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ミステリの祭典

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奇面館の殺人
館シリーズ

作家 綾辻行人
出版日2012年01月
平均点6.37点
書評数35人

No.15 7点 測量ボ-イ
(2012/09/21 19:51登録)
「何故首を切ったか」「何故関係者が仮面を被せられたか」
この理由づけが面白く、納得のいくものでした。
ただ犯人を特定する論理はもう一つかな?2つある理由の特に
後者は普通気づきませんよね。
採点は6点レベルかと思いますが、いつもながら雰囲気作りは
秀逸なので、プラス1点。

No.14 5点 simo10
(2012/08/31 23:08登録)
--ネタばれ含みます--

館シリーズ第十段。いよいよラスト一作を残すのみ。
内容はここにきてある意味まさかの大雪クローズドサークル。さらに主要人物が全員顔をすっぽりと覆う仮面をかぶらされてしまうという、漫画をも超えるベタな本格ミステリの展開です。
しかし何故かいつものオドロオドロ感は影を潜め、殺人もなかなか起きず、退屈な展開が続く。やっと事件が発生、期待通りの猟奇的殺人ではあったがなぜか登場人物達は大人しく、盛上がらない。検証も進み、いよいよ犯人、トリック、数々の動機が明らかに。おお、非常に論理的だ(というか細かいな)。さらに綾辻氏得意のアレも炸裂。おお、そういうことか(でも騙された~って感じじゃないんだよな)。
‥う~ん、評価が難しい。しっかり本格はしてるし猟奇的だし叙述もあるしバランスも取れているんだけど。ここまでページをめくる指が重かった館シリーズは初めてかもしれません。やはり館シリーズの根源ともいうべきオドロオドロ感が全く感じられなかったのが一番効いてるかな。あと登場人物が背格好の似たオッサンばっかてのも痛いかな。

No.13 6点 ミステリ初心者
(2012/06/20 11:52登録)
ネタバレあります。



 館シリーズをこれだけ出していて、またまた騙されてしまいました。楽しめました。

 仮面の状況や首無し死体は、誰かが入れ替わっているとか、そういうものを期待していたor無意識に決め付けていたんですが、それ自体罠で、入れ替わりはかなり早くに起こっていたのは、かなりミスリードだと思いました。

 叙述トリックが恒例ですが、今回も見事にだまされました。たしかに、あれはまだ使われてない。こんなところにもまだ叙述トリックがあったか…うまい。

 不満な点は、頭を切らなくてはいけなかった状況。
閉じ込められてしまったから→どうせ館シリーズだから抜け道が…と思ってしまう。サロンに用があるかと思った。抜け道自体はあったけど、閉じ込められて困るという状況は、作者の勝手で、どことどこがつながっているのかをあらかじめ示してほしい。
抜け道の鍵が頭(仮面が取れないので)→作者が首無し死体の状況を作りたかっただけじゃ?

 犯人を一人に断定するロジックは、かなり難しいというか、少ないし薄いという印象。やっぱりこのひとの作品はロジックよりトリックという印象

 過去館シリーズを上回るものではないかもしれませんが、十分に面白く、どんでん返しのある作品です。

No.12 6点 好兵衛
(2012/06/12 17:19登録)
館シリーズも、後一作ですか。淋しいなぁ。

今回の奇面館、引きは抜群。
シュチュレーションというか、設定。
いかにも綾辻さんっぽいというか。

いろんなところに、いろんな謎が盛り込んで
ありそうなワクワクさせる引き。

ただ、館シリーズっぽさは
暗黒館で思いっきり盛り込んだせいか
今回は軽めな感じがしますね。

大きな仕掛けは、流石!面白いと思いますが、
もう少し違う感じで使えなかったかな?
少々、小出し感があります。

事件の少なさと、犯人特定が
相当読み込まないと、
流してしまうというところ
が少しマイナス。

全体的に地味ですが、
館物、本格好きな人向けで。
暗黒館と比べて読むとバランスがよく
シリーズとして面白いのではないでしょうか?

No.11 6点 HORNET
(2012/06/03 19:37登録)
 ファンとしては待望の館シリーズ最新刊。名前すらはっきりしない各人物の登場の仕方、全員が仮面を被るという設定、中村青司設計の館と、疑いどころ満載の物語展開で、読者もいろんな想像をめぐらせて推理し放題。つかみどころがなさすぎる感もあるが、この「妖しさ」は館シリーズ本来の魅力でもあり、久しぶりに堪能した。
 事件の凄惨な様相、強引なC.C設定も待ってましたの満足感。ただ、事件が結局一件だけであったこと、解決の決め手にパンチがなかったことなどがやや物足りなかった。
 最終作はいつになるのだろう。待ち遠しい。

No.10 7点 虫暮部
(2012/03/07 16:20登録)
 『暗黒館~』のような大作志向ではなく、比較的軽め(あくまで比較的、である)の一冊であることについて、物足りない気持ちが半分、いやいやあれがもう一本あったらたまらないよなあという気持ちが半分。
 犯人を特定する手がかりがアレだけ?というのはちょっと腰砕け。
 作品の良さそのものよりも、此処でこういう作品を出してくる戦略的な上手さで“館シリーズ”を巧みに転がしたという印象はあるが(別に悪いことではない)、それも含めて、キャリアの長い作家に付き合う愉しさを感じる。

No.9 6点 kanamori
(2012/03/05 23:10登録)
久々の「館」シリーズの本書は、初期作を思わせるゲーム性が前面に出ていて懐かしい感じがした。「十角館」から四半世紀、齢50を過ぎた今でも、このようなモノを書いてくれたことに感謝。

季節外れの”吹雪の山荘”、仮面を付けた登場人物たち、首なし死体などなど、繰り出されるガシェットはいい。終盤の名探偵・鹿谷による重層的な推理の開陳もスリリングでよかった。
ただ、動きの少ない中盤の展開はじりじりさせ、招待客たちが名前でなく仮面の種類で紹介されるので分かりずらい面もあった。登場人物表があれば助かったのですが(笑)。
エピローグは蛇足の感。最後のジャック・フットレルの命日というのは何のつながりもないように思える。

No.8 7点 白い風
(2012/02/25 22:43登録)
「館」シリーズ第9作ですね。
相変わらず特殊空間でのお話だけど、それが「館」シリーズの良さですよね。
第1作目の「十角館」のような雰囲気もあって私は楽しめました。
ただ、もう9作目になると中村青司の建築物だから、密室状態と云われてもね(笑)
(絶対、抜け道があるもんね(笑))

最後となる第10作目、本当に楽しみですね。

No.7 7点 mozart
(2012/02/22 16:44登録)
久々の「館」シリーズということで、それなりに期待しながら(前(々)作のこともあるので、「裏切られる」こともある程度覚悟しながら)読みましたが、結果的には、随分と読みやすかった割に、「本格」色も十分濃くて、かなり楽しめました。まだまだ綾辻先生も「現役」なんだ~、と再認識(失礼)しました。シリーズ最後となるであろう次作にも十分期待できそうです。
[ややネタバレになるかも]特に、登場人物に鍵のかかる仮面をかぶせたことが、犯人だけでなく、作者にとっても好都合だった、というところなども秀逸だと思いました。

No.6 6点 ムラ
(2012/02/09 06:43登録)
シチューエションだけ見ればいつもよりもオドロオドロしい感じだが、登場人物全員が大人しいのでこれまでと違って妙なほのぼの感があった。
ただ無理やりパニックになるようなシチュはあまり好きじゃないのでこの構図はけっこう読みやすかったかな。もうちょっと暗黒館のような幻想っぽさが欲しかったけど
「いつものトリック」は作者が最後のほうに作品内で「大変だったよ!と鹿谷に言わせた割には(実際大変だったのだろうが)」そこまでインパクトがなかったのは残念。
ただそれ以外のトリックも合わせて上手い感じで〆てるとは思った。というより今作はロジックミステリーっぽかった
次回でこの館シリーズも最後だが、デビュー作でもあるこのシリーズをどう終わらせるのかは楽しみだ。
せっかく最後なんだから、暗黒館並みのボリュームと十角館並みの新鮮な驚きが欲しいところ。(という無茶鰤)

No.5 6点 マニア
(2012/01/25 00:54登録)
十角館から数えて九館目の館。今度は東京都の山奥、季節外れの大雪に閉ざされた「奇面館」が舞台。

事件の様々な「なぜ?」が大きなテーマになっており、それらの謎が一つの真相にまとまる結末はよく練られていると思う。
もう一人の自分を探す館主・・・。鍵のかかる仮面の装着を強制された背格好や生年月日などが酷似した招待客たち・・・。舞台を襲った10年ぶりの大雪・・・など、様々な特殊状況がミスリードも含め真相の解決に一役買っているので満足。

ただ、「館」シリーズ最新作としてはややパンチに欠けるかな。十分面白かったがもっとおどろおどろしい大作を期待した・・・。

No.4 7点 makomako
(2012/01/21 19:33登録)
待ちに待った綾辻氏の館シリーズの最新版。わけのわからない招待状や館では全員が仮面をかぶらないといけないなんてーーー。 
 よ!でました本格推理小説!!。といった始まりにこころが浮き立つ。
 物語はミステリーマニアが気づきそうな事柄については丁寧に否定しながら展開する。実に創の少ない推理小説で、作者は時間をかけ細心の注意を払って書いたのでしょう。きちんとした本格物なので当然あちこちに伏線も張ってありそうと思って読むこととなる。 ただ仮面をかぶっているので人物が実に分かり難く説明はくどいのですらすらとはとても読めなかった。
 私は鹿谷の推理がそんなに弱いとは思わなかった。
 綾辻氏はもうこんな小説は書かないと思いつつあったのをきっちりと裏切ってくれた。 
 次作が楽しみ。なるべく早めに書いてほしいものです。

No.3 6点 スパイラルライフ
(2012/01/20 16:50登録)
過去の館シリーズと比較して、シンプルな設定。その割にはページボリュームですが、リーダビリティが高く、サクサク読めます。

秘密部屋や隠し通路などのカラクリは館シリーズにはツキモノだし、過去シリーズ読者にとってはギリギリフェアな作品だと思います。
一応伏線もあるし。

綾辻氏に期待するのが、個人的にはアッと驚くトリックで本作品は、ややパズラー志向であるためこの点数。

平均的に高いレベルの良作で誰でも楽しめるため、そこは流石!ですが時計館や十角館こそ綾辻氏と思う方には小粒かもしれません。

No.2 7点 メルカトル
(2012/01/19 22:21登録)
待望の館シリーズ第9弾、待たされた甲斐はあったかな。
実に丁寧に描かれていて、それだけに前半殺人が起きるまでまわりくどい感じは拭えない。
しかしさすがに「館」は本格の芳ばしい香りが漂っていて、楽しませてくれるのは間違いない。
被害者の首を切った理由、招待客全員に仮面を被せた理由、指を○○した理由などは十分納得できるが、殺人を実行した動機だけはいかにもありきたりでやや拍子抜け、これはちょっといただけない。
それと、前のお二方も書かれているが、鹿谷の推理はややもすると推測と偶然に過ぎない部分があるのは否定できない。
とまあ、色々あげつらったが、細かい点まで緻密に書かれていて好感が持てるし、「館」ならではの趣向が満載で、本シリーズのファンは間違いなくその世界観を存分に味わえると思う。
随所に伏線が張られているのも、高評価。
しかし、読者によっては、ジリジリするような苛立ちを感じるかもしれない気がするのは、ちょっぴり残念な点ではないだろうか。

No.1 6点 シーマスター
(2012/01/17 20:31登録)
ひっさびさの本家館シリーズ、個人的には黒猫館以来の感。
で、西暦二千二桁代にもなっての今更ながらの「仮面モノ」(設定は1993年というのがまた上手い)・・・どう料理してくれるのかと思いきや・・・確かにこんな仮面モノはなかっただろう、というより既存の仮面モノのイメージを巧く利用しているといってもいい。

雰囲気も懐かしい「あの」館シリーズ・・・・・どちらかというと水車館や迷路館に近い感じを覚えるが、(あとがきにも書かれているように)物々しさ、おどろおどろしさはそれらに比較すると明らかに薄いアトモスフィアになっている。(これもあとがきに書かれているとおり)作者も大人になりすぎちゃったかなぁという感も。

ミステリ的には、謎の形はとてもソリッドでパズラー心をくすぐられるものだが、推理過程は若干?な部分も・・・相変わらず細かい伏線を多用した上で、一見緻密な論理で詰めているようにも思えるが、よく吟味すると鹿谷の(確固たる論拠の乏しい)推測や単なるひらめきを積み重ねた部分も少なくない考証の上の解答、という印象は拭えず、ミステリ三昧さんの仰るとおり自分もロジックの緩さは気になりましたね。それでもトータルとしては館シリーズの阿部怜二といったところか。

まぁ何だかんだ言っても、やっぱ「館」は新本格王道の香りに溢れていていいなぁ。 綾辻さん、あと一作と言わずに。

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