蟷螂の斧さんの登録情報 | |
---|---|
平均点:6.09点 | 書評数:1660件 |
No.1620 | 7点 | かがみの孤城 辻村深月 |
(2024/02/17 19:49登録) 先日、TV放映されました。映画、小説、それぞれ利点はあるけれど、どうしても小説に軍配を上げざるを得ないかな・・・と思う次第。素直に感動。 |
No.1619 | 6点 | 死者の入江 カトリーヌ・アルレー |
(2024/02/17 19:48登録) 夫が出張の間、精神に問題のある人妻に起こる怪奇現象。幻想なのか、現実なのか?。精神を病んだ理由と、夫が帰宅後の会話が読みどころ。 |
No.1618 | 5点 | 大いなる幻影 カトリーヌ・アルレー |
(2024/02/17 19:46登録) 遺産相続にかかるドタバタ劇。ラストの展開は、登場人物にとっては腑に落ちないはず。当然、読者も・・・(苦笑) |
No.1617 | 7点 | 伝染る恐怖 感染ミステリー傑作選 アンソロジー(国内編集者) |
(2024/02/05 16:42登録) ①赤死病の仮面(エドガー・アラン・ポー) 7点 ポオ小説全集3にて書評済 ②瀕死の探偵(アーサー・コナン・ドイル) 7点 伝染病のクーリー病にかかったホームズ。医者ではなく、その病気に詳しいスミスという人物を連れて来てくれという・・・既に同病で若者が亡くなっている ③悪疫の伝播者(オースティン・フリーマン) 4点 老猫院の寄付箱に入っていたのはガラス管。その中身は蚤とシラミ・・・名探偵ゾーンダイクが科学捜査で推理 ④空室(マーキー) 8点 パリ博覧会を見学に来た母娘。ホテルは別室となった。娘が母の部屋を尋ねるともぬけの殻。タクシー運転手、赤帽、支配人、ベルボーイ、給仕係の誰もが母など見ていないという・・・娘は療養で入院 ⑤南神威島(西村京太郎) 7点 マイ・ベスト・ミステリーⅣ 日本推理作家協会編にて書評済 ⑥疫病船(皆川博子) 8点 母親を殺そうとした娘は理由も言わずに自殺・・・理由は父の復員にあったようだ ⑦叫び(梓崎 優) 7点 アマゾンの奥地の部落でエボラが発生。生き残りは10名に満たない。そんな中、住民4人が殺された・・・いったい何故? ⑧二週間後の未来(水生大海) 5点 自分を弄んだ上司を殺害しようと毒薬を手に入れた。コロナ禍、リモート会議でのアリバイを考えるが・・・SNSストーカー登場 |
No.1616 | 7点 | 死の匂い カトリーヌ・アルレー |
(2024/02/01 07:13登録) ウィキによれば、アルレー氏は1922年生まれと判明したとあります。よって31才でのデビュー作となりますね。登場人物の3人は、皆、一途な人間で善人なはずなのですが、環境によって悪人になってしまうということなんでしょう。夫婦の心理的葛藤が中心に描かれていますが、私的には看護婦が一番怖かった。その行為の一文が非常に印象に残っています。 |
No.1615 | 4点 | アポロの彼方 バリー・N・マルツバーグ |
(2024/01/28 20:03登録) ~西暦1981年、第一次金星探検隊が帰還した。二人乗りのカプセルから現れたのはエヴァンズ一人。船長の姿は影も形もない。船長の身に何が起きたのか?事故死、自殺、他殺?宇宙局上層部は事情聴取のため、エヴァンズを施設に監禁。過去に火星探検計画が失敗しており、宇宙計画の生存を賭けて執拗なまでの尋問をエヴァンズに行うことになった。~ 第一回ジョン・W・キャンベル記念賞(SF)に輝いた傑作とのことですが、本邦では文庫化もされず、あまり読まれていないようです。SFというより文学寄りで、人間の狂気を描いた作品ですね。エヴァンズの独白が中心ですが、内容が転々として、金星人まで登場します(笑)。太陽系小史が挿入されていますが、「星を継ぐもの」はこれをヒントにしたのかも? |
No.1614 | 7点 | 白夜行 東野圭吾 |
(2024/01/18 15:54登録) 全体の流れが悪いと感じました。その原因は連作短編を長篇に書き直したことにあるようです。事前の寄せ集めの情報から、二人の逃避行の物語と勝手にイメージしていましたが全然違いましたね(笑)。余計なエピソードが多く全体がぼやけてしまった印象です。もっと短ければ9点献上できたと思います。二人の心理描写を描かないことが特徴なのかな?。刑事がいい味を出していました。 |
No.1613 | 6点 | オセロー ウィリアム・シェイクスピア |
(2023/12/31 15:42登録) クリスティ氏の「カーテン」でポアロがヘイスティングに残したヒントはシェイクスピアの「オセロ」でした。そこで「新訳オセロー」(角川文庫)を拝読。本書もそうですが他書も動機から結末まで裏表紙に書いてある。ミステリー読みから見ると信じられない!!!。一般書を読む人はこれでも平気なんだろうか?変なところが気になった(笑)。オセローはデズデモーナに魔法をかけて結婚したが、オセローはイアーゴ―に魔法をかけられてしまったということでしょうか。イアーゴ―は性悪でエロ話を平気でする男です。当時(400年前)の貞操観念はどうだったんだろう?。オセローはムーア人(黒人)で特別だったのだろうか?。結構、この点がポイントになっているように思いました。解説によれば「寝取られ幻想」という一種の病のようです。当時は男性性が求められており、妻を完全に従属させなければならない。しかし、果たしてどうなのか?という不安感を男は持っていたようです。貞操観念より男の立場、面子ということになるのでしょうか。あと、驚いたのは、本作には種本(ジラルディ・チンティオ「百話集」(1565年))があるということでした。 |
No.1612 | 6点 | 交換殺人 フレドリック・ブラウン |
(2023/12/28 21:12登録) 主人公は金欠だった。だが仕事が入り出し、殺人まで行わなくてもいいかな?と思うようになる・・・。結末の予想は相棒の裏切りであるが、さて・・・。この作品はやはり結末で評価が分かれてしまう。私は肯定派ですね。その先が気になります(笑)。 |
No.1611 | 8点 | ダイヤルMを廻せ! フレデリック・ノット |
(2023/12/24 13:55登録) 映画の原作を読むマイシリーズ。1954年ヒッチコック監督により映画化、1998年、マイケル・ダグラス氏主演でリメイクされています。「暗くなるまで待って」(1967年)オードリー・ヘップバーンさん主演も著者の作品(戯曲)ですが翻訳はされていません。残念。さて、本作は・・・著者によれば「計画を練るときには完璧であっても、実際に行ってみると、思わぬトラブルがあり、・・・」の如く、犯人側にとって大トラブル発生。凶器に係る伏線が気に入っています。倒叙形式の傑作。 |
No.1610 | 9点 | カーテン ポアロ最後の事件 アガサ・クリスティー |
(2023/12/17 11:37登録) 著者の作品で最後に読もうと思っていた作品。その間に何回もネタバレされてしまった(笑)。著者の最盛期(1943年)の作品(発表は1975年)で傑作であると思う。副題で「ポアロ最後の事件」を入れた方が、もっと読まれ評判が上がったような気がしますね。スタイルズ荘で始まり、スタイルズ荘で終わる。なんともお洒落で粋な配慮。ワトスン役のヘイスティングが主役とも思えるような展開。それがなんとも大伏線になっている○・・・・・・の犯罪。老いて死を迎えるポアロの決断は・・・等々読みどころ満載 |
No.1609 | 6点 | ひらいたトランプ アガサ・クリスティー |
(2023/12/02 08:15登録) ブリッジのルールを知っていれば、もっと楽しめたかな。なにしろ、ブリッジの点数表から心理を読み取るんだから。もう一つの要素は、容疑者の過去の犯罪と、今回の殺人の共通点を探すというもの。物語の構成は面白かった。ただ、ラストの寸劇はいただけない。発見された証拠を突きつけてからの告白の方がスマートであったと思う。 |
No.1608 | 6点 | ヘラクレスの冒険 アガサ・クリスティー |
(2023/11/22 18:01登録) ①ネメアのライオン 6点 犬の誘拐事件を引き受けたポアロ。ただそれだけで終わるポアロではない・・・毒殺計画 ②レルネーのヒドラ 5点 愛人と結婚するために妻を毒殺したという噂が流れ・・・犯人は夫?愛人? ③アルカディアの鹿 5点 行方が知れなくたった女性を探して欲しいとの依頼・・・残念な結果となったが ④エルマントスのイノシシ 4点 閉ざされた山奥のホテルに殺人犯がいるという・・・警部が潜入しているが ⑤アウゲイアス王の大牛舎 6点 元首相が詐欺や横領を働いていたというスキャンダル。いかにもみ消すか?…セックススキャンダル ⑥スチュムパロスの鳥 7点 前途ある青年は母娘と懇意となる。娘には夫がおり嫉妬深い男という。娘は夫を殺してしまい、青年に相談するが・・・賄賂の通用する国 ⑦クレタ島の雄牛 7点 青年は自分は狂っていると婚約を破棄、自害しようとしていた・・・精神病の血筋 ⑧ディオメーデスの馬 4点 将軍の娘が麻薬を飲んで、医者に相談・・・密売人の正体 ⑨ヒッポリュテの帯 6点 盗まれたルーベンスの絵画と女子学生の汽車からの消失事件の関係は?・・・美人登場 ⑩ゲリュオンの牛たち 5点 不審死が続く、怪しい新興宗教に潜り込んだ夫人は・・・狂人の信者 ⑪ヘルぺリスたちのリンゴ 8点 盗まれた宝飾酒杯の行方・・・修道院(短編としての纏まりはNO.1) ⑫ケルベロスの捕獲 6点 クラブ「地獄」で麻薬取引が行われているが、証拠が見つからない・・・かつてポアロが惚れた伯爵夫人(ユーモア系で締めくくり) |
No.1607 | 7点 | アルジャーノンに花束を ダニエル・キイス |
(2023/11/05 21:43登録) (再読)書庫整理していたら出てきました。SFとして登録されていたのですね。アリス、フェイの登場で、結構、男と女の物語だったりして・・・ラスト、及び題名の意味が不朽の名作と言われる所以か。 |
No.1606 | 7点 | 天使の傷痕 西村京太郎 |
(2023/11/01 12:34登録) 本格+社会派の位置づけでいいと思います。1965年の作品で58年も前の話なのですが、人間の気持ちは当時とそれほど変わっていないのではないか?とやるせない気持ちになってしまいました。 |
No.1605 | 8点 | あやかしの裏通り ポール・アルテ |
(2023/10/27 17:36登録) 「路地の消失」と「過去と未来の幻影」という謎で引っ張って行きます。それが5人も体験しているとなると結構難題となりますなあ。犯人が誰?なんかは頭の中からすぽっと抜けてしまったため、ラストの真相はインパクトがありましたよ。 |
No.1604 | 6点 | レ・ファニュ傑作集 シェリダン・レ・ファニュ |
(2023/10/17 20:15登録) 「怪奇」より「心理スリラー」の先駆的な作品集と言えるかも ①アイルランドのある伯爵夫人の秘めたる体験(1838年) 7点 「アンクル・サイラス」(1864年)の元ネタ。単純に犯罪が描かれている。アリバイ工作、そして初の「密室」もの ②タイローン州のある名家の物語 5点 名門の貴族の男に嫁いだ名家の娘。しかし、盲目の女が現れ自分が妻という。男はその女は狂人であるというが・・・女の殺意(その裏には) ③夢 5点 大酒のみの大工が死の床にあった。神父は終油の儀式を行うため男の家に向かった。しかし大工は神父が家につく前にこと切れていた。やがて神父は、死んだはずの大工が身を起こすのを目撃することになる・・・地獄の夢(友人の誘いは仲々断れない) |
No.1603 | 6点 | 有栖川有栖の本格ミステリ・ライブラリー アンソロジー(国内編集者) |
(2023/10/15 12:17登録) ①埋もれた悪意(巽昌章) 6点 行方不明の息子を捜していると、息子を名乗る二人の人物が現れた。どちらが本物なのか?・・・証拠の手形、産婆の殺害(発想の転換) ②逃げる車(白峰良介) 5点 スピード違反の男はパトカーを振り切り、病院の前で急停車。警官がかけつけると男は病院内で死亡していた・・・NaCNによる自殺?(犯人特定の根拠が著しく弱い) ③金色犬(つのだじろう) 漫画なので採点対象外(私的方針) ④五十一番目の密室(ロバート・アーサー・1951年) 8点 書評済 ⑤〈引立て役倶楽部〉の不快な事件(W・ハイデンフェルト・1953年) 8点 山荘で毛を剃られた全裸の銃殺死体が発見された。密室で血痕、銃痕は発見されなかった・・・死体の正体(④のオマージュ?スパイ大作戦風) ⑥アローモント監獄の謎(ビル・プロンジーニ) 4点 「密室大集合」アメリカ探偵作家クラブ傑作選(7)で書評済 ⑦生死線上(余心楽) 6点 列車内での殺人。容疑者は別の列車に乗っていたというアリバイがある・・・列車からの電話(結構単純なトリック) ⑧水の柱(上田広) 8点 鉄橋を走る列車。下は急流の川。女が男を突き落したようだが、その女はどの駅からも降りていない・・・車掌の推理談(金の回収方法には驚き) ⑨「わたくし」は犯人……(海渡英祐) 8点 夫の愛人の小説風日記。そこには妻殺しの様子やアリバイ工作が描かれていた。実際、その通りの殺人が発生。愛人は犯行時刻、飲んでいて記憶がないと言い張る・・・トリックを使い捨てるトリック(なるほど) ⑩見えざる手によって(ジョン・スラデック) 5点 芸術家の元に届いた殺害予告。外で見張っていたが密室内で殺害された・・・12Fマンション(上下階が留守) |
No.1602 | 7点 | Butterfly World 最後の六日間 岡崎琢磨 |
(2023/10/10 18:07登録) 非暴力が徹底された世界(VR)で、殺人が起きるはずがない。プログラムの欠陥、またはクラッキング?。事件が起きてから実験を行ってみる。アバターにナイフを突き刺してもはね返ってしまう。やはり、非暴力の世界は生きている・・・。どのような方法で殺人を行ったのか?ハウダニットを中心に物語が展開。解決篇も明快なロジックで楽しめた。なお、わずかだが「荘子」に係る蘊蓄も披露され、好感度アップ(笑)。 |
No.1601 | 7点 | アンゴウ 坂口安吾 |
(2023/10/10 18:00登録) 29作品中、幻想、奇譚のみ評価 ①傲慢な眼 7点 美しく気位の高い令嬢は、背後に傲慢な眼を感じる。それは浜辺で絵を描いている少年の眼であった・・・睨み合うだけの二人(青春というもの) ②南風譜 7点 生身の女体以上にエロティックな仏像に執着する男・・・仏像に血(白痴の妻) ③紫大納言 7点 紫大納言という好色男が、天女の落とした笛を拾った。返して欲しいと懇願する天女を官能的な眼で見つめる大納言。だが、その笛を山賊に奪われてしまい・・・リンチ(幻想) ④我鬼 7点 太閤秀吉と関白秀次の愛憎と狂気・・・権力への妄執(秀次の殺戮衝動が凄まじい) ⑤花火 8点 面クイな私はブ男と結婚。やがて美男な優男に惹かれてゆく・・・壮絶な〇〇(プラトニック) ⑥無毛談 6点 恋文が届くのが愉しみな私。郵便配達が来るのを待つ私。だが女中が私よりいち早く郵便物を取りに行く・・・女中の秘密(ユーモア) ⑦アンゴウ 8点 戦死した旧友の蔵本を古本屋で見つけた。本に挟んであった暗号は「いつもの処にいます」。私は妻と旧友との不倫関係を確信する。妻は戦禍で失明しており、二人の子供を空襲で失っていた・・・他の蔵書の暗号(どんでん返し) ⑧日月様 6点 精神病院を退院した私。女装したキミちゃんという男に出会う・・・刺青、皮はぎ(夫婦の秘密) ⑨保久呂天皇 7点 久作は自分の家がこの村の天皇だったと思い、石室を作り始めた。隣家に泥棒が入り久作が疑われた。石室に金が隠してあると、子供たちが山の墓をくずし始めると親たちが慌ててそれを止めた・・・天の祟り(先の読めない狂気) |