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ミステリの祭典

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楽園

作家 夕木春央
出版日2026年07月
平均点7.18点
書評数11人

No.11 8点 虫暮部
(2026/10/21 13:39登録)
 思いがけず売れて続けざるを得ない、しかし無理のあるシリーズ。外堀が埋められて自由度は低かっただろうに、制約がクリエイティヴィティを向上させる良い方向に働いたか。作者も相応以上に頑張ったんだろう。
 状況設定もキャラクター造形も伏線回収も巧みで、退屈に感じる隙は無かった。空と君とのあいだには今日も冷たい雨が降る。ラストで感動してしまった。

No.10 7点 kanamori
(2026/10/20 18:17登録)
マンションの若いオーナー迫田は、恋人の沙織と共に、失踪したマンション住人の女性の所在を捜し求め、群馬県の山奥にある隠された閉鎖空間にたどり着くも、そこに隠れ住む6人の男女に捕らえられてしまう。不穏な過去を持つ彼らの要求は、罪の担保として彼ら6人の中の誰か一人を殺害することだった。脱出のためには人を殺さなければならない。

旧約聖書シリーズ三部作?の第3弾。群馬県の山奥のクローズドサークル物は「処刑館」に続いて今年2冊目、上州の「見かえり峠」まで含めると群馬県モノは3冊目になりますw
「方舟」同様、”助かるためには人を殺さなければならない”という命題は、ややニュアンスは異なるものの、トロッコ問題、カルネアデスの舟板(緊急避難)などの、倫理学や刑法学の思考実験じみたモチーフで、その辺は作者のこだわりを感じます。
肝心の内容のほうは、前2作を読んでいればシリーズの流れで、ああ、あの人ね!となって、何と無く方向性は察することが出来ますが、さすがに最終盤の展開は予想外でした。ホワイダニットにも色々ありますが、そのうちの、(これはネタバレになるのか?)ペットを飼いたいからというのは前代未聞では。中盤はやや緊迫感が薄れダレる処もありましたが、三部作としては上手く纏め上げていると思います。評価としては、「方舟」と「十戒」のあいだ位かな。

No.9 6点 パメル
(2026/10/18 08:14登録)
亡くなった両親から多数の不動産を相続し、管理して暮らしている迫田康之は、恋人の沙織とともに失踪した高齢女性の部屋に遺された痕跡を頼りに、群馬の山奥にある管理物件を訪ねてみることにした。そこは切り立った岩壁に囲まれたすり鉢状の土地と、そこに建ついくつかの家屋のみだった。康之と沙織は足を踏み入れた直後、そこに住む6人に捕らえられてしまう。この謎の集団が解放の交換条件として提示したのは、「住人の誰か1人を殺すこと」だった。シチュエーション自体はシンプルなものだが、ストーリー展開は波乱に満ちている。
拉致した集団が、捕らえた2人に殺害を促すという逆転した構図が斬新で唸らされた。謎解きのプロセスそのものというよりも、閉ざされた空間での人間のエゴや、歪んだ心理描写を楽しむ作品で、過去の作品と比べると緊迫感はやや薄めなのは否めない。ラスト数ページで明かされる真相やタイトルの意味が分かった瞬間は唖然とさせられた。

No.8 7点 まさむね
(2026/09/20 22:54登録)
 三部作ということを知って読んでいますので、どうしても、この間の作品との関連性を気にしながら読み進めることになってしまいます。ですので、とある一点は「見える」。それしかないと。そして、それはそうなんだ。でも、一周回って、最終盤にはやっぱり驚きが。何が驚いたって…(略)。
 方舟、十戒の後で様々なご苦労や思いもあったと思うのですが、こういった形で仕立ててこられた作者に敬意を表します。

No.7 8点 鷹
(2026/09/05 21:10登録)
犯人が誰とかアリバイ工作よりも殺人目的が最後に反転するのにやられました。
「方舟」、「十戒」を先に読むことをおすすめします。

No.6 7点 文生
(2026/09/05 14:57登録)
シリーズ恒例のクローズドサークルものながら、主人公サイドは命の危機をあまり感じない立場なので緊迫感はいまひとつ。
犯人も前作、前々作を読んだ人なら薄々気付くと思います。
しかし、指名手配犯たちが暮らす隠れ里的な設定が面白く、なにより最後に明かされるホワイダニットが強烈。
方舟とはまた違った意味で面白い作品でした。

No.5 7点 みりん
(2026/08/31 00:35登録)
『方舟』1発で終わる予定だったものを、大人の都合で無理矢理シリーズ化させられただろうに、特殊なクローズドサークルを拵えて…旧約聖書に準えて…犯人は…と様々な制約がある中で、一定のサプライズを演出しなきゃいけないなんて罰ゲームに近いだろう。それをやってのける作者は本当に凄い…この状況を成立させるために、不自然なほど物分かりのいい犯罪者達を登場させ、ありえない選択を主人公に強いるあたりで、作者の苦心が窺えた

【ネタバレ】


『方舟』にはまだ動機を推測する余地が読者側に残されていたが、こちらは後出し感が強くて、衝撃はあるものの納得感には欠ける。あと、犯人による怒涛の動機開示はサイコパスネタで笑かせにきているだろうとややシラけてしまう。とはいえ、whyに驚愕したのは事実だし、シリーズ前作からの流れとしては完璧な落とし所であるのは間違いなく、十分に期待に応えた作品である。なにより、こんな縛りプレイに近い状態でここまでのものを提供できる作者に感謝すべきなのかもしれない。

No.4 7点 メルカトル
(2026/08/29 22:11登録)
亡き両親から不動産を譲り受けた康之は、失踪した賃借人・海原の遺留品整理の際に、群馬の山奥の謎の物件の存在を知る。そこは、切り立った岩壁に囲まれた、「楽園」と呼ばれる奇妙な場所だった。恋人の沙織と一緒にそこを訪ね、探索をはじめた康之たちは、すぐに六人の“住人”に拿捕された。脱出のための条件はーー
Amazon内容紹介より。

三部作の最後とあってか、夕木春央力が入り過ぎじゃない?読むこちらまで肩に力が入ってしまったではありませんか。前二作に比べて何だか読み難くなっているのは気のせいでしょうか。特に序盤がヌルくてこれってそんなに面白いのかなあと思いながら読みました。これじゃせいぜい6点止まりだなって感じでしたね。本格ミステリとしても、二つのトリックは斬新さがなく平凡であまり感心しません。

しかし、終盤と言うかラストの畳み掛ける展開に唖然呆然。そうだったのかと、あれこれ腑に落ちる思いがしました。結局騙された私は作者の掌の上で踊らされていただけだったとは、はぁ。これは受ける筈だと深く納得しました。評点ももしかしたら今後考え直して8点にするかも知れません。無論傑作『方舟』には及ばないものの、『十戒』よりも面白かった気はします。

No.3 7点 オクシモロン
(2026/08/24 23:35登録)
方舟のどんでん返しの面白さには勝らないが、別の方向性で面白い作品でした。ミステリではもちろんあるけれど、犯人は分かりやすくhowとwhyに焦点が当たる作品だったので犯人当てを楽しみたい方は好みじゃないのかもなあと思いました。
方舟、十戒では主要人物以外はあまり個性的でなく割と空気になっている感じがあったけれど、楽園では設定もあり登場人物が曲者揃いで、キャラクターに対する好き嫌いは別れそうだが魅力的になっているのが好みでした。

No.2 8点 mozart
(2026/08/12 09:41登録)
うぅ…、三部作というのはそういうことでしたか…

漫然と前々作・前作を読んできた自分としてはちょっとダメージが大きかったかも。

講談社の例のサイトによると既に前半で明らかにされているとのことですが(当然のことながら)素通りしていました。しかももしそれに気付いたとしてもそれがまたミスリードをしかけている、と。

ミステリーとしては色々言いたくなることはありますが、とりあえず前作・前々作をもう一度じっくり読み直したくなりました。

No.1 7点 ALFA
(2026/08/10 06:18登録)
最新作。これから読む人も多いだろうから慎重に・・・

またしてもクローズドサークルか!! と驚くが、読み終わってみると「方舟」「十戒」と三部作を成してぃることに納得。作者の企みの深さに脱帽!

WHOは絞りやすいが、HOWとWHYを探るサスペンスと割りきれば楽しめる。
禍々しくも深い愛は今度こそ成就するのか?
三作の時系列を考えると答えは明らか。

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