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ミステリの祭典

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レッドキングさんの登録情報
平均点:5.28点 書評数:943件

プロフィール| 書評

No.143 6点 皇帝のかぎ煙草入れ
ジョン・ディクスン・カー
(2019/02/04 12:19登録)
トリックもオカルトもなしのカー流「幻の女」。目と頭が認識した「個物」と「一般名詞」のずれと操作。タイプの違う二人の「クズ男」と、印象操作されやすい女。探偵とヒロインのラブロマンスのオマケ付き。

※2024/5/19追記。「トリックなし」って、個物認識と一般名詞を錯視させるのは、立派にトリックじゃんか・・て、自己つっ込みしたり・・


No.142 7点 曲った蝶番
ジョン・ディクスン・カー
(2019/02/02 14:08登録)
トリック自体は少年マンガレベルだろうが、登場人物ことごとくのフリークさがよい。特に主犯共犯の一見クールな異常さが素晴らしい。内容から言って「悪魔の人形」「金髪の魔女」とか妥当だろうに、このタイトル。オカルト趣味とトリックよりも、屈折した情念のドラマ重視の暗示とみた。


No.141 7点 とむらい機関車
大阪圭吉
(2019/02/01 15:00登録)
このサイト見てたらこれが出てきて「あ!これがあった」と思い出した。
「坑鬼」良かったねえ。トリック自体はいくらでも元ネタ辿れるんだろうけれども、炭坑という場面設定と描写に見事に嵌っていた。


No.140 4点 スペイン岬の秘密
エラリイ・クイーン
(2019/01/28 14:07登録)
何故に死体は 帽子とステッキ除いて全裸だったのか? それは犯人が服一式を必用としたから。何故に犯人は犯行現場を去る時に服一式を必用としたのか? それは・・・。 クイーンの「読者への挑戦状」では、初めて犯人を当てられた。プロットからして、犯人あれしかないだろうし。でもかんじんな「ロジック」は分からなかった。結局、クイーンの「ロジック」って、全ての容疑者が「AのためにはBしなければならない」と探偵と同じように判断し、その論理に基づいて行動して初めて成立するもので、「BしなければならないがBしない」や「Cする」と行動された場合には成立しなくなってしまう。


No.139 3点 チャイナ蜜柑の秘密
エラリイ・クイーン
(2019/01/13 11:34登録)
被害者の服と室内の調度が「逆さま」になっていた殺人。二つある扉の一つは内側からカンヌキが掛かっていた。
何故に服は「逆さ」に着せられていたのか? 元々「逆さ」だった服の一部から被害者の属性が判明するのを防ぐ目くらましのため・・(だが、これ我ら日本人の絶対多数にはピンと来ないよ。ゼッタイ。)
何故に調度は「逆さ」に動かされたのか? あるトリックの実行とその隠蔽のため。(また分かりづらくせせこましいトリック!)
何故に一つの扉のみ「密室」になっていたのか? 犯人にその扉からしか出られない事情があり、その隠蔽のため・・。 容疑者Aがそこからしか出られず、他の容疑者はもう一つの扉からしか出られなかったこの場合、「Aは犯人でありえる」というロジックは成立するが「他の容疑者は犯人でありえない」というロジックは成り立たない。そもそも、あのトリック自体、万一成立したとしても「多重解釈」の一例にすぎん。
※この「密室殺人」、全然「密室」してないじゃん。


No.138 8点 シャム双子の秘密
エラリイ・クイーン
(2019/01/05 11:11登録)
エラリイ・クイーンでは一番面白い。最高作かもしれない。

犯人は何故に警官の指輪を抜き取ったのか? 「そうしたかったから。」
間違いなく究極のロジックだ。


No.137 4点 アメリカ銃の秘密
エラリイ・クイーン
(2018/12/31 17:25登録)
2万人の観衆の目の前で行われた二つの銃殺  使用された銃はそこにいた全ての人からもその場のどこからも・・どこからも見つからなかった どこに消えてしまったのか?  一か所(?)だけ盲点の場所があり、読者が「そこ」を導引き出せる描写もたしかにあるにはあったが・・・。兇器消失の「密室」トリックとして おお!って感じになりそうなのに そうした驚きの感動に至らなかった


No.136 6点 エジプト十字架の秘密
エラリイ・クイーン
(2018/12/25 21:11登録)
「ゲームの駒」から犯人と被害者の人間関係を、「装飾パイプ」から犯行現場を、「足跡」と「ラベルのない薬瓶」から犯人を論証するロジックが見事。それはおいといて、ここでは何と言っても首なし殺人。死体に首がないことを「隠す」にはどうすればよいか? 同じようにヘンテコな首のない死体をたくさん作ってしまえばいい・・・
ホームズ「恐怖の谷」や横溝「悪魔の手毬唄」「犬神家」等と同じく、さらには「占星術殺人事件」や「首無しの如き祟るもの」へと応用複雑化していく本格物の一大テーマ。


No.135 6点 ギリシャ棺の秘密
エラリイ・クイーン
(2018/12/18 18:44登録)
探偵が、それを元にロジックを紡いでいく「手掛かり」。 だがその「手掛かり」自体が犯人によって仕掛けられた「ニセ手掛かり」だったとしたら・・・それを否定できるロジックそのものという物はない。麻耶雄嵩が「隻眼の少女」で展開してみせた「手掛かり」と「偽手掛かり」の応酬の原型がここにある。でも、あの最後の「手掛かり」のタイプライター自体、さらなる「ニセ手掛かり」ってのも否定できないぞ。そりゃ一応、解決させてるけれど小説だから。
ところで、この真犯人、当時としては斬新だったんだろうか。この属性。この時代の作品で、この犯人ないだろうとちょっと驚いた。


No.134 5点 オランダ靴の秘密
エラリイ・クイーン
(2018/12/10 18:39登録)
何故に切れた靴紐は絆創膏によって修繕され 何故に靴の内側に詰め物があったのか? それはある属性に限定される犯人によって実際に使用された物だったから・・・。だがまってほしい。それが「あたかも~であるかのごとく」誤導させるための「ニセ手掛かり」ではないと どうやって否定できるのか。で必要なのはやっぱ証拠で今回は残された絆創膏の切り跡っていうチンケな・・。
第二の殺人での犯人限定のロジックは変に美しい。「彼の死に顔は穏やかだった・・ ここに窓がほしい・・」  
状況証拠の極みだな


No.133 4点 フランス白粉の秘密
エラリイ・クイーン
(2018/12/03 19:07登録)
何故に死体は犯行現場から異動されねばならなかったのか? 犯罪の発覚時刻を遅らせるため。 何故に発覚時刻を遅らせる必要があったのか? それまでに行なわなければならない事が出来なくなるから・・・
でもこの「ロジック」・・必要条件:「Aは犯人でありえる」は満たしているのかもしれないが、十分条件:「A以外に犯人はありえない」は満足させられないなあ
例えば 作品に何人か出てくる「警官」の一人Xが真犯人でないとは言えないし、あの取締役達の一人Yが「合理的判断」と「非合理的行動」をチャンポンに行った犯罪であることも否定できない。
で、必要とされるのが「証拠」。それがない場合「ローマ帽子」では「おとり捜査」が行われたが、ここでは「共犯」の「司法取引の摘発」が出てきた。そりゃないよな


No.132 4点 ローマ帽子の秘密
エラリイ・クイーン
(2018/11/27 14:19登録)
何故にある物は持ち去られたのか? 犯人がそれを必要としたか それが犯人を指し示す物だったから
それは誰によって如何にして持ち去られたのか? 閉ざされた空間の数百人の容疑者の中から一人の犯人を導き出すロジック でも所詮ロジックはロジックでしかなく 決め手となるのは確かな「証拠」 それがないから行われる「おとり捜査」・・・これあまり愉快でないんだな ようするにわざわざ犯行を行わせるよう仕向けるんだもんな。
それにしても どんなにわずかであったとしても その血の中に〇人の血が混じっていることが致命的な脅迫材料になるってのも・・米国というか時代というか・・・。
そういえば 我国の帝に「私たち皇室には〇〇人の血が入っている」とのお言葉があった。 また某大物元首相は「私には〇〇〇人の血が流れている この太いまゆ毛を見れば分かるだろ」って戯言いってたな。


No.131 7点 陰獣
江戸川乱歩
(2018/11/21 17:10登録)
子供のころ この作品によって「本格」「変格」というガイネンを知った。また「ロジック」および「多重解決」っていう物のあり方を教わった。


No.130 8点 孤島の鬼
江戸川乱歩
(2018/11/21 17:03登録)
もちろん点数は大きくオマケ付き。だって乱歩といったら「陰獣」とこれだし。

前半は、二つの密室・不可能トリックが付いた本格ミステリ。
中盤にスリラーな怪奇手記を挟み、後半の冒険サスペンスへ。

「宵待草」、竹久夢二、「ゴンドラの唄」・・・ 大正ロマン時代を舞台に、昭和初期エログロナンセンス文化期に書かれた奇跡的な一冊。
「不具者」「かたわ者」「せむし」「つんぼ」・・・ 障害者差別用語のオンパレードに同性愛者探偵・・・今なら「LGBT差別」とかにもなりかねない・・・の活躍、 やや惜しい出来の密室・不可能トリックも、「最後にひとひねりほしかった」と言う不満も含めて「申し分なし。」 他に何が必要だったろう。


No.129 5点 幽鬼の塔
江戸川乱歩
(2018/11/16 08:09登録)
世の中にはこんな動機の死もあるのか 戦前のみならず 変に歪んだ「聖女崇拝」って今もあるもんな そういや あの「白装束集団」今どうしてるんだ


No.128 5点 真珠郎
横溝正史
(2018/11/16 07:56登録)
これ絶対「首無しの如き祟るもの」の源流だよな


No.127 7点 芋虫 江戸川乱歩ベストセレクション2
江戸川乱歩
(2018/11/15 19:46登録)
男が女に残した「ゆるす」の文字が全てだ。
もちろんミステリではない。いわば究極の反戦小説。でも「ゆるす」


No.126 4点 緑衣の鬼
江戸川乱歩
(2018/11/15 19:29登録)
これ先に読んじゃったせいで 本歌と言われる「赤毛のレドメイン」の方を読む気が失せてしまった


No.125 5点 三角館の恐怖
江戸川乱歩
(2018/11/15 19:14登録)
子供の頃、クラスの「学級文庫」に乱歩シリーズを寄贈した奴がいて、おどろおどろしい表紙絵に魅せられ方端から読んだ。この「三角館」が何とかいう海外小説のリメイクとは知っていた。人によっては「金」よりも大事な動機があるということを知った。ただあのエレベーターのナイフトリックには物理的に納得できなかった。あれってそんな勢いよく飛ぶものか?  


No.124 5点 ルパン対ホームズ
モーリス・ルブラン
(2018/11/15 07:41登録)
子供の頃、「怪盗対名探偵」て少年版ので読んだ。明らかに自国びいきで書かれていたが・・ホームズのこと「頭の禿げあがった中年」て・・その後、ホームズ本の方ばかりに興味がいくようになった。美男青年紳士の怪盗なんて鼻もちならん。わがルパン三世(あれ日本人だよな、それともハーフクォーターか)の方がカッコいい。

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