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ミステリの祭典

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レッドキングさんの登録情報
平均点:5.31点 書評数:1112件

プロフィール| 書評

No.312 6点 苦い娘
打海文三
(2020/03/24 08:19登録)
「アーバンリサーチ社」シリーズ(といっても主役は毎回変わるが)第四弾。作者で一番それらしいハードボイルド。小印刷会社の倒産をめぐり、19歳女工員、倒産整理屋、汚れ探偵、汚れ警官、暗黒売春組織ボス、娼婦、殺し屋まがい用心棒、女詐欺師等が入り乱れドタバタとサスペンスして、それでいてしっかりミステリもしている。登場人物が悉く「汚れ」なのに、心グチャグチャに「純情」で、全然「ハードボイルド=固ゆで」されていないのは、ジェイムズ・エルロイ系統かな。社会的に見た事件それ自体の規模の小ささが、登場人物達の「みじめさ」に釣り合っている。悪役ボスキャラの「母も妻も娘も娼婦で、少年時代に母親のポン引きしてた」ってキャラ設定がうまい。
※元題「ピリオド」(1997年)を2005年に改題出版。


No.311 7点 天使に見捨てられた夜
桐野夏生
(2020/03/22 22:04登録)
女流ハードボイルド・ミロシリーズ第二弾。失踪したAV女優の行方を追う女探偵が出会ったのは、落ちぶれたミュージシャン殺人事件と依頼者の死。そして明かされて行くAV女優の正体と殺人事件の犯人。登場人物を、前作「顔に降りかかる雨」のキャラ造形に微妙にダブらせながら、フーダニット関心をダミーに誘導する手際が心憎い。
AV女優の生立ち過去を巡る「火車」(思えばこれもハードボイルドの匂いがした)や松本清張風味もGood。
※実際に騒ぎになったエピソードや懐かしきAV界大物(「ナイスですねえ」)モデルが分かりやすい。


No.310 5点 顔に降りかかる雨
桐野夏生
(2020/03/22 21:56登録)
本格ミステリのヘソが「密室殺人」ならば、ハードボイルドのそれは「行方不明」てことで、一億円と共に失踪した女を探す女探偵ミロがヒロイン。「女流ハードボイルド」てジャンルになるんだろうが、ミロって名前から連想する、ジェフリー・ディーヴァー作品の元モデル警官やタレントのローラの様な長身美形の女ではなく、バツイチで欲情にも弱い適度にダメな女って設定がよい。金と殺人を巡るフーダニットもきっちり仕込まれてる。


No.309 3点 ソウル・コレクター
ジェフリー・ディーヴァー
(2020/03/19 22:13登録)
ライムシリーズ第八弾。お馴染み探偵チーム(あの黒人カメレオン男出なくて残念)VS「ソウル=魂」の支配者。「肉体は滅んでも魂は永遠」の魂。魂とは、すなわちデータの集積の事で、「個人なんて生物的歴史的社会的データの結節点に過ぎない。」 てことで、他人のデータに侵入し改竄して破滅させるのみならず、己の殺人さえも冤罪擦り付けする恐怖の支配者。相変わらず倒述・カットバック描写巧みでハラハラ展開面白くあっという間に読めちゃう・・・が、「ウォッチメーカー」の後だと、ジェフリー・ディーヴァーだと・・ハードル上がっちゃうもんな・・・


No.308 7点 夜の谷を行く
桐野夏生
(2020/03/17 09:30登録)
「連合赤軍事件」・・鉄球映像で有名な「あさま山荘事件」の方ではなく、「山岳アジト12人同志殺害」及び「印旛沼事件」の方・・史上悪名高い連赤事件の実話の上に、フィクションを描いて行く小説。
ヒロインは、事件で懲役5年の判決を受け、出所後は塾を経営して生きてきたという設定の元連赤女兵士。実話部分は全て実名で描かれ、フィクション部分はもちろん仮名(一部は実名で)だが、仮名の登場人物達も、結構そのモデルが分かりやすい。肝心のヒロインは「永田洋子の側近」という設定で、2~3人モデル候補が浮かぶが、まあ虚構の女だな。
「連合赤軍」・・読んで字の如く「連合」した「赤軍」だが、元の2グループのうち、赤軍派の方ではなく、革命左派の方の「隠された目的」とは何だったのか、がミステリとしての主題を成している。
「永田洋子、それは私だ」「彼女たちの連合赤軍」・・フェミニズムという言葉さえ知られていなかった時代の混乱した情念の錯綜。社会思想的問題を匂わせながらも、「赤い雪」は言うまでもなく立松和平「光の雨」高木彬光「神曲地獄編」よりもずっとミステリしてる。 ※ある個人的思い入れからオマケ付き点数。


No.307 6点 兇眼
打海文三
(2020/03/16 22:41登録)
「アーバンリサーチ社探偵物語」第三弾。11歳少女からの誘惑を拒絶して自殺された元大学教員と女ルポライターの男女探偵ペアが追い求める殺人事件。10年前に集団自殺したカルト教団の生き残りの子供達と消えた数億円資金。消息を消した6人の子供達は二十歳前後に成長し、戸籍を変えて疑似家族として生きていた。シリーズ探偵チームと教団の元子供達と謎の残虐殺人鬼、三つ巴のミステリでサスペンスでハードボイルドで・・・なんといってもハードボイルドな話だが、殺人事件のミステリであり、「白夜行」「永遠の仔」の先行作でもある。


No.306 4点 三つ首塔
横溝正史
(2020/03/15 23:54登録)
思い出した。今は昔、高校生の頃、同じクラブの女子にこれ貸したら、「ナニこの作家、女のこと何だと思ってるの」て白い眼で汚物のように返却された。自分では結構面白いと思ったんだが・・・


No.305 3点 一寸法師
江戸川乱歩
(2020/03/15 23:36登録)
現代のシビアな眼で、一つの完成されたミステリ作品として評価すれば・・ん点てとこになってしまうだろうが、それでも、なお、未練がましく、「ルブランのルパン物だってこれに一本、毛が生えた様なものだろ? ジェフリー・ディーヴァーだって二三本、毛が生えた様なもんだろう?」と居直りたくなり・・「踊る一寸法師」の方が遥かに素晴らしいてのは重々承知の上で・・おまけ付き点数。


No.304 3点 暗黒星
江戸川乱歩
(2020/03/15 17:55登録)
思い出した。少年時代、ちょうど「グリーン家」と同じ頃にこれも読んでて、真犯人はこうでないとな、という刷り込みを受けたんだった。


No.303 3点 悪の起源
エラリイ・クイーン
(2020/03/15 17:39登録)
ホームズ長編風伝奇浪漫と操りネタの結合。ヤツメウナギ(なんじゃそれ)-マグロ-カエル-ワニ-鳥-犬猫・・・イマイチ切れ悪いな、この「環」。 でも殺人者を側近にしちゃう探偵ての素敵よ。子供の殺人鬼を毒殺しちゃう探偵てのもよかったが。


No.302 7点 ゼロ時間へ
アガサ・クリスティー
(2020/03/11 23:25登録)
「雪白」「薔薇紅」(グリム童話の内容は忘れた) 二人の女と、金ルックス地位三拍子揃ったいい男。三角関係からして、まーた人間関係トリックか?と思いきや、キャラ一捻りネタの方だった。巻頭の湾の地図から「ああいう」トリックなんだろなあと思った通りの「ああいう」物だったが、諸人物の身体特徴のさり気ない描写や、腐った魚臭の犬等の伏線が見事。警官の娘の窃盗冤罪や自殺未遂男のエピソードも、胸キュンエンドのゼロ時間へと鮮やかに収束。


No.301 5点 夜歩く
横溝正史
(2020/03/11 01:06登録)
思い出した。これを先に読んでたんで、アガサ・クリスティーので驚きがなかったんだ。
「真珠郎」ともども、三津田信三の傑作「首無の如き祟るもの」の源流筋だな。


No.300 5点 無実はさいなむ
アガサ・クリスティー
(2020/03/11 00:33登録)
母として妻として絶対的な支配者である女、財力と先見力と理想に裏打ちされた信念の女・・それ故にこそ子供たちと夫は幸福になれない・・そんなスーパーマダムの殺害事件から2年。いったんは解決した事件に新たな展開が・・・
ん?この話、とりあえず収まる所に収まってた一族の安寧をぶち壊しにした男が、結果、自分の女を得て、誰よりもめでたしめでたしエンドってことだよなあ・・


No.299 6点 黒蜥蜴
江戸川乱歩
(2020/03/10 08:09登録)
乱歩に加え、三島由紀夫と美輪(当時は丸山)明宏に援護されちゃあ、この点数よりは下げられない。


No.298 3点 人間豹
江戸川乱歩
(2020/03/10 08:03登録)
豹人間でなく人間豹てネーミングがよい。猫でも蛇でも蜘蛛でもなく豹てのがよい。


No.297 4点 大誘拐
天藤真
(2020/03/09 19:17登録)
大誘拐-だい誘拐-おお誘拐-おおゆうかい-おおゆかい-OH!愉快・・・


No.296 6点 点と線
松本清張
(2020/03/07 00:43登録)
人間関係トリックによる偽装心中殺人。不可能ロジックの結界を張り巡らせた「逆密室」に篭もる犯人。だが、あまりにも完璧な「逆密室」のロジック故に、探偵刑事の密室破壊衝動を煽る結果に・・・。
「ふふふふ、越後屋、そちも悪よのう」悪徳商人の社会派ネタと時刻表トラベルミステリの華麗な混合、さらに「操りのラスボス」登場のオマケまで付く。こういうところはポイント高いよ。


No.295 4点 ダブル・ダブル
エラリイ・クイーン
(2020/03/05 17:10登録)
ダブル・ダブル・・・二重・ウラオモテ・見せかけ・・。「悲劇の連鎖」に見せかけた「計画犯罪」、「数え歌連続殺人」に偽装した「合目的犯罪」、「探偵を操り連鎖を企図する犯人」と「連鎖自体に操り返される犯人」・・。
※手元のハヤカワ訳本、野生児という設定の娘に「ようござんすわ」「面白うござんしたわ」なんてセリフ言わせちゃってる。明治35年生の訳者の文体が実にアウトオブファッション。


No.294 6点 名探偵 木更津悠也
麻耶雄嵩
(2020/03/02 22:52登録)
「白幽霊」 麻耶十八番の左右と高さのロジックによる犯人特定。
「禁区」 入ることのみならず見る事さえ忌避する「方忌」からの犯人直感。
「交換殺人」 交換殺人ロジックと人間関係トリックの見事な結合。
「時間外返却」 死体とともに埋葬されなかった物から殺害場所を特定するロジック。
京都市北地区の高級住宅街に現れる「白い幽霊」にちなんだ短編集で、ここまでならばTVドラマ「相棒」に毛が生えた程度の5点。

5点だが、この作品、古今東西で最も愛するミステリの「翼ある闇」同様に、ワトスン役の香月実朝こそが真の主人公。彼、「翼ある闇」では、名探偵:木更津悠也、銘探偵:メルカトル鮎をも越えたスーパー探偵だったが、ここでも最後の最後に、メルカトルの〇〇〇〇に相応しいブラックさを醸し出してくれている。この外連味に点数1点オマケ。


No.293 5点 されど修羅ゆく君は
打海文三
(2020/02/28 18:37登録)
作者第三作にして、「時には懺悔を」に続く「探偵物語」第二弾。登校拒否の13歳少女と元結婚詐欺師の銀髪長身の六十すぎ女。二人の女探偵が思いを寄せる男は探偵くずれで、同棲していたデザイナー殺しの容疑者でもあった。
「(いい女になりたかったら)修羅場をいくつかくぐりなさい」「修羅場って?」「人生の修羅場は一種類しかないの」「なあに?」「失恋。」 フェミニンハードボイルド、よいなあ、点数オマケ付けちゃう。

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