28登録)
フィレンツェの密偵アルフォンスは、神聖ローマ帝国の騎士に追われて深手を負うも、少年コルネーリオの奇跡的な治癒の力で命を救われる。ダ・ヴィンチが残したという兵器の設計図を探すミケランジェロの命を受け、アルフォンスらはイタリアの都市を駆け巡る。
イタリア史の裏で蠢く異能者たちの暗闘をベースに、異端の力を持つ少年の葛藤と各都市で見つかる詩の謎解き、それらが噛み合いクレバーに進む。歴史知識も深い。


No.122 6点 星巡りの瞳
松葉屋なつみ
(2025/06/20 20:56登録)
降臨した天人の霊威を受けた大王が千年の間、統治し続ける敷島国。鬼に襲われて片目を喪失したために、次代の大王・春宮候補の地位を奪われた宮家の青年・白珠は、鬼が跋扈する旧都へ赴く。
密教伝来当初を思わせる和風世界での鬼退治。妄執に憑かれ鬼と化した人間の救いを描く、説話的な展開は深みがある。そこに妖しく美しい旧都の真相や、二百年在位する大王の正体などミステリ要素が加わって飽きさせない。鋭い観察眼で他者の心を見抜きつつも、弱さを受け入れる主人公・白珠の佇まいもいい。


No.121 5点 世界を超えて私はあなたに会いに行く
イ・コンニム
(2025/06/03 20:05登録)
二〇一六年を生きるウニュが一年後の自分に手紙を出したら、一九八二年の同名の少女に届いてしまったという冒頭から、時を超えた文通がスタートする。
読み始めてすぐにオチがわかるぐらい話はストレートだが、韓国の世代ごとの価値観や文化の差、家族との葛藤と解決を時間を絡めて感動的に描き出している。


No.120 6点 神奈川宿 雷屋
中島要
(2025/05/17 13:56登録)
神奈川宿の茶店・雷屋で働く薄幸の女中・お実乃を探偵役に据えた時代ミステリ。
もぐりの宿としても営業している雷屋で次々に起こる宿泊客の怪死、次々に現れる怪しい人々に翻弄されるお実乃の姿が、風雲急を告げる幕末期の世相を織り交ぜつつ描かれる。
足元を揺るがすような事件の真相と、お実乃の強く温かな決心が、ふくよかな余韻を与える。


No.119 7点 シャーロック・ホームズとミスカトニックの怪
ジェイムズ・ラヴグローブ
(2025/04/03 21:33登録)
ルルイエ語を吐き散らす、王立精神病院の謎の患者の素性を追うホームズ&ワトスンの捜査線上に浮かび上がったのは、ミスカトニック大学から来たという若き異端の研究者だった。
元々作者が入手したワトスンは博士の未発表原稿という二重構造のシリーズだが、今回は更に怪生物を求めてミスカトニック川を遡る探検記が挿入されるという、正典の一部長編を模した入れ子構造。それによって、邪神怪物をまぶしたホームズ・パスティシュに加え、より本格的な神話譚も愉しめる二本立てであり、しかもその統合には、名探偵ものにつきまとうある問題が仕掛けられているという、凝った趣向である。


No.118 7点 トゥモロー・ネヴァー・ノウズ
宮野優
(2025/03/14 20:13登録)
時間が戻る物語だが、そのことを誰もが認識してしまうようになるところが独特。娘を殺された母親が、未成年だったため釈放され今は入院中の犯人を病院まで追いかけて殺害するが、しばらくすると時間が戻ってしまい、改めて殺害に出向いては捕まったり失敗したりする時間を繰り返す。程なく同じ時間が繰り返されていることを知る人が周囲に現れ、犯人も自分が殺されることを知ってしまう。
何をしても元に戻るなら、やりたい放題になって世界は荒廃するのか。そのような時期もあったが、悪事から人を守ろうとする人々が現れたり、ある周囲だけで世界が関心を寄せるイベントが開かれ、その記憶だけが同じ時間を繰り返す中で残り続けたりする優しい状況へと移っていく。仮定の世界に順応していく人の思考や行動を想像させる作品。


No.117 7点 観覧車は謎を乗せて
朝永理人
(2025/01/31 22:05登録)
タイトル通り、観覧車に乗る人々による群像劇。男と幽霊、父親と娘、殺し屋と少女といった七組の登場人物が乗ったゴンドラ内部が順番にフォーカスされ、それぞれに謎が提示される。
両者の関係から見えてくる事情が徐々に明らかになっていく先に、さらに舞台が観覧車である必然性が待ち受ける。これでもかと詰まった構造は作者の持ち味を感じさせる。


No.116 7点 ネバーブルーの伝説
日向理恵子
(2025/01/11 21:38登録)
突然有害性の塵が降り、人間を死に至らしめる災害「塵禍」が数年ごとに発生する大陸。アスタリット星国の国立図書館で写本士見習いとして働く十五歳の少年コルボは、塵禍に見舞われた隣国での書物回収に動員され、そこで生き残りの龍の子、イオと出会う。
書いた文字が決して消えない伝説のインクを求めるコボル。物語の力をテーマにした図書館者は王道の重厚感を放つ。そこのそれぞれ異なる獣を信奉する国々や、大群で本の文字を食らう「白亜虫」など練った世界観で捻りを加えている。若き写本たちの熱意にも心を打たれた。


No.115 5点 この恋が壊れるまで夏が終わらない
杉井光
(2024/11/09 20:12登録)
十二時間だけ時を遡ることが出来る少年が、憧れの先輩を救うため夏休み最後の日を繰り返すループものの青春ミステリ。前半は定番の甘酸っぱい恋愛ものだが、後半は怒涛のループ展開からほろ苦い結末へなだれ込むところが読ませる。

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