Zの悲劇 悲劇四部作 |
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作家 | エラリイ・クイーン |
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出版日 | 1959年01月 |
平均点 | 6.45点 |
書評数 | 33人 |
No.13 | 7点 | あい | |
(2013/03/30 17:46登録) XやY程のインパクトはなかったが、意外な犯人や消去法の推理は面白かった。 |
No.12 | 7点 | TON2 | |
(2013/01/17 18:23登録) ハヤカワ・ミステリ文庫 ドルリー・レーン4部作の第3作。 レーンのほかにサム警視の娘ペイシェンス・サムが探偵役です。レーンものの中ではあまり評価が高くないですが、それなりに楽しめました。 上院議員とその兄の医学者や売春組織の女ボスたちが牛耳っているまちが舞台で、その州の刑務所では毎週水曜日に死刑が執行されるということになっています。 死刑執行場面も具体的に描かれていて、謎解きが冤罪者の死刑執行直前というのは、少々あざとい感じがしました。 |
No.11 | 7点 | 臣 | |
(2012/12/27 09:40登録) 上院議員殺しの容疑のかかった老人ダウの嫌疑を晴らすべく真相解明に挑む、サム元警視の娘ペイシェンス。そしてその手助けをするのが、元舞台俳優のドルリー・レーン氏です。手助けというより、途中で主役は交替します。 レーンが最後に見せる推理はお見事です。シンプルでわかりやすく、それでいて一分のすきもない。まさに芸術品ですね。しかも物語的にもおもしろいし、小道具の使い方もうまい。 やや小ぶりで外連味のなさは感じられますが、X、Yより劣るということは決してありません。合作とはいえ、これほど完成度の高い推理小説をたてつづけに書けるものかとあらためて驚かされます。 本書は初読ですが、既読のX、Yにくらべれば現代風な印象を受けました。Yから10年後という時代設定によるものなのでしょうか。レギュラー登場人物もそれなりに年を重ねたという感じがします。そのあたりの不自然さのない物語設定も評価できる点です。 物語設定を考えれば、このシリーズのように、シリーズ物は3,4作が現実感があって妥当なのかなという気がします。 |
No.10 | 7点 | 測量ボ-イ | |
(2011/07/01 21:56登録) いわゆる「XYZ」で唯一未読だった本作品を今さらですが 拝読。 真犯人を絞り込むロジックはいつもながら秀逸ですね。 先の方の指摘のように、解決編寸前まで読者が犯人を絞り込 むことができないのがやや不満点かな? 水準以上の評価は十分できる本作ですが、「XYZ」で評価 すると、やはりY>X>Zになりますかね。 採点もそれを反映させました。 |
No.9 | 5点 | りゅう | |
(2011/06/14 18:50登録) やっぱり、X、Y、Zの中では一番見劣りがするような気がします。最後にレーンが犯人を絞り込むロジックを披露しているのですが、このロジック及び作者のヒントの提示の仕方には疑問があります。また、真相説明まではドウ以外の容疑者候補が絞られないままで、他の人物のアリバイや動機に関する議論が全くない点にも不満を感じました。 (完全にネタバレをしています。要注意!) ・ レーン及びペーシェンスの推理の大前提となっているのが利き腕・利き足に関する一般原則ですが、根拠としては極めて薄弱と言えるでしょう。 ・ レーンは、フォーセット上院議員の机の上に残されていた封筒の一つに、封筒表面の左右にクリップの盛り上がった痕があることから、犯人がいったん手紙を取り出して読み、戻すときに最初の入れ方と逆に突っ込んだことを推理しています。このクリップの件はどこに書かれていたのだろうと思って読み返してみると、「三番目の封筒は典獄あてのもので、両端に紙クリップの、もりあがった痕がある」との記述しかありません。読者が、この記述だけを読んでこの封筒に異常があることを見抜くのは、まず無理でしょう(手紙の両端をクリップで留めている場合もあります)。せめて、開封して、紙クリップが1箇所にしかなかったことを示すべきではなかったでしょうか。 ・ 犯人がフォーセット博士からきた手紙をすり替えて、ドウの脱走日を水曜日から木曜日に変更させた件に関して、レーンは水曜日が死刑執行日であり、犯人がそれに出席する必要があったためだと決め付けています。死刑執行に出席していない刑務所職員の中に、別件により水曜日の都合が悪かった職員が存在していた可能性を見逃しています。 |
No.8 | 8点 | ミステリー三昧 | |
(2011/02/13 16:45登録) <創元推理文庫>悲劇シリーズの3作目(長編)です。 本書の読みどころは何と言っても、終盤の「消去法推理」によるフーダニット絞り込みです。何故か前2作に比べ有名でないとのことですが、解決部分は『Xの悲劇』『Yの悲劇』に決して引けを取らず、相変わらずの高水準パズラー小説として高評価できました。むしろ私的には『Y』より『Z』です。本書の解決編は、第一に犯人であることの絶対条件としていくつかの定理を導き出すこと、第二にその定理を駆使して、最後の1人になるまで登場人物を除外することで、解決編ラスト行に犯人の名を明かすプロットとなっています。 また語り手となる女性素人探偵(?)の存在も本書の魅力かなと。(なんでこうしたか不明ですが)レーンが老いぼれてしまった設定上、行動があまり取れない状況で彼女の若さが躍動し、事件にいろんな展開をもたらします。彼女の行動力とレーンの頭脳の融合が物語に盛り上がりを与えていたかなと思います。無実の罪で死刑宣告されたひとりの男を救うべく、犯人探しをはじめるというプロットも分かりやすいし、彼女の語りに関して読みにくさも特に感じませんでした。ただ欠点として、中盤の彼女の推理が、さほど納得いく推理でなかったのが残念ではあります。利き腕、利き足を推理の軸とするのは如何なものかと。もっと補強があれば良かったのに終盤のレーンの推理では彼女の推理が前提となっています。囚人の無実に対するロジックが甘い点はなんとかしてほしかったです。とりあえず悲劇シリーズの私的評価は『X』>>『Z』>『Y』です。『Xの悲劇』には遠く及ばないですね。 |
No.7 | 7点 | HORNET | |
(2011/01/09 18:16登録) ドルリイ・レーン四部作の中では世間的に評価が低いらしい作品ですが,自分としては気に入りました。特に,最後に犯人と断定するレーンの論理的推察は読み応えがあり,また納得のいくものでした。 |
No.6 | 6点 | seiryuu | |
(2010/11/07 14:50登録) 私はXの悲劇よりこちらのほうが社会派でリアリティがあって面白いと思いました。 じわじわと犯人を追い詰めていくシーンは読み応えがありました。 |
No.5 | 6点 | E-BANKER | |
(2010/04/22 20:13登録) ドルリーレーン4部作の第3弾。 名作「Xの悲劇」「Yの悲劇」から10年後が舞台であり、レーンは70歳を過ぎすっかり老境に入ってしまい、盟友サム警視は警察を退職し、私立探偵として活躍中・・・ この作品、他の方の書評どおり、読み所はラストシーン。意外な真犯人指摘まで、レーンの怒涛のような「消去法的推理手法」が披露されます。 確かに、この消去法を成立させるための伏線は見事ですし、本シリーズのレベルの高さを感じます。 ただ、途中の展開がちょっとまだるっこしいというか、今ひとつ緊張感に欠けるような部分が気になり、こんな評価になりました。(別にペイシェンスのせいではないと思うんですが・・・) |
No.4 | 7点 | こう | |
(2009/11/02 23:08登録) X、Yの影に隠れがちですが終盤の消去法による推理は迫力がありました。ただペイシェンスが好きになれないのと3人称の文章でないためかあまりストーリーに引き込まれなかった覚えがあります。作品自体はロジックも素晴らしいと思います。 |
No.3 | 7点 | 空 | |
(2009/06/17 20:47登録) 論理派クイーンの中でも、消去法推理を徹底させた作品です。ラストのレーンのたたみかけるような推理には、そのシーンの状況設定ともあいまって、息詰まるような緊迫感が感じられます。ただし、犯人が日を変更した理由については、確かにそれだと言いきれない点が(後で読み返してみて)気になりました。 また、被害者の人物設定や検事の態度、死刑問題など初期作品の中では社会派リアリズム傾向がかなりあるというのも興味深い点です。ワトソン役ではなく脇役探偵の一人称形式であるということからしても、ひょっとしたらハメット等からの微妙な影響があるのではないかとも思ってしまいます。 |
No.2 | 8点 | マニア | |
(2008/11/17 02:05登録) 『Xの悲劇』『Yの悲劇』から10年後。すっかり老けこんでしまったドルリー・レーン、丸くなってしまったサム警視を始め、物語自体からも盛り上がりに欠ける印象を受けた。 しかし、クライマックスで見せるレーンの推理の美しさには酔いしれること必至!そこだけは、個人的には『Xの悲劇』『Yの悲劇』以上だと思っている。消去法により犯人を限定していく緊張感、淡々と論理を展開していく名探偵レーン、最後に2人に絞られた容疑者、そして・・・。この場面を味わうだけでも、読む価値あり。やっぱり傑作!! |
No.1 | 7点 | Tetchy | |
(2008/10/26 14:07登録) 前2作から打って変わって物語はサム警視の娘ペイシェンスの一人称叙述で語られることから悲劇四部作において、変奏曲ともいうべき作品になるだろう。 巷間の評価が本作についてかなり低いのは、やはりこのペイシェンスというキャラクターが妙に浮いている感じを受けるのと、前2作に比べ、タイトルに掲げた「Z」の意味がインパクトに欠けるからだろう。 私はといえば、前2作に比べるといささか迫力に欠けるのは巷間の評価とは一致するものの、結末まで読んだ今では、最後怒濤の如くレーンが開陳する弁証法による消去法で瞬く間に容疑者が絞られ、1人の犯人が告発されるあたりはロジックの冴えと霧が晴れていくカタルシスが得られ、個人的には凡百のミステリよりも優れており、楽しめた。 |