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ミステリの祭典

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緑衣の鬼

作家 江戸川乱歩
出版日1949年09月
平均点5.25点
書評数4人

No.4 6点 弾十六
(2020/02/23 16:26登録)
初出「講談倶楽部」昭和11年(1936)1月号~12月号(12回連載) 創元文庫(乱歩16)の電子版で読みました。連載当時の挿絵(前半は嶺田 弘、後半は伊東 顕)を全て収録してるのが非常に良いです。
フィルポッツ『赤毛のレドメイン』(1922)の翻案、といってもかなり手を入れてるので半分オリジナルと言っても良いでしょう。冒頭は映像的効果抜群。犯人像が奇矯過ぎて、ファンタジー味が強くなっている。望遠鏡で蛮行を覗くシーンが素晴らしい。全体的な雰囲気は映画とか漫画とかに似た娯楽重視の軽本格探偵作品、といった感じ。「真犯人」中のp3610の説明が丁寧に感じたのですが、まだアレはあまり知られてなかったのかな。
以下トリビア。
現在価値は、都市部物価指数基準1935/2015(1804倍)で換算。(文庫は400倍換算だが、国家公務員初任給が1935年75円、2015年181200円で2416倍)
p837/3943 資産は百万を下るまい: 18億円。
p1419 電話の便利もない: 寒村には普及していなかった。
p1596 二十円: 三万六千円。伝言の駄賃。
p2269 ポオの『盗まれた手紙』: 意外な引用… (いやいや意外ではないですね)

No.3 4点 レッドキング
(2018/11/15 19:29登録)
これ先に読んじゃったせいで 本歌と言われる「赤毛のレドメイン」の方を読む気が失せてしまった

No.2 5点 ボナンザ
(2014/04/07 22:21登録)
赤毛のレドメイン家ってこんな話だったか・・・?
例によって乱歩の独自色が色濃く出ているので、原作を読んだ人でも違和感なく楽しめるはず。

No.1 6点 E-BANKER
(2011/04/24 19:48登録)
フィルポッツの名作「赤毛のレドメイン家」を翻案した小説として有名な本作。
明智小五郎ではなく、乗杉龍平という素人探偵が登場。
~銀座の街頭で奇禍に遭ったところを救われ、連日の不穏な出来事を訴える可憐な女性、芳枝。人妻と知りつつも探偵作家大江の胸は騒ぐ。その翌日、緑衣の怪人物に襲われる芳枝夫妻。1か月後、夫を喪い伊豆で傷心を癒す芳枝から便りが届くが、またも緑衣の影が・・・~

なんと言うか、実に「乱歩らしい」作品ですよねぇ。
①美しい女性が登場し、主人公がその美しさにまいる。②その女性が何らかの犯罪に巻き込まれる。③周りの人間は殺されていくが、その女性はなんだかんだいいながら殺されず助かる。④もちろん真犯人は「○○○」・・・
もはや分かりきった展開で、分かりきったラストを迎えます。
トリックは恐らく成立しないんじゃないかというものも多い。特に「腹話術」・・・普通、気付くだろ!(乱歩を読んでると、「腹話術」万能かと思わされる)
などと貶してしまいましたが、もちろん乱歩らしい「ハラハラ・ドキドキ感」を堪能できるという長所もありますし、ラストに向け徐々に盛り上げ、読者を惹き付ける展開にも唸らされます。
ロジックで凝り固まったパスラー小説に飽きたら、こんな作品を読んでみるのも一興かもしれませんね。
(全身緑ずくめの男・・・本当にいたらかなり怖い!)

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