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ミステリの祭典

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探偵さえいなければ
烏賊川市シリーズ

作家 東川篤哉
出版日2017年06月
平均点6.00点
書評数10人

No.10 5点 八二一
(2020/08/09 14:38登録)
シンプルな短編集だが、それがむしろミステリの醍醐味を現出させている。特にゆるキャラを容疑者とした殺人劇は万人にお薦め。

No.9 6点 nukkam
(2020/03/02 20:03登録)
(ネタバレなしです) 2013年から2016年にかけて発表された短編を5作収めた、2017年出版の烏賊川市シリーズ第3短編集です。本書に至るまでに長編5作と短編集2作が発表されたためか、烏賊川市がすっかり「犯罪都市」として定着してしまいましたね(笑)。それでもユーモア本格派推理小説であることにはぶれがなく、気楽に楽しめる作品です。特に「ゆるキャラはなぜ殺される」と「博士とロボットの不在証明」の会話ははじけ飛んでいて滅法楽しかったです。しかし最も印象に残ったのは「とある密室の始まりと終わり」です。何と扱われた犯罪は猟奇的殺人事件で使われたトリックも実に猟奇的、これをユーモア本格派に仕立てた豪腕が凄い。流平君、トラウマにならないんだろうか?この内容を江戸川乱歩とか二階堂黎人とか猟奇描写を気味悪く描くのが上手い作者が書いたなら...、いやあんまり想像したくないです(笑)。

No.8 4点 E-BANKER
(2020/02/14 23:26登録)
「はやく名探偵になりたい」「私の嫌いな探偵」に続く烏賊川市シリーズの短編集第三弾。
収録作は「宝石ザ・ミステリー」誌に2013年から断続的に掲載されたもの。
本作は2017年の発表。

①「倉持和哉の二つのアリバイ」=「ローレックス」ですか・・・。いやいや、昔は中国や韓国へ旅行するとこういうバッタものをよく売ってましたな。烏賊川市ではまだこういう商品が流通しているということか・・・
②「ゆるキャラはなぜ殺される」=出た! 烏賊のゆるキャラ、剣崎マイカ! 再登場を望んでたんだよー。でも、今回は他のゆるキャラも相当ウザイ。で、本筋は? まぁどうでもいいじゃないですか・・・
③「博士とロボットの不在証明」=苦労に苦労を重ねて(?)ロボットとともにこしらえたアリバイ! そんなアリバイが朱美の思い付きで一瞬にして崩される刹那。ご愁傷さまです。設定は一番面白くてツボだった。
④「とある密室の始まりと終わり」=これは・・・無理だろ! すぐ気付かれるだろ!って、なかなか気付かなかった鵜飼いと流平。
⑤「被害者によく似た男」=要はアリバイトリックなんだけど、最後は「そこかよ!」っていうオチが来る。

以上5編。
いやー緩い。もう相当緩い。ゆるゆるだ。
これだと読む方も畏まって読んでなんていられない。もう、だらしない格好で何も考えずに読むしかない。そんな感じだ。
作者の作品、最近とみに「質」よりも「量」っていう傾向が強い。
そりゃー質も落ちるよなぁーこれだけ乱発すれば・・・
短編だとワンアイデア勝負で済むからいいんだけど、これでは腰の据わった長編は当面無理かもね。
そう思わずにはいられなかった。

まぁこういう手のミステリーがお好きな方もいるとは思うので、一定のニーズはあるのかもしれない。
次回は是非プロットを十分煮詰めた長編を期待してます。
(ベストは③。博士とロボットの会話は秀逸。AIの時代に二足歩行ロボットだもんなぁ・・・)

No.7 7点 makomako
(2020/01/18 07:37登録)
このシリーズはどれをとっても楽しく読めるので、発売されると必ず買ってしまいます。
 今回もなかなか面白い。ギャグはいつもより面白く、読んでいてクスっと笑ってしまったことが何度もありました。
 本格推理小説並みのすごい謎が提示され、またとんでもない解決が最後に来るといったお決まりのコースを踏んでいますが、これを本格推理でやるとちょっとないでしょうということとなるのが、ユーモアミステリーではなるほどとなるのが不思議です。
 次作も期待しています。

No.6 7点 mediocrity
(2020/01/17 05:39登録)
①『倉持和哉の二つのアリバイ』
倒叙物。ギャグ全開だがストーリーに大きく関わってくるのは良い。
②『ゆるキャラはなぜ殺される』
ゆるキャラが全員語尾にキャラ名を付けてしゃべるのは、ちょっとくどいのではあるマイカ。
③『博士とロボットの不在証明』
倒叙物。最後は笑った。
④『とある密室の始まりと終わり』
絵を想像するとなんだか色々とすごい。かなりグロい。
⑤『被害者によく似た男』
倒叙物。うまくいったと思ったら意外な結末だった。

この本に関しては、トリックを考えていた時間よりギャグを考えていた時間の方が絶対に長いと思う。にもかかわらず全体的に安定している。傑作はないが全て6~7点という感じ。

No.5 6点 青い車
(2018/11/27 02:32登録)
 『ゆるキャラはなぜ殺される』が快作です。ユーモア・ミステリならではの状況設定、鵜飼と剣崎マイカによる手を抜かない謎解き、意外なオチと東川短編屈指の出来ではないでしょうか。その他の話も気軽に肩をこらさず読める作者らしいものが揃っています。

No.4 6点 人並由真
(2018/03/19 17:55登録)
 このシリーズは実は初めて触れますが、とても楽しかったですな。一本一本ごとに、自分自身も楽しんでミステリを書いてるのであろう送り手の心情が透けて見えて、実に快い。
 機会を見て少しずつ本シリーズを楽しませてもらいます。

No.3 5点 mozart
(2018/01/29 17:14登録)
久々の烏賊川市シリーズということで期待が大きかったのですが、短編集だったせいか、レギュラーメンバー間のやりとりも少なく、「本格度」も「ユーモア度」もちょっと薄味だったかな、という印象です。同シリーズでは、できれば長編を読みたいところです。

No.2 7点 名探偵ジャパン
(2017/12/01 22:02登録)
シリーズ最新作(2017年現在)ですが、作風はもちろんのこと、鵜飼探偵も流平くんも、初登場以来まったくブレません。時がいくら流れて時代が変遷しようと、彼らと、彼らが住む烏賊川市だけは、ずっとこのままなのでしょう。

非常にグロテスク、かつ犯人が悲惨な目に遭う「とある密室の始まりと終わり」もいいですが、何と言っても本短編集の白眉は「ゆるキャラはなぜ殺される」でしょう。
ゆるキャラ探偵剣崎マイカ、まさかの再登板。これは私も含めた、全烏賊川市シリーズファンが待ち望んでいたのではあるマイカ。
あらゐけいいちの描く、かわいらしく味のある表紙イラストも、もはやシリーズには欠かせない存在となりました。

No.1 7点 まさむね
(2017/07/23 16:03登録)
 烏賊川市シリーズの短編集。このシリーズとしては第三弾の短編集に当たる(と思います)。
 作者の原点と言うべきシリーズですが、いつもの鵜飼杜夫、二宮朱美、戸村流平の三人が揃って登場する短編はありません。というか、三人とも登場しない短編すらございます(砂川警部と志木刑事は登場するから、辛うじて烏賊川市シリーズということになるのかな?)。でも、このシリーズは主要三人以外のサブキャラクターがいい味を出していて、前短編集で個人的にツボだった、ゆるキャラ探偵「剣崎マイカ」が(1短編のみとはいえ)再登場してくれたことが嬉しい。凄く嬉しい。
 いずれの短編も水準以上の出来栄えにありますが、個人的には何といっても「剣崎マイカ」が見事に解決する「ゆるキャラはなぜ殺される」がベスト。ユルすぎるとか、バカバカしいとか、批判もあるでしょうが、私には無関係。ゆるキャラを活かしきったプロットは秀逸と言ってよいのではあるマイカ。そして作者としては、今後も彼女のキャラを積極的に使うべきではあるマイカ。
 他の四短編も、なかなかの出来栄えです。倒叙形式もあり、かつ、反転が心憎い作品も多くて好感を持ちました。緩いユーモアを巧く活かしながらの、極めて堅実な短編集と言えると思います。(様々な意見はあろうかと思うのですが。)

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