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ミステリの祭典

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蟷螂の斧さんの登録情報
平均点:6.10点 書評数:1696件

プロフィール| 書評

No.356 5点 口唇紋
太田蘭三
(2013/01/19 21:04登録)
銀行で強盗事件が発生。犯人がガラスドアにぶつかり、その時残した「口唇紋」を手がかりに捜査が続きます。一方、誘拐事件が発生。そして二つの事件が繋がりを見せてゆく・・・。テンポのよい会話とともに物語は進行します。誘拐事件は、ありがちな結末でした。以上「太田蘭三ワールド(自然描写と心地よさ)」でした。ご冥福を(2012.10没)。


No.355 5点 南アルプス殺人峡谷
太田蘭三
(2013/01/19 21:01登録)
死体の所持品の中にあった「毛ばり」(釣用)は年代物で、特注品。これを追うことが、事件解決の道へと繋がります。釣に関する小道具の使い方がうまいですね。


No.354 5点 餓鬼岳の殺意
太田蘭三
(2013/01/19 21:00登録)
裏表紙より「恋人のアキが婚約、釣部渓三郎との別れを告げる。二人の北アルプスへのお別れ山行を襲う猛吹雪。ピッケルを胸に突き刺された男の死体に遭遇。多摩川、南八ヶ岳で起こる新たな殺人。一本の線を鋭く見抜く」。キワドイお色気シーンの描写もありますが、全体にほんわかムードが漂います。謎は、後頭部に傷のある死体の周辺には、凶器、足跡がないというもの。主人公が釣が趣味なので、方法はすぐ想像がつき、わかり易いものでしたね。


No.353 5点 奥多摩殺人渓谷
太田蘭三
(2013/01/19 20:56登録)
2012年10月、83歳で逝去されたことを知り、書棚より取り出し、弔意の意味で書評。釣部渓三郎(釣が趣味の中年レジャーライター)とその恋人(ふたまわりも年下)のコンビ・シリーズです。主人公は、中年男性の憧れのような人物。ミステリーというより、テレビ番組を見るような気軽な読み物ですね。山岳描写や、二人の関係は楽しめました。謎は、死体のそばの籠ビクに、近隣では釣れないはずのアマゴが入っていたというものでした。


No.352 6点 あなたに不利な証拠として
ローリー・リン・ドラモンド
(2013/01/18 21:16登録)
警察小説として位置付けられているようですが、謎解きのミステリーでも、サスペンスものでもありませんでした。5人の女性警察官の心の葛藤を描いた連作短編集(10編)です。うち「傷跡」は、アメリカ探偵作家クラブ賞最優秀短篇賞を受賞。2007年版「このミス」第1位ですが、ミステリーを期待して読むと肩透かしとなるでしょう。純文学として読んだ方があっているかも。いかにもアメリカらしい作品でした。


No.351 6点 もっとすごい!!『このミステリーがすごい!』
事典・ガイド
(2013/01/18 18:21登録)
1988~2008のベストオブベスト(「このミス~」の各年20位以内の作品を対象に国内77名、海外73名の選者(プロ?)によるアンケート結果)。不思議なことは、この間の年間第1位作品(国内20作品)のうち11作品が、ベストオブベストの40位以内に入っていないことです。特に2003年以降1作品もありません。「半落ち」「葉桜の季節~」「生首に~」「~Xの献身」等です。選者の数と一人6作品までの投票の結果の影響でしょうか?。よくわかりません。ちなみにベスト10に入った作品に6作品中4作品を投票した人は3人、0作品の人は15人でした。なお、77名の選者のうち、自分の好みに近い人は1名と大学ミステリー研究会の一部だけでした。やはり、好みはかなり分かれるものですね。


No.350 5点 魔術師
ジェフリー・ディーヴァー
(2013/01/18 18:19登録)
ミステリーというより、エンタメ系になるのでしょうか。本物のマジシャン登場で、やや興ざめの感もありましたが、ストーリー展開は面白かったと思います。


No.349 7点 死化粧する女
甲賀三郎
(2013/01/16 22:45登録)
(タイトル・女⑦)犯行現場に、短時間のうちに夫々思惑のある6人の人物が登場する。現場では、それぞれの人物は鉢合わせはしていない。このプロットは良くできており、また伏線や意外性もあり面白いと思いました。昭和11年の作品ですが、古さは感じません。(ただし、旧かなづかい、円タク=タクシーなどありますが・・・)古い作品でも良いものがあるんだなあと感心しました。


No.348 4点 仮面の女
阿刀田高
(2013/01/14 19:16登録)
(タイトル・女⑥・再読)10篇のブラック・ユーモア集。表題作は。「女性はいろいな顔を持っている。恋人の前、知人の前、他人の前で様様な役を演じている。仮面の下に隠された女の小さな秘密とは?」・・・彼女は、確か近視のはずであるが、夫はそれを知らないらしい。ということは、○○を行ったことなど知る由もない・・・。全篇を通じ、切れ味は今一つでした。


No.347 6点 ウィチャリー家の女
ロス・マクドナルド
(2013/01/14 17:55登録)
(ネタバレあり)


(タイトル・女⑤)本格系ハードボイルドという印象です。ハードボイルド系は、どうも苦手なのでなかなか高評価を付けることができません。気になったのは、主要登場人物の年齢が良くわからないというか、高齢(50~60代)のイメージしか湧かなかったことです。娘が21歳なので、両親は40~50代と想像はできるはずなのですが・・・。このイメージの差(自分の勘違い)のため、真相が明らかになった時点で、「かなり無理があるのでは?」との意識が強く働きました。実際は母親が39または40歳と判りますが、それにしても同じことですが・・・。「かなり無理」→「ちょっと無理?」


No.346 8点 幻の女
ウィリアム・アイリッシュ
(2013/01/13 20:18登録)
(東西ベスト・再読・タイトル・女④)タイトルに「女」のつくものは、書評分で①さらわれたい女②倒錯の死角~201号室の女③完全犯罪の女、「男」は①七回死んだ男②ハサミ男③脳男④連続殺人鬼カエル男⑤死体を買う男⑥二人の妻をもつ男。自分のなかで、それをシリーズ化して読んでみようと思いつき、第一弾としてこの有名作品の再読となりました。本作では、幻の女の正体が誰であるかは問題とはなっていないのでしょう。当時としては、意外性はかなりあったと思いますし、現在でもサスペンスフルな展開・文章は高い評価を与えられると思います。


No.345 5点 電脳山荘殺人事件
天樹征丸
(2013/01/11 22:06登録)
法月綸太郎氏絶賛とのことで拝読。舞台設定(雪の山荘、復讐劇、ハンドルネームの使用など)は、好みのものですし、トリックも楽しめました。ただし、トリックの解明(推理)は、犯人が言うように「想像、思いつき」のもので、論理的に納得できるものではありませんでした。決定的な証拠も?(いかがなものか)という感じです。設定が面白いものだっただけに、もったいないような気がします。


No.344 5点 Aサイズ殺人事件
阿刀田高
(2013/01/10 11:56登録)
(再読)ブラック・ユーモア(短編)を得意とする氏には、珍しい連作の短編推理小説です。通勤時間の合間に手軽に読めるので、氏の作品はかなり読破してきたのですが、最近は、やはり長編ミステリーに嗜好が変わってきているので、物足りなさは否定できませんでした。表題の「Aサイズ殺人事件(旧題・Aカップの女)」は本格っぽい味わいがありました。


No.343 5点 夢判断
阿刀田高
(2013/01/10 11:54登録)
(再読)図書館がしばらくの間休みなので、好きな作家で、本サイトに登録してある本作を書棚より引っ張り出してみました。氏のデビュー作「冷蔵庫~」に強烈な印象が残っていますので、本作はやや毒気が薄い感じがします。収録の「ベター・ハーフ」が歌野晶午氏の某有名作品のモチーフを先取りしていることがわかり、新たな発見をした思いがします。やはり、短編は印象が薄いですね。


No.342 5点 僧正殺人事件
S・S・ヴァン・ダイン
(2013/01/09 14:02登録)
(東西ベスト・再読)見立てによる連続殺人(このあたりは、かすかに覚えていました・・・)が起こるのですが、謎らしき謎もなく展開がゆるいので、ページがなかなか進みませんでした。1985年9位、2012年18位と人気はあるようですが、本格を期待すると?マークがつきますね。


No.341 8点 異人たちの館
折原一
(2013/01/04 12:45登録)
著者の自薦ベスト3の一冊ということで、叙述の折原らしさが発揮されていて楽しめました。リーダビリティもあり、代表作のひとつになると思います。「モノローグ」が何回も挿入されていますが、その扱い方(特に時間軸)が秀逸でした。


No.340 9点 マジックミラー
有栖川有栖
(2013/01/02 11:21登録)
著者のイメージは、ロジック>トリックですが、本作はトリック主体、それも2本立てで好みにピッタリ合いました。時刻表トリックは、日本独自のものらしい~時間が正確ゆえ成り立つ。だから、列車・飛行機が遅れたらどうするの?というような愚問は無しで良いのでしょう(笑)。切符の指紋によるアリバイ崩しの壁は秀逸でした。また、首なし死体のトリックのモチーフ(本作品1990)は、その後の「…捜査官(1998)」(Y氏)、「超有名作品(2005)」(H氏)の先例となっていると思いますので+2点です。さらに先例があった場合は10点ですね(笑)。


No.339 5点 007/サンダーボール作戦
イアン・フレミング
(2012/12/30 21:21登録)
今年は、映画シリーズ「007ドクター・ノオ」(第1作、1962年公開)から50周年にあたる。初代ボンド役・ショーン・コネリーは6作の主演で終了。ファンとして、007にちなみ7作の主演を望んだもでしたが、1983年「ネバーセイ・ネバーアゲイン」(シリーズとは別)で復帰、念願が叶いました。シリーズ4作目の「サンダーボール作戦」と原作は同じでした。本の方は、映画と違い地味です。物語としてのスケールは大きいのですが、筋はやや単調に感じられました。


No.338 7点 黙の部屋
折原一
(2012/12/29 09:23登録)
一風変わった絵画ミステリーです。実在の画家・石田黙を追う編集者と、地下室に監禁され絵を描いている男を中心に物語は展開します。「一風変わった」というのは、実存の20数点の絵(シュール)の写真が挿入されており、監禁された男の独白がその絵の解説にもなっている点です。著者の石田黙氏への熱い思いが伝わってきます。絵画好きの人なら楽しめると思います。叙述があるとわかっていながら読んでいるのですが、また今回も見事に騙されてしまいました(笑)。


No.337 8点 魍魎の匣
京極夏彦
(2012/12/27 14:31登録)
前半500ページまでは、遅々としてページが進みませんでしたが、それ以降はスピード感があり一気読みできました。「姑獲鳥の夏」のラストがイマイチだったので、著者の作品は敬遠気味でしたが、本作は楽しめました。それは、本格ものをあまり期待しないで読んだ性もあるかもしれません。幻想、ホラー、SFをミックスしたミステリーといえるのでしょうか・・・。最初の事件で、動機の有無について「犯罪は、社会条件と環境条件と、そして通り物みたいな狂おしい瞬間の心の振幅で成立する」という詭弁?で片づけられてしまいました。これはどうなんでしょう?(笑)

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