好きです、死んでください |
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作家 | 中村あき |
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出版日 | 2023年09月 |
平均点 | 7.22点 |
書評数 | 9人 |
No.9 | 6点 | mozart | |
(2024/04/08 13:57登録) タイトルからの予想に反して「本格度」は意外と高かったと思いました。フーとハウをテーマにストーリーを進めつつ実際はホワイ・ダニットが(ちょっと前にさわがれた社会問題を想起させる)メインテーマになっているという。なので最初の密室事件の謎解きはちょっとアレでしたが犯人と被害者との関係性をからめてのことでもあり許容範囲かな、と。 ただ今作の読後感はあまり良くなかったのも事実です。もっとも作者の技量からして今後の作品にはまだまだ期待は持てそうですが。 |
No.8 | 7点 | sophia | |
(2024/03/17 19:49登録) ネタバレあり ラノベ調の作品かと思っていましたが、意外としっかりした文章で語彙も豊富です。本作は共通の要素を持った二つの場面が交互に進行する形ですが、そうなるとどういう類のギミックが仕込まれているかはおおよそ見当が付きますので、すっきり騙されたという気分ではありません。しかしながら学校パートには更にギミックがありまして、それは見抜けなかったのですがだいぶ力業であります。特にSNSの「こいつOUTで、男新メンプリーズ」がですねえ。なのでそちらはあまり評価できないのですが、メインの孤島パートに限って言えば、茶番に思われた序盤の推理劇がしっかり伏線として機能し、現実の殺人事件の手がかりとも相まって変則消去法推理につながっていくという高等技術があり満足できました。 余談になりますが私はSNSは一切やりません。理由は本作でも語られているような負の部分に嫌悪感を持っているからなのですが、現実でも本作のような誹謗中傷による事件はありましたし、今後こういうテーマの作品が溢れていくのだろうかと考えると暗澹たる気持ちになるのでありました。 |
No.7 | 7点 | HORNET | |
(2024/03/17 12:10登録) 無人島のコテージに滞在する男女の恋模様を放送する、恋愛リアリティーショー「クローズド・カップル」の撮影が始まった。俳優、小説家、グラビアアイドルなど、様々な業種から集められた出演者は交流を深めていくが、撮影期間中に出演者である人気女優・松浦花火が死体となって見つかった。 事件現場の部屋は密室状態で、本土と隔絶された島にいたのは出演者とスタッフをあわせて八人のみ。一体誰がどうやって殺したのか? そして彼女の死は、新たな惨劇を生み出して――(「BOOK」データベースより) <ネタバレあり> 並行して進む二つのストーリーの時間軸を誤認させるという仕掛けは、今やよくあるパターンになりつつある。本作は事件の動機、背景が隠されているのだが、「クローズド・サークル下での犯人当て」よりもこちらのトリックの方が作品のメインになっている感じ。島で起きた連続殺人の解き明かしそれ自体は出色の出来ではないと思うが、良い意味でオーソドックスで、安心して楽しめる本道と言える。 ただ、略し方が違うとはいえ、数年前の恋愛リアリティーショーで世間で話題になり、今回の登場人物も複数関わっていた事件について、言い出されるまで気づかない、誰も話題にしないというのは…ないんじゃないかな。 |
No.6 | 8点 | まさむね | |
(2024/02/15 21:31登録) いいですねぇ。好きですよ。 恋愛リアリティーショーという舞台設定を最大限活かしています。「三年×組にて」と題された幕間の存在も大きい。様々に想定しながら読んだものの、完全にしてやられました。新鮮味のあるクローズドサークルものです。 リーダビリティも高く、ほどよい「軽み」も好印象。映像コンテンツやSNSに対するメッセージ性も含めて、一読の価値はあると思います。 |
No.5 | 7点 | みりん | |
(2024/01/26 12:08登録) こういうのにあと何度自分は騙されるのでしょうかねぇ… 現代チックの読みやすい文章に密室+首無死体+恋愛リアリティーショー 当然エンタメ性◎ 巻頭の「恋愛と殺人においてのみ、人は今も誠実である」 この作品にピッタリな言葉ですね。 *ちょいネタバレ* ちと砂飲み込みすぎじゃない? |
No.4 | 7点 | メルカトル | |
(2024/01/21 22:04登録) 無人島のコテージに滞在する男女の恋模様を放送する、恋愛リアリティーショー「クローズド・カップル」の撮影が始まった。 俳優、小説家、グラビアアイドルなど、様々な業種から集められた出演者は交流を深めていくが、撮影期間中に出演者である人気女優・松浦花火が死体となって見つかった。 事件現場の部屋は密室状態で、本土と隔絶された島にいたのは出演者とスタッフをあわせて八人のみ。一体誰がどうやって殺したのか? そして彼女の死は、新たな惨劇を生み出して――。 Amazon内容紹介より。 おそらく多くのミステリファンは、このタイトルと恋愛リアリティーショーと云う若い男女の絡みとの思い込みにより、敬遠されていると思います。が、想像以上に本格派で、読んで損はないと言いたいです。 確かに最初に仕掛けられた事件にはいささか脱力させられました。え~?やっぱりこんなものかと正直がっかりしました。それでもその推理合戦はなかなか読ませるもので、バカに出来ません。 そして本筋では密室殺人や○○死体が本作を彩り、一筋縄では行かない事件の様相を呈します。思ったよりも複雑で意外性もあり、そして数多くの伏線が散りばめられています。決して捨て置いて良い作品ではなく、世間的にももっと読まれるべきものだと思います。作者の実力は確かで、今後の活躍を期待したいですね。全体的にバランスよく過不足のない秀作だと思います。 |
No.3 | 8点 | 人並由真 | |
(2023/11/14 12:18登録) (ネタバレなし) その年の夏、八丈島から30キロほど離れた孤島「漆島(正式名・売島)」で、ネット向け番組『クローズド・カップル』のロケ撮影が行われる。内容は10代末~20代前半の3人ずつの男女計6人を集めた、筋書きのないリアリティー恋愛ショーだ。今回の番組内容にミステリの要素を加えるということで、「僕」こと大学に在学中の新鋭ミステリ作家・小口栞(しおり)は6人の出演者の一角に迎えられ、共演者や3人のスタッフとともに島に向かう。だが遅れて参加するはずの増援スタッフが来れなくなった。そんななか、島では怪異な状況の殺人事件が。 10年前の旧作『ロジック・ロック・フェスティバル』は購入だけしてあって、読んでないと思う。 いずれにしても作者の久々の新作ミステリのはずで、しかもガチのクローズドサークルもののフーダニットパズラーということで楽しみにしながら手に取った。 リアリティー恋愛ショーなるものは、今年、アニメ『【推しの子。】』を観ていたので容易に認知できたが、閉ざされた舞台、少ない頭数の登場人物という大きな制約のなかで、適度に起伏のあるストーリーが高いリーダビリティで展開。 良い意味での軽さもあって、サクサク読める。 謎解きミステリとしての完成度については、鬼面人を驚かすようなものは皆無で、適度に青春ミステリの要素もにじませた正統派の謎解き作品になっており、終盤の(中略)な反転も心に響く。 なぜ犯人が(中略)したかのホワイダニットも、ありそうではあるものの、しかし明確に前例が思いつかない。やはり新たな創意かもしれない。ならばけっこう面白いアイデアかも。 優秀作、とまでは言えないが、とても素直に丁寧に紡がれた、好感のもてる秀作。最後に明らかになる動機も(中略)。 思っていたよりも、良い意味で普通の、ごく真っ当なミステリであった。評点は作者の復活(?)を祝して0.5点ほどオマケ。 |
No.2 | 8点 | 文生 | |
(2023/10/14 10:02登録) 2023年は『十戒』や『ちぎれた鎖と光の切れ端』などクローズドサークルの力作が数多く発売されましたが、その中で個人的に一番気に入っているのがこれ。 密室の謎をはじめとして恋愛リアリティーショーに絡めた仕掛けが見事ですし、首なし死体を巡るロジックもよくできています。話も波乱万丈でテンポよく、最後まで緊迫感に満ちていました。 以下ネタバレ ただ、(これはトリックや謎解きとは直接関係のない部分ですが)恋愛リアリティショーにおいて相手を突き飛ばした方が視聴者のバッシングを受けたのには納得できないものが。あの場合、さんざん嫌がらせをした結果突き飛ばされたのは視聴者にもわかるはずなので、普通バッシングを受けるのは突き飛ばされた方ではないでしょうか? |
No.1 | 7点 | フェノーメノ | |
(2023/10/04 22:13登録) 恋愛リアリティーショーの舞台となった孤島で何やら事件が起こる系の本格ミステリ。 最後に明かされる密室の真相は、トリック自体は凝ったものじゃないけれど、ストーリーとの親和性が高く非常に良かった。 全体的にバランスが取れていて完成度の高い一冊だと思います。 |