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ミステリの祭典

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悪いうさぎ
葉村晶シリーズ

作家 若竹七海
出版日2001年10月
平均点6.50点
書評数8人

No.8 5点 レッドキング
(2022/08/04 19:30登録)
ディーヴァーの女刑事みたいなBeautyでなく・「脇汗が流れた・・臭かった」、桐野夏樹の女探偵ほどはBitterでない、冴えないアラサー日本女に、定番ハードボイルド探偵・ニヒりナルシス悪たれ不愛想男・を移植すると、かくもFunnyなキャラに仕上がるのね・「ギムレット・・」でなく「グレープフルーツは・・少し苦かった」 
女子高生行方不明譚が、奇矯なサスペンスに展開し、面白かったので点数おまけ付き。

No.7 7点
(2018/02/07 23:43登録)
この作者を読むのは初めてで、タイトルからしても、うさぎがたくさんいるとぼけた味のカバーイラストからしても、ハードボイルドと言っても軽いタイプかと思っていたのですが、本当にハードな内容を持った作品でした。
プロローグの「前哨戦」から常軌を逸した男が登場して、ヒロイン葉村晶は乱闘の結果入院する羽目になってしまいます。この男はその後もさらに出てきますが、その嫌がらせは登場時の乱暴さからすると違和感があります。その男の話は脇筋ですが、もう一つ、晶の友人の恋愛話も脇筋になっていて、この恋愛の相手もそうとう病的な奴です。その上メインの失踪事件の依頼人がわけのわからない富豪という、変人オンパレードの作品になっています。
ここまで非常識人を揃えているからこそ、真相の異常さもそれなりに納得できる世界になっていると言えるかもしれません。最後説明不足な点はいくつかありましたが…

No.6 6点 E-BANKER
(2017/05/03 22:53登録)
2001年発表。
葉村晶シリーズの二作目は長編。最近妙に人気を獲得した(?)同シリーズということで、どうなのでしょうか?

~女探偵・葉村晶は、家出中の女子高生ミチルを連れ戻す仕事で大怪我を負う。一か月後、行方不明のミチルの友人、美和探しを依頼されることに。調査を進めると、ほかにも姿を消した少女がいた。彼女たちはどこに消えたのか? 真相を追う晶は、何者かに拉致・監禁される。飢餓と暗闇が晶を追い詰める・・・。好評の葉村晶シリーズ待望の長編~

最近、個人的に気になる「葉村晶」である。
(乃南アサの女刑事「音道貴子」でも同じことを書いてるけど・・・)
四作目の「静かな炎天」を先に読んでしまって、彼女の年齢が若返っているのが逆に新鮮。
本作では、依頼人やら関係者やらに巻き込まれ続け、怪我&疲れでボロボロになった体を酷使することになる晶。
でもまあ、まだ三十代前半だからこそ、それができたわけで、四十代となった最新作ではとても無理だったに違いない。

ハードボイルドというと、どうしても男臭さや暴力溢れた世界観になってしまうのだが、女探偵を主人公とする本シリーズでは、どうしても読者へのアプローチ方法が違ってくる。
犯罪への怒りはもちろんだけど、暴力や裏社会への恐怖、恋愛や俗世間へ背を向けることへの諦観、それでも探偵であることの矜持etc・・・
この辺りが幅広いファン獲得の要因になっているのではないか?
確かに、本作も尺の割にはクイクイと読ませられる感じがした。

本筋については・・・どうかなぁー?
長編らしく、脇筋も結構書かれているんだけど、登場人物の多さと相俟って、どうも混乱気味のように思えた。
プロットそのものは単純極まりないんだけど、そこにたどり着くまでにエライ遠回りした感が強いのだ。
一番簡単に言えば、タイトルそのものだもんね。

やっぱり、本シリーズ&葉村晶はどちらかというと短編向きかな。
もちろん個人的な好みだし、晶とシンクロして読んでる方は断然長編というだろうけど・・・
(結局、晶の友人はどうなったのか?)

No.5 6点 まさむね
(2017/02/11 22:35登録)
 葉村晶シリーズの長編。葉村自身、また周りを囲む登場人物も魅力的で、話も次々に展開していくので、どんどんとページをめくらされました。その意味では、確かに楽しめたと言えます。
 一方で、「ああ、そのまま終わっちゃうのね」といった印象も。それと、それを言っちゃあオシマイと言われるかもしれませんが、現実味が薄すぎるかなぁ。

No.4 6点 makomako
(2017/01/29 15:33登録)
 この作品はミステリーマニアならかなり高く評価されそうです。ストーリーが奇抜で規模も大きく、推理もサスペンスもあり、最後のどんでん返しなどもなかなかのものです。
 じゃあどうして私はこの程度の評価なのでというと、女の登場人物に対する体つきや容貌など外見的な描写が少なく、セクシーでかわいい女の子がほとんどいない(本当は若い女性が多く登場するのできっと外見がよい女の子が出てきているなずなのですが、葉村を含めて)。人物は話の駒としての扱いが強いのです。私は人の名前を覚えるのが苦手なので、どの子がどうだったかがしばしばわからなくなりました。セクシャルな面は女性にとってどうでもよいのでしょうが、男の読者にとってはかなり重要なポイントと思います(私だけか?)
 多分この辺りが一般の書評がやや低めで、ミステリー好きには受けるところなのかもしれません。

No.3 6点 ピンクティンク
(2004/12/09 13:46登録)
『依頼人は死んだ』の主人公・葉村晶シリーズ。これは前作を読んでからの方が絶対おもしろいと思うな。私は『悪い〜』を先に読んだので、葉村のキャラを余すことなく楽しめなかった気がする。逆に読み直してみたら『らしさ』に思わずニヤリとするところがたくさんあり、最後までおもしろく読めた。ただ確かに最後はどんでん返しがなくびっくりしたかも!

No.2 9点 みっくん
(2004/06/20 11:25登録)
 葉村晶シリーズの最新作。しかも長編。
 友達の相場みのりに絡んだ結婚詐欺の話と少女の
失踪事件の話が並行していて歯切れの悪い部分も。
 ただ、こういう展開の方がある意味リアリティー
はある。探偵に必要なのはセンスや行動力だけでな
く、運(悪運に強いこと)が必要なんだ!と感じさ
せられました。若竹さんの長編では暫定でNO1の
作品だって思いました。

No.1 7点 884
(2004/01/10 22:58登録)
 失踪した少女の行方を追うのが主筋で、親友の彼が結婚詐欺師なのは脇です。脇が晶の負担以上の役割を物語で果たせてないのがおしいかな、と。
 どんでんがえしがいつくるのかと思ったら、そのまま大団円を迎えてしまってびっくり。この人の場合はひっくり返さないことが逆にサプライズになりますね(笑)。

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