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ミステリの祭典

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いいちこさんの登録情報
平均点:5.67点 書評数:541件

プロフィール| 書評

No.281 7点 邪魔
奥田英朗
(2016/09/08 14:33登録)
1つの事件を巡って、3人の登場人物がすれ違いつつ、最後に1点に収束するプロットは「最悪」と同様。
本作では主婦の人物造形が群を抜いてよい反面、少年が弱く、「最悪」ほどの効果を挙げているとは言い難い。
ただ、エンタテインメントとしてはやはり一定の水準に達しており、一読の価値のある佳作


No.280 6点 警官嫌い
エド・マクベイン
(2016/09/05 18:32登録)
リーダビリティの高い叙述と、サスペンスフルな展開に良さを見せる警察小説。
脱力モノの捜査プロセス、真犯人を示唆する露骨な人物造形、真相解明の論理性の欠如等、本格ミステリとしては高く評価できない作品だが、本格ミステリとして読む作品ではない


No.279 6点 嗤う伊右衛門
京極夏彦
(2016/08/29 19:11登録)
作品の性格上、本サイトではこれ以上の評価は難しいが、名作「四谷怪談」を現代風にリメイクした手際に、作者のセンスが光る佳作


No.278 7点
F・W・クロフツ
(2016/08/29 19:10登録)
トリックがやや拍子抜けで、犯行プロセスの各処でフィージビリティに疑問を残すものの、至ってシンプルな仕掛けで、冒頭の魅力的な謎と、樽の複雑な動きを演出した手際は見事。
紙幅の大半が地道な捜査過程に費やされるが、無駄のない叙述が生むスピード感が退屈さを感じさせない。
早々に犯人候補が2人に絞られ、読者視点では事実上1人に特定されている点は大きな難点だが、世評に違わぬ佳作と評価


No.277 3点 眩暈
島田荘司
(2016/08/29 19:09登録)
冒頭に提示される謎の不可解性・不可能性は相変わらず抜群で、傑作を予感させるのだが、肝心の真相解明でその予感が見事に裏切られた。
明かされた真相は決してアンフェアではないのだが、登場人物の不可解極まる行動や、必然性のない異様な偶然の集積でしかなく、言葉を選ばずに言えば「作者による強引な辻褄あわせ」とさえ感じる。
肝心のメイントリックは、作品中盤以前に明らかにされ、しかもそのヒントが露骨すぎるために、解明されるまでもなく察せてしまう。
その後、膨大な紙幅を費やして解明されるのは、作品の本質から言えば枝葉・ディテールであり、読者が作品冒頭のテンションを維持することは難しい。
作者の高い力量を認めるが故に酷評しているが、「暗闇坂」以降、文字どおり坂を下っていく作者の低迷期を象徴している作品


No.276 5点 ボーン・コレクター
ジェフリー・ディーヴァー
(2016/08/20 18:46登録)
犯行プロセスを丁寧に追っていくスタイルには好感が持てたのだが、それが十全に活かされた真相とは思えなかった。
サプライズを優先してやや無理をしたことで、チグハグした印象を与える惜しい作品


No.275 5点 顔 FACE
横山秀夫
(2016/08/20 18:44登録)
凡庸な作品ではないものの、1個の読物としても、ミステリとしても、作者の他の作品と比較して見劣る印象


No.274 8点 幻の女
ウィリアム・アイリッシュ
(2016/08/20 18:42登録)
主人公が「幻の女」の特徴を全く記憶しておらず、犯行プロセスがリスキーかつチープであるなど、プロット・真相がややリアリティに欠ける点は難点。
ただ、叙述スタイルとプロットの高い親和性等を活かして、作品世界を反転させ、鮮烈な衝撃を演出した手際は見事。
翻訳物としては異例とも言える高いリーダビリティも評価


No.273 6点 マリオネットの罠
赤川次郎
(2016/08/01 18:23登録)
考え抜かれたタイトル、完成度の高いプロット等、作者に対する世評をよい意味で裏切る佳作。
サスペンスではなく、本格ミステリとして執筆されていたら、さらに加点の余地もあった


No.272 6点 新世界より
貴志祐介
(2016/08/01 18:22登録)
近未来の日本を舞台に、古代日本の世界観を壮大なスケールで表現。
リーダビリティや1個の読物としての完成度も高い。
一方、思わせぶりな後日視点からの叙述や、我々の倫理観では考えられないオープンな性行為等から、大胆などんでん返しを期待していたが、それはなし。
執筆に至った作者の課題認識や、「新世界」が指し示すものは見えて来ず、エンタテインメントの域を超える印象はない


No.271 8点 アクロイド殺し
アガサ・クリスティー
(2016/07/26 14:40登録)
事前にトリック・真犯人を了知したうえでの読書にも耐え得るクオリティは流石の一言


No.270 7点 ジェノサイド
高野和明
(2016/07/26 14:39登録)
多くのみなさんが指摘されているとおり、ハリウッド映画を彷彿とさせる、緻密でスケール感のあるプロット、高いリーダビリティは評価。
一方、本サイトの位置付けから詳細な言及は避けるが、作者の歴史観に裏打ちされた極端な人物造形やエピソードの挿入には、強く違和感が残り非常に残念な印象


No.269 3点 まほろ市の殺人 冬
有栖川有栖
(2016/07/11 20:32登録)
当代を代表する一流の作家を揃えながら、あまりにも冴えない作品ばかりの本シリーズ。
本作に関しては、みなさんがすでに指摘されているとおり、サスペンスタッチは買うものの、明かされた真相と解決があまりにもひどく、この評価


No.268 5点 まほろ市の殺人 秋
麻耶雄嵩
(2016/07/11 20:31登録)
当代を代表する一流の作家を揃えながら、あまりにも冴えない作品ばかりの本シリーズ。
本作に関しては、著者特有のキレ味は感じさせるものの、未回収の事件や犯行の論理性等に瑕疵を感じ、水準には達していない印象


No.267 5点 まほろ市の殺人 夏
我孫子武丸
(2016/07/11 20:31登録)
当代を代表する一流の作家を揃えながら、あまりにも冴えない作品ばかりの本シリーズ。
本作に関しては、相応の完成度に達しているものの、前半時点で真相をある程度予見できるため、サプライズの演出としては減点


No.266 4点 まほろ市の殺人 春
倉知淳
(2016/07/11 20:30登録)
当代を代表する一流の作家を揃えながら、あまりにも冴えない作品ばかりの本シリーズ。
本作に関しては、軽妙なストーリーテリングとの親和性があるとは言うものの、やはりトリックが無理筋と言わざるを得ない


No.265 4点 名探偵はもういない
霧舎巧
(2016/07/04 16:16登録)
稚気あふれる企みは好意的に受け止めるものの、技術不足が強く目立つ印象。
まず文章自体がうまくないのは紛れもない事実。
そのうえでプロット自体が、驚くべき偶然性と合理的に行動しない登場人物に支えられている点が大きすぎる欠点。
ブックカバーの煽り、空白の登場人物表、読者への挑戦状など、過剰に期待感を盛りあげた分、高いハードルを超えられなかった


No.264 7点 シャーロック・ホームズの冒険
アーサー・コナン・ドイル
(2016/07/04 16:15登録)
本作が佳作揃いであり、探偵小説の歴史に巨大な影響を与えたことは、敢えてここで指摘するまでもない。
一方、探偵の推理があまりにも独善的で、読者が推理に参加する余地がほとんどないなど、1個のミステリとして食い足りなさを感じるのも確か。
本作は、従来型のミステリとは異なり、19世紀英国の社会風俗の見事な描写、超人シャーロック・ホームズはじめ登場人物の個性と気の利いたジョークや皮肉を楽しむべき作品であろう


No.263 5点 綺想宮殺人事件
芦辺拓
(2016/06/23 17:43登録)
容疑者の人物造形が甘く、明かされた真相に安易さを感じるものの、ミステリのありように一石を投じようとする狙い・意欲は買える。
ただ、その主張を作品に織り込めず作品外で主張するなど、作品として未成熟な印象は否めず、その狙いが成功しているかは疑問。
またリーダビリティが高く、平易であるために、却って「奇書」には当たらない印象


No.262 6点 ブラウン神父の童心
G・K・チェスタトン
(2016/06/21 11:31登録)
佳作揃いであることに疑いの余地はないのだが、新本格を渉猟してきた立場からすれば、やはりいささかの「古さ」を感じざるを得ない。
また、原文にあたっていないため、本作に帰責するか否かは不明だが、翻訳の読み辛さは相当なもの。
本作の歴史的価値を考慮せずにこの評価

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