home

ミステリの祭典

login
蟷螂の斧さんの登録情報
平均点:6.09点 書評数:1660件

プロフィール| 書評

No.800 7点 「そして誰もいなくなった」殺人事件
ジャックマール&セネカル
(2015/09/01 17:24登録)
クリスティ氏をリスペクトした作品です。「11人目の小さなインディアン」で拝読。10人の俳優が登場するにも拘らず、登場人物表がなく、初めは戸惑いましたね(苦笑)。大胆なミスリードを駆使した作品との印象を受けました。動機がやや弱いかも・・・その点がマイナス要素です。
ちなみに「そして誰もいなくなった」のオマージュ作品の既読一覧。
①「そして誰もいなくなる」今邑彩氏
➁「そして誰かいなくなった」夏樹静子氏
③「そして二人だけになった」森博嗣氏
④「そして五人がいなくなる」はやみねかおる氏
⑤「十角館の殺人」綾辻行人氏
⑥「殺しの双曲線」西村京太郎氏
⑦「インシテミル」米澤穂信氏
 まだあるかも?・・・


No.799 6点 呪い
ボアロー&ナルスジャック
(2015/08/30 21:07登録)
商品説明より~『獣医ローシェルが知り合ったアフリカ帰りの女ミリアンには、どこか謎めいたところがあった。ふと見せる残酷な性格、事故死した夫にまつわる無気味な噂。女の虜になるにつれて、ローシェルの生活は暗い影に包まれてゆく。やがて妻の身に、恐ろしい災厄が……!』~

海外ミステリ・ハンドブック(2015版)のエッセイの中で、皆川博子氏が本作に惹かれたと書いてあったので手にしてみました。ほぼ全編、浮気男の手記です。妻と浮気相手の間で揺れ動く葛藤や苦悩を描いています。しかし、男の優柔不断さの方が目立ち、感情移入が出来なかった点が残念ですね。少ない登場人物で物語を構成する手腕は見事だと思いますが、題名の「呪い」は効果的とは言い難い?(苦笑)。


No.798 6点 完璧な殺人
リレー長編
(2015/08/29 12:36登録)
企画の勝利か?。依頼者の手紙が読みにくいところが難点。各人の殺人計画案をけなすところが楽しめる。ローレンス・ブロックの辛辣さが特に目立った(笑)。


No.797 5点 そして五人がいなくなる
はやみねかおる
(2015/08/27 16:51登録)
「BOOK」データベースより~『夏休みの遊園地。衆人環視の中で“伯爵”と名乗る怪人が、天才児4人を次々に消してみせた。亜衣たち岩崎家の隣人で自称名探偵、夢水清志郎が颯爽と登場!と思いきや「謎はわかった」と言ったまま、清志郎はなぜか謎解きをやめてしまう…。』~

内容は、怪人二十面相と少年探偵団のような感じです。ユーモアは心地よいし、ほのぼの感もあります。ミステリーランドの諸作品とは、また違った味わいがありました。小栗虫太郎「完全犯罪」・薬漬けの探偵、灰色の脳細胞などの言葉も登場するので、大人の読者も少しは意識しているのかな?


No.796 5点 第三の銃弾<完全版>
カーター・ディクスン
(2015/08/25 18:59登録)
裏表紙より~『密室で射殺された元判事の死体の傍らには、拳銃を握りしめた青年がたたずんでいた。しかし、被害者を襲った凶弾は青年の銃から発射されたものではなかった…。この不可解で錯綜した事件に挑むマーキス大佐は、不可能犯罪の巨匠が創造したシリーズ探偵マーチ大佐のプロトタイプ。従来の簡約版では、エラリイ・クイーンのひとりフレデリック・ダネイにより大幅に削除されていた部分を、完全復元した待望のオリジナル版。』~

謎は複雑で魅力的です。真相もよく考えられています。しかし、好みでない点があり辛目の採点となりました。


No.795 6点 きみの血を
シオドア・スタージョン
(2015/08/24 14:16登録)
兵士・ジョージが書いた手紙、その中身を問いただされると、彼は態度を急変し異常な行動に・・・。「手紙の中身」と「異常な行動」の二つの謎が提示され、物語は展開します。しかし、内容は手記であり、その書き手が誰か分からないし、信頼もできそうにない・・・。
ミステリーとしての構成は面白いし、どんでん返しも好みで高評価です。しかし、あまり後味が良くない。読書Mではこのような意見はなかったが、これは好みの問題で致し方ないといったところ(苦笑)。


No.794 5点 海外ミステリ・ハンドブック
事典・ガイド
(2015/08/22 17:28登録)
「おわりに」により~『・・・本書の「海外ミステリ・ハンドブックガイド100」は、≪ミステリマガジン≫二〇一五年五月号・七月号の座談会企画<『新ミステリ・ハンドブック』を作ろう!>で出席者の方々に挙げていただいた作品をベースに、編集部が討議のうえ新たな作品を加え、100冊としたものです。・・・』~ということで、読者アンケートを集計した前回の「ミステリ・ハンドブック(1991年版)との継続性はありません。またカテゴリー別も前回のカテゴリーとは別物となっています。ちなみに、新カテゴリーは<キャラ、クラシック、ヒーロー、楽しい殺人、相棒物、北欧、英米圏外、エンタメ、イヤミス、新世代>夫々から10冊選出されています。自分としては、「密室もの」「クローズド・サークルもの」「アリバイトリックもの」「叙述もの」などのカテゴリー別が欲しかった(笑)。「もはや1大ジャンル・北欧ミステリ」で紹介されている10冊のうち、本サイトで評価されているのが2冊のみで、8冊は未登録または未評価です。よって、初心者向けとは言い難いですね。


No.793 9点 死との約束
アガサ・クリスティー
(2015/08/22 07:53登録)
「ネタバレ」あります。

本作(1938)と「皇帝のかぎ煙草入れ」(1942)との関係は、世間的には元ネタ本を後発本が凌駕してしまった?という点で「グリーン家」(1928)と「Yの悲劇」(1932)の関係に似ているような気がします。「皇帝」の優れている点は、同じ心理的トリックを前面に出しメイントリックとしたことですね。それによって印象的な作品となっています。本作の方では、別のトリックをメインとしているため、この心理的トリックはサブ扱い?となっています。よって受けるインパクトはそれほどでもないのです。その点からクリスティ氏が「皇帝」をして「このトリックには、さすがの私も脱帽する」と褒めたのでしょうか。または「してやられた!」と思ったのかも・・・(笑)。本作は地味な印象ですが、数々の優れたトリックが仕掛けられた佳作ですね。「皇帝」が8点だったので、敬意をこめ9点とします。


No.792 6点 鏡よ、鏡
スタンリイ・エリン
(2015/08/20 09:37登録)
全篇、独白が続くのですが、これが実に悩ましい。時系列がバラバラであり、現実とは思えない裁判が開かれたりと、精神的に病んでいるかのような独白です。性的な問題を中心に独白者の人格が徐々に露わになっていくという展開です。その点では読者を選ぶ作品かも?。ラストのどんでん返しや、題名の意味、意味不明の伝言の解明など佳作にふさわしい点は多々あるのですが、読後、ちょっとアンフェアかな?と思ってしまったのでこの点数にしておきます。


No.791 7点 誘拐ラプソディー
荻原浩
(2015/08/18 20:59登録)
裏表紙より~『伊達秀吉は、金ない家ない女いない、あるのは借金と前科だけのダメ人間。金持ちのガキ・伝助との出会いを「人生一発逆転のチャンス?」とばかりに張り切ったものの、誘拐に成功はなし。警察はおろか、ヤクザやチャイニーズマフィアにまで追われる羽目に。しかも伝助との間に友情まで芽生えてしまう―。はたして、史上最低の誘拐犯・秀吉に明日はあるのか?たっぷり笑えてしみじみ泣ける、最高にキュートな誘拐物語。』~
ドタバタ調誘拐劇です。ユーモア系ミステリーの中で久しぶりにドタバタ調に出会うことができ楽しめました。


No.790 5点 幻影のペルセポネ
黒田研二
(2015/08/14 10:24登録)
「BOOK」データベースより~『気鋭のプログラマー各務秀則は、なぜ殺されたのか?尊敬する先輩の死の謎を解くため、ネット上に構築された電脳空間「惑星ペルセポネ」にログインした来栖正孝は、秀則が「ペルセポネ」で操っていた分身「ノリリン」もまた仮想世界の中で惨殺されていたことを知る。やがて「ペルセポネ」の美少女「メグ」とともに犯人探しを開始した来栖を、虚実の世界を往来する巨大な悪意が襲う。』~
仮想世界での殺人事件が、現実の世界でも連動して起こるという物語です。仮想世界での登場人物がやや多いかなという印象、もう少し絞った方が判り易かったような気がします。プロローグとエピローグの繋がりは良かったと思います。


No.789 5点 高層の死角
森村誠一
(2015/08/12 13:28登録)
第15回江戸川乱歩賞作品。密室とアリバイトリックですが、期待したほどでもなかった。密室トリックはかなり簡単なものであったし、アリバイは時刻表トリックであまり好みでないこともありました(苦笑)。ある人物が犯人ならば・・・と期待したのが大きかったのでこの点数。


No.788 6点 蒼ざめた馬
アガサ・クリスティー
(2015/08/10 20:50登録)
裏表紙より~『霧の夜、神父が撲殺され、その靴の中に九人の名が記された紙片が隠されていた。そのうち数人が死んでいる事実を知った学者マークは調査を始め、奇妙な情報を得る。古い館にすむ三人の女が魔法で人を呪い殺すというのだ。神父の死との関係を探るべくマークは館へ赴くが…』~
本格色は薄いが、ミスリード・伏線はさすがですね。ポアロ・マープルが登場しないかわりに、主人公の恋物語が花を添えている感じです。


No.787 5点 犬はまだ吠えている
パトリック・クェンティン
(2015/08/07 17:32登録)
裏表紙より~『その日のキツネ狩りの「獲物」は頭部のない若い女の死体だった。悲劇は連鎖する。狩猟用の愛馬が殺され、「何か」を知ってしまったらしい女性も命を奪われてしまう。陰惨な事件の解決のために乗りだしたドクター・ウェストレイク。小さな町の複雑な男女関係と資産問題が真相を遠ざけてしまうのだが…。』~
ピーター・ダルース夫妻シリーズとは全くタイプの違った猟奇的な雰囲気の作品でした。物語の展開がやや遅いことと、動機の後出し的なところがマイナスポイントですね。名馬殺害の理由は印象に残ります。


No.786 7点 死への疾走
パトリック・クェンティン
(2015/08/06 14:04登録)
パズル・シリーズの主人公ピーターが登場するも、「女郎蜘蛛」と同様「~・パズル」となっていません。出版社が相違するので仕方ないか・・・。このシリーズは色々なパターンがあり楽しめますね。今回は軽めの冒険活劇的な要素が含まれています。ラストの反転も好みなので+1点。


No.785 4点 おかけになった犯行は
エレイン・ヴィエッツ
(2015/07/31 18:57登録)
裏表紙より~『崖っぷち生活継続中のヘレン、目下の仕事は電話セールス。拒絶や罵倒にひたすら耐えて売りこみをかけるある日の業務中、電話越しに“殺人”が起きるところを聞いてしまう。ところが、警察は事件のあった痕跡を発見できず、勘違いとして処理される。納得のいかないヘレンはみたび探偵活動を始めるが、成り行きでトンデモない相棒と組むことになり…。大好評転職ミステリ第三弾。』~
コージー・ミステリーというものは初めてでした。読み物としてはスラスラ読めるのですが、やはり謎らしきものがないと面白みがないというのが実感でした。


No.784 4点 これ誘拐だよね?
カール・ハイアセン
(2015/07/29 09:29登録)
ユーモア・ミステリーとのふれこみですが、ミステリー度はほとんどありません。どちらかといえば下ネタ調のドタバタ劇か?。登場人物も、漫画・劇画風です。それを個性があると言ってよいのか?・・・よくわかりません。物語の展開もいまいちだった。


No.783 5点 くたばれ健康法!
アラン・グリーン
(2015/07/27 21:05登録)
ユーモアミステリーで、馬鹿笑いを望むほうが無理なのか?。なかなかぶち当たりませんね。出だしでは壺にはまるユーモア表現があり期待したのですが尻すぼみでした。しかし、トリックは楽しめました。警部が、事件解明より恋に現を抜かすという構造があるので、それを前面に出せばもっと楽しめたのではという気がします。


No.782 5点 ぼくの好色天使たち
梶龍雄
(2015/07/24 20:50登録)
戦後の闇市。主人公(浪人生)と住人(闇商人や娼婦)との交流、殺人事件を描いた青春ミステリー。トリックは面白いと思いましたが、現場に関する一つの証言にやや納得できない点があり減点としました。


No.781 6点 深い疵
ネレ・ノイハウス
(2015/07/21 21:08登録)
裏表紙より~『ドイツ、2007年春。ホロコーストを生き残り、アメリカで大統領顧問をつとめた著名なユダヤ人の老人が射殺された。凶器は第二次世界大戦期の拳銃で、現場には「16145」という数字が残されていた。しかし司法解剖の結果、遺体の刺青から、被害者がナチスの武装親衛隊員だったという驚愕の事実が判明する。そして第二、第三の殺人が発生。被害者らの隠された過去を探り、犯行に及んだのは何者なのか。刑事オリヴァーとピアは幾多の難局に直面しつつも、凄絶な連続殺人の真相を追い続ける。』~
登場人物が多く、人物表以外での重要人物もかなりいるので相関図は必要か?(苦笑)。カットバック方式はいいのですが、1単位の文章が短すぎるのと、視点が多く変わりすぎるのが難点でした。家族関係他も複雑化し過ぎているように感じました。話の内容はドイツらしいものです。

1660中の書評を表示しています 861 - 880