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ミステリの祭典

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E-BANKERさんの登録情報
平均点:6.00点 書評数:1896件

プロフィール| 書評

No.216 5点 マンション殺人
西村京太郎
(2010/04/16 21:10登録)
初期~中期頃の作品。
初期作品に割と登場する田島刑事と吉牟田刑事が探偵役として登場します。(メインは田島刑事ですが)
どちらかというと、動機探しというかややミッシングリンクに近いテーマを取り扱っています。
全く別の場所で起こった2件の殺人事件・・・共通点は新築の分譲マンションという殺害現場と似通った殺害方法・・・で、やっぱり同一犯でしたという展開。
東京都心のマンションが何と2千万円台(!)という頃の話ですし、今よりも「家を持つ」ことが庶民の夢だった時代です。
だからこその動機ですし、全体としては2時間物のテレビドラマに相応しいようなレベル・・・という印象です。


No.215 7点 マギル卿最後の旅
F・W・クロフツ
(2010/04/08 20:28登録)
フレンチ警部物の代表作の1つと言っていいでしょう。
まさに、これぞ「クロフツ流アリバイ崩し」というべき作品です。
特に今回は、舞台がロンドン~スコットランド~北アイルランドにまたがっているため、鉄道・自動車・船という3つの交通手段をフルに利用したアリバイトリックになっています。
話の進展はいかにも「フレンチ警部物」・・・フレンチが容疑者1人1人のアリバイを丹念に調べ、一旦はすべての容疑者にアリバイ成立!
かと思いきや、一筋の光明が!・・・という展開です。
まぁ、こんな筋立てが嫌いな人には退屈かもしれませんが、私は好きなので・・・


No.214 5点 被告A
折原一
(2010/04/08 20:20登録)
早川書房刊ですが、ノンシリーズの一作。
構成はまぁいつもの「折原ワールド」で、2人の視点が如何にも関係ありげに交互に書かれ、ラストで「実は・・・」という展開。
作品のプロットは、東野圭吾のある有名作品と同種のものですが、出来映えはあちらが数段上のように感じます。
今回は割りと登場人物がマトモな分だけつまらない印象になってしまい、やっぱり氏の作品には「異常な」とか「狂った」人物が出てきた方が、迫力というか面白みが増すような気がしてなりません。
オチもよく分からないしなぁ・・・


No.213 7点 動機
横山秀夫
(2010/04/08 20:12登録)
いかにも作者らしい短編集。
全4作とも水準以上の出来映えだと思います。
①「動機」:警察手帳大量盗難事件の動機は何か? 主人公の苦悩と、対峙する一人のベテラン警官の静かな対決が心に残ります。
②「逆転の夏」:秀作。最後のオチが効いています。人間の弱さが憐みを誘います。
③「ネタ元」:作者らしくマスコミが舞台。ミステリーとは呼べませんが・・・
④「密室の人」:途中でオチに気付いた点がやや割引。
他にも秀作が多いので、こんな評点になりました。


No.212 5点 水車館の殺人
綾辻行人
(2010/04/02 21:53登録)
「館」シリーズ第2弾。
今さら再読してみました。
まぁ、メインのトリックについては言わずもがなというところでしょうか・・・「ゴム仮面の男」が出てくる時点である程度の想定はしてしまいます。
ただ、初読の際は粗さばかりが目に付いたという印象が残っていたのですが、今回再読してみて、思ったよりは「すっきり」した作品だなぁという気になりました。
ただ、いくら無関心でも、さすがに「執事」は気付くだろう!と思わずにはいられません。


No.211 6点 御手洗潔のメロディ
島田荘司
(2010/04/02 21:45登録)
御手洗潔シリーズの短編集。
①「IgE」:一見して全く関係がないと思われた2つの事件が、御手洗の天才的頭脳によってつながる・・・という筋。本作では一番マシ。ホームズ物っぽい雰囲気。
②「Sivad Selim」:ミステリーではない。石岡の悲しいほどの小市民ぶりが涙を誘う?作品。
③「ボストン幽霊絵画事件」:御手洗のボストン留学時代の事件。まぁ水準級というところ。
④「さらば遠い輝き」:ミステリーではない。御手洗の近況を語る内容。
全体としては、御手洗の超人ぶりを見せ付けられるような作品。あまり感心はしませんが・・・


No.210 7点 九尾の猫
エラリイ・クイーン
(2010/04/02 21:36登録)
いわゆる「ミッシング・リンク」をテーマとした古典の代表作。
一見して全く関係がないと思われた多数の被害者をつなぐ”見えない輪”をエラリーが独特の嗅覚で探り当てます。
ただ、割と早い段階でこの「リンク」が判明してしまうところが玉に瑕。読者としては、もうちょっと終盤まで引っ張ってもらって、ラストで鮮やかに解決!という方がスッキリすると思うんですが・・・
確かに、ラストでもう一捻りが控えているので、不満一辺倒ではないんですけどねぇ・・・
動機はちょっと安直かなぁと思ってしまいます。
不満の多い書評ですが、それは期待の裏返しということで、良作なのは間違いないでしょう。


No.209 3点 帝銀村の殺人
篠田秀幸
(2010/03/26 20:57登録)
名探偵、弥生原公彦探偵譚の第5弾。
氏の作品は、多くが「過去作品(主に横溝)へのオマージュ+戦後の未解決事件の考察」という形式です。
本作は、タイトル通り「帝銀事件」の再考察をベースとしていますが、オマージュの方はあまり感じませんでした。(一応、作者によれば「病院坂」と「本陣」らしいですが・・・)
もちろん、「帝銀事件」自体、謎に満ちた不可思議な事件であり、その推理自体は面白いことは面白いんですが、これは別に作者本人の力量ではなく、過去の同種の研究書のつなぎ合わせであり、本人の考えを若干付け加えた程度、という印象が拭えません。
現代の事件については、動機が全くもって納得できません。特に、帝銀事件を模した大量毒殺事件の動機は「それはないだろう・・・」という気持ちにさせること請け合いです。
まぁ、一言でいえば「凡作」なのですが、「帝銀事件」を知るという価値だけはあるでしょう。


No.208 5点 パズル崩壊
法月綸太郎
(2010/03/26 20:43登録)
ほぼ法月綸太郎が登場しない短編集。(ラストの1編のみ登場しますが・・・)
①「重ねて二つ」:①~③は葛城警部が探偵役。実際、「あそこ」に「あれ」を隠しても、どこかでバレるでしょう?
②「懐中電灯」:倒叙形式。本作では1番面白かった。この齟齬に気付くとは、警察も捨てたものじゃありません。
③「黒のマリア」:これは何ですかね? フジTVの「世にも奇妙な物語」に出てきそうな感じ。
④「トランスミッション」:なかなかいい味わい。
⑤「カットアウト」:氏得意の芸術論がベース。「ふーん」という感想しかありません。
他の3つは特に書くこともありません。
まぁ、本作は「本格」ではなく、ちょっと切り口を変えた作品群ということでいいんじゃないでしょうか。


No.207 5点 涙はふくな、凍るまで
大沢在昌
(2010/03/26 20:30登録)
前作「走らなあかん、夜明けまで」の続編。
普通のサラリーマン坂田勇吉を主人公にしたちょっと切ない「巻き込まれ型サスペンス」?!
なんか無理やり書いた続編という感じで、前作より数段落ちる印象です。
主人公が、北海道でロシアマフィアの抗争に巻き込まれながらも、美しいロシア人女性を助けるために立ち上がる・・・という展開はいいんですが、アクションよりもロシアという国の情勢や民族対立について思い巡らせる部分に話のメインが持っていかれており、何か盛り上がりません。
ラストも唐突に終わった感があり余韻もなく、作者の作品としてはちょっと欲求不満が残ります。


No.206 7点 動く家の殺人
歌野晶午
(2010/03/20 18:26登録)
信濃譲二シリーズのラスト長編。(今のところ)
劇中の殺人事件自体は決して褒められたレベルではないと思いますが、何より作品の構成・プロットの切り口がよく、氏のミステリー作家としての力量を感じさせます。
今回、新装版で再読しましたが、霧舎巧氏による「あとがき」がなかなか面白かったです。
霧舎氏によれば、歌野の良さは、何より小説家としての「文章のうまさ」にあるそうです。
一例として、本作においては、ラスト一行の文章が「秀逸」だとの指摘があり、これには私も納得です。
ただ、メインの”騙し”は分かりやすいと思うので、この時点ではまだ「葉桜」執筆時ほどの力量ではなかったということでしょうか。


No.205 6点 砂の城
鮎川哲也
(2010/03/20 18:15登録)
鬼貫警部シリーズ。
典型的な「時刻表アリバイ崩し」物です。
メインの東京・鳥取間のアリバイトリックは、鉄道ファンくらいにしかウケないレベルですねぇ・・・
確かに昔はこういう純粋な「鉄道路線と時刻表の盲点」を付いたトリックが成立していましたが、21世紀の現代ではありえないトリックになってしまいました。(私が最後に読んだ純粋な盲点利用トリックは、多分、西村京太郎「寝台特急『あかつき』殺人事件」)
ただ、サブのアリバイトリックは、解決方法こそ残念ですが、カバンと鍵と週刊誌をうまく絡ませてある点で、さすが「鮎川」と感じさせます。


No.204 6点 連鎖
真保裕一
(2010/03/20 18:06登録)
第37回の乱歩賞受賞作かつ氏のデビュー作。
チェルノブイリ原発の放射能漏れ事件が発生し、食料汚染が問題になっていたという時代背景をもとに書かれていて、時代を感じさせます。
作品としての完成度は高いと思うんですが、”いかにも”「乱歩賞受賞作」という印象が強く残ります。
やっぱり、創作を重ね脂ののってきた頃の作品(「奪取」とか「ホワイトアウト」)に比べ、主人公やワキ役の造形がいかにもすぎて、「今一歩」という感じ・・・
ラストのサプライズも「まぁ、そうなるんだろうな」というレベルです。
ということで評価は厳しめですが、決して「駄作」ではありませんので、一読には十分耐えうると思います。


No.203 6点 花の下にて春死なむ
北森鴻
(2010/03/12 22:13登録)
香菜里屋シリーズの連作短編集。
作者の急死を悼み、手に取る方も増えているのではないでしょうか。
①「花の下にて春死なむ」:表題作であり本書の白眉。本名も本籍も分からない老人”草魚”の生き方に悲哀を感じます。
②「殺人者の赤い手」:ラストで一気に真犯人に迫るところが良い。
③「七回は多すぎる」:暗号モノかと思いきや・・・
④「魚の交わり」:再び”草魚”の謎に迫ります。
あとの2作はいまいち印象に残らず。
主人公のマスター工藤をはじめ、すべての登場人物がどこか文学的で、たいへん品の良い作品に仕上がっています。
ただ、ミステリー的には高い点数は付けづらいですねぇ・・・


No.202 8点 館島
東川篤哉
(2010/03/12 22:03登録)
タイトルどおり、「孤島」(無人島ではありませんが)+「館」モノの一作。
他の方の書評どおり、久しぶりにこれほどの”大掛かり+大胆”トリックに遭遇しました。
確かに、伏線はたくさん張られているんですよねぇ・・・
解決シーンでは「なるほどねぇ・・・」という思いの連続。第一の殺人の動機はどうかと思いますし、細かいところを挙げればきりがないのですが、それを補って余りある面白さでしょう。
ギャグについてはそれほどうるさく感じませんでしたし、これくらいなら逆にこんな書き方にこだわらなくてもいいんじゃないかと思いますけど・・・


No.201 6点 探偵映画
我孫子武丸
(2010/03/12 21:49登録)
初期のノンシリーズもの。
設定自体が変わっていて面白い作品。
ただ、最初から「叙述トリック」ということを宣言して進めており、ある程度ラストが読めてしまうところが玉に瑕かなぁと感じました。
作者の初期作品は、設定やプロットは面白いけれど、それがあまりうまく生かされてないという印象が強いんですよねぇ・・・「0の…」とか「メビウス」とか
ただ、映画に関する薀蓄や技法については面白かったし、参考になりました。


No.200 10点 占星術殺人事件
島田荘司
(2010/03/12 21:42登録)
御手洗潔シリーズ。
200冊目の書評は是非この作品で。
とにかく、現代の本格ミステリーを語る上では、決してはずすことのできない作品であるのは間違いないでしょう。
狂人が書いたとしか思えない手記のとおりに実際の殺人が起き、そして有名な「アゾート殺人」へ・・・
後の御手洗シリーズを考えれば、御手洗がこれほど迷って、考えさせられるシーン・事件というのはあまり思い浮かびません。それだけ、真犯人のプロットが素晴らしかったということでしょうか。
とにかく、当時、「死者が飲む水」→「本作」→「斜め屋敷」と読み続け、作者のミステリー作家としての資質に大いに驚かされました。
(それ以来、5回も再読するほどハマった・・・)


No.199 6点 オレたちバブル入行組
池井戸潤
(2010/03/02 20:41登録)
タイトルが秀逸な長編。
特に、日頃何かにつけ上司に苛められているサラリーマンにとっては、胸がスカッとするとともに、サラリーマンの悲哀をしみじみ感じさせる作品です。
ストーリーとしては、計画倒産に巻き込まれ、その責任を一身に背負わされた主人公の銀行員が、自らの力で立ち上がり、計画倒産のカラクリを解き明かして汚名を注ぐ・・・という展開。
私も願わくは、この主人公みたいに、「白は白、黒は黒じゃ・・・」と常々正々堂々と言ってみたいものです。


No.198 6点 消える「水晶特急」
島田荘司
(2010/03/02 20:34登録)
一応、吉敷刑事シリーズ。
ですが、主人公はファッション誌の女性編集者2人という作者には珍しい設定。
島田氏も「主人公にどんな洋服を着せるか、ファッション誌を片手に考えるのが面白かった!」という「あとがき」を書いています。(想像できませんけど・・・)
本筋の列車が消えるトリックについては、氏にしては実に「現実的」なトリックだと思います。
伏線は張ってあるし、巻頭の鉄道地図を見れば気付く人も多いのではないでしょうか。
ただ、メイントリックありきとはいえ、他の設定が非常にムリヤリ感が強いので、レベルの高い作品とは言えないでしょう。


No.197 7点 てのひらの闇
藤原伊織
(2010/03/02 20:26登録)
まさに、この作者らしい作品でしょう。
やっぱり、主人公の造形がいいですね。
最初は、単なるくたびれた中年サラリーマンかと思いきや、実は深くて底知れぬ過去を持つ男・・・
主人公は、自らの体も省みず、過去に恩義のある男の死の謎を追っていくわけですが、読者の方も途中までは事件のカラクリがどうなっているのか全く分からないまま、終盤を迎えます。
ラストは、糸がほどけるように一気に解決し、読了感もスッキリします。
まぁ、惜しむらくは、ワキ役の方々があまりにも映画的なカッコいい人揃いなんで、なんかちょっとリアリティに欠けるというか、そんな感じはします。

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