home

ミステリの祭典

login
仮題・中学殺人事件
スーパー&ポテト・シリーズ

作家 辻真先
出版日1975年12月
平均点5.30点
書評数10人

No.10 6点 クリスティ再読
(2024/02/21 11:21登録)
さて本書も伝説の朝日ソノラマ「サンヤングシリーズ」の一冊。このシリーズでも主人公設定がやや児童書寄りな作品も多いが、中学生主人公の本書あたりは「超革命的中学生集団」と並んでラノベの元祖と捉えてもいいかな。とくに本書の場合には「青春」の香りが出ている。
「青春」ってけして明るいものじゃない。本作は「読者が犯人」というメタミステリの趣向があることで有名だし、アリバイトリックや密室もあってパズラーのお約束をてんこ盛りにしていると言ってもいい。しかし「ミステリ」を媒介にして、「青春の暗さ」を描いて「イタい」あたりが、今読むと意外なくらいに琴線に触れるものがある。中学生の年頃の、生と死の境界が脆弱な危うさが血なまぐささを避け得ない「ミステリ」に仮託されているかのようだ。評者も齢を喰ったのかな。小峰元の「ディオゲネスは午前三時に笑う」との共通のニオイを感じたりもする。
だから「ミステリ」をどう使うのか、ということに本作のオリジナリティというものがあるんだと思う。「読者=犯人」趣向自体はトンチみたいなものなのだが、それを通じて打ち明けられる恋心、というものもあっていいんだよ。

皆さまの評価よりも少しだけ良くしたい。

No.9 5点 まさむね
(2017/01/07 21:29登録)
 連作短編的な構造ですが、正直、小粒すぎて今だったら決して書かないだろうトリックも複数ございます。
 とは言え、全体のプロットとしては中々面白い。発表が昭和47年ということを踏まえれば、かなり先鋭的な作品と言えるでしょうね。昭和47年って、あさま山荘事件があった年ですからね。また、作者の“テツ”気質も存分に発揮されていて、その点は興味深かったかな。

No.8 5点 nukkam
(2016/01/11 03:50登録)
(ネタバレなしです) 辻真先(1932年生まれ)は1500本を超すアニメ脚本を書いたことでも有名ですが、ミステリーも300作以上書いています。1972年発表の本書がミステリー長編第1作でスーパー(可能キリコ)&ポテト(牧薩次)シリーズの第1作でもある本格派推理小説です。青少年向けとして書かれ、軽妙な会話、連作短編スタイルの構成、そして創元推理文庫版で200ページの短さではあるのですが油断のならぬ大胆な仕掛けがあります。アリバイ崩しや密室の謎、青少年向けとは思えぬ苦い結末、更には「読者が犯人」という当時としては前衛的なアイデアまであるのです(これ、作品の冒頭で宣言されていますのでネタバレではありません)。まあこの「読者が犯人」というミステリーマニア向けというべき仕掛けについては評価が分かれるでしょう。個人的にはこじつけっぽく感じましたが、これを青少年向けのミステリーで披露したチャレンジ精神は勇敢だと思います。

No.7 4点 ボナンザ
(2014/04/08 00:50登録)
発想はおもしろいがそれに見合う内容ではなかった。だからどうした感が強い。

No.6 4点 mini
(2013/09/20 09:56登録)
本日20日に創元社から辻真先「戯作・誕生殺人事件」が刊行される、創元のHPによれば文庫ではなく四六製版だ
スーパー&ポテトシリーズは40年に渡って20作近くが書かれ、最も最近作からも15年以上間が開いている
そして今回の作がスーパー&ポテトシリーズ最終作とのことだ
まぁ辻氏も80歳を超えてもうこの辺で打ち切ろうと思ったのでしょうか

全体的に見れば辻氏の業績はミステリー作家と言うよりアニメ脚本家である、それこそ日本のアニメの半分は何らかの形で辻氏が関わっていたんじゃないかと思えるほどの存在だ、例えばアニメ『サザエさん』の第1回目も辻氏の脚本というのには驚きだ
漫画もアニメも殆ど観ない私としては辻氏は縁の無い存在なのだが、このスーパー&ポテトシリーズ第1作「仮題・中学殺人事件」だけは既読だった、
他は未読なので詳しくないが、このシリーズの初期3作は都筑道夫の某作と並んで意外な犯人設定で有名である、この第1作も”○○が犯人”というパターンを提示した最も初期の1つであろう
さらに青春ミステリーなのに作中作にアリバイ崩しのトラベルミステリーを挿入するなどアイデア満載である
ただ辻氏はアイデアは容易に思い付くがその活かし方がもう一つ上手くない印象があって、アニメ界ではプロット創りの天才と言われていた氏だが、アニメでもプロットの上手さと言うよりアイデア優先な人だったんじゃないかなぁ
それと肝心な青春ミステリーの部分がちょっと読めたものじゃない
私は元々が青春ミステリーというジャンルが嫌いなんだけど、読んでるこっちが恥ずかしくなるような感じでさ、これは私には合わない作家だなぁと思った

No.5 5点 E-BANKER
(2012/06/27 22:02登録)
愛称・ポテトとスーパーの2人組が活躍するシリーズ第1弾。
策士・辻真先がミステリーの限界(?)に挑んだ野心作(本当か?)。

~推理小説の歴史を紐解けば「黄色い部屋の謎」や「アクロイド殺し」など、犯人の意外性で売り出した名作があまた存在する。ところがこれまで、どんな物語にも不可欠な人物であるのに嘗てこれを犯人に仕立てた推理小説というのは1編もなかった。読者=犯人である。そう、この推理小説中に伏在する真犯人は君なんです!~

確かにちょっと「早すぎた」作品だと思った。
読者を犯人とするのは、今となってはメタ・ミステリーのテーマのようになっているが、本作の出版当時では相当に斬新だったはず。
「仕掛け」自体は個人的にはそんなに面白いとは思わなかったが、このチャレンジ精神には敬意を表したい。
特に、冒頭の「章」が実に効いている。
(これは騙されるよなぁ・・・)

作中作のプロットはかなり小粒。
最初の特急「かもめ」のトリックは西村京太郎作品に同一のものあり。(これって「あ○つ○」と同じだよねぇ)
密室トリックは正直付録レベルで、誉められるようなレベルではない。

まぁ、騙されたと思って読んでみるのもいいんではないか?
(因みに、高木彬光「刺青殺人事件」はかなりネタバレを含んでますのでご注意を)

No.4 5点
(2012/05/01 14:02登録)
「読者が犯人」という大トリックに挑んだ意欲作です。
デビュー作(1972年)で、単なる入れ子構造ではない複雑なメタミス構造を成し遂げ、そして、犯人=読者を、なんなく実現したことは賞賛に値します。

大トリックについてはネタがわかればなんてことはないのですが、まあ、コロンブスの卵ですね。アイデアを思いついたこと自体が立派です。愚にもつかぬトリックを個々の話の中に散りばめてメタミス構造にすると、意外や意外、大変身して、なぜかほどよい佳作に仕上がってしまうことにも驚かされます。

物語からは昭和の匂いがぷんぷんと漂ってきます。個人的には郷愁よりも古さを感じました。でも、時代設定を変えれば今でも現代版ジュブナイルとしても好まれるでしょうし、ミステリー的にも今でも(今だからこそ)十分に通用するように思います。

No.3 8点 あるびれお
(2009/06/23 06:30登録)
ミステリに対する免疫がまだあまりない頃に出会ったからかもしれないが、当時、「読者=犯人」というアクロバティックなことをきれいに成し遂げてしまったこの作品には驚かされた。確か、自分自身中学生~高校生の頃に読んだはずだが、結末の苦さがとても心に残った。

No.2 5点 江守森江
(2009/05/24 20:53登録)
ある推理クイズ番組の影響で最近再読した。
一冊としての仕掛けの為に読みにくい。
各話は取り立てて平凡だし。
時代の流れには勝てない。

No.1 6点 こう
(2008/12/22 01:03登録)
 メタミステリの大御所?の処女長編作です。ポテト、スーパーの若い男女がシリーズキャラクターです。
 この作品は「読者が犯人」ということに挑戦しておりまた作中作、作中作の作中作というスタイルをとっており正直早すぎた作品、といった印象があります。
 作中のミステリは小ぶりですがこのスタイルは楽しめました。個人的には航空機事故を起こしたパイロットが胸をナイフが刺さった状態で墜落死する下りで「誰もいないはずの部屋」で「貴様」と叫んだあと墜落死する下りが好きです。正直これも発売当初は新しすぎたのでは、と思いますが。
 ずいぶん前に読んだのですが今年「牧薩次」の「完全恋愛」が発売されていたのを今週知ったので入れてみました。
 ミステリとしての出来はともかく作風、趣向は大好きな作家です。個人的には都筑道夫氏が亡くなった今メタミステリでは辻氏を超える方はいないのでは、と個人的には思っています。

10レコード表示中です 書評