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ミステリの祭典

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斎藤警部さんの登録情報
平均点:6.69点 書評数:1305件

プロフィール| 書評

No.145 8点 自宅にて急逝
クリスチアナ・ブランド
(2015/06/24 06:05登録)
詳細はなんだかさっぱり忘れてんだけど、ごちゃごちゃした話で相当面白かったのは確かなんだよ。いつか再読したいよ。


No.144 3点 愛国殺人
アガサ・クリスティー
(2015/06/24 06:02登録)
数年前のこと、評判がいいので勇んで読んでみましたが、う~~ん、いったい何処が合わないんだろう、不思議だ! トリックもミスディレクシションも何だかなあ、悔しい事にさっぱり面白くなかった! 時を置いて再読したい。


No.143 5点 さらば愛しき女よ
レイモンド・チャンドラー
(2015/06/24 00:02登録)
最初、英語の勉強にと本作がラジオドラマ化された音源(カセット!)で聴いて、途中から何だかよく分からなくなったけど何だかざわざわしてて雰囲気いいぞ、と何だか好きでよく聴いてたんだけど、結局どういうお話なんだかよく分かりませんでした。

で、ある時ハヤカワ文庫の翻訳を読んでみて、なるほどそういう事だったのか、と。 まぁミステリ興味がそんなに濃い作品ではないと思うけど、だからと言って小説としてそんなに面白いわけでもないんだけど、フィリー・マーの台詞回しというか比喩表現がいちいち面白かったり格好良かったりで、そこだけはかなり好きなんだ。


No.142 10点 黒いトランク
鮎川哲也
(2015/06/23 23:40登録)
この作品を読み始めた時、まだ鮎川さんは自分にとって特別中の特別な作家さんではありませんでした。 読了後、その様な存在になっている事を知りました。私にとって四冊目の鮎本だった。

抑制の効いた渋い雰囲気と、穿った登場人物名の取り合わせにまず目を白黒。そのうち少しずつ、鮎川さんだけの、堅苦しさを装った不思議なユーモアと厳しい本格推理求道ぶりの絶妙なブレンドに魅了されて行くのでした。

正直、トリックの詳細は忘れておりますし、読んでいる最中ですら「何だか複雑でよく分からないけど、何だか凄い事になってるぞ!」ってなもんで雰囲気を玩味するだけでもうお腹いっぱいでございましたが、その、何と言いますか仮に雰囲気だけでも言い訳なしで凄いと思わせる、間近で精査して緻密なだけでなく俯瞰しても知的興味を引く面白い複雑系大トリックを駆使した兎にも角にも面白本なんですよ、という事をですね、声を大にして言いたくなっちゃうわけでしてね。

あとね、鬼貫警部の初恋の人ってのが重要人物として登場するにも関わらず、そっちの方はさっぱり物語が展開しない、という無駄にハードボイルドな感じがね、泣けますよ(冗談です)。


No.141 9点 ゼロの焦点
松本清張
(2015/06/23 07:08登録)
事件発覚と同時に立ちはだかる謎感、疑惑感が半端でないですね。 設定が不可能犯罪とかでは全く無いのだけど、ありふれた失踪事件なんだけど、清張氏の筆力が冒頭部から『そのうち何事か起こるぞ、ただならぬ事件が起こるぞ。。』と読者を脅し続けるんですね、そこへ来て果たして事件が起こる、途端に心にグサッと来る、目の前が真っ暗になる、とこういう具合。 巨大な謎と疑惑の物凄い圧力に押されながら、ドミノ倒しの様に嫌な予感が畳み掛けて来る感覚は本当に最高。 そんな彼ならではのシビれる良さはこの長篇で余す処なく発揮されていると思います。
物理的アリバイトリックは旧い時代への郷愁を充分に誘い、心の襞に手を伸ばす心理的遺書トリックはそのシンプルな深みと、皮肉ではあるがある種の光を秘めた美しさ故、今でも縷々とバリエーションを喚起し続けているのではないでしょうか。
これほど強烈な中途のサスペンスを抱えながら、それを一手に迎え撃つ「結末圧」の強さも、本作の特筆すべき美点と思います。


No.140 8点 明治断頭台
山田風太郎
(2015/06/23 06:45登録)
その昔、P.FUNKと同じ匂いを感じる小説家、山田風太郎の『明治断頭台』を読みました。

大傑作と言われるのも納得の、明治になりたての東京と横浜を主舞台とした連作ミステリーですが、最初の二作は導入部の様な(ミステリーではない)一般小説になっています。 と思わせておいて実は .. いえ何でもないです。 まるっきりの明治でも江戸でもない、揺れる乙女心の様に微妙な、そして極めて治安の悪い時代を背景に、登場人物も含め要所要所史実に基づきながらも微妙に奇想天外さを散りばめ、時にしまそうを思わせる豪腕トリックで目を引きながら、剛直にして絢爛な文体で、ぐいぐいと進みます。

最終話「正義の政府はあり得るか」は確かに驚き。 本当にP.FUNKの様な、鮮烈かつ考えさせられる大団円を迎えるんだなあ。


No.139 6点 誘拐
高木彬光
(2015/06/23 00:23登録)
本人が何度も傍聴に出掛けたと言う裁判の取材記事ばっかじゃないか、とも思うがやはりサスペンスのキープ力は流石。
だがちょっと真相、というか真犯人の設定に不満有り。 当てこそしなかったものの、意外性のカタルシスは薄かったな。。(真犯人のあぶり出し手段はかなり意外でしたが!)


No.138 6点 粘土の犬
仁木悦子
(2015/06/22 19:33登録)
いい短編集だった。子どもや家族がよく出て来る。やはり明るい中にも一抹の寂しさが漂い、そこがとても好きだ。


No.137 7点 猫は知っていた
仁木悦子
(2015/06/22 16:20登録)
非常に若い頃、佐野洋にはまった勢いでどういうわけか手が当たって読んでみた作品。
構造のしっかりした、そしてやさしい手触りの本格推理です。

「点と線」と並び、昭和30年代推理小説ブームの火付け役と目される人気作(「黒いトランク」は違うのか..)。
物語の詳細はすっかり忘れてしまっただけに、いつかきっと再読したい。 たしか、明るくて、そこはかと無い寂しさのある小説だった。


No.136 8点 Xの悲劇
エラリイ・クイーン
(2015/06/22 16:11登録)
雰囲気いいっすね。街中のざわざわした活気にいい具合に目くらましされ、例の犯人が見えづらくなりました。


No.135 8点 腐蝕の構造
森村誠一
(2015/06/22 16:08登録)
社会派と言うより、社会悪を最高のスパイスに(恋愛を下地のサワークリームに)使った本格推理。
離れ離れになった一組の夫婦(夫は原子力研究者)を中心に、山を背景にした人間ドラマあり、ホテルでの密室殺人あり、巨悪への研ぎ澄まされた憤り(といつもの左翼演説)あり、様々なレベルで森村氏、キャリア最初期の集大成トライアルと言った趣がある。 物語の途中で主人公が切り替わり、誰が「腐食」しているのか、の見え方も変わる。 ずっしり重いエンタテインメント巨篇。
義父から借りて読みました。


No.134 7点 ビッグ・ボウの殺人
イズレイル・ザングウィル
(2015/06/22 15:54登録)
このユーモア原理主義は大いに有りでしょう。地の文からしてフィリップ・マーロウの台詞に匹敵する含蓄をいちいち感じます。
例の歴史的密室トリック及びそれと密接に関わる意外な犯人像も、短くも怖ろしく密度の高い物語を経た後に見せ付けられるとあらためましての衝撃。今となっては貴重な歴史証言と言える社会派要素も丁寧に織り込まれ、当時かなりの先取りだったであろうミステリ要素の濃厚な文芸作品として玩味に堪えます。
余談ながら「人種のるつぼ」なる表現は彼の戯曲が発祥と言われているそうですな。
*ところでこの密室トリック、実生活でもけっこう応用効きますね


No.133 8点 手紙
東野圭吾
(2015/06/19 11:28登録)
○○はいい奴だなァ、チクショウ!!(涙) 

(以降ネタバレ的)
会話や地の文から「この人は裏切らないんじゃないか」と予想した登場人物が、主人公の兄の事が露見(わか)る度にあっけなく離れて行く。「まさかこいつは」と思った奴もいつか壁を作ってよそよそしくなる。「まさか」感の分だけ主人公と同じショックを味わい、辛い気持ちがよく伝わる。
そこで『最後まで主人公を裏切らないのは誰か』という、一種の「犯人捜し」的趣向の読み方(パット・マガーじゃないけど「友達を捜せ!」みたいな)をしてみたら、これが見事に的中。○○だけは本当に裏表の無い奴なんだな! 信じて良かったよ!! 
もちろん、○○だけでなく▽▽も最後まで主人公を支えるんだけど、▽▽の場合はまたちょっと違う関係だからね。もちろん「あの人」だって最後まで見捨てない。見捨てるわけが無い。「あの人」ってのは主人公の兄の事。 (そうだ、あの社長だって自分の有り様で味方じゃないか!)

さて主人公が読みもせず破り捨てた幾通かの手紙、この読まれなかった手紙が伏線となって、何か最後に大化けするのでは、と予想もしましたが。。

ほとんど終わりの方、いきなりハッピーエンド風な場面に変わり、このまま最後のドンデン返し(?)まではずっとハッピーなままで行くのかと思ったらまたしてもまさかの裏切りの急展開、という本当に予断を許さない物語のあり方こそ、一定の根拠ある差別、或いは単に差別というものの厳しさを暗示しているようにも感じました。

意外な所から登場する最後の「手紙」では泣けなかった。(その意外性にはミステリ的に感動)
私が泣けたのは、終結近く○○が再登場するシーン。この物語には兄弟愛も親子愛も夫婦愛もあるが、主人公と○○の友情こそ最高の救いだと思う。

一番最後のシーン、主人公は実に困った状態に立たされてしまう。だがすぐそばには○○がいる。機転の利く○○は絶対に笑顔で切り抜けてくれる。 そんな眩しい希望を放って、物語は終わりました。


No.132 6点 殺意の絆
島田一男
(2015/06/19 11:04登録)
やっぱり夏は島田一男だナ! シマイチは短篇が一番と思ってたけどさ、長い中篇みたいな長篇のこれも悪くないぜ。 東野圭吾「新参者」と同じ人形町を舞台とした、老舗の人形屋一族を急襲する人形に因んだ”見立て”連続殺人だ。弁護士と刑事、そこに弁護士助手も絡んで粋なやり取りは変わらずの味。ビートルズ解散から間もない頃の(軟派な不良の)若者風俗が痛ましくも郷愁を誘う。真犯人は最初の方で睨んだ奴だったけど、途中で結構迷った。熟達のミスディレクションは本当に狡猾(ズル)いね。 一見チャラいが、脂の乗った手堅い本格推理だよ。


No.131 9点 すべてがFになる
森博嗣
(2015/06/19 06:54登録)
この怖るべき作品は。。。。。。。。。。。。。。。。「三つの棺」を超えてしまったのではなかろうか。それも外から跳び越えるのでなく、内側から突き破ってしまったような。

この小説の核心にある前代未聞の密室トリックを理解した時「えっ? 逆じゃないの!?」と思ってしまった。事をよく考えると「逆」という事は有り得ないというかリアリティが無さ過ぎるというか、それではメタ・アンリアリスティックになってしまうのだな。。。。

問題作ですよね。  

英題'THE PERFECT INSIDER'が本当に秀逸。


No.130 7点 二人の妻をもつ男
パトリック・クェンティン
(2015/06/18 20:12登録)
真犯人というか真相、冒頭部で分かってしまいました。。そこから先は(作者に黙って自分だけ)倒叙サスペンスのつもりで一気に終結まで駆け抜けました。 いやー、熱いね! 名作とされるも納得。


No.129 5点 医者よ自分を癒せ
イーデン・フィルポッツ
(2015/06/18 19:52登録)
英国田園地帯に住む医師の独白で構成される謎の文書、の様な小説。 この医師、最初は比較的まともな人物の様ですが、徐々にどうもおかしい所が見え隠れ。これは、何かあるぞ。。
古式ゆかしい面を差し引いてもなお読みづらい文章ではあります。が、物語の風格に圧されてまず退屈無しに最後まで読み切りました。これはやはり、ミステリの薫り漂う文芸作品。
現代の作家だったら、まして東野圭吾だったら、この物語の最後にまさかの劇的極まりないオチを付けて全てをブチ壊し、「おォ、本格推理小説だったんだ!!」と読者を唖然とさせる方に行くのではないかな。(このお話の最後だってドンデン返しっちゃそうなんですが)


No.128 7点 赤毛のレドメイン家
イーデン・フィルポッツ
(2015/06/18 19:17登録)
割とスレちゃった後に読んだせいもありましょうが、冒頭部で真犯人というか真相にピンと来てしまいました。。 しかし流石に文豪フィルポッツ、物語の魅力でぐいぐい引き込んで離しません! 構築美も相当なもの。 乱歩先生が絶賛したのも納得ですね。 先生の仰る『万華鏡』効果は、真相にすぐ気付いてしまったせいなのか、自分には起こりませんでしたが、他の作品ではその様な大地と空ごと幻惑されるような感覚は何度か味わっております。幸せな事です。


No.127 7点 蒼ざめた告発
夏樹静子
(2015/06/18 17:14登録)
例によって不安定だったり不幸だったりする男女に纏わる犯罪事件簿。が、何度そういうので来られても飽きないんだなこれが。手を替え品を替え、視点も落としどころもずらして来る夏樹さん。ちょっと怖い作品が多いのも魅力。 「冷やかな情死」のラストは酷いなあ。。 表題作のアイディアは長篇でも映えそうだ(叙述トリックを絡めても行けそう)。 適度に小味の品もはさんで、そこはかとなくフェミニンな本格短篇の饗宴。


No.126 7点 殺人方程式
綾辻行人
(2015/06/17 23:51登録)
最後まで愉しく読んだ事と、頭部切断の切実な事情だけ憶えています。 あと、ちょっと島荘さんぽいトリックを使ってたような。。

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