青い車さんの登録情報 | |
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平均点:6.93点 | 書評数:483件 |
No.463 | 6点 | 懐かしき殺意 リチャード・レビンソン&ウィリアム・リンク |
(2019/12/27 22:01登録) 旧シリーズでは人気下位のエピソードながら、『ルーサン警部』とは反対にこちらは擁護したい派です。この回の不人気の理由はどうやら推理物としての脇の甘さにあるようです。しかし、詰めの証拠としたバックルの手掛かりは、あまりに説得力に欠けるのは認めますが、意外性という意味ではむしろ面白い部類ではないでしょうか。ただもう一つの大きな不備、犯行トリックの根本(硝煙反応の有無ですぐにばれるはず)はさすがにどうかと思うので、間を取ってこの点数とします。 |
No.462 | 4点 | ルーサン警部の犯罪 リチャード・レビンソン&ウィリアム・リンク |
(2019/11/14 23:56登録) 如何せん犯人の設定の面白さに頼り過ぎな感があります。いろんな方が指摘されていますが、決め手のぬるさは大きな不備だと思います。刑事ルーサンのパロディ的な楽しさを除けば、見るべきなのは犯行方法の目新しさくらいでしょうか。起伏に乏しく中だるみしている点からも、シナリオの磨き上げが明らかに足りません。 |
No.461 | 4点 | さらば提督 リチャード・レビンソン&ウィリアム・リンク |
(2019/11/14 23:33登録) あくまでも映像版のみの感想ですが、刑事コロンボでもっとも愛着の薄いエピソードはどれか、と訊かれたら迷わずこれを挙げます。それは私がこのドラマでお決まりの型に思い入れがあり、コロンボはかくあるべしという拘りが強いからでしょう。中盤のサプライズはワクワクするどころか逆に失望を感じさせるものでした。このドラマはいい奴であれ悪い奴であれ、頭がいい奴であれ間抜けな奴であれ、犯人には何かしらの掘り下げがあってこそのシリーズだと実感する一作です。 |
No.460 | 7点 | 毒薬の輪舞 泡坂妻夫 |
(2019/11/01 19:41登録) 舞台が精神病棟ですが、出てくる人々の可笑しな狂い方をコミカルに描いているため、ジメジメとした感じはまるでありません。そして本作の見どころは何といっても「正常と異常の逆転」とでもいうべき奇妙な論理を見せる終盤の畳み掛けです。シリーズ前作よりトリッキーさも増しており、泡坂妻夫らしさは健在であることが窺われます。 |
No.459 | 6点 | 死者の輪舞 泡坂妻夫 |
(2019/11/01 19:33登録) 作者にしては大人しめなのは否めませんが、語り口や世界観はやはり変わらず泡坂流です。事件の構図や皮肉なオチも面白く、十分水準を満たしています。初期長編のように作品全体を覆うような仕掛けは期待できませんが、作者の愛読者だけど読み落としている、という人は読むことをお勧めします。 |
No.458 | 7点 | 魔術師の幻想 リチャード・レビンソン&ウィリアム・リンク |
(2019/11/01 19:04登録) ジャック・キャシディが過去2作で演じた傲慢な犯人と一味違う、魔術師サンティーニの尊大でありながら優雅なキャラクターが魅力です。マジックの種とミステリを見事に融合させた点や、ステージの上での対決など見所が多い快作といっていいでしょう。ただし、クライマックスには機会・方法・動機を揃えただけで決め手に欠けるという弱さもあります。 |
No.457 | 6点 | 闘牛士の栄光 リチャード・レビンソン&ウィリアム・リンク |
(2019/11/01 18:54登録) 解決の意外性、という点ではシリーズ屈指の一作で、あまり話題に登らないですがユニークな魅力を持った一作だと思います。落とし方のタイプとしては理詰めの『自縛の紐』『ビデオテープの証言』とは対極にあり、『別れのワイン』で見せた犯人の内面に訴えかけるものと近いものです。ただ、その趣向に頼って途中が地味なのが欠点です。 |
No.456 | 6点 | 仮面の男 リチャード・レビンソン&ウィリアム・リンク |
(2019/11/01 18:45登録) 初見時はあまりピンと来なかったものの、2回目に観たときには不思議な味を感じました。ミステリ的な楽しみではなく、国際スパイvsコロンボという一見ミスマッチな試みと小粋な会話を見るべき作品。あまり出来が良い方ではないアリバイ・トリックとその解決も、世界ニュースをカギにしている点でこの回に見事にハマってるように思えます。 |
No.455 | 6点 | ハッサン・サラーの反逆 リチャード・レビンソン&ウィリアム・リンク |
(2019/10/26 17:24登録) 「いつもと違うコロンボ」をコンセプトに作られた一作とのことで、その解決方法はもっとも意表を突かれたものかもしれません。ネタバレを極力避けた言い方をすれば、これはコロンボの人徳あってこそ成功したものだからです。中盤の証拠を固める過程は手堅いもので犯人や領事館の必然性が薄いようにも思えたのですが、そこはしっかり活用されています。 |
No.454 | 6点 | 忘れられた女 リチャード・レビンソン&ウィリアム・リンク |
(2019/10/26 17:17登録) 他のエピソードには無い「美しさ」のある名作だと思います。犯人だけでなく被害者である夫、直接事件と関係ない第三者に至るまで魅力的なのもユニークな輝きを持っているといえるでしょう。刑事コロンボの本来の面白さを損ねないギリギリを行きながら、シリーズの幅を広げた好例です。ただ、そういった美点は認めつつ、対決感の少なさは自分の好みから外れるのも確かなのでこの点数とします。 |
No.453 | 8点 | 5時30分の目撃者 リチャード・レビンソン&ウィリアム・リンク |
(2019/10/13 20:17登録) 個人的にあくどさを極めた犯人は『自縛の紐』のマイロだと思っていますが、この回のマーク・コリアー医師は、二枚目な悪役としてそれまでなかった犯人像を創り上げています。港での対決で見せた余裕たっぷりの立ち居振る舞いが出色です。その他にも冒頭の暗い診察室、ライター石の推理を披露するパーティー、そしてなんとコロンボの前で行われる第二の殺人など、名シーンを数多く生んでいる演出の冴えは、シリーズでも上位に登る見事さです。 |
No.452 | 6点 | ビデオテープの証言 リチャード・レビンソン&ウィリアム・リンク |
(2019/10/13 20:02登録) ハロルド・ヴァンウィックの冷酷さと無邪気さの同居、他に例を見ない往生際の悪さが印象的です。健気で美しい妻の存在と、彼女の涙とともに迎える救いの無いエンディングもこの回ならでは。ミステリとしては証拠の提示がフェアで、ピエロのぬいぐるみのくだりが魅力的でした。ネット上で他の方が指摘された犯人を苛つかせるコロンボの捜査術(エリザベスには「ヴァンウィックの奥様ですか」と話しかけているのに、その後会ったハロルドには「おたくは、えーと……」と言っている)も彼らしいです。 |
No.451 | 5点 | 愛情の計算 リチャード・レビンソン&ウィリアム・リンク |
(2019/10/13 19:51登録) ファンの間で問題視されている、ロボットを利用したアリバイ作りはさして問題ではないと考えています。それよりもその他の犯行の杜撰さが、犯人像とミスマッチであることがまずいような。車ではねるという荒っぽい殺害方法もケイヒル氏の人物像とは相容れないものです。途中までのディテールがもっとよくできていれば、もう一つの問題点とされている情に訴えた解決がもっとドラマと馴染んだのではないでしょうか。 |
No.450 | 5点 | 毒のある花 リチャード・レビンソン&ウィリアム・リンク |
(2019/10/13 19:44登録) 化粧品業界をテーマに選んだユニークさが面白い所です。手掛かりの中では眉墨の文字が特に気が利いています。ただ、このエピソードには意外性と説得力ともに中途半端になってしまった詰めの証拠という弱点があります。ヴィヴェカ・スコットのキャラに突き抜けた個性が無いのも物足りません。最大の見所は、彼女が人を殺してまで手に入れたクリームを咄嗟に捨ててしまうくだりでしょうか。 |
No.449 | 7点 | 歌声の消えた海 リチャード・レビンソン&ウィリアム・リンク |
(2019/10/13 18:58登録) 船を舞台にした準海外ロケの「お祭り編」では終わらず、ミステリとしての緊密さも兼ね備えた秀作です。アリバイが成立しないこと、心臓発作を偽装する方法、手袋がない疑問など、着実に証拠を集めるコロンボの捜査が仔細に描かれています。カミさんが出そうで出ないというお馴染みの展開も楽しいです。ついでに、あまり人物像を掘り下げられなかったダンジガーですが、彼を演じたロバート・ヴォーンには存在感がありました。 |
No.448 | 7点 | 祝砲の挽歌 リチャード・レビンソン&ウィリアム・リンク |
(2019/10/13 18:50登録) 被害者ヘインズは憎たらしく描写されていますが、陸軍幼年学校を短大にする構想は経営を考えればやむを得ないこととも思えます。しかし、時代に取り残されかけても愚直に信念を貫き通すラムフォード大佐の生き様はやはり魅力があります。ミステリ・ドラマとしても、ヘインズをわざと怒らせその様子をさり気なく秘書に聞こえるように仕向けるシーンを始め、実に丁寧です。凶器の大砲、密造したリンゴ酒、そして校庭でのラストなど舞台にマッチした演出の多さにも、円熟味を感じました。 |
No.447 | 8点 | 逆転の構図 リチャード・レビンソン&ウィリアム・リンク |
(2019/10/12 20:58登録) 『死者の身代金』『悪の温室』に続いてシリーズ3度目となる偽装誘拐殺人。終始視聴者を退屈させることのない流れるような展開で、凝った趣向でなく犯行トリック、推理、対決というシリーズ本来の面白さで1時間半を持たせています。犯人ポール・ガレスコがカメラマンであることを活かしているのも見逃せません。コロンボがガレスコの捨てた不出来な写真を持ち出すところなど、非常に「らしい」推理だと思います。あと、救済所のシスターにヨレヨレのコートを気の毒がられるなどコメディパートも冴えていて、見る側の慣れを意識した中期ならではの楽しさがあります。 |
No.446 | 7点 | 自縛の紐 リチャード・レビンソン&ウィリアム・リンク |
(2019/10/05 19:17登録) 犯人のマイロ・ジャナスは、健康的で爽やかなイメージを売りにしていながら、裏ではインチキ経営で私腹を肥やし、他を見下す卑劣極まりない人物。それを珍しく本気の怒りを見せたコロンボがあくまで理詰めで落とす流れが見事です。靴の跡、火傷、バーベルの重さと手掛かりをぶつけるごとにマイロを苛つかせ、最後には意外且つゆるぎない証拠で問答無用に追い詰めてしまう、ミステリ好きに受けそうな作品です。 |
No.445 | 7点 | 権力の墓穴 リチャード・レビンソン&ウィリアム・リンク |
(2019/10/05 19:10登録) 別個の犯罪の隠蔽を手伝ってやる代わりに自分の殺人の補助を強要するトリッキーな犯罪が新鮮です。コロンボの直属の上司であるハルプリン部長が最後まで高圧的な態度だったために、ラストの痛快すぎる逆トリックは伝説的なものになっていると私見ですが思っています。寝間着の位置などから居直り強盗の犯行であることに疑問を持つ流れもコロンボらしい気付きです。 |
No.444 | 6点 | 白鳥の歌 リチャード・レビンソン&ウィリアム・リンク |
(2019/10/05 19:03登録) 飛行機から簡易パラシュートで脱出する決死の犯行には、実現性に疑問がありますが、大切なギターだけは飛行機に乗せなかったという目の付け方は実に「コロンボ的」で印象に残っています。ラスト直前のコロンボが推理を間違えた?と思わせるような展開もこのエピソード独自の見どころではないでしょうか。 |