自由研究には向かない殺人 ピップシリーズ |
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作家 | ホリー・ジャクソン |
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出版日 | 2021年08月 |
平均点 | 6.55点 |
書評数 | 11人 |
No.11 | 6点 | makomako | |
(2024/03/11 20:59登録) イギリス版青春ミステリーといったところなのでしょうか。 他の方の評にもありましたが、主人公以外は描写が平坦で誰が誰だかわからないことが多かった。女性の作家なのでカラで月などに対する具体的な描写が少ないことも原因かもしれない。 主人公にピップでさえスタイルはどんなのか、ボインなのか、髪は何色でどんな具合なのかなどといった具体的な描写がほとんどない。それ以外の人物は推して知るべし、なので登場人物のインパクトが薄れてしまう。 それでもお話はそれなりに面白かった。 イギリスの高校のコンパ?は酒は飲むは大麻はやるはセックスもするはと、なかなかすごいですね。 |
No.10 | 5点 | rosebud | |
(2024/03/10 16:24登録) 前評判が高かったので読んだが正直冗長という感想。道中いろいろ盛り込んでいるがラストに向けて犯人当ての伏線やヒントがある訳でもないので、犯人が分かっても、ああそうなのという感じ。 主人公の2人ピップとラヴィは魅力的だったので一応最後まで読めたが犯人は特別賢いとか狡猾という訳でもないので私にはあまり刺さらなかった。 |
No.9 | 8点 | ROM大臣 | |
(2023/07/07 12:59登録) 主人公は、女子高生のピップ。彼女が自由研究のテーマとして選んだのは、五年前に町で起こった十七歳の少女アンディの失踪事件だった。 交際相手の少年サルが、アンディを殺して自殺したとされていたが、サルを知るピップは彼の無実を証明するため、サルの弟を相棒に再調査を進めた。しかも現代女子高生らしく、メール、フェイスブック、携帯電話など最新マルチメディアを駆使しての独自の事件捜査を行ってみせるのだ。何より、ピップが次々と事件の関係者にインタビューしていくことで隠された事実をあぶり出し、疑問点の見直しから真相へと迫る展開は、まぎれもなく探偵小説の王道を行くもの。邁進するヒロインの魅力とともに、彼女へ迫る危機などの展開も含め、ミステリとして申し分ない。 |
No.8 | 8点 | HORNET | |
(2022/11/21 22:48登録) 高校生のピップが自由研究のテーマに選んだのは、5年前に町で起きた少女の失踪事件の真相解明。事件は、少女のボーイフレンドが遺体で発見され、警察は彼が少女を殺害して自殺したと結論付けたが、ピップはそれを信じていない。犯人とされたボーイフレンドの弟に声をかけ、「自由研究」として事件の真相解明に乗り出す― 素人探偵である主人公が、「取材」という形で調査を進め、少しずつ真相に肉薄していく過程は非常に読み応えがあり面白い。怪しいと感じる人物が二転三転していくさまも、主人公・ピップと読者の視点が同化し、入り浸って読んでしまうので煩わしくない。 作品紹介では青春群像劇という色が強く出されているかもしれないが、ミステリとしてかなり上質、のめり込んで読んでしまう魅力十分な作品。 これはシリーズ2作目も必読だ。 |
No.7 | 5点 | メルカトル | |
(2022/05/07 22:54登録) イギリスの小さな町に住むピップは、大学受験の勉強と並行して“自由研究で得られる資格(EPQ)"に取り組んでいた。題材は5年前の少女失踪事件。交際相手の少年が遺体で発見され、警察は彼が少女を殺害して自殺したと発表した。少年と親交があったピップは彼の無実を証明するため、自由研究を隠れ蓑に真相を探る。調査と推理で次々に判明する新事実、二転三転する展開、そして驚きの結末。ひたむきな主人公の姿が胸を打つ、イギリスで大ベストセラーとなった謎解き青春ミステリ! Amazon内容紹介より。 読み終わった達成感より、やっと終わったかという徒労感の方が強いですね。手を変え品を変えての凝った構成は認めるものの、どうにも面白味がないです。最も惹かれたのはインタビューでの受け答えですが、その度に容疑者に加えていくのが単なる憶測に近いものがあり、所詮素人の調査でそれほどまで真相に迫れるものかと云う疑念も抱かざるを得ませんでした。警察の捜査も杜撰な気がしますしね。過去の事件として描かれているので、詳細は不明ですが。 更に言うと人間が描けていない為、主役の二人以外誰が誰だか分からなくなり、何度も冒頭の登場人物一覧を見返すことになりました。没個性で人間ドラマとしてはまるで機能していないと感じました。最後の真犯人の指摘は非常に唐突な感が強く、何を根拠に判明したのかが理解出来ませんでした。ラストは良い雰囲気の締め方でそこはまあ褒められても良いかなと思います。しかし、これがベストセラーで各ランキングを席巻したとは、私には俄かには信じがたいものがありました。タイトルに惹かれた私が悪かったのでしょうか。どちらかと言うとジュブナイルに近い作風だと思います、いずれにしても私には肌が合いませんでした。 |
No.6 | 7点 | バード | |
(2022/04/14 06:22登録) 捜査の過程で段々と重要手がかりが出てくるので、読者が推理に参加するのは難しい。青春物として甘酸っぱい彼ら彼女らの日常を共有しつつ、素直に真相に驚くのが本書を一番楽しめるスタンスな気がする。ただ、疑えるキャラがメタ的に絞られてたからか、どんでん返しはあるものの残念ながら私は真相にそれ程驚けなかった。 本格度の高い作品を書けそうな作者と感じたので、次作ではその辺の改善を期待したい。 最後に非常にどうでもよい事だが、作中にピカチュウという単語があり、最近だと海外の小説にも登場するキャラなのかと驚いた(笑)。 |
No.5 | 7点 | じきる | |
(2022/03/02 11:21登録) 高校生の自由研究という視点で進んでいく過程が捜査小説として斬新です。青春ミステリとしても非常に面白かった。 |
No.4 | 8点 | 蟷螂の斧 | |
(2022/01/12 09:01登録) 久しぶりにワクワクするような楽しい読書を味わえることができました。事件の背景は、当然辛いものがありますが、主人公と相棒のキャラクターが明るく、めげない性格で抜群にいい(笑)。青春ミステリーと言ってもいいのかも。各ミステリーランキングで上位を獲得しているのも頷けました。 |
No.3 | 7点 | 文生 | |
(2021/11/08 12:51登録) 過去の事件を洗い直していくという警察小説によくあるパターンのプロットですが、それを女子高生の主人公が自由研究として行っていくという形式に新鮮味があります。 関係者へのインタビューと粘り強い調査によって意外な事実が少しずつ明らかになっていく物語は捜査小説として一級の面白さですし、二転三転する終盤の展開も読み応えありです。 主人公の ピップと相棒のラヴィの好感度も高く、青春ミステリとしては申し分ない出来だといえるでしょう。 |
No.2 | 5点 | nukkam | |
(2021/11/08 01:12登録) (ネタバレなしです) 英国の女性作家ホリー・ジャクソン(1992年生まれ)の2019年発表のデビュー作の本格派推理小説です。グラマースクールの最終学年を迎えるピップが主人公で、自由研究のテーマとして5年前に起こった当時17歳の少女の失踪事件と彼女を殺したと疑われた少年の自殺(らしい)事件を調べていくプロットです。学生であるピップの捜査には様々な制約が課せられていますし、事件関係者も必ずしも協力的でない(中には露骨に敵意むき出し)ですが、粘り強く捜査を続けるピップの作業記録には少しずつ新たな容疑者が増えて行きます。面会、電話、メール、時に違法気味の手段で情報を収集し、地図、フェイスブック履歴、写真、相関図なども挿入されます。創元推理文庫版で550ページを超す長大な作品ですが、時には危険な香りが漂い、時には悲劇色が強くなるなど退屈させない展開で読ませます。真相は非常に複雑ですが、どんでん返しのためとはいえ登場人物リストに載っていない人物(49章で素性が明かされます)の唐突な登場はちょっと偶然性が強過ぎに感じましたけど。決して興味本位の謎解きでないピップの正義感と(挫折しそうにもなりますが)意思の強さが印象に残ります。 |
No.1 | 6点 | モグラの対義語はモゲラ | |
(2021/10/07 16:56登録) 読んだのは文庫本版。ていうか文庫しかないし。 自由研究(EPQ)の課題で過去の事件の真相を少女が暴いていくという、どちらかというとミステリ小説によくある現実味の若干欠けた指向の作品なのだが、その割に読んでいる最中はリアリティを感じながら楽しめた。 その秘密は解説にもある通り、EPQ課題という枠内で、徹底的に主人公の視点で物語を描いているからであろう。随所に挟まれる課題の作業記録内で、電子画面上でのやり取りを描く際にはネットスラングが省かれること無く描かれ(「笑」として訳されている部分が、恐らく原著では'lol'だったのではないか)、参考資料を纏めている記録では架空のurlまで引用元としてしっかりと書かれている。メッセージアプリのやり取りや警察の開示情報などにも工夫があり、それらがリアリティを生んでいるのだろう。ここまで執拗に主人公の視点をそのまま書こうとしている、紙面で再現しようとしている作品に出会ったのは初めてだ。きっと探せば他にあるんだろうけども。 PC内の履歴やSIMカード、SNS上でのやり取りやスマホアプリが物語のカギを握るのも、非常に現代的で好きだ。まあ現代を舞台にミステリを書くなら、それくらい無ければ不自然というものだが。 EPQ課題というもの自体が、どうやらここ20年の間に広まっていった文化らしい。時代をかなり反映したミステリなのではないか。 しかし、若干こじんまりとした容疑者の範囲や、そもそも探偵役が素人である点や薬物等が出てくる割に血の気の多い描写が少なかったり恋愛要素があったりと、ややコージーミステリに近いテンションでそれがあまり好みではなかった。 |