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ミステリの祭典

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rosebudさんの登録情報
平均点:7.17点 書評数:6件

プロフィール| 書評

No.6 9点 方舟
夕木春央
(2026/05/15 08:01登録)
<ややネタバレ>
中盤以降で犯人はなんとなく分からなかったのだが、どうしても動機が分からなかった。その動機がこの小説最大のポイントだったとは。
まさに衝撃的な結末。


No.5 7点 占星術殺人事件
島田荘司
(2026/05/14 08:34登録)
<ネタバレあり>

とても評判が良かったのでかなり期待して読んだのだがそれほどでもというのが正直な感想。
事前情報で知っていたのはとにかく冒頭の手記が手強いのでそこは我慢して時間をかけて読んで、先に進めば読みやすくなるということでじっくり読んだけど、まあ昔翻訳した海外ミステリーの古典に比べれば読めないことはなかったし、ここをじっくり読んだことで後の内容も入り易くなったというのはあった。
ただ、その後もあまりに事件のスケールが大きいのでそれ以降も事件の状況説明が続き正直退屈。やっと終わったと思ったら今度は竹越の手記が出てきて正直閉口した。
しかも竹越の手記で私はほとんど犯人が分かってしまった。石岡が長女一枝は死姦されたことを強調していたのだからそれを信用するのなら竹越の相手となった女性は一枝ではない。では誰かだと言えば犯人しかいないだろう。
それにアゾートのトリックにしても私はP.57を折ってそこに載っている家系図を何度も見返しながら読んでいたので、それをよく見てみると梅沢家の親の血液型は全員A型なのである。子供の血液型は書かれていなかったが、親が全員A型なら子供もA型だろうと。これに気付いたときどうせ戦前なのでまだ染色体鑑定(DNA鑑定)は行われてなく、識別は血液型だけだろう。アゾート殺人は人体の一部を切り落とすのだから5人殺したけど、6人に見せるのは可能であるし、娘のうち犯人は誰だということは1人だけ母親が違う子ということになる。それに関しても御手洗と石岡の会話で違う母親で同い年の姉妹というのはどういう感じなんだろうというやり取のヒントがあったので、まあ推理小説の中でうまくいくはずがないと容易に想像できる。
手記も終わり、やっと捜査だというところで御手洗中心の展開ではなく、石岡中心の展開になる。どうせ石岡の推理なんてミスリードを引き起こすだけで何か意味あるのかという感じで読んでいたけど案の定だった。
つまり読んでいて長い割にはワクワクするような展開は私にはほとんど無かったんだな。
まあ、正直私の採点は5点だったのだが、最後の犯人の手記に妙に心が動かされこの小説全体の印象が変わってしまった。複雑な家庭環境で生まれた苦難とせつなさ、母をおもいやる愛情とか短いくだりだが感慨深かった。
この部分だけでプラス2点ということに。


No.4 7点 六人の嘘つきな大学生
浅倉秋成
(2026/05/11 03:20登録)
私はほぼ丸1日で読み切れたところが良かった。結構、序盤から伏線を張り巡らしているので、記憶が鮮明な短時間に読み切ってしまうのがおすすめ。

<ネタバレあり>
時々読んでいて違和感のある箇所、例えば車を何で駐車場エレベーターの近くに置いたのか、何で高層階より地上のコーヒーショップがいいのかとかがあったのだが、いろいろ伏線になっていたんですね。ただ、この数々の伏線がおおそうか!と膝を叩くようなものではなく、ああそういうことなのねレベルで話が繋がる程度のことでしかないのが残念。

残念ついでに言うと6人のキャラクターがもう1つ魅力的ではないというか定型的などこにでもいそうな普通の人たちというのが面白味に欠けたような。大学生から30歳くらいまでの登場人物なので仕方ないのかもしれないが、少し平板なような気がした。特に後半主人公の女性は優等生のいい子過ぎてちょっと物足りない。もう少しダメ子さんとして描くとか表面上は優等生のいい子だけど裏では狡猾なことをしていると描いてくれればもう少し入り込めたのにとは感じた。
そういう意味で個人的に女主人公の暴露がどういうものなのかとても気になったのだが、かえっていい子ちゃんを印象づける内容で肩透かしを食らった。

と不満な点はあるが全体的には楽しく読ませてもらった。
特に家族の中から見る兄が外ではどう振舞、どのように見られていたのかとか、特別愛している兄ではないが家族なので気になるという描写は妙にリアルで面白かった。

また就職活動における面接という、答えの見えないある意味この世で一番理不尽なものに物申したところは大いに評価できた。


No.3 5点 十戒
夕木春央
(2025/09/10 03:58登録)
<ネタバレあり 前作方舟のネタバレも>




率直に言って、最初からこいつが犯人だろうなと思っていた人物が犯人だったので、まあ、そうだろうなと思った。
犯人が最初から分かったというのは、後付けだろうと言われそうだが、これは理論的に説明できる。方舟も犯人は分かったのだが。
警察や探偵のいない素人たちの推理小説では私はまず積極的に推理する探偵役の人物を疑う習性がある。方舟では主人公のいとこであったが主人公と親しくなった女性が終盤で主人公とキスをして、ああこいつが犯人だと思った。意外性というのはそういうものである。ただ、方舟の場合動機が全く分からず、その動機がどんでんがえしの中核だったので衝撃を覚えた。
一方十戒でも当初からいろいろと推理をする主人公に近い立場にある聡明な女性が怪しいと思った、それが最後まで続き、ああそうかという感じで終わってしまった。
これは、この小説の根本的な手法にあると私は考える。
この小説は主人公の一人称で語られるという方式を取っている。しかも、基本的に島に閉じ込められた各人は犯人に部屋からむやみに出てはいけないと命令が課されているので、主人公が各キャラクターと接するのが限られているのである。それで各キャラクターの深堀が出来なくなった。クローズ・サーキットで全員が一つの部屋に入れば一人称も各キャラクターの深堀は出来るが部屋から出てはいけないという設定では各キャラクターのの深堀は不可能である。
つまり、私は初めから主人公に近づき推理そする女性が怪しいと思ったが、それを覆す根拠が何も提示されなかったということである。


No.2 10点 ジェノサイド
高野和明
(2024/11/06 08:24登録)
<多少のネタバレ ただし大勢には影響ないと思う>
私は本格派ミステリーよりどちらかというと冒険小説・エンタメ系が好きでこの作品はど・ストライクだった。今まで和製冒険小説はあまり読んでいたのだが、この作品は海外の冒険小説と同じ感覚で読むことができた。と言いたいところだが、それ以上だった。詳細の評論は他の人が行っているので私は思ったことを。
・作者が様々なジャンルの学識を駆使して作り上げている。普通はそういうのは鼻に突く場合が多いのだが、物語に厚みを加えている。例えば理学的な記述の部分も文系の私には何がなんだが分からないのだが、なんか妙なリアリティがあって面白かった。そもそも、イェーガーの息子の難病は架空の病気で実際にはないようだ。
それに加え作者の政治哲学なども盛り込まれているが、私は同調した。
・小説でも映画でもこれが一番重要なのだが、キャラクターが立っている。傭兵部隊4人のキャラはもちろんだが、研人と相棒になった韓国人も良かった。個人的にはルーベンスが最も好きだ。主人公たちとは敵対する実行機関のトップでありながら、主人公たちに同情的で複雑な立場にいるところが、なんとも言えない面白さがあった。
そしてハイズマン博士も。

私はこの手の小説は先の展開を早く知りたいので、なるべく速読をするのであるが、この作品に関しては読むペースを敢えて落とした。なぜかというと前半から名場面、興味ある描写が目白押しで出てくるのである。わざとペースを落とし噛みしめるように読むことにしたのである。

もう大昔にフレデリック・フォーサイスの「ジャッカルの日」を読んで、読後大きな満足感があったが、この作品はそれ同等、いやそれ以上の満足感があった。

この作品は個人的に生涯ベストい入る作品となった。


No.1 5点 自由研究には向かない殺人
ホリー・ジャクソン
(2024/03/10 16:24登録)
前評判が高かったので読んだが正直冗長という感想。道中いろいろ盛り込んでいるがラストに向けて犯人当ての伏線やヒントがある訳でもないので、犯人が分かっても、ああそうなのという感じ。
主人公の2人ピップとラヴィは魅力的だったので一応最後まで読めたが犯人は特別賢いとか狡猾という訳でもないので私にはあまり刺さらなかった。

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