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ミステリの祭典

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rosebudさんの登録情報
平均点:6.67点 書評数:3件

プロフィール| 書評

No.3 5点 十戒
夕木春央
(2025/09/10 03:58登録)
<ネタバレあり 前作方舟のネタバレも>




率直に言って、最初からこいつが犯人だろうなと思っていた人物が犯人だったので、まあ、そうだろうなと思った。
犯人が最初から分かったというのは、後付けだろうと言われそうだが、これは理論的に説明できる。方舟も犯人は分かったのだが。
警察や探偵のいない素人たちの推理小説では私はまず積極的に推理する探偵役の人物を疑う習性がある。方舟では主人公のいとこであったが主人公と親しくなった女性が終盤で主人公とキスをして、ああこいつが犯人だと思った。意外性というのはそういうものである。ただ、方舟の場合動機が全く分からず、その動機がどんでんがえしの中核だったので衝撃を覚えた。
一方十戒でも当初からいろいろと推理をする主人公に近い立場にある聡明な女性が怪しいと思った、それが最後まで続き、ああそうかという感じで終わってしまった。
これは、この小説の根本的な手法にあると私は考える。
この小説は主人公の一人称で語られるという方式を取っている。しかも、基本的に島に閉じ込められた各人は犯人に部屋からむやみに出てはいけないと命令が課されているので、主人公が各キャラクターと接するのが限られているのである。それで各キャラクターの深堀が出来なくなった。クローズ・サーキットで全員が一つの部屋に入れば一人称も各キャラクターの深堀は出来るが部屋から出てはいけないという設定では各キャラクターのの深堀は不可能である。
つまり、私は初めから主人公に近づき推理そする女性が怪しいと思ったが、それを覆す根拠が何も提示されなかったということである。


No.2 10点 ジェノサイド
高野和明
(2024/11/06 08:24登録)
<多少のネタバレ ただし大勢には影響ないと思う>
私は本格派ミステリーよりどちらかというと冒険小説・エンタメ系が好きでこの作品はど・ストライクだった。今まで和製冒険小説はあまり読んでいたのだが、この作品は海外の冒険小説と同じ感覚で読むことができた。と言いたいところだが、それ以上だった。詳細の評論は他の人が行っているので私は思ったことを。
・作者が様々なジャンルの学識を駆使して作り上げている。普通はそういうのは鼻に突く場合が多いのだが、物語に厚みを加えている。例えば理学的な記述の部分も文系の私には何がなんだが分からないのだが、なんか妙なリアリティがあって面白かった。そもそも、イェーガーの息子の難病は架空の病気で実際にはないようだ。
それに加え作者の政治哲学なども盛り込まれているが、私は同調した。
・小説でも映画でもこれが一番重要なのだが、キャラクターが立っている。傭兵部隊4人のキャラはもちろんだが、研人と相棒になった韓国人も良かった。個人的にはルーベンスが最も好きだ。主人公たちとは敵対する実行機関のトップでありながら、主人公たちに同情的で複雑な立場にいるところが、なんとも言えない面白さがあった。
そしてハイズマン博士も。

私はこの手の小説は先の展開を早く知りたいので、なるべく速読をするのであるが、この作品に関しては読むペースを敢えて落とした。なぜかというと前半から名場面、興味ある描写が目白押しで出てくるのである。わざとペースを落とし噛みしめるように読むことにしたのである。

もう大昔にフレデリック・フォーサイスの「ジャッカルの日」を読んで、読後大きな満足感があったが、この作品はそれ同等、いやそれ以上の満足感があった。

この作品は個人的に生涯ベストい入る作品となった。


No.1 5点 自由研究には向かない殺人
ホリー・ジャクソン
(2024/03/10 16:24登録)
前評判が高かったので読んだが正直冗長という感想。道中いろいろ盛り込んでいるがラストに向けて犯人当ての伏線やヒントがある訳でもないので、犯人が分かっても、ああそうなのという感じ。
主人公の2人ピップとラヴィは魅力的だったので一応最後まで読めたが犯人は特別賢いとか狡猾という訳でもないので私にはあまり刺さらなかった。

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