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ミステリの祭典

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斎藤警部さんの登録情報
平均点:6.69点 書評数:1305件

プロフィール| 書評

No.125 8点 殺戮にいたる病
我孫子武丸
(2015/06/17 23:42登録)
「8」と同じ作者と思えないくらい、これは良かったぜ。 前評判(ネタバレ無し)も何のその、上がりに上がったハードルをシラッとクリア。 事の真相は半分くらい進んだ所でピン!と来ましたが、では最後はどう終わらすのよ、といった興味でスリル満点のまま終結まで一直線。残虐描写はさして印象に残りませんでしたが。。 今思うとあのしつこいエログロこそ目くらましだったのか!


No.124 2点 8の殺人
我孫子武丸
(2015/06/17 23:33登録)
こりゃ詰まらなかった! 何もかもカサッカサでパサッパサで、感じるところ無し。 その昔ミステリ本に限っては「売る」という習慣を持たなかった頃、この本だけは初めて売っちまおうと思ったくらい、どうにも本格的にダメだった。 アレンジし直して、ちょっと上級篇の推理クイズに仕立てればいいのに、なんて思ったなあ。 でも実際こんな形の建造物があって中に入ったら萌えるだろなあ、なんて考えたりもしたものでした。 好きな人、ごめん。


No.123 3点 孤島パズル
有栖川有栖
(2015/06/17 23:03登録)
異色作と呼ばれる「マジックミラー」にいたく感動した余韻で数年後に「月光ゲーム」を手にしてイマイチ没入出来ず、数ヵ月後に本作でリトライ、しかしやはりどうも、私の好みでありませんでしたねえ。 文章がどうにも青臭いのと、ロジックばかり強行突破で来る感じがさっぱりねえ。 でも作者の意欲は伝わります。 この人嫌いじゃないんです。


No.122 3点 月光ゲーム
有栖川有栖
(2015/06/17 22:59登録)
異色作と呼ばれる「マジックミラー」にいたく感動した余韻で数年後にやっと読んでみたものですが。。
ご免なさい、私には合いませんでした。 でも作者の頑張りは伝わります。


No.121 9点 刺青殺人事件
高木彬光
(2015/06/17 12:02登録)
昭和30年代フェティッシュの私も、この昭和20年代濃厚ムードには骨の髄までやられます。
処女作で密室と○○の二大トリックを惜しげも無く見せ付ける意気は流石。○○トリックの方がより物語の根幹に関わる大トリックですが、密室の方もなかなかどうして。物理的密室トリックと心理的密室トリックと二つ並べておいて、一見心理的なほうが上等と単純に思いがちだけど実は物理的なほうがあってこその心理の罠、という見えない補完性が唸らせます。その密室トリックもまた、もうひとつの○○トリックを見破る伏線であり目くらましでもあり。実に重層構造。

それにしてもですね、言わずもがなですが、高木さんの頑強無比な推理小説構築力に較べて、筆の滑りの詰めが甘いこと甘いこと! 水をも漏らさぬ天才の筈の神津探偵が何かというと間の抜けた言行を晒すのは本当に滑稽。だけどそんなアンバランスが不快でなくむしろ心地よく感じられてしまうのはやはり、高木さんの人徳こそ為せる業なのでありましょうか。。 


No.120 7点 ポンスン事件
F・W・クロフツ
(2015/06/17 10:56登録)
「ペトロフ」で鮎川哲也がもう一ひねりしたくなった気持ちもよく分かる、既に一ひねり施された、最後何とも不思議な気持ちになるアリバイトリック巧篇。
(「三つの棺」を敢えて密室物と呼ぶ流儀で「ポンスン」は単純にアリバイ物と呼んでおく)

「樽」に尻込み中の方も、こっちは読んでおくといいですよ。  


No.119 7点 狂った信号
佐野洋
(2015/06/17 10:50登録)
ミッシング・リンクこそ肝の筈が題名でいきなりほぼネタバレ(?)、 かと言って告発一本槍の社会派とは明らかに触感が違う不思議なサスペンスに終始包まれた、際どい所で本格推理と呼びたい良作。


No.118 6点 通り魔
エド・マクベイン
(2015/06/17 05:10登録)
カート・キャノンは少し読んだけど、エドさんの87分署は初体験。
以前同じ勤め先にいた、敬服しちまう程エンタメ通の奴が「ハチヒチは面白い!」と言ってたんで(いえ本当はそんな言い方してませんが)ちょいと気になって50円の古本で買ったのがかれこれ15年近くも前。ずいぶん長らくお待たせしちまって恐縮もいい所だ。50円で売ってたその店はもう無い。

んで、だいたい予想通りに良かったです。もう何冊も読んでみたい、出来ればシリーズ全巻読破してやりてえ(再読はしまいが?)、って気にちょっとさせられたねえ。  
で良い所もいっぱいだが粗もなかなか目立つ。文体も島田一男っぽくサバケてみたかと思うと次の瞬間そこにフィリップ・マーロウが来たのかと思うほど気取ってみたり。だけど大都会、特にその荒っぽい地域の情景がありありと浮かんで来る文章は流石ですね。
数年前に空さんも指摘されてた通り、事件性のあるサブストーリーが本筋と絡まずさようなら、という構図は気になります。まさかそのサブ事件が数年先の作品にメインとしてひょいと再登場したりしてないだろうな?(そういや昔のTubeに「10年先のラブストーリー」ってカラオケ映えするナンバーがあった)

まシリーズでいっぱい続くわけだから、こんくらいの緩さがジャストフィットなのかも知れません。とにかく、また読みたくなりました。 今度はキャレラって奴が主役のをちょいと見てみたい。本作で奴が最後に新婚旅行から帰ってきたシーンは何故だか涙が出るほど感動しちまった。。 そんな所だ。


No.117 9点 黒白の囮
高木彬光
(2015/06/16 13:37登録)
うん、ガツンと来ましたね、これは。
第一の殺人、第二の殺人、巧みに噛み合わせられた手掛かりと伏線の妙。偽装トリックを破り、アリバイトリックを破り、満を持して瞠目の解決篇へ。。その道程の全てが、熱の籠もった質感たっぷりの文章で描かれる。高木氏の良い所ばかり凝縮された感があります。
言っちゃ何だが、鮎哲ファンにはお薦めしたい。


No.116 6点 眠りの森
東野圭吾
(2015/06/16 05:03登録)
これはちょっと、東野基準では平板だよなあ。 それでも充分、仕掛けてて面白いんだけどね。


No.115 7点 トキオ
東野圭吾
(2015/06/16 05:02登録)
爽やかに泣けるSFミステリ。 親子と夫婦の人情話。 きれいなファンタジー。
いっけん一筋縄で行ってしまいそうな風でも、確実に何かどこかに仕掛けて来るんだな、東野圭吾は。


No.114 7点 青列車の秘密
アガサ・クリスティー
(2015/06/16 04:50登録)
かなり若い時節、「オリエント」に続けて手にした記憶が。 大仕掛けでちょっと大味なかの作と違い、じっくり味わって読めました。
あらためてストーリーを思えば随分と陰惨な物語ですが、どういうわけか妙にcozyな味わいのある作品だと思います。
これは私にとって相性の良いクリスティ。 列車内という揺れ動く密室感がまた良いのかも知れません。


No.113 6点 雲をつかむ死
アガサ・クリスティー
(2015/06/16 04:42登録)
謎解き物語として深くはないし、サスペンスも緩いですけど、全体的に憎めない作品です。
クリスティと自分との相性を考えると、ミステリーの骨組とはまた別の所にあるちょっとした何かで好き嫌いが大きく分かれてしまうなあ、といつも思うのですが、これはまあ相性がいい。 航空機内という浮遊する密室感がまた良いのかも知れません。
邦題は「大空の死」が好きだ。


No.112 6点 都会の狼
高木彬光
(2015/06/15 15:05登録)
出所したヤクザが、恩義ある死刑囚(ヤクザの出所直前に執行!)の無実を証明しようと都会の暗所を奔走するサスペンス。彼が事件の真相に近づく度、重要関係者と目星を付けた人物が次々殺されて行く。。
などと書けばまるでありきたりなストーリーの様ですがなかなかどうして、粗筋だけでは知り得ない長篇小説の力が全篇に漲(みなぎ)って読者の意識を離しません。 高木先生独特の微妙な間抜け味も重厚なストーリーといい具合にブレンド。 埋もれたままにしておくに惜しい、ちょっとした読み物です。 昭和30年代の残り香が強い40年代初頭の雰囲気もよく漂っていて悪くない。
それにしても、郷愁を誘う「伊勢佐木(ザキ)町のジャック」なる人物の呼び名。これひょっとして発表当時既にちょっとズレてる感じだったんじゃ。。


No.111 8点 蒸発
夏樹静子
(2015/06/15 12:52登録)
質実な人間ドラマに貫かれた複雑系アリバイトリックの傑作。航空機という大きな密室からの人間消失事件で幕を開け、その後も次々と現れる多くの謎と疑惑が最後に美しく収束します。ぐっとフェミニンになった鮎川哲也といった趣があり、鮎さんファンにもお薦め(特に「死のある風景」が好きな人)。 これは再読したい。


No.110 9点 三つの棺
ジョン・ディクスン・カー
(2015/06/12 11:10登録)
誠に大事(おおごと)ですなあ、この物語に登場するトリックの全貌は!! 
密室トリックとアリバイトリックが不可分に補完し合っておりますし、
犯人の意志と偶然の成り行きも絶妙に組み合っておる、
おまけに被害者と犯人が。。 更に○○○。。 そこにちょっぴりおばかさんな大物理トリックまで彩りを添え(ここまでやっといてトリックの中心じゃないってのも凄い)、全ての背景には相当に暗くて深い過去のおぞましい因縁が。。。。

こりゃ作中の「密室講義」なる戯れ(意外とあっさりで驚き)であらかじめハードルを思いっきり上げておくのもなるほど納得、むしろそれくらいして読者に心と頭の準備をさせておかないと本作のトリックが想像外にこってりがっしりし過ぎでおいそれと一発理解出来なくなってしまう、という事なのではないか?

真相解明に至るまでの物々しくも皮相な物語はさして夢中にさせるものでは無かったが、このただ事でない「何時(いつ)、誰が、何処で、何を、何故、如何様に為していたのか!」をあらためて反芻してみるに、小説の愉悦にやや乏しいにしては破格のこの様な点数を付ける外は無しとする心境に至った。


No.109 5点 大いなる眠り
レイモンド・チャンドラー
(2015/06/11 17:40登録)
私は姉の方が好きです。
それと、あまりに比喩表現の得意な兄さんが出て来てびっくりしました。彼は体もタフです。 
話の筋がちょっと絡まってるけど、ザワザワした感じで悪くないです。


No.108 6点 誤飲
仙川環
(2015/06/11 16:28登録)
元医学ジャーナリストによる、錠剤と男女関係(と格差?)をモチーフにした連作短篇集の様な、そう見せかけた長篇の様な、日常の謎のような、日常のサスペンスの様な、どこかでふと殺人ないし過失致死が起こりそうな。。
東野圭吾の「新参者」を思わせる構成。だけどあれより暗い。。のにあれより軽い。。でも悪くない。

ところで、この本の最後の最後のシーンでやっと「ある事」が起こ(ろうとす)るのですが、あれはひょっとして、まさかある意味ハッピーエンドって事ですか?


No.107 6点 法月綸太郎の冒険
法月綸太郎
(2015/06/10 13:16登録)
(遠回しに書いてますが、一部否応無しにネタバレです)

死刑囚のお話 .. 犯人は瞬殺で分かったんですよ! だけどね、動機がね、もっと単純に「殺させたくない」だけなのかと思ったら、まさかそんな .. このお話の場合は「そっちの方」を防ぐための殺人ですが、同じアレでも「あっちの方」を防ぐため仕方なく殺した、、っていうあまりに悲しい「意外な動機」のお話も確かありますよね。。 あと、犯人が化けてるとは思いませんでした~ 何かトリックを使って遠隔的な何事かをやってのけたのかと思ってた。。 まさかあの犯人が、事を遂行するためにそんな暴力行為に出ていたとは。(そこだけちょっと笑っちゃう)

喪に服すお話 .. 世に知られた「意外な動機」とちょっと禁じ手な「意外な犯人」、割と手垢の付いた二つのギミックを上手に組み合わせたらあら不思議、こりゃ最後まで騙されました! ちょっと衝撃が残る、残酷な真相でしたね。。

人肉のお話 .. 最後のオチはともかく、インかと思ったらアウト! という気色の悪い逆転発想がグッと来ましたよ。 作者の意図は、題名で告白(あるいは照れ隠し?)している通り「小論」を世に問う事にあったのかしら。

残りの図書館のお話たちは、ぐっとテンション緩くなります。バカ密室あり、あまりにヒネリのないのあり、鮎川さんの企画に乗った楽屋落ちっぽいのあり、心の病が絡んだややシリアスなのあり(でもやっぱり緩い)。「高岡早紀巨乳説」なんて言葉を出してくる悪ふざけには笑った。

さて .. ホームズばりに『冒険』と銘打った割には、ちょっとアンバランスな構成でないかい?


No.106 6点 11文字の殺人
東野圭吾
(2015/06/10 09:05登録)
平日夜、電車内と自宅で一気に読みきったものです。
東野圭吾の手に掛かれば、こんな読み捨て向きの内容でも立派なA級作品になるんだなあと、今さらながら思う。
もっと徹底して安っぽいのが読みたい人には、お薦め出来ない気高さが、やはりどこかしら漂ってます(だから良いというのでもないが)。
ただ、タイトルは思わせぶりな割に、羊頭狗肉かと。

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