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ミステリの祭典

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ウィンさんの登録情報
平均点:6.15点 書評数:55件

プロフィール| 書評

No.15 3点 重力ピエロ
伊坂幸太郎
(2010/09/25 12:04登録)
初伊坂幸太郎だった本。
最初にこれを読んで少しがっかりした。
色々と面白いことは聞けたけど、で、本題は何なの?と思ってしまうようなものだった。
とりあえず難しいこと盛り込んどいてやれ!みたいな感じがどうしてもしてしまう。
本題の放火魔の話も面白かったけど、俺は途中にあった桃太郎の話が何とも印象に残った。
まあ、そんなとこが印象に残っても意味ないんだけど。
未だに伊坂作品ナンバーワンには「チルドレン」が居座っている。


No.14 5点 神のふたつの貌
貫井徳郎
(2010/09/25 12:03登録)
重い。とても重い。そして暗い。
明るいシーンさえも暗く思えてしまうほど、作品全体のイメージが暗い。
このストーリーの中心となるのは聖書。
要するにキリスト教である。
キリスト教の信者であり、教会の牧師である早乙女一家を中心に話が進む。
そしてキリスト教を信仰することが悪い方向へ進んでいき、惨劇が生まれていく。
しかし、やはりテーマに宗教が絡んでいるので読んでいてキツくなったと思ってしまった部分も多々。キリスト教について延々と語られている部分は、めんどくさいので斜め読み。いけないとは分かっているけど嫌になってくる。
しかし、嫌になったからといってもページをめくる手は休まない。そこが貫井氏のすごさだろうか。
名も知らぬミステリー作家がこれを書いても俺は一生手に取らない。実力はないのに有名な作家が書いたとしても読まない。やっぱり貫井氏には読ませる力があるんだろうか。
面白いことには面白いが、他の貫井氏の作品とちょっと違う。


No.13 8点 チョコレートゲーム
岡嶋二人
(2010/09/25 12:02登録)
この本が刊行されたのは、ずいぶんと前だ。
年号がまだ昭和のとき。
それにも関わらず、この作者は何年も先のことを予想していたのか、引きこもりなどの問題を取り入れている。
おそらくこの本が刊行された当時は引きこもりなんて、あったとしてもそんなに問題視されていなかっただろうし、そもそも問題ですらなかっただろうと思う。
そして、ストーリー自体も非常に面白い。
しかも読みやすい。
あっという間に読めてしまった。この作者の作品で今読みたいのは「クラインの壺」と「99%の誘拐」。
ハマってしまいそうだ。


No.12 4点 愚行録
貫井徳郎
(2010/09/25 12:02登録)
確かに愚行。
愚行だらけかもしれません。
話は終始殺害された田向一家に関係のある人たちがインタビューに答えるという形で展開していきます。
最初の方はそうでもなかったんですが、最後の方になるにつれて、早稲田大学では大学から入った人を内部進学をした人が結構差別的な目で見てるとか、何かどんどんブラックになっていきます。
最初は田向夫妻も「いい人」っていう印象を与える話だったけど、最後になるにつれて良い地位、印象を人に与えるために行っていた愚行的なことがバレていきます。
どうもこういうインタビュー的な形式は途中でしんどくなってくるので好きじゃないので評価は星二つです。


No.11 8点 天使のナイフ
薬丸岳
(2010/09/25 12:01登録)
この「天使のナイフ」の最後に掲載されている選評で乃南アサさんは「天使のナイフの一人勝ち」だと言っている。
俺は他の候補作を知らないから分からないが、この「天使のナイフ」を読んでみたところ、確かに一人勝ちだったのかもしれないと思ってしまった。
少年法問題という難しいテーマをミステリに盛り込み、さらにそのミステリ自体も意外な結末もあり、ちゃんとしたものに仕上がっている。
最後まで読んでみた思ったのは、少年法というのは難しいものだということ。
更正させるのが一番なのかもしれないけれど、厳罰を与えるべき者もいるかもしれない。
更正させるなんてこと、なかなかできるもんじゃない。
それならいっそ、少年法なんて作らずに普通に懲役や死刑を適用してみるのもひとつの手だと思う。


No.10 4点 鎖の環
高木彬光
(2010/09/25 12:01登録)
俺は本格ミステリが読みたかったのだ。
やっぱりこの人の作品なら「刺青殺人事件」から読むべきだったのだ。
あー、ミステイク。
これは検事を主人公とした短編集。
本格ミステリというよりは、土曜サスペンス劇場みたいな感じの作品集。
どうも、しっくりこなかった。
探偵でなく検事だからだめだったのだろうか。


No.9 8点 支那そば館の謎
北森鴻
(2010/09/25 11:57登録)
おもしろい。
京都人なもので、さらにおもしろい。
特にこの話によく出てくる大悲閣千光寺のある嵐山辺りはよく行ったことがあるので、さらにおもしろい。
地名とか、寺社名とかがほとんど知ってるものばかりで、行ったことがあるものがほとんど。
京都をあまり知らない人が読むのもいいけど、京都人が読んでみるのもいいと思う。
収録されている六編の中でオススメなのは「鮎踊る夜に」と「支那そば館の謎」かなあ。
そしてすごいことに文庫の解説を書いているのは、なんと大悲閣千光寺の住職。
ふと思ったけど、北森さんって、読んでいて思わず唾が出てしまいそうな料理屋を書くのが、とても上手。
この話では居酒屋十兵衛がそうです。


No.8 7点 弥勒の掌
我孫子武丸
(2009/08/28 09:09登録)
宗教と終盤に用意されている仰天の結末。
こう宣伝されては、どうにも興味を魅かれてしまう。
結果、全体としてはそこそこ面白かった。
しかし思ったほど驚かされなかったし、宗教をテーマにしたミステリにしても他にこれを上回る傑作がある。
そんな感じ。


No.7 8点 神様ゲーム
麻耶雄嵩
(2009/08/24 17:49登録)
グロい。
グロいわ、これ。
「かつて子供だったあなたと少年少女のためのミステリーランド」とはよく言ったもんだと思う。
こんなもの子供に読ませちゃ、子供が不眠症になる。
まだ登場人物が大人ならいいが、子供だからいっそうグロテスクだ。
しかも主人公の子供が好きな女の子には秘密があり、その秘密は物語中でも明かされるが、信じられないものである。
ありえない、とはこのことである。
でも大人が読むには、なかなかいいものになってると思う。
注意するのは「お子様の手の届くところにおかないでください」ということ。
R15指定くらいだ。


No.6 8点 竹馬男の犯罪
井上雅彦
(2008/01/14 11:57登録)
この作者は「異形コレクション」の編者としての印象しかなかったのでミステリを書いていたとは驚きである。
嘗てはサーカスで超人的な芸を誇った者たちが、集う養老院で起こる事件。作品全体に何とも幻想的な雰囲気が漂う。所謂幻想ミステリというものではないかと思う。
巻末の解説にも「日本ミステリ界に唯一無二の存在」といったようなことが書かれているが、まさにその通り。
こんなミステリは今までに読んだことがなかった。非常に新鮮な気持ちで読める。


No.5 10点 厭魅の如き憑くもの
三津田信三
(2008/01/12 21:11登録)
横溝正史の作品のような世界観である。
最後まで読み終わると、これはホラーなのかミステリなのかよく分からなくなり、最後に妙な恐怖感が残った。
上手くホラーとミステリが融合している作品だと思う。
民俗学が絡んでくるのも、そういうミステリが好きな者としては嬉しい限りである。


No.4 10点 地獄の奇術師
二階堂黎人
(2008/01/12 21:07登録)
正直、トリックはそれほどすごいものでもないのだが、江戸川乱歩が好きなので、この世界観はたまらない。
怪奇的なストーリーにかなり楽しませてもらった。


No.3 4点 ペトロフ事件
鮎川哲也
(2008/01/12 21:04登録)
アリバイトリックものは苦手であり時刻表まで絡むとついていけない。
ただラストを知ると、ただのアリバイトリックものではなかったことに気づき、さすが鮎川氏!と恐れ入る。
しかしラストに至るまでのアリバイ崩しに疲れた。


No.2 10点 消失!
中西智明
(2008/01/06 21:57登録)
一度だまされたと思ったら、更にまただまされる。
どんでん返しの繰り返し。
読み始めた時は、普通のミステリ、いやそれどころか中の下だな、と思ったのだが、読み進むにつれて次第にこの文章に無理のある感じも納得できて、「やられた!」と思うのである。
「『葉桜~』の結末には驚いたなあ。」
と言ってるようじゃ甘いと思う。
とにかくこれはすごいです。


No.1 9点 しあわせの書―迷探偵ヨギガンジーの心霊術
泡坂妻夫
(2007/11/13 23:24登録)
ストーリー自体は何の変哲もないミステリ。
しかし最後の最後にあっと驚く大仕掛けが待っています。
作品の中にとらわれず、今我々が手にとっている文庫本という形態自体に仕掛けを施した手品師である泡坂氏ならではの作品ではないでしょうか。

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