home

ミステリの祭典

login
レッドキングさんの登録情報
平均点:5.28点 書評数:959件

プロフィール| 書評

No.619 7点 魔術王事件
二階堂黎人
(2022/09/06 21:08登録)
二階堂蘭子シリーズ第七弾。 これも不可能トリックひとつにつき、3点満点加点法で・・  
    対面部屋消失トリックに、1点。
    楽屋密室トリックに、2.5点。
    石室トリックAに、2.5点(勉強になりました)
    石室トリックBに、-1点(この手の幾何学、ツマンねぇ)
    病院密室トリックに、3点満点(模範的やね)
    雪足跡ネタに、0点。
    少年消失トリック、3点満点だが・・せっかくのGood idea、効果が全く機能せず-2(>_<)で、1点。
    宝石すり替えトリックに、0点、で、合計、9点。
トリックが多彩・賑やかで実に楽しい。が、どれも効果が薄い。散らし過ぎなのかな。 ので、-2点、結局、7点。
不可能トリックは、ストーリーをその内にネジ入れてしまう程の、強烈な渦巻きであってほしく。特に、少年屍体の消失トリック、「妖魔の森の家」+「チェスタトン」の複合技でナイスなのに、話に活かせず、不思議効果0に近く、残念。


No.618 5点 だれも知らない女
トマス・H・クック
(2022/09/03 10:23登録)
フランクシリーズ第一弾。何不自由ない環境のハイクラス美少女の謎の死。事件を追い求める虚無的な刑事と、描かれて行く米国白人男女の静かなる絶望感・・「信仰深くて楽天的、能天気」に見える米国人の心の底に潜む静寂なる虚無。
※そう言えば、「The Sound of Silence」は、「暗い日曜日」の欧州や、「ラバー・ソウル」Beatlesの英国ではなく、米国産だった。


No.617 7点 兇人邸の殺人
今村昌弘
(2022/08/30 21:36登録)
女学生探偵:比留(ヒル!)子シリーズ第三弾。「我らの敵はジェイソンであって、モリアーティでない・・」
    第一殺人の絞殺者Whoロジックに、1点・・加点法で採点
    第二殺人のアリバイ時間ロジック及びSFコードトリックに、2点。
    紛失キー取返しHowダニット(面白い!)に、1点。
    建物構造設定(よくぞこんなの)に、2点。
    SFホラーWhoダニット倒叙に、1点。・・で、合計、7点。
※この作者のみならず、女学生ホームズに隷属する男子学生ワトスンて、どうしても「この手」の匂いを振り撒くのね。
※既刊三作中、読んでて一番ワクワクさせられた。次は来年かな、楽しみだ。(^.^)


No.616 5点 ミステリの女王の冒険
エラリイ・クイーン
(2022/08/30 07:00登録)
クイーン自身が脚本を書いたTVドラマシナリオ集かと思ったら、ここの「エラリー・クイーン」て、「さいとう・たかお」みたくプロジェクト集団の標章なのね。もともとプロト「クイーン」自体が「藤子不二雄」とは言え、原案者でさえない となると・・なんか拍子抜けやね。


No.615 3点 殺人をもう一度
アガサ・クリスティー
(2022/08/28 19:58登録)
人間存在の本質は実存(≒自由)だから、トリックやロジックのミステリコードで拘束されない限り、誰にも殺人者となる可能性があり、どんな物語も在り得る。あとは、その物語が各読者の趣味に合うか否かだけで・・(自分は否やね)
ところで「五匹の子豚」、真犯人は記憶にあるままだが、他のキャラ達、こんなだったっけ?・・読み返そかな


No.614 5点 悪魔のラビリンス
二階堂黎人
(2022/08/27 19:45登録)
二階堂蘭子シリーズ長編第六弾・・・といっても、一部と二部は別話で、実質中編が二作やね。
   第一部の死体入代り密室は、「入代り」の方なかなかだが、肝心の「密室」がズッコケて、3点満点で2点。
   第二部の父子無理心中密室の方は、模範的な完全密室で3点。・・で、全体合計で5点。
※ラビリンス2図の付録付き。 ※その「密室才能」認めるの全然やぶさかでないが、相変わらずガキが傷口見せびらかすみたいな露悪グロ描写好きな作家やねえ・・・そこがまたクサヤ風味いうかシュールストレミング風味いうか・・・


No.613 4点 フレンチ警部と紫色の鎌
F・W・クロフツ
(2022/08/26 18:11登録)
クロフツ第九作。映画館受付女の三連続殺人。これまた「赤毛組合」「技師の親指」風味・・思ったらネタまでまんま・・ そりゃあ、「製材所の秘密」同様、これも立派な違法行為だが、人殺しにつり合う程に価値ある「悪」だろか。


No.612 9点 人狼城の恐怖
二階堂黎人
(2022/08/23 22:25登録)
二階堂蘭子シリーズ第五弾。 「史上最長(ホントかいな)の本格ミステリ」らしい。
   ( 密室一室につき3点満点で加点。)
      首引きち切り密室に、3点。(これすげえ)
      首四肢切断密室に、3点。(これもいいな)
      甲冑殺人消失密室に、3点。(模範的ね)
      夫妻首切密室・生首消失密室(なんちゅう乱歩)は併せて2点・・計11点! ※文句なく「密室の帝王」 !(^^)!
が、密室作成の目的が言い訳がましく(それやりたかった、でいいじゃん)-1点、重ねて主犯設定と物語構造に-1点、
城構造=メイントリックには+2点、が、実行犯多すぎ-1点、探偵ヒロイン魅力薄く、それ以上にワトスンキャラうざ過ぎ-1点、で、総計9点。
 
※長さともかく、これ、おそらく本格ミステリ界のThe King of Kings・・・それほど好きにはなれんが・・


No.611 6点 悪霊の館
二階堂黎人
(2022/08/23 22:23登録)
二階堂蘭子シリーズ第四弾。これも洋風味だが伴天連風味なく、言わば「犬神家」本歌取り。あの外連味見立はないが。
   メインイベントの首無し密室に、3点満点で2点・・「完璧」な密室なのに、ネタがぁ(~_~;)
   セミファイナルの消失クローゼット密室には、1.5点、で、計3.5点。
そこに、双子首無殺人の二重入代りネタへ+1点。意外や清張風の地道捜査展開に+1点。
※すけきよ白マスク再現オマケ付き。


No.610 4点 海の秘密
F・W・クロフツ
(2022/08/22 19:54登録)
クロフツ第八作。海より釣り上られた木箱の中の顔無し死体。底無し沼の荒地に行方を消した二人の男との因果や如何に。切れ味にぶい二重入代りネタとせせこましいアリバイトリック付き。


No.609 7点 聖アウスラ修道院の惨劇
二階堂黎人
(2022/08/19 22:19登録)
二階堂蘭子シリーズ第三弾。前作の和風味から、本来のバタくさ洋食風味に戻る。採点ポイントは二つの密室。
    塔の密室version1に 2.5点
    塔の密室version2に 3点、で、計5.5点。
 そこに、前半1/3の清張風・・意外やね・・地道捜査ネタと、後半1/3の地下迷宮冒険譚に併せて1点加点。
 さらに、白人神父の首無し全裸逆さづり屍体「すけ-きよ(笑)」ネタに、0.5点加点で、合計7点。


No.608 5点 スターヴェルの悲劇
F・W・クロフツ
(2022/08/17 22:24登録)
クロフツ第七作。荒野の古屋敷に住む守銭奴富豪と使用人夫婦の焼死。当初の火災事故が強盗殺人事件に反転するが、容疑濃厚な人物は既にして焼死体・・・ 姿なき殺人者へ仕掛けられるフレンチのトラップが、なかなかにワクワク。ラストツイストも見事に決まる。


No.607 7点 吸血の家
二階堂黎人
(2022/08/16 20:36登録)
二階堂蘭子シリーズ第二弾。密室一つにつき3点満点で加点。
    雪の足跡密室に、2.5点
    納戸刺殺密室に、3点
    土の足跡密室に、0.5点 で、計6点。
そこに、横溝三津田風味・・作者にしては珍しく和風味・・のスカッと爽やかバージョン化が、のど越し良く1点加算で、7点。※久月=吸血、翡翠=血吸い・・うーん、なかなか・・


No.606 3点 フレンチ警部とチェインの謎
F・W・クロフツ
(2022/08/12 21:18登録)
クロフツ第六作。「赤毛組合」「技師の親指」風味に、ドイル十八番の海洋奇譚と「黄金虫」オマケも付いて、ミステリではないとは言えず、サスペンスとして面白くないこともない、が、ラストにかけて何のツイストもなく逆に驚いた・・・どんでん返しラスボスだろう、普通、「あの」キャラ・・・


No.605 5点 悪いうさぎ
若竹七海
(2022/08/04 19:30登録)
ディーヴァーの女刑事みたいなBeautyでなく・「脇汗が流れた・・臭かった」、桐野夏樹の女探偵ほどはBitterでない、冴えないアラサー日本女に、定番ハードボイルド探偵・ニヒりナルシス悪たれ不愛想男・を移植すると、かくもFunnyなキャラに仕上がるのね・「ギムレット・・」でなく「グレープフルーツは・・少し苦かった」 
女子高生行方不明譚が、奇矯なサスペンスに展開し、面白かったので点数おまけ付き。


No.604 3点 フレンチ警部最大の事件
F・W・クロフツ
(2022/07/30 15:57登録)
クロフツ第五作。宝石強盗殺人事件を追うフレンチ。あらゆる目撃証言のウラを取り、僅かな可能性の欠片も捨てず、英本国のみならず仏蘭スイスからスペインポルトガルにまで東奔西走する探偵警官。犯人Who=幻の女を求めて展開に、チョットした消失(て程でもないが)トリックと、暗号解読オマケ付き。


No.603 7点 硝子の塔の殺人
知念実希人
(2022/07/25 00:53登録)
「モリアーティが永遠に求める者は、ライヘンバッハの滝に供に飛び込むホームズなんだよ、my dear Watson・・」
     第一の密室・・お手本の様に手堅い心理密室に3点満点。でも倒叙なんで-1で、2点。
     第二の密室・・鮮やかなるピタゴラスィッチ機械密室に3点満点。
     第三の密室・・とんでもトリック密室(成功の物理的懸念、またよし(^.^))に3点満点。
  で、計 8点・・と思わせといて・・見事なるドンデン返し・・しかも一回転に一捻り付きに+2点で、10点! 
  でーも、なんか気恥ずかしい「新本格」内輪受けネタが物語の中心に居座ってるんで、-2点。結局、8点。
※あのヒロイン、真賀田四季より良いが、御陵みかげの方が好きだ。にしても、ポー・ホームズに、島荘や「十角館」を同列に並べるのは・・ちょっとねえ。

2023/7/18追記。「密室キングダム」や門前典之諸作なんかと読み比べて、8点はチト褒め過ぎかと、で、7点に。


No.602 5点 フローテ公園の殺人
F・W・クロフツ
(2022/07/22 22:13登録)
クロフツ第四作。目撃証言の時間割アリバイ表に、冤罪擦り付けトリックと、顔無し死体ネタ・・「恐怖の谷」1915年で、これ23年か・・の併せ技。まったり進行から突然にサスペンス展開が来たりする。


No.601 4点 アクナーテン
アガサ・クリスティー
(2022/07/20 20:50登録)
気の遠くなるような古代エジプト史においても、極めてユニークな王:アクナーテン=アメンホテプⅣ世。一神教・・存在論的唯一神ではなく太陽神拝一主義レベルだが・・による多神教排除を推し進め、支配階級のアメン神官達を弾圧し、遷都を強行し、新たな文化形態まで創造しながら、一代で反動の海に消滅してしまった革命の王。太陽神アテンの理想「愛と平和と非戦」・・ジョン・レノンかガンジーかクエーカー教徒か日本国9条か・・の理想に焼き尽くされた、そんな王を主役にした歴史ミステリ(て呼ぶにはチト・・まいいや)三幕劇。上演完了には3、4時間かかりそ。王の娘婿に、ツタンカーメンてなポピュラーネームも登場。
※ところでフロイトは、聖書の唯一神ヤハウェの元ネタが、この太陽神アテンだった説を唱えてる。


No.600 7点 検察側の証人
アガサ・クリスティー
(2022/07/19 19:08登録)
愛する妻の証言は、眉に唾つけられるが、憎むべき情婦の「暴かれた証言」は、決定的な証拠として認められ・・・
「死の猟犬」に収められた短編小説は素晴らしかった。先方より売り込まれて来た物よりも、嗅ぎ出して分捕ってきた物の方に価値を見出す探偵心理が、この戯曲ではイマイチ欠けて、さらにあのラストがくどくて、2点ほど減点。

959中の書評を表示しています 341 - 360