使命と魂のリミット |
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作家 | 東野圭吾 |
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出版日 | 2006年12月 |
平均点 | 6.40点 |
書評数 | 15人 |
No.15 | 6点 | 斎藤警部 | |
(2024/07/26 19:48登録) 【心臓血管手術】なるものを巡り、全く性質を異にするサスペンスフルな二つの事象が同時進行。 どちらも過去の「死亡事故」がその根底にある。 女は父親を亡くし、男は◯◯を亡くした。 女は事故そのものに疑念を抱き、男は事故の◯◯◯◯◯◯◯◯◯を怨んだ。。。 爆発的リーダビリティで呆気なく終わってしまうこの長篇、人間ドラマは厚いが、ミステリーは薄い。 これを逆に "ミステリーは薄いが。。" と結果的に褒める言い方には出来かねる無念さが、本作に露呈された何らかの弱さを象徴している。 何より、俺の東野らしい "仕掛けて攻める" スピリットが希薄だったのが悔しい。「話の前提」から既にミスディレクションの暴風が吹き荒れて・・・いたわけではなかったし(それ期待したんだけどなあ)、数々のあからさまなほのめかしはあからさまなだけだった。 きれいごとパラダイスみたいなくだりもあり、しかしこれこそ東野の野心的な仕掛けではないかと期待もしたが・・ 後半少しして東野らしいアレの雫が速やかに沁み渡り始めたかな・・と思ったものだが・・ ガッツは最高、頭の冴えは意外と標準以上程度の某刑事の存在も今一つピリッとしねえし・・ タイトルはこんなに思わせぶりなのに・・ だがそれもこれも厳しい厳しい東野基準内でのこと。6点より下げる事はとても出来ない夏の(?)快作です! ちくしょう、このアクティヴエンディングは泣かせるじゃねえか!! |
No.14 | 6点 | パメル | |
(2021/05/26 09:38登録) 研修医の氷室夕紀は、父を大動脈瘤の手術で亡くしている。現在はその時、執刀医であった西園教授の下で働いている。氷室はその手術に疑いを持っていた。その二人の勤務する帝国大学病院に、過去の医療ミスを公表しないと病院を破壊するという脅迫状が届く。 患者を診る医師を、研修医が疑いの目で見ている。患者の体をモニタリングしている病院の動向を、犯人が探る。その犯人を警察が追う。この作品では、監視する者を監視する視点から語られる部分が多い。このような描写は、各人の視点や立ち位置のズレを効果的に表現する手段にもなっている。 結末に関しては、性善説に傾きすぎてはないかと、賛否が分かれるでしょう。しかし、噂が広がり病院の信頼性が揺らいでいく過程は、リアルだしサスペンス性も高く惹きつけられる。そして技術の精度以上に、意識の持ち方が信頼性を決定するという事実を見事に描き上げている。 不満な点は、犯人の下準備を含めた犯行計画、実行があまりにも綱渡り的で杜撰にもかかわらず成功していくところ。もっと違った方法があっただろうと思えて仕方がない。 |
No.13 | 4点 | 邪魅 | |
(2017/03/01 07:44登録) 端的に言って謎があまり魅力的でなかったです 良くも悪くも東野圭吾らしい作品であったことは確かですが、起伏に欠けて少し退屈するきらいがありました 読みやすい文体なので最後まで読むことは出来ましたが |
No.12 | 8点 | Tetchy | |
(2014/07/06 17:16登録) 東野圭吾初の医療ミステリ。大学病院を舞台に脅迫犯による大動脈瘤切除手術の妨害工作と医師たちの必死の救命劇、そして刑事と犯人との息詰まる攻防を描いたサスペンス作品となっている。 刑事と医師と脅迫犯の三つ巴の攻防を描いた本書はミスによる死が生んだ奇妙な復讐劇である。 加害者側は論理的に問題を分析し、正当性を見出そうとするが、人を亡くした人には論理よりも感情が先に立つ。そこがこういった外的要因による人の死の加害者と被害者に横たわる深い溝なのだろう。 そしてそれら情念の炎が消えないままで、自分の大切な人の命を間接的に奪った人が目の前に、手の届くところに現れたら、その人はどうするだろうか? そんな心のしこりを抱えた人々が奇妙な縁で絡み合う物語だ。 『殺人の門』、『さまよう刃』、『容疑者xの献身』と東野圭吾はやむにやまれず殺人を犯さずにいられなかった人々の姿を描く。そのいずれも大事な物を奪われた者に対する復讐だったり、自らの安心を得るために思わず犯してしまった殺人だったりと、よんどころない事情で犯さざるを得なかった犯罪だ。そのため、その物語を読む読者は犯罪者側が捕まらずに本願成就することを望むかのように応援するような心理に陥ってしまう。 本書の直井穣治もそんな復讐者の一人だ。 但し一方で復讐が成就されることを望みながら、彼の行う犯罪で犠牲になろうとする患者がいることで読者に迷いを生じさせる。つまり犯罪はどんな動機であれ、許されるべきではないことをきちんと東野は描く。この辺の微妙な匙加減が非常に上手い。 ただ本書ではいくつか疑問に思う点があった。 その中でも最も大きいのは犯人が病院に2度目の脅迫状を受付の診療申込書に紛れて来客に見つけさせるシーンだが、なぜ警察は監視カメラをチェックしないだろうか? 監視カメラはあると書かれているのに一切その件については触れていない。どんな警察でも監視カメラをチェックするのは当然だと思うのだが。 |
No.11 | 3点 | ムラ | |
(2013/04/25 18:43登録) 相変わらず、この人のレパートリーの広さと作品の水準には驚かされるけど、それだけに今回は良い作品で終わってしまった気がする。 セオリー通りな医師物語に、セオリー通りな運び方で面白かったは面白かったけど、物足りなさを感じてしまう。もちろん、気持ちのいい〆をしてくれたことには感謝なんだけど。 裏切ってほしいとかそういうんじゃなくて、ちと淡々とし過ぎたというか。 最後の、西園先生の心臓発作はいらなかったかなぁ。 自分の中で東野さんの作品は、読了後に正義を問いかけられるような重さを感じる作品が相性がいい気がする。 |
No.10 | 7点 | ドクターマッコい | |
(2013/03/05 08:00登録) 登場人物のつながりが、偶然過ぎるきらいがあるものの 展開が素晴らしく最後まで楽しめました。 作家さんのレパートリーの広さにただ感心するばかりです。 |
No.9 | 5点 | mozart | |
(2011/05/29 10:19登録) そこそこ緊迫感を維持する「サスペンス感」はさすがだと思います。読後感は悪くないのですが、ちょっと重さが足りないかも。でも、教授、オペ後に発作を起こすような自己管理で大丈夫なんだろうか? |
No.8 | 7点 | ウィン | |
(2010/09/25 12:16登録) 最初の方は淡々としていてつまらない。 ただ中盤辺りからの盛り上がりは、とても心地よい。 次々と分かってくる人間関係。 最初に出てきた何の関係があるのか分からない人物同士が意外なところで結び付けられる。 そして、新たに起こされる事件も、とても悲しいもの。 最期に切なさの残る作品である。 ちなみに、犯人の犯行も理系の東野さんならではのトリックが今回も使われている。 |
No.7 | 6点 | Take | |
(2010/03/06 01:44登録) 十分、満足いく作品だった。けど、なにかちょっと物足りなさが・・・。 もっと裏切ってほしいのかも。 |
No.6 | 7点 | いけお | |
(2009/06/11 02:01登録) 流れは安易に想像がつく通りの範囲だが、二つの場面のシンクロやテンポがよく無駄がない、専門的な部分に退屈しない等非常に完成度が高い。 |
No.5 | 8点 | VOLKS | |
(2008/08/08 22:23登録) 研修医の葛藤をメインに据えながら、実際の事件はその外側にある。ストーリーが平行して進んでいく面白さを十分に味わえた。個人的には、メインの話よりも事件の犯人とその背景・関係者との絡みの方が面白く、またラストの展開もより好みだった。ただ、研修医の亡くなった父親の口癖は、いいですね。 うまいなー、東野。 |
No.4 | 7点 | COBRA | |
(2008/06/13 13:53登録) 医療界を舞台に 登場人物、現状、過去が最後に向けて盛り上がる サスペンスに夢中! |
No.3 | 6点 | こう | |
(2008/06/02 01:09登録) 相変わらず一気に読ませるストリーテリングの力を感じます。但し犯人の人格を掘り下げているのは良いのですが悪人になりきれない部分がわかりやすく、事件の結末は予想通りでした。 東野作品は特にサスペンスでは書きたいテーマを選んで書いていることが伺えますがテーマの掘り下げ方としては天空の蜂には及ばないかなと思います。 サスペンスとしては正直物足りないですが楽しめました。 |
No.2 | 8点 | 白い風 | |
(2008/04/02 20:13登録) 医療現場で起きる脅迫事件。 比較的特殊な環境の話でしたが難なく読めました。 話の結末等は想像可能な範疇でしたが、それでも最後まで楽しめました。 改めて「東野作品が好きだなぁ」と思いました。 |
No.1 | 8点 | akkta2007 | |
(2007/07/21 21:14登録) 心臓外科医を目指す主人公を中心に物語が進められる、医学サスペンスである。 たくさんの東野作品を読んできたが、医学サスペンスとなると初めてでは、との気もする。 とにかくおもしろく、夢中になれる作品には間違いないと思う。 手術室での過去の記憶を探ろうとする主人公、そのような中でまた新たな事件が起きる。 読み始めると、ついつい先が気になってしまう作品である。 興味のある人はぜひ一度読んでみてほしいものである。 また、これからの東野作品にも期待をしているところである。 |