皆さんから寄せられた5万件以上の書評をランキング形式で表示しています。ネタバレは禁止
していません。ご注意を!
31880. | カッリージが2人 nukkam 2021/12/19 23:41 [管理人への要望/不具合報告] |
管理人様 いつもお世話になっております。ドナート・カッリージとドナード・カッリージがあって随分似た名前だなと思ってましたが、登録作品がどちらも「六人目の少女」で実は同じ作者でした。ドナートが正でドナードが誤です。ドナードの方にも感想が投稿されていますが何とか統合できないでしょうか? nukkam |
31871. | RE:RE:RE:RE:ボアゴベと涙香について 空 2021/12/17 00:11 [雑談/足跡] |
弾十六 様 も少し涙香関係のことを続けさせてください。以下は、『海底之重罪』原作に気づくより少し前から知っていたことですが。 > でも原作の記述が全然行き届いていない… 原綴さえ書いてないし。 これは、元ネタである伊藤秀雄氏の著作にそう書いてあるからということですね。伊藤秀雄氏も、昔から言われている説をそのまま写しているに過ぎないでしょう。 たとえば『嬢一代』等のバアサ・エム・クレイ女史なんて、何だこの表記、という感じですが。 この作家、現在でばバーサ・M・クレー(Bertha M. Clay)、『金色夜叉』の原作『女より弱き者』の著者であることが、堀啓子東海大学教授によって確認され、同教授による原作翻訳も出ています。ただ、『嬢一代』原作は怪しい。 『人の運』等のミス・ブラッドンは、メアリ・エリザベス・ブラッドン(Mary Elizabeth Braddon)、小森健太朗氏の『英文学の地下水脈』等で紹介され、『人の運』原作は "A Strange World" であることが確認されています。 |
31864. | RE:RE:RE:ボアゴベと涙香について 弾十六 2021/12/16 06:04 [雑談/足跡] |
空さま おばんでした。 涙香作品リスト、実に良いですね。でも原作の記述が全然行き届いていない… 原綴さえ書いてないし。 このリストを見ると、意外と日本の国会図書館のデジタル化が進んでいるんだなあ、と感じました。涙香は大抵の作品がデジタルで読める時代が来ていたのですね。(検索機能が充実すればなお良い… まあこれはかなりハードルが高いでしょうけど) 涙香が仏語ダメだった、というのであれば、原作が仏語のものは英語翻訳も示さないと不十分ですね… 例えばこんな感じで。 『海底之重罪』都新聞1889-1-3〜3-10 原作Boisgobey “Une affaire mystérieuse”(初出Le Petit Moniteur Universel du Soir 1869-6-10〜8-14, 連載タイトル”L’homme sans nom”; 出版Paris, E. Dentu 1878) 英訳”The Nameless Man”(London, Vizetelly 1887) 翻訳者不明 情報ありがとうございました。涙香の口語訳がネットにあげられているようなので読んでみようかな… 感想は涙香作として、ここに挙げても良いのでしょうか?(電子本ではないから、規定外になっちゃいますね。 |
31862. | RE:RE:ボアゴベと涙香について 空 2021/12/16 00:31 [雑談/足跡] |
弾十六 様 > でも日本の研究ってWeb公開が貧弱だと思います。涙香著作リストさえ満足なのがないなんて… 涙香だけでなく、古い作家の著作リストが充実しているのとしては、次のサイトがあります。 http://iwawi.a.la9.jp/index.htm > ところで私は、涙香は英語から翻訳したのでは、と思っています。もちろん仏語も出来たでしょうけど、なんとなく英語の人だったのでは?と思うのです。なので涙香の連載年月日と英訳の出版年月日を比べると面白そう、と思うのですが、 確かに、涙香研究の第一人者である伊藤秀雄氏が書かれているところによれば、涙香は英語が非常に得意で、千冊以上読んだと豪語していたとか(どうも仏語はだめだったようです)。涙香死後、相当数の涙香蔵書の英語本が古本屋に出回っていたそうです。 |
31856. | RE:RE:RE:RE:おっさん様、『のろわれた潜水服』原作について おっさん 2021/12/15 10:22 [雑談/足跡] |
弾十六さんへ ご無沙汰しています。 お言葉に感謝。 サイトを覗きにくれば、ご活躍はチェックするようにしていました。 しかし、弾さんの克明な調査は、こちらも腰を据えて読まねば、というところがあって、心せくときには、あとでゆっくり読もうと――途中でパスしてしまっていたことを、告白いたします。スミマセン。 介護に葬儀に相続に、と続いた日々も過ぎ、来年からはまたゆっくりした日々に戻れるはずなので、過去のご投稿を読み返させていただきます。 何か、小生宛てのメッセージを読み漏らしていた可能性もありますが、目についたものがあれば、亀レスでお応えしていきます。 まずは取り急ぎ、お礼とご報告まで。 おっさん拝 |
31854. | RE:ボアゴベと涙香について 弾十六 2021/12/15 00:20 [雑談/足跡] |
空さま おばんでした。 素晴らしい発見が続々と! 涙香研究の新境地ではないかと思います!(私の方は例によって周辺の小ネタを拾うだけ) でも日本の研究ってWeb公開が貧弱だと思います。涙香著作リストさえ満足なのがないなんて…(私が探せてないだけですかね?) 実は私が持ってる涙香本は、創元推理文庫の日本探偵小説全集第1巻と「小野小町」(教養文庫だったと思います)くらいなのです。いずれも書庫のどっかに眠っています。 特に後者は「貞女は一夫だにまみえず」と冒頭から無茶苦茶で、ダメだコイツ、と先を読んでいません… 当然、全集第1巻の方の「無惨」なんて字が詰まりすぎてて読めません… 涙香で思い出すのは、ミステリ・マガジンの裏表紙に結構長く掲載されていた涙香全集の広告。あれずっと読みたいなあ、と思ってたんですが、現物を全く見たことなくて、ポシャった企画だったんでしょうね。明治期の大流行作家なのに全然復権する気配がないなんて、どういうことでしょう。 ところで私は、涙香は英語から翻訳したのでは、と思っています。もちろん仏語も出来たでしょうけど、なんとなく英語の人だったのでは?と思うのです。なので涙香の連載年月日と英訳の出版年月日を比べると面白そう、と思うのですが、まあ自分でやる根気がありません… もう一つ、ボアゴベのL’homme sans nomですが、これが世に認められた最初期の連載(1869)なのに書籍化が遅れたのは何故なんだろうと思っています… そして書籍の方のタイトルがUne affaire mysterieuseで、この本には連載時L’homme sans nomだったとかは一切書いておらず、この表現が小説中に出てくるのは数か所(BnFのファクシミリ版はOCRの検索機能も付いてて全文検索も出来るのです!恐るべし!)なのに英訳者がThe Nameless Manというタイトルを選んだのは何故?とか… (もちろん重要なワードなので『謎めいた出来事』なんてタイトル弱いから別にないかなあ、と英訳者が偶然見つける表現であっても不思議はないのですけど) まあこういうどうでも良いことを悩んで小ネタにばかり注目するのが私の悪い癖です… 空さまのご研究が進むことを楽しみにしております。 |
31853. | ボアゴベと涙香について 空 2021/12/14 20:46 [雑談/足跡] |
弾十六 様 いつもながらの緻密なリサーチには、敬服の他ありません。英語版タイトルの由来も、すっきり納得できました。 こちらはともかくフランス語小説冒頭を読んでいく方で… すると、また従来の説を覆すものが出てきました。いや、『劇場の犯罪』の原作は間違いなく"Le crime de l'Opera"(オペラ座の犯罪)だと確認もできたのですが。で、問題なのは、 Le cochon d'or(金の豚)1882 冒頭、ほぼ会話のみで語られる内容は… 二人の若者が午前4時のパリを歩いている。田舎に住むサヴィニエンヌ・ダマンリは、伯父の勧めで、パリに6ヶ月滞在することになり、パリ在住の旧友ジョルジュ・フルジュレーを訪ねたのだった。フルジュレーは旧友を歓待し、レストランや賭博場を連れ回した後、家に帰る途中である。ダマンリにはイヴォンヌという婚約者がいた。なお、金の豚とは、ダマンリが伯母からもらった装飾品のことである。 ダマンリはフルジュレーと別れ、ホテルに帰った。部屋でくつろいでいると、妙な音が聞こえてきた。 涙香の『玉手箱』(従来の説では、『閉じられた扉』(Porte close)が原作)の出だしは、これとそっくりです。なお、"Porte close" (1879)はトリガヴー城の一室に、ある夜ウルベック男爵夫人フラヴィアがいる場面から始まります。男爵は朝から狩に出ていて、彼女は一人。夜中過ぎ、窓をノックする音が聞こえ、夫人が窓を開けると、アラン・ド・トリガヴーが入って来ます。彼女は彼を待っていたのだったという、要は浮気話から始まる物語です。 伊藤秀雄氏の『黒岩涙香の研究と書誌』でも、本作については「「閉じられた扉」というもののよし。」と書かれていて、根拠の弱い説であることは伊藤氏もわかっていたようです。 |