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ミステリの祭典

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顔のない男

作家 北森鴻
出版日2000年10月
平均点5.40点
書評数5人

No.5 5点 nukkam
(2023/08/17 09:01登録)
(ネタバレなしです) 1998年から2000年にかけて雑誌掲載された7つの短編に各話の間に挿入される6つの「風景」エピソード、さらにはプロローグとエピローグを追加して2000年に出版されました。二階堂黎人による文春文庫版の巻末解説で「連作短編集なのか、長編推理小説なのか、いったいどっちなのかって?」と読者に問いかけてますがまさに両方の要素を備えた技巧的な本格派推理小説で(文春文庫版の裏表紙では長編本格と記載されています)、この種のものでは芦部拓の「三百年の謎匣」(2005年)を連想させますが本書は警察小説、社会派推理小説の要素もあるのが個性となっています。第一話の「真実情報」(1998年)で殺された空木精作の素性と行動の謎が全作にまたがる謎となります。謎を解くと新たな謎が生じる展開で読ませますが、あまりに複雑な人間関係とひねりにひねった真相が用意されているので連作短編形式にしたのは賛否両論かもしれません。第七話の「仮面幻戯」(2000年)なんか単独で読んでも何が何だかわからないと思います。

No.4 5点 蟷螂の斧
(2013/03/11 20:10登録)
(タイトル・男⑧)連作の短編形式をとっている長編です。一遍一遍の事件はそれほど謎はありませんが、それが最後にひとつに纏まってきます。オチ自体は、よくあるパターンですが、探偵の調査書(ノート)は、実は○○であったというのがミソだと思います。

No.3 5点 E-BANKER
(2011/02/12 21:02登録)
「顔のない男」という異名が付けられた被害者、空木精作を巡って展開されるストーリー。
連作短編集というべきか長編というべきか迷うような作り。(正解は連作短編集なのでしょうけど・・・)
~多摩川沿いの公園で、全身を骨折した惨殺死体が発見される。空木精作は周辺の住民と接点も交友関係もない男だった。原口と又吉、2人の刑事は空木の自宅で一冊の大学ノートを発見する。ノートを調査するうち、2人は次々に新たな事件に遭遇。空木とは一体何者なのか?~

非常に魅力的なプロットだと思いつつ読んでいきました。
「謎の男」を捜査する過程で、次々と事実が明らかになり、それがなお一層事件を複雑にしていく・・・これをうまくまとめれば、たいへんよくできた「連作集」ということになるのですけども・・・
いかんせん、ラストがよくない。オチがこれでは、途中のプロットがいくら魅力的でもねぇ・・・
もう1つ言えば、犯罪者側がここまで事件を複雑化する目的・意図が今ひとつ不明。他の方の書評にもありますが、登場人物がかなり入り組んでいるので理解&整理するのにかなり苦労させられました。
(途中、三軒茶屋のビアバーが登場しますが、これはやはり「香菜里屋」のようです。どうせなら、マスター工藤にも登場してもらいたかったなぁ)

No.2 7点 makomako
(2010/04/25 10:54登録)
連作のような長編のような複雑な形態の上読み進むにつれ話が二転三転と込み入ってくる。文章がうまいのでさらさらとは読めるが、複雑な話なので途中で意味がよく分からなくなって読み返すこととなった。作者の仕掛けに注意を払いつつじっくり読めばミステリー好きなら面白いと思う人も多いだろう。最後のどんでん返しもなかなかすごい。

No.1 5点 由良小三郎
(2002/05/29 18:41登録)
得意の連作ものですが、あまりよくありませんでした。事件が多すぎて、それが解決したのかしないのか、最後のまとめもやや強引です。

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