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ミステリの祭典

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蟷螂の斧さんの登録情報
平均点:6.10点 書評数:1696件

プロフィール| 書評

No.396 7点 水中眼鏡の女
逢坂剛
(2013/03/25 14:57登録)
(タイトル・女⑲)表題作は1987年とのことです。著者はエッセイで「読者を誤導するための間合いを計るのに苦労した。中には仕掛けがよく分からないという人も・・・」と談。解説者によれば”現在では「仕掛けがよく分からない」という読者は、それほど多くないのではないかと思われる。類似したタイプの仕掛けのヴァリエーションを専門的に案出する作家も、昨今は随分増えてきたのだから。これはある意味、時代に先駆けすぎた小説だったかも知れない。”とあります。その「仕掛け」を理解するまでに、かなりの時間を費やしてしまいました(笑)。残り2作品もブラックユーモア、サイコサスペンスで楽しめました。


No.395 6点 死神に愛された男
カトリーヌ・アルレー
(2013/03/24 09:47登録)
(タイトル・男⑨)フィアンセの浮気がもとで、人生が狂っていく若いデザイナーの物語です。著者の作品は、サスペンスものが多いような気がしますが、今回はちょっとした謎が2つばかりありました。後半に、若いデザイナーは、社長夫人との結婚又は出世という野望を持つのですが、そこへ対抗馬が現れ嫉妬します。この対抗馬の謎はあっさり判明してしまうのですが、最後まで謎のままの方が衝撃があったような気がします。惜しい感じですね。


No.394 6点 オランダ靴の秘密
エラリイ・クイーン
(2013/03/22 15:03登録)
東西ミステリーベスト100での「国名シリーズ」の評価(○位)と本サイト<○点>との比較。「ギリシア棺」(23位)<7.67点>「エジプト」(42位)<7.05点>「オランダ」(圏外)<8.15点>。本作はベスト100では圏外ですが、本サイトでは、かなりの高評価がついていますね。自分としては、非常に珍しいこと(笑)なのですが、3つのヒントで犯人がわかってしまいました。今のところ、「ギリシア」>「オランダ」、次は「エジプト」に挑戦です。


No.393 8点 ギリシャ棺の秘密
エラリイ・クイーン
(2013/03/20 21:34登録)
長編で読みごたえがありましたね。誤った推理があっても、論理的であり好感が持てました。(タダの推理としか、思えない小説がある中で・・・)裏のテーマが、ダビンチの絵画の真贋に関するものであり、非常に楽しめました。


No.392 7点 死の接吻
アイラ・レヴィン
(2013/03/18 17:10登録)
(東西ミステリーベスト13位)サスペンス感があふれており楽しめました。倒叙形式で物語は展開されますが、犯人が「彼」としか表記されていないところがミソでしたね。それが第2部での「驚き」に繋がります。当時としてはインパクトがあったと思います。(現在では、折原一氏の「叙述」に慣れ親しんでしまっているので不感症気味?(笑))第3部での長女との婚約までは良かったのですが、証拠、自白に至る過程はいただけなかったですね。


No.391 6点 法月綸太郎の新冒険
法月綸太郎
(2013/03/17 12:29登録)
「背信の交点」は松本清張の「点と線」を思い出させてくれました。「身投げ女のブルース」は偶然をうまく利用したトリックで感心しました。


No.390 5点 だれも知らない女
トマス・H・クック
(2013/03/13 16:59登録)
(タイトル・女⑱)裏表紙より「死体となっても、彼女はなおかつ美しかった。南部の都市アトランタ、空地の夏草のかげで発見された若い女性はだれなのか?なぜ殺されたのか?市警殺人課のフランク・クレモンズの心に、その女のことがこびりついて離れない。不思議なのは、これほど人目をひく美女なのに、だれも知らないことだ。」刑事フランク・クレモンズシリーズ(3部)の第1作目。刑事は娘を亡くし、妻とも離婚、アル中気味とペーソスを感じさせる人物です。地道な捜査物語で、サスペンス感・ミステリー度はそれほどありませんが、文学的な香りが漂う小説でした。


No.389 5点 顔のない男
北森鴻
(2013/03/11 20:10登録)
(タイトル・男⑧)連作の短編形式をとっている長編です。一遍一遍の事件はそれほど謎はありませんが、それが最後にひとつに纏まってきます。オチ自体は、よくあるパターンですが、探偵の調査書(ノート)は、実は○○であったというのがミソだと思います。


No.388 7点 オイディプスの刃
赤江瀑
(2013/03/09 20:24登録)
「東西ミステリーベスト100」の92位。本サイトに登録されていないのが驚きです。読後の印象は、なんともすさまじい小説だなあ、ということでした。刀研ぎ師が自殺?又は殺害され、その後に主人公の母親が自害、その後父親までが割腹自殺というものです。両親は、三兄弟のうち誰かが刀研ぎ師を殺害したものと思い自害した。三兄弟の言い分はそれぞれ違っており、まるで「藪の中」(芥川龍之介)の世界です。謎は①刀研ぎ師が残した言葉「少し苦しい。でも好きだ。」②誰が刀研ぎ師を殺したのか?ですが、ミステリー的解決を前面に出していない描き方で、刑事も出てきません。三兄弟の名刀「次吉」に翻弄される姿、並びに「香水」にまつわる兄弟の葛藤を中心に耽美的に描かれています。①の謎の真相はお気に入りですが、ミステリーの分類は難しいので「その他」としました。著者は、昨年6月に79歳で逝去されました。ご冥福を。


No.387 7点 第三の時効
横山秀夫
(2013/03/08 17:00登録)
連作短編集。F県警捜査一課の3人の班長(笑わない男「朽木」、冷酷無情「楠見」、直感の鬼「村瀬」)が、それぞれ個性的に描かれていて楽しめました。お気に入りは、やはり表題作ですね。内容的には、かなり重たい話なのですが、冷酷無情の楠見が見事に解決してくれます。よって重さより、スッキリ感の方が勝っていて後味はよいです。


No.386 8点
麻耶雄嵩
(2013/03/07 20:03登録)
(ネタばれあり)地図にない村の雰囲気が良く描かれています。閉ざされた村での、鬼子の存在(見えない物が見える)がうまく、大胆なトリックへの効果となっていると思います。また主人公の人形への愛着(やや崩れている感じ)が結末に繋がっているところも効果的でした。


No.385 7点 夜よ鼠たちのために
連城三紀彦
(2013/03/06 16:20登録)
新潮文庫版(6作品)。男目線でのトリッキーな作品が並んでいます。お気に入りは「過去からの声」です。誘拐物で、アイデアは秀逸であると思います。短編なのでアッサリしているのが残念ですが・・・。長編であれば、かなりの衝撃度(どんでん返し)を味わえると思います。


No.384 4点 煙か土か食い物
舞城王太郎
(2013/03/05 12:46登録)
文体は特異なもので、スピード感はありました。しかし、一体何を書きたかったのだろうというのが、最初の印象です。推理は二の次で、家族愛?暴力?復讐?よくわからない小説です。


No.383 7点 見えないグリーン
ジョン・スラデック
(2013/03/01 11:39登録)
東西ベスト100の50位(前回79位よりランクアップ)①密室②犯人の消失?③全員にアリバイと本格の要素を詰め込んだ作品でした。表題のグリーンと虹の7色をミスディレクションに使うなど楽しめました。秀逸と感じたのは②犯人の消失?に係るロジックでした。倉知淳氏の「過ぎ行く風はみどり色」・・・みどりとグリーンか・・・本作のオマージュと思えてきました。


No.382 5点 ロウフィールド館の惨劇
ルース・レンデル
(2013/02/26 10:27登録)
東西ベスト100に入っていたので拝読。しかし、あまりピンときませんでした。無知~感情の欠如~善悪の判断の欠如、それは文盲が原因であったということなのでしょう。原因(動機)自体に、関心が持てなかったので、サスペンス感を味わうことがきませんでした。残念です。


No.381 5点 目には目を
カトリーヌ・アルレー
(2013/02/24 20:26登録)
裏表紙より「破産寸前の夫、その若く美しい妻、彼女に恋する中年の資産家とオールドミスの姉、この四人の男女の頭の中には、それぞれ思惑がひそみ、それが運命の糸のようにからみあって、破局へと突き進んで行く……。目には目を、歯には歯を、復讐を許すタリオンの掟が……。」四人の独白で物語が展開してゆきます。完全犯罪をもくろむ若い妻の悪女ぶり、けして計画的ではないところが不気味な雰囲気を醸し出しています。結末はすぐ予想できますが、まずまず楽しめました。


No.380 7点 楽園のカンヴァス
原田マハ
(2013/02/23 09:16登録)
ルソーは好きな画家の一人で、画風は独特の雰囲気がありますね。「夢」ではありませんが、家の壁に「ライオンの食事」が飾ってあります。当時の評価、「日曜画家」と揶揄されたことは知りませんでしたが、その評価の低かったルソーに心酔する3人の物語です。殺人事件などなく、純粋にルソーの作品「夢をみた」の真贋に関するものです。作中に出てくる「物語」がいい味を出しています。画家の情熱が伝わってきました。話はそれますが、昨年、ルーブルの「モナリザ」とは別の「若いモナリザ」が本物(ダヴィンチ)とモナリザ財団が発表しました。絵画の世界は、まさにミステリアスです。


No.379 6点 罠に落ちた女
カトリーヌ・アルレー
(2013/02/22 12:02登録)
(タイトル・女⑰)裏表紙より「療養所がリゾートマンションに生まれ変わる。セリーヌと愛人ジャンは、療養所へと車を走らせていた。ジャンがセリーヌと生まれてくる子供のために部屋を買ってくれたのだ。雪道に降りたったセリーヌ。と突然車が走り出したのだ。なぜ?必死で後を追う彼女の目の前で雪崩がジャンの車を押し潰した。救いを求めて療養所に辿り着いたセリーヌは、そこで悪夢はまだ始まったばかりだということを知る!」誘拐犯と遭遇したセリーヌの恐怖と脱出までのサスペンスもので、一気読みができました。


No.378 7点 警察庁から来た男
佐々木譲
(2013/02/21 21:44登録)
(タイトル・男⑧)前作「笑う警官」で道警の腐敗が一掃されたに見えたが、まだ腐敗が残っているのだろうか?警察庁から監察官が訪れたのだ。二つの事件と監察場面が交互に描かれ、いやがうえにも緊迫感が盛り上がってきます。登場人物にも個性があり、また薄野の情景もうまく描かれていて楽しめました。


No.377 6点 笑う警官
佐々木譲
(2013/02/20 17:26登録)
スピード感があり楽しめました。射殺命令の現実味云々については、緊迫感を出すためには必要な要件なので、それはそれでいいのではないかと思います。組織の狂気があってもいいと肯定的にとらえています。

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