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ミステリの祭典

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神のふたつの貌

作家 貫井徳郎
出版日2001年09月
平均点6.14点
書評数7人

No.7 7点 虫暮部
(2019/09/10 16:07登録)
 静謐な筆致で描かれた、反語的な宗教批判の物語。次は誰を殺すんだろう? とワクワクしながら読んだ。結末には私の中でも賛否両論あって、不思議なカタルシスを感じた反面、変わらぬ営みをしれっと続けて欲しかった気持もある。

No.6 5点 yoneppi
(2013/05/22 21:57登録)
デビュー作もそうだったが、この人の叙述トリックは分かりやすすぎ。でもプロットは面白い。ラストがちょっと…。

No.5 5点 ウィン
(2010/09/25 12:03登録)
重い。とても重い。そして暗い。
明るいシーンさえも暗く思えてしまうほど、作品全体のイメージが暗い。
このストーリーの中心となるのは聖書。
要するにキリスト教である。
キリスト教の信者であり、教会の牧師である早乙女一家を中心に話が進む。
そしてキリスト教を信仰することが悪い方向へ進んでいき、惨劇が生まれていく。
しかし、やはりテーマに宗教が絡んでいるので読んでいてキツくなったと思ってしまった部分も多々。キリスト教について延々と語られている部分は、めんどくさいので斜め読み。いけないとは分かっているけど嫌になってくる。
しかし、嫌になったからといってもページをめくる手は休まない。そこが貫井氏のすごさだろうか。
名も知らぬミステリー作家がこれを書いても俺は一生手に取らない。実力はないのに有名な作家が書いたとしても読まない。やっぱり貫井氏には読ませる力があるんだろうか。
面白いことには面白いが、他の貫井氏の作品とちょっと違う。

No.4 6点 シーマスター
(2009/09/13 23:56登録)
これはトリッキーな仕掛けがあるにはあるが、ミステリではないだろう。
では何なのか・・・これは「神とは何なのか」という人類の永遠のテーマの一つに対する、(恐らくキリスト教に強い関心を抱いている)作者なりの纏りのつかない考察の過程を記した書・・・・と言っても大ハズレではないかもしれない。
しかしキリスト教に対する冒涜になりかねない内容でもある。

ストーリーは、聖職者の家に生まれついた少年が「先天的な特殊な疾患」と「ある熱心な信者の独自の対神解釈」により自らの裡に育ててしまった狂気的な救済論から生じるラプソディを核とするものだが、構成に仏教的な輪廻を大きく絡めている点は興味深い。

ラストは・・・・良識ある読者の多くは眉をひそめるものかもしれないが、自分は・・・決して主人公に感情移入したわけではないが・・・あまり悲惨なものではなく清々しささえ感じさせるエンディングでホッとしたというのが正直な感想。作者もどう落とし前をつけたらいいのかわからなかったのではないか、とも思う。

No.3 6点 いけお
(2007/10/10 11:55登録)
トリック自体は思い返すと単純なのに、読んでる最中はなぜか「そう来るか!」感じました。
宗教色のある人物の内面を描き込んだ重い感じが好きです。

No.2 5点 T・ランタ
(2005/08/07 11:28登録)
貫井作品の暗さはいまさらですが、本作はそのテーマのためか宗教色が強く出ているように思えます。そのためか叙述トリック(分かりやすい)も重要性はかなり低いようです。
ただ、他の貫井作品と比べるとリアリティーはあまりないように感じられます。(特にトリック)
さらに言えば暴力や殺人により、『これでこの人は苦痛から解放される』という考えはいかがなものか。この辺りもう一捻り欲しかったです。

No.1 9点 Katoyuki
(2003/06/12 14:21登録)
青春小説、もしくは文学として読み込める作品です。
痛覚の無い人間は、一体何を持って痛み(精神的なものを含め)を感じればいいのか…。
総じて、神というものの存在について考えさせられました。
文体自体も淡々としているので、いっそう悲愴感が漂っていたように思います。休憩を挟まず一気に読み通しました。
ただ、ミステリの一要素のみ(ロジック・リアルなトリックなど)を求める読者にはあまりお勧めできないと思われます。

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