home

ミステリの祭典

login
幽鬼の塔

作家 江戸川乱歩
出版日1988年02月
平均点5.33点
書評数3人

No.3 6点 虫暮部
(2023/07/20 12:44登録)
 札束を燃やす場面が良かった。“予言に真実性を与えることが義務” と言うのも説得力がまぁ認められるが、美しき霊感少女についてはもっと突っ込んで書いて欲しかった。血に餓えたあの娘は如何にも中途半端。
 しかし、書いていない部分に関する想像を大々的に誘発する力がある。絶妙な氷山の一角を読者に対して見せている感じ。
 そういえば、題は忘れたが良く似た内容の海外作品を読んだ記憶がある。

No.2 5点
(2020/10/03 14:28登録)
前に読んだ鯨統一郎の『マグレと都市伝説』がメグレ警視とは全く無関係だったので、今度は間違いなくシムノン関連の作品をということで、本作を選んでみました。原作の『サン・フォリアン寺院の首吊人』はメグレものの中でも特に好きな作品です。自作解説には、「翻案というほど原作に近い筋ではないので、シムノンに断ることはしなかった」と書かれていますが、確かに微妙なところで、著作権にうるさくなった現代ならともかく、1940年頃には原作者の許諾を得ずに発表されてもおかしくなかったでしょう。
原作と共通するのは冒頭と最後、つまり提出される謎とその解決だけで、そこにもかなり変更が加えられています。本作では最初の自殺から「首吊り」モチーフが現れますし(原作は拳銃自殺)、過去の事件の動機も全く違います。中間部分の乱歩らしい扇情的な展開は原作とはまるで別物で、ちょっとバランスが悪いように思えました。

No.1 5点 レッドキング
(2018/11/16 08:09登録)
世の中にはこんな動機の死もあるのか 戦前のみならず 変に歪んだ「聖女崇拝」って今もあるもんな そういや あの「白装束集団」今どうしてるんだ

3レコード表示中です 書評