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ミステリの祭典

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幽霊男
金田一耕助シリーズ

作家 横溝正史
出版日1954年10月
平均点5.83点
書評数6人

No.6 5点 ボナンザ
(2021/09/16 20:34登録)
乱歩風のものを狙ったのかもしれないがいやらしさというか鬼気迫るものが感じられず。ミステリとしては中々。

No.5 6点
(2018/11/09 23:25登録)
最後の金田一耕助による謎解き部分を除くと、ほとんど乱歩の『蜘蛛男』系通俗猟奇サスペンスといった感じの作品です。それをかなり論理的に辻褄合わせしてくれるところが、最も意外だったかな…ただ、りゅうさんが<若干のネタバレ>として書かれている部分も、最後の推理の中で言及してくれると、もっと説得力を増したのだがと思えます。作者自身、伏線とするつもりだったのをうっかり忘れていたのでしょうか。
謎解き的には、クイーンの某過渡期作品とも共通する犯人隠匿のアイディア、第2の殺人における犯人が仕掛けたトリックがメインになり、さらに後者における偶然の出来事が重要な手がかりにもなっています。
途中マダムXが登場する活劇部分やストリップ劇場での殺人演出など、ご都合主義も目立ちますが、あまり知られていない正史作品中では佳作と言えます。

No.4 6点 大泉耕作
(2011/11/24 16:58登録)
 久しぶりの横溝長編。書評が悪いのでサスペンスとして読み進めて見ると、読んでいる途中はテンポの良く、ベタなサスペンスの感じもありましたがそれなりに楽しめました。最後の場面を除けばですが・・・。
 悪人だと思っていた集団が実はそうではなかった、関係のないような人物が実は鬼の様な人物であった、と言うなんともドンデン返しの連続的な小説、実写化されたことも頷けます。(ロクでもない映画に決まっている)
 被害者の不自然な行動、アリバイ・トリックなども短編ではまあまあと言ったところですが、これを長編に持って行くとなると難しいのですね。プロットに文句はありませんが、僕がいちゃもん付けたいのは真相のほうなのです。もう一捻り、もう一捻りほしかった。
 それに、人形の必然性がいまひとつしっくりこなかった感が強いです。幽霊男はなんだってそんな人形を作らせたのかがまだ不明のままで終らせてしまい、『犬神家』の例外ではありませんが、冒頭に描かれたあの生き生きとしたキャラクターの行末がどうにもハッキリしないまま終了しているのであともう一賞欲しかった。
マダムXについても、なんの知らせもないまま重要人物に祭り上げられ、犯人と一緒に乗車したときの運転手は本当に幽霊男だったのか、それとも芝居だったのかもハッキリせず、加納先生がいつ人形にすり替えられていたのかも解らず仕舞いのため、謎を多く残します。でもまあ、サスペンスであれば上質の方かな。謎を多く残したから、ある意味ではミステリ小説です。どっちでも良いンです。
金田一も幽霊男には怒りを露にして、等々力警部も奴をけだもの扱い。初頭では面白いキャラだと思っていたのですが、それだけに犯人は意外でした

No.3 6点 りゅう
(2011/09/17 13:27登録)
 再読です。初めて読んだ横溝作品で、角川文庫のカバーのイラストがミイラ男みたいで一番目につく作品でした。
 金田一耕助が登場する、猟奇的な作品で、サスペンス性を強調するあまり、演出過剰のきらいがあります。ストリップ劇場での死体発見場面などは、警察が厳重な警戒をする中で犯人がこの演出を行うのはさすがに無理だと思いました。マダムXなる謎の女性の登場もちょっと唐突に感じます。いろいろ詰め込みすぎて、プロットを複雑にしすぎではないでしょうか。
 幽霊男が誰なのかというのが最大の謎なのですが、それに関するある秘密は途中で明かされます。それよりも、武智マリが殺された理由に関する謎の真相が優れており、犯人を特定する決め手になっています。謎解きとしては、まずまずの作品ではないでしょうか。

(若干のネタバレをしています。注意!)
 幽霊男とみられる人物がタクシーの運転手に扮装して、菊池陽介と宮川美津子を車に乗せる場面があるのですが、さすがにこれは都合が良すぎると思いましたが、真相を知るとご都合主義でもないことがわかります。武智マリが殺された理由に関する謎が面白いのですが、読んでいるだけでは地理的な関係がわかりにくいことが難点です。また、武智マリがハンカチを落としたことを言わなかった理由がよくわかりません。

No.2 6点 白い風
(2008/11/05 20:12登録)
上手くアリバイを利用した作品ですね。
でも、動機を含めたラストは横溝作品らしくない作品かな。
まっ、たまにはこんな動機の作品もいいのかな。

No.1 6点 マニア
(2008/10/01 00:09登録)
金田一VS幽霊男の対決面白かった!!金田一キレすぎ(笑)
横溝氏得意の猟奇的な装飾殺人の連続でエンターテイメント性は非常に高い。噂ほどグロくなかったけど、死体の「装飾」に対する犯人の徹底ぶりには確かに薄ら寒くなるような怖さがある・・・。

ミステリとしては、トリック、動機ともに強引すぎるのでは?と思うところもあって苦しいが、恐怖系娯楽作品としては大いに評価し得るレベルにある。

個人的にこの事件の犯人は、自分が読んだ全ミステリの犯人のうち「下衆な犯人」ベスト3に入るほどの下衆さ!!

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