権力の墓穴 刑事コロンボ |
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作家 | リチャード・レビンソン&ウィリアム・リンク |
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出版日 | 1975年01月 |
平均点 | 6.33点 |
書評数 | 3人 |
No.3 | 6点 | tider-tiger | |
(2020/08/07 00:23登録) ~正気に返ったとき、ヒュー・コールドウェルは妻の首に手をかけていた。もう取り返しがつかない。ヒューは隣人であり友人でもあるロス市警の副総監マーク・ハルペリンに泣きついた。マークは気前よく殺人の揉み消しに手を貸してくれた。そして、今度はマークの家で殺人事件が発生するのだった。~ ドラマ版の『なんだと!?』が未だに耳に残っています。 痛快ランキングならシリーズ中上位に入るであろう作品です。 犯人がイヤな奴ランキングでも好成績を残せそうです。 このイヤな犯人マーク・ハルペリンはコロンボの上司です。コロンボシリーズ定番の女房殺しですが、ちょっと捻って交換殺人の亜種みたいになっております。最初から犯人がわかる男コロンボでもちょっとこれは難儀しそう。かと思いきや最初からマークをぴったりマーク。目をつける切っ掛けはいつもどおりのちょっとしたことですが、相変わらず冴えています。 シリーズ中でもっとも好きな作品の一つです。 マークがコロンボを愚鈍だとみなしていたのはちょっと無理があります。挙げた☆の数に特異な捜査法とコロンボは仲間内から一目二目置かれていたのは間違いないでしょう。 コロンボを最大の危険要素とみなして捜査から排除しようとする、もしくはコロンボとの知恵比べに興を覚えるといった展開の方が自然でしょう。ただ、本作の痛快さはコロンボを徹底的にバカにしていた上司が最後に足払いを食らうところにあるので、ここはやはりリアリティを捨ててドラマ性重視で正解でしょう。 話自体がなかなか面白く小説で読んでも十分楽しめる作品だと思います。ただ、小説ならではの良さはあまり見えてこない。前に書評した『構想の死角』はドラマだけでなく小説も読んでおきたい作品でしたが、こちらはドラマを観たのであれば小説まで読む必要はないように思います。殺人を犯す際の犯人の心の動きなどなかなか印象的ではありましたが。 ネタバレ、本作既読の方へ 終盤、罪を着せようとした泥棒(ジェサップ)にマークがこんなことを言いました。 「ジェサップ、きみはコールドウェルさんの家から宝石を盗んで奥さんを殺した。その次には私の家内を殺した。それでも満足できないで、こともあろうにコールドウェルさんを恐喝した。きみは第一級殺人罪で……」 これっておかしくありませんか? ジェサップは誰も殺していないからこそ、本当の殺人犯を恐喝できるのであって、もしジェサップが殺人を犯したのであれば、なにをネタにコールドウェルさんを恐喝したのでしょうか。マークなに言ってんだ? むしろ、ジェサップがコールドウェルを恐喝している現場に警察が踏み込んだ時点でほぼGAMEOVERでは? |
No.2 | 7点 | 青い車 | |
(2019/10/05 19:10登録) 別個の犯罪の隠蔽を手伝ってやる代わりに自分の殺人の補助を強要するトリッキーな犯罪が新鮮です。コロンボの直属の上司であるハルプリン部長が最後まで高圧的な態度だったために、ラストの痛快すぎる逆トリックは伝説的なものになっていると私見ですが思っています。寝間着の位置などから居直り強盗の犯行であることに疑問を持つ流れもコロンボらしい気付きです。 |
No.1 | 6点 | 江守森江 | |
(2010/04/28 04:13登録) コロンボの上司が犯人で、立場を利用して捜査妨害してくるが、それを逆手に取り落とす。 取り立てて凄い訳ではないが私的に好きな作品。 |