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ミステリの祭典

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嘘の木

作家 フランシス・ハーディング
出版日2017年10月
平均点6.67点
書評数3人

No.3 7点 びーじぇー
(2025/01/24 19:40登録)
十九世紀半ば、ダーウィンの「進化論」によってそれまで盤石だと思っていた世界の全てが変わり世間が震撼する中、旧約聖書に出てきた翼ある民の化石が発見される。だがそれは牧師で高名な博物学者のエスラム師が捏造したものだった。スキャンダルから逃げるようにドーバー海峡の孤島に移住してきた牧師一家。けれど噂はたちまち島内に広まり、尊敬する父が詐欺師と罵られ、自殺するというキリスト教徒にとって最大の罪を犯したと決めつけられたことに納得できないフェイスは、父の汚名を返上すべく、家族すら理解してくれないという四面楚歌の状況下、真相究明に孤軍奮闘する。観察力と論理的思考、そして父親が残した禁断の植物の不思議な力を駆使して。
博物学者になりたいと夢見る十四歳の少女が、女性に対する偏見や差別、因習に追い詰められた末に、反撃へと転じるシーンがかっこいい。謎と陰謀を推理して真相を解明する論理展開の隙の無さ、真犯人を指摘する手際の鮮やかさと、正統派の謎解きミステリとして、とても精緻でシャープに仕上がっている。知性と魂を押し込められた若者が世界に抗う成長小説であり、端正な謎解きミステリであり、不穏な空気が全編を覆うサスペンスあふれる冒険小説である。

No.2 7点 まだ中学生(仮)
(2024/02/07 21:09登録)
高名な博物学者の父に嫌疑がかかり、イギリス本土から家族で人里離れた島に身を隠した十四歳のフェイス。だが父が謎の死を遂げ、少女は敵だらけの島でひとり、真相を暴く決意をする。
嘘を養分にして育つ木をめぐり、科学と宗教の関係という西欧社会の根源的問いに斬り込みながら、ヴィクトリア朝時代の女性の抑圧を逆手に取り、従来の少女探偵小説を現代的に書き換えたファンタジー冒険小説。

No.1 6点 人並由真
(2018/03/19 15:44登録)
 某サイトでミステリ評論家の皆さんが2017年の最高傑作と推していたようなので手に取ってみたが、そこまではいかないにせよ、手堅く楽しめた。
 幻想小説風味、時代小説ティスト、青春ドラマ要素などの側面を備えながら全体として格調の高いヤングアダルト小説+犯人捜しのパズラーに仕上げており、感触は悪くない(謎解きの手順も丁寧だとは思う)。
 ただまあ世を挙げて賛美するような作品でもなく、誰も誉めなければ初めてそこでこういう佳作~秀作もありますよ、と言って、そっと差し出せばいい一冊という気もするが。

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