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ミステリの祭典

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リア王密室に死す
旧制高校シリーズ

作家 梶龍雄
出版日1982年10月
平均点6.90点
書評数10人

No.10 8点 makomako
(2023/07/14 20:37登録)
こんな小説好きです。
梶氏は江戸川乱歩賞を取った透明な季節をリアルタイムで読んでから、全く忘れておりました。今回何十年ぶりかで氏の作品を読み、旧制高校時代の学生たちの生活が生き生きと描かれているのに感動しました。
私は世代が違いますが、この流れをくむ学校で青春を過ごしたため余計に心に響いたのかもしれません。
密室の謎もなかなかのものでした。
本格推理の中に人間を生き生きと描きたいという作者の姿勢は素晴らしい。ほかの作品も読んでいこう。

No.9 7点 虫暮部
(2023/03/24 12:39登録)
 潔癖さと傲慢さを併せ持った蛮カラ青春記。山頂に集い議論! 写真一枚でリーベ! そんな経験など無いのにノスタルジーを誘われてしまう。
 “蓮の実のはじける音なの”、くーっ。

 それを、あんな真実に落とし込む作者の何と残酷なことよ。前半に比して、後半で描かれる諸々、事件の真相はともかく、卒業後の彼等の行く末が美しくない点が、がっかりだった。綺麗事で終わらせたっていいじゃないか……。

No.8 7点 ボナンザ
(2022/10/02 20:08登録)
復刊第二弾。旧制高校を舞台に当時の雰囲気を感じさせながらどんでん返しの連発は見事。密室トリックも結構面白い。

No.7 5点 レッドキング
(2019/02/14 22:16登録)
西村京太郎や笹沢佐保の類の「旧世代」感覚の作家だろうが、変に「胸キュン」郷愁感を醸し出してくれる人だな「海を見ないで陸を見よう」といいこれといい。「正統派」密室トリックもどんでん返しオチもよいな。

No.6 6点 パメル
(2017/03/06 01:17登録)
分類的には青春ミステリに属すると思う
多少は男女の恋愛が描かれているが甘ったるさはなく全体的に硬派なイメージ
密室状態での殺人事件はトリックやプロットが充分に練られており本格ミステリとして楽しめる
ただフーダニットとしては真相が見えやすいし動機が釈然としないため読後感はどうもスッキリしない

No.5 7点 蟷螂の斧
(2012/02/28 11:32登録)
題名の密室自体には、あまりインパクトはありませんが、物語は二重構造になっており、構成として面白いものになっています。青春時代には探偵役が登場し、事件は解決と思われますが・・・、そして30年後、主人公の息子が探偵役を務め真相を明らかにしてゆきます。この時代の日本の因習、恋愛意識、貧しさ、学生気質などがうまく描かれていると思いました。

No.4 7点 nukkam
(2011/09/20 10:52登録)
(ネタバレなしです) 梶龍雄には旧制高校を舞台にした4作の本格派推理小説があり(登場人物は共通しません)、作者の代表作と評価されていますが1982年発表の本書はその第1作です。作中時代は1948年、三高のリア王こと伊場富三が密室状態の下宿の部屋で毒入り注射で殺され、部屋の鍵を持っていてアリバイが曖昧なことから容疑者とされた同級生を救うために三高の仲間たちが立ち上がるというプロットで、青春小説、時代小説、本格派推理小説の様々な要素がバランスよくとれた良作です。密室トリックは実現性には疑問符が付くかもしれませんが、アイデアとしてはとても面白いです。洗練された文章による語り口の巧さも高く評価できます。このタイトルでシェークスピアと全く関連がなかったのには意表を付かれましたが。

No.3 7点 kanamori
(2011/02/11 18:25登録)
戦後まもない京都を舞台に、最後の旧制三高生たちが巻き込まれる密室殺人事件を扱った青春ミステリ。旧制高校シリーズの1作目です。
作者の青春ものは、本格ミステリの趣向が弱いと言われますが、本書は両方の要素のバランスがよくとれている佳作だと思います。密室トリックの真相を示唆する伏線が絶妙で、もうひとつの隠されたトリックもこの時代ならではのものという点を評価したい。
第二部で、主人公・武志が三十数年後に知ることになる、奈智子(またもや思慕の対象が年上の女性ですが)の運命と彼女が残したものはなかなか感動的でした。

No.2 8点 こう
(2009/10/31 23:06登録)
 昭和23年三高の学生が密室で殺される事件が起こり合い鍵を持っていた同室者(主人公)が容疑者として疑われ、学友たちが容疑を晴らそうとする、というストーリーです。
 この作品も龍神池の小さな死体と同様真相が2重構造になっていて最後に一転するところはいいのですが最後の真相はあまり気持ちのいいものではありませんでした。ただ数々の伏線の回収はこの作品でも見事でありメインストーリーはこれまで読んだ作品の中では一番気に入っています。ただ本格として推理の余地があるかは何とも言えませんが。
 「本格ミステリ・フラッシュバック」を見るまで乱歩賞受賞作の「透明な季節」しか知らなかったのですが社会派全盛時代にこのようなプロット、伏線の美学の様な作品群を発表されていたのは正直驚きです。他作品も読み進めてゆきたいと思わせる作品でした。

No.1 7点 ロビン
(2009/05/05 15:23登録)
メインとなる謎は密室殺人一つだけなので(実は後々もう一撃あったことに気づかされるのだが)、正直この長さでは引っ張り過ぎである。面と向かって友情を叫ぶ高校生も、今となってはこっ恥ずかしくも感じる。キャラクターに誰一人も魅力的な人物がいないのは、青春ミステリとしては致命的。
とは思うものの、密室のハウダニットは、真相を知ればそれを成立させるための伏線が手際よく散らされていたことに気づかされる。ただ、この二部構成は余分な演出だったと思うんだけどなぁ。

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