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ミステリの祭典

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マニアさんの登録情報
平均点:6.04点 書評数:169件

プロフィール| 書評

No.129 6点 幽霊男
横溝正史
(2008/10/01 00:09登録)
金田一VS幽霊男の対決面白かった!!金田一キレすぎ(笑)
横溝氏得意の猟奇的な装飾殺人の連続でエンターテイメント性は非常に高い。噂ほどグロくなかったけど、死体の「装飾」に対する犯人の徹底ぶりには確かに薄ら寒くなるような怖さがある・・・。

ミステリとしては、トリック、動機ともに強引すぎるのでは?と思うところもあって苦しいが、恐怖系娯楽作品としては大いに評価し得るレベルにある。

個人的にこの事件の犯人は、自分が読んだ全ミステリの犯人のうち「下衆な犯人」ベスト3に入るほどの下衆さ!!


No.128 9点 一の悲劇
法月綸太郎
(2008/09/29 01:50登録)
法月綸太郎作品のマイ・ベスト!また、誘拐ものとしても屈指の傑作だと思う。
退屈せずに、貢を捲る手が止まらず、貪るように読んだことを覚えている。

まず、物語全編を通して途切れることのない緊張感がハードボイルド調で描かれているのが渋い!また、哀れな主人公山倉の心理描写も真に迫って面白い。プロットも瑕疵無く、終盤の二転三転する展開も納得できた。

しかし、結末は救いようのない悲劇・・・。まぁ、山倉の自業自得だね。
主要な登場人物全員が不幸になるという徹底的な悲劇!!


No.127 4点 モロッコ水晶の謎
有栖川有栖
(2008/09/26 19:17登録)
うーん、読後もすっきりしない感じ。

「助教授の身代金」は、緊迫的な誘拐の場面から殺人事件の捜査に切り替わり、最後に全ての謎が解けていくという構図が面白い。真相は予想の範囲内で衝撃度には欠けるが、物語の流れが良い。
「ABCキラー」は、プロットも真相も中途半端な感じ。魅力的な謎がどんどん尻すぼみになっていく感じ。
「モロッコ水晶の謎」は、人間の微妙な心理を突いた変化球作品。でも、自分的にはあの解決はいただけない。もっと、鮮やかな論理を期待してたのに・・・。「狂信者」の恐ろしさを味わえた点でおまけ。

超短編の「推理合戦」が一番楽しめたかも!


No.126 4点 迷路荘の惨劇
横溝正史
(2008/09/23 21:45登録)
ストーリーも真相もゴテゴテとしていて分かりづらい。無駄な装飾を物語に付け加え過ぎた感じ。
なので、魑魅魍魎の巣食う迷路荘の「抜け穴」や「洞窟」の魅力的な冒険譚も心から楽しむことはできなかった。残念だけど、横溝作品の中では質の低い部類だと思う。

でも、ラストは好きだな。金田一の優しく人情味のある人柄が描かれていて、読後感は良い。


No.125 1点 リアル鬼ごっこ
山田悠介
(2008/09/20 00:59登録)
数年前にチャレンジして、唯一最後まで読めませんでした><;てか、中学生の妄想作文のような作品は読むに値しない!著者にはもう一度日本語をよく勉強し直していただきたいのと、まともに「校正」もできない職務不能の担当編集者は直ちに出版業界から立ち去っていただきたい。

しかし、「王様!佐藤姓が気に入らないのであれば、改姓を強制すればよいのでは?」など、つっこみながら読めるので、お笑い(つっこみ担当)養成向けのギャグ小説と見れば腹も立たないでしょう。あとは、カップラーメンの蓋抑え程度の使い道もあるので意外と便利だったりします。


No.124 6点 スイス時計の謎
有栖川有栖
(2008/09/18 00:12登録)
表題作は傑作の名に値するが、他の3作は小粒な感じ。

「あるYの悲劇」は単なるダイイング・メッセージの謎解きで終わらないところが面白い。でも名前の件は・・・。
「女彫刻家の首」は首切断ミステリとしてはオーソドックス。てか、ありきたりすぎ。
「シャイロックの密室」は犯人視点とアリス視点が入れ替わる構成は好き。ただ、これも密室ものとしてはありきたり。
「スイス時計の謎」は質の高いロジックを味わえる作品。分かりそうで分からない、しかし言われてみれば謎が一気に雲散霧消!あんな鋭いロジックで追い詰められたら、犯人は蛇に睨まれた蛙状態でしょう。


No.123 5点 フリークス
綾辻行人
(2008/09/14 21:58登録)
読み終わった直後の感想はイマイチだったが、物語をよく振り返ってみるとジワジワとくる「怖さ」そして「いやらしさ」に背筋が寒くなる・・・。自分はそんな感覚を持った。

「三一三号室の患者」の結末は始め意味が分からなかった。後の「フリークス」でネタバレがあってやっと気づいた(笑)
「四〇九号室の患者」は結末が読めてしまって衝撃度はいまいち。
「フリークス」は本格色が一番強く、ホラーとミステリの融合としてはこれが一番。


No.122 7点 動機
横山秀夫
(2008/09/10 21:15登録)
この作家の短編は本当に質が高い。鬼気迫る迫力ある心理描写は読み手を惹きつけて決して退屈させない。

特にみなさんと同じように、表題作「動機」と「逆転の夏」が素晴らしいと感じた。
「動機」は、「誰が手帳を盗んだか?」と「なぜ30冊もの手帳が盗まれたか?」をメインテーマに、主人公が悪戦苦闘するというストーリーが、警察内部の闇も交えながら語られ面白い。「逆転の夏」も、元服役囚の主人公が序盤から抱く疑惑、苦悩、焦燥感などの負の感情が、衝撃のラストに向かって一気に雪崩れ込んでいく迫力は凄まじい!!

後半の2作品は見劣りするかな?残念。


No.121 8点 マレー鉄道の謎
有栖川有栖
(2008/09/08 03:01登録)
貢数も多いけど、その分内容もとても重厚にできている。ここまでこてこての「本格」長編は気持ちいい。

「時間制限」(こういう設定も好き)のある中で次々に起こる不可解な事件と、それに悪戦苦闘する火村&アリスという全体の構図はスリリングで面白い。決して退屈しなかった。
目張り密室のトリックは派手さ(?)はないが、一つ一つの論理によって組み立てられた種明かしはお見事。それが、第2、第3の殺人につながっていく流れは鮮やか!
しかし、物語中にヒントがあまり提示されていないので、不親切といえば不親切。メインの道具も第2の殺人現場から拾ってきちゃうし。

マレーシアに行きたくなった!!(笑)


No.120 1点 六枚のとんかつ
蘇部健一
(2008/09/05 21:16登録)
賛否両論(?)な様なので恐いもの見たさで手に取ってみたが、残念ながら大外れだった・・・。

自分的には下ネタもOKだし、バカミスも嫌いじゃない。ただ、この作品はただ単純につまらない。また、ストーリー構成も下手。さらに、ミステリとしての質も低い。とにかく酷すぎる><

唯一「しおかぜ⑰号四十九分の壁」の、地図に関するミスリードは自分的にはストライク。それでも「1点」以上は無いなぁ・・・。


No.119 7点 死体を買う男
歌野晶午
(2008/09/01 01:24登録)
過去と現在に跨る作中作と、乱歩と朔太郎による謎解きという奇抜な設定はとても楽しめた。
しかし、結末はどんでん返しも含めてそこまで衝撃的ではなかったかな。また、あの状況で、あの2人がまず双子の入れ替わりを疑わないのは、作中に言い訳があったものの流石に不自然。

でも、アイデアとそこから生まれた全体的なプロットは秀逸。とても良くできていると思う。題名の意味は、自分も奮闘したけど、分からない・・・・。


No.118 8点 第三の時効
横山秀夫
(2008/08/29 23:31登録)
面白い!
別件逮捕や自白強要、警察内部での手柄争いなど、警察に関するネガティブな面も描かれているが、それにもまして凶悪犯を憎む刑事たちの熱が、リアリティとともに迫力を持って迫ってくる。朽木、楠見、村瀬の3人の個性派班長の犯罪捜査に対する強烈なスタンスの違いも面白い。

話は「沈黙のアリバイ」と「第三の時効」が特に好き。「沈黙のアリバイ」は知恵の働く小悪党と警察の駆け引きから意外な事実が明かされていく過程が面白く、ムカつく容疑者が最後に朽木に落とされるのが痛快!「第三の時効」は、悲劇的なラストだが、冷血楠見の賭けには恐れ入る、あんなこと実際できるの?他の話も読みごたえ十分!
あと、楠見班長がなぜあんなに女性を毛嫌いするのか気になる。


No.117 5点 英国庭園の謎
有栖川有栖
(2008/08/27 22:19登録)
暗号ものや言葉遊びは嫌いではないので、それに特化した作品が多いと割り切ればまぁまぁ楽しめた。

「ジャバウオッキー」はこれまでの火村シリーズとテンションが違って楽しめる。
一番好きなのは「完璧な遺書」。犯人の心理描写が面白く、ラストは爽快。ロジックも優れている。
他は普通。


No.116 6点 容疑者Xの献身
東野圭吾
(2008/08/26 14:55登録)
メインのトリックは単純だけど、それに絡めた第2、第3のトラップには舌を巻いた。特に靖子と美里のアリバイには自分も「?」と思っていたけど、真相を聞いて「なるほどォ」と思った。相変わらずプロットは充実している。湯川も含め事件関係者の心理描写も面白い。単純にミステリとしての評価は高水準。

ただ、全く感動はしなかったかな。ネタばれになるから書かないけど。でも、うーん・・ちょっとそこまでやっちゃうのは感心できない。と言うのが個人的な感想。

あと、舞台が学生時代に自分の住んでいたところ周辺だったので、懐かしく楽しかった(笑)


No.115 5点 夜歩く
横溝正史
(2008/08/11 22:21登録)
非常に採点しにくい作品。

最後に、それまでの小説世界をぶち壊す大技!横溝作品でこれをやられるとは思わなかったが、それについては自分にとって明らかにアンフェアでミステリとしては評価できない。しかし、極端な怪奇趣味と昼ドラを遙かに凌駕するドロドロとした人間関係、鬼気迫るド迫力の解決編は読み物としては間違いなく楽しめる。

今回の金田一は珍しく天才(笑)


No.114 7点 仮面山荘殺人事件
東野圭吾
(2008/08/06 01:39登録)
久しぶりの東野ミステリ。叙述ものとして有名なので、前知識はあったものの見事に騙された。地の文の記述については、真相が明かされた後に非常に上手いと感じた。

ただ、終盤のどんでん返しについては、以前にも似たようなパターンを見たことがあるので新鮮味はなかったかな。

無駄に長くなくテンポの良い点はグッド!
ラストに「ざまあみろ」と思ったのは自分だけ?


No.113 7点 人面瘡
横溝正史
(2008/08/04 02:03登録)
短編でも、おぞましい横溝ワールド全開!

各短編に共通するテーマはズバリ「狂気」。人間の内に秘められたどす黒い狂気にとり憑かれた犯人たちが「狂人の理論」により恐ろしい犯罪を犯していく。個人的にはいきなり一発目の「睡れる花嫁」で背筋を凍らせられた・・・。怪異的雰囲気を持つ他作と比べると異色だが、「蛞蝓と蝙蝠」の切れ味鋭いロジックも好き。

「狂気」をテーマにしているため、謎解きに多少強引なところも見受けられるが、ご愛敬か。


No.112 4点 99%の誘拐
岡嶋二人
(2008/07/28 20:50登録)
スピーディな展開は良かった。これぐらいテンポがいいと一気読みできて気持ちいい。個人的には古臭さも特に感じられなかった。

しかし、12年前の誘拐に関することなど、ほとんどの謎の真相がラストに行く前までに明らかにされてしまうので、途中から興ざめ・・・。ラストにもうひと山あるかなと思ったら、新事実も特になく終了・・・「え?これで終わり?」って、消化不良だった。父親の手記の虫食い部分は何だったのか?例のオジサンの犯行を告発するものだったのかなぁ?


No.111 5点 ホラー作家の棲む家
三津田信三
(2008/07/22 21:33登録)
「呪われた家」に纏わるホラーミステリ。しかし、他の三津田作品に比べるとホラー分がかなり多めかな。

前半は特に山場がなく、くどくどしい説明が多くテンポも悪く読みづらかった。そこはデビュー作だから仕方ない気もするけど・・・。しかし、後半の一気に読ませる怒涛の勢いは流石。

ラストがよく分らなかったのが残念かな。


No.110 7点 亜愛一郎の逃亡
泡坂妻夫
(2008/07/20 00:11登録)
前作『亜愛一郎の転倒』に比べると、各短編の全体的な質はやや落ちる。しかし、「双頭の蛸」では鋭いロジックが展開されていて面白い。「歯痛の思い出」も、何気ない人間観察から凶悪事件の真相を看破する流れは秀逸。

でも、何よりこの小説の価値は『亜愛一郎シリーズ』の完結編という点にあると思う。名探偵亜愛一郎と、シリーズ各話に必ず登場する小柄な洋装の老婦人の正体は・・・!!

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