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ミステリの祭典

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蒼ざめた礼服

作家 松本清張
出版日1966年07月
平均点5.33点
書評数3人

No.3 5点 斎藤警部
(2015/09/01 12:13登録)
そのむかし祖父の本を借りて読みましたが、高校生の身にはちょっと地味過ぎたかな。。 いや、他の地味な作品をいくつも愉しんで読んでいたし、やはりこの作品が微妙に合わなかったのでしょう。清張では初めて「いまひとつ」と思った作品かな。延々と重苦しいムードで続く物語は今ならもう少しイケるかも知れない、という予感を込めて一点追加。そういや「海苔」のくだりがやけに印象深い。

No.2 5点 了然和尚
(2015/07/15 00:34登録)
世間が防衛問題で騒がしい中、防衛庁がらみということで読んでみましたが、いつもの松本清張スタイルで楽しめました。プラス点は、比較的結末の収まりが良かったこと、マイナス点は旅情が無かったことです。清張ミステリーの楽しみ方として、昭和の歴史物として読む楽しみがありますが、今回は東京湾での海苔の養殖が語られています。ま、私は関東圏の人間ではないので、ピンとこなかったのは残念でした。

No.1 6点
(2011/08/07 19:46登録)
その評論家はなぜそれほどまでにその廃刊になってしまった古い雑誌を欲しがっているのか? その雑誌を評論家に提供しようとした人が、時計と一緒に雑誌も盗まれてしまったことを主役の片山が知ったことから、事件は転がり始めます。
些細な疑問から始まって、殺人と思われる水死、さらに新型潜水艦建造にあたってのアメリカからの技術提供会社決定をめぐる政治的駆け引きへと、問題は大きく膨らんでいきます。社会派というよりスパイ小説系と言ってもいいようなスケールを持ったかなり長大な作品ですが、それを平凡な一個人の視点から追及していくのです。
そういった大風呂敷の広げ方とその全体的なまとめ方は、今回再読してみると、展開の意外性はあまり感じられない書き方なのですが、やはりなかなかおもしろく読ませてくれると思いました。ただし、死体処理のトリックだけは取ってつけたような感じで、そんなトリックをわざわざ使う意味がないのは、減点対象です。

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