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シーマスターさん
平均点: 5.94点 書評数: 278件

プロフィール高評価と近い人書評おすすめ

No.13 6点 時鐘館の殺人- 今邑彩 2012/03/26 22:46
作者の第一短編集・・・・ですよね?

本書の読了により、現在までの今邑氏の短編集を読破したのではないかと思うが、図らずも刊行順序にほぼ逆行する形で読み進めてしまったようだ。で、感じたのはこの人は初期の頃の方が口語的でユーモアに富んだ文体だったんだなあ、読み様によっては最近のものより余裕を感じさせる・・・という普通の作家の文体の変遷とは逆ではないかなぁという曲者作家ぶり。
それはともかく本書の感想をちょこっと述べさせて頂くと・・・

・「生ける屍の殺人」・・謎の提示は魅力的だが、小説としてアンフェアではないかという気もする。まぁ「らしい」話。 山口雅也氏の作品とは無関係。
・「黒白の反転」「隣の殺人」「あの子はだあれ」「恋人よ」・・・それぞれ反転モノとして読ませてくれる。(「隣の殺人」と「恋人よ」は大体見えてしまったが)
・「時鐘館の殺人」・・綾辻行人氏の作品と同じ読み方のタイトルだが内容は(時計がたくさんある館での殺人という共通項以外)無関係。今邑彩が出版社から依頼された犯人当てクイズ小説、という設定。私は(雰囲気からカスリましたが)論拠などは全く分かりませんでした。なかなか凝っているし遊び心もタップリ。
エピローグの一節(地の文)からの抜粋・・・『大体、本格物の愛読者なんて暇だけは腐るほどあるという人種が多い。・・(中略)・・読むのは学生か失業者か病人である。』


パッと思い浮かんだ個人的な彩ちゃん短編ベスト3
 ①おまえが犯人だ(「つきまとわれて」に収録)
 ②ささやく鏡(「よもつひらさか」に収録)
 ③時鐘館の殺人(本書の表題作)

No.12 6点 鋏の記憶- 今邑彩 2012/03/21 22:18
サイコメトリー(物に触るとその所有者の風貌や記憶や感情をある程度感受できる超常能力)を有する女子高生が主人公の連作短編集。
八十ページ前後の比較的長めの短編が四作収録されている。
しかし、どの作品もその長さの必然性は感じられず、読みながら「もっとサッサと進めろよ」という感も・・・

・「三時十分の死」・・ネタはちょっと机上っぽい印象だが、女性作家ならでは、いや今邑氏ならではの展開が印象深い。
・「鋏の記憶」・・そこまで根詰めて三十年前の、自分達と何の関係もない人の死の真相を追求する心情が解からないし、(まぁそれは主人公のためとしても)その真相には全く納得できない。納豆食っても納得できない。しかしラストは・・・こういうのは理屈抜きで割と好き。
・「弁当箱は知っている」・・畏怖と哀愁。(if&ice you)
・「猫の恩返し」・・まぁなんというか、そのネタでしたか。(今日も関連のニュースが少しありましたね)

今まで読んだ今邑さんの短編(殆ど本書より後の作品)は概ねシャープでドライな印象だったが、先述のとおり本書の各話は結構「無駄口」が多かったような・・・引き伸ばしではないと思うが。

No.11 6点 盗まれて- 今邑彩 2012/03/13 22:33
今邑氏らしい、リーダビリティとツイストを兼ね備えた短編集。

まぁ、こういう系統の話(特に作者自身の他の短編集)を読み慣れていると大方途中で捻り先は見えてしまうが、後半の作品では家族、特に親子の情の描写においてミステリーの枠に収まらないものがある。

ところで、表題作の最後から四行目・・・『ははあ。そういうことだったのか。』・・・どういうことだったのかよく解かりませんでした。どなたか解説していただけないでしょうか。

No.10 6点 よもつひらさか- 今邑彩 2011/05/10 22:15
今邑節全開のホラー&ミステリー12編からなる短編集。

この人の他の短編集と同様に実に読みやすい、というか一気に読まされてしまう。
ただしネタは驚くほど古いものが多く、読みながら「まさかアレじゃないよな」と思わせられて結局アレだったりする話が少なくないが、そのこと自体はさほど大きな欠点にはなっていないと思う。
加工が上手いし、構成が巧みで、とにかく語り口で読ませてくれる。

本書の中で個人的に最も印象に残ったのは「ささやく鏡」。
純然たるホラーだが引き込まれるストーリーで捻りも効いている。
そして何よりラスト・・・・・「それだけは勘弁してくれー!!」と叫びたくなる絶望感。

No.9 6点 つきまとわれて- 今邑彩 2011/05/02 22:40
ホラーが得意でミステリにもホラーを絡めることが多い作者だが、本作はほぼノン・ホラーのミステリ短編集。(皆無ではない。ホラー度数2%ぐらい)

本作の中で1番面白いと感じたのは第1話の「お前が犯人だ」。
次が「吾子の肖像」。

最後から2番目(並び順で。面白さでは最下位)の「逢ふを待つ間に」は場違いと言ふか、この短編集に入っている意味がよくわからない。

ホラー風味より反転ミステリが好きな自分は、少し前に読んだ作者の短編集『鬼』よりこちらの方が好み。

No.8 6点 - 今邑彩 2011/04/26 20:15
今邑氏らしい「毒」のあるミステリー&ホラー10編が収録された短編集。

今まで読んだ氏の短編集の中ではこれが個人的にベスト。(ていうかこれ以外の短編集は読んでいない)

正直、各々の「ネタ」に関してはさほど斬新さを感じず、むしろ「昔懐かしい風味のタブー小説」という感じを受けたが、麻薬のようなストーリーテリングで読み止まらない話ばかり・・・おっと自分は麻薬なんかやったことなかった。(当たり前だろっ)

言いかえれば、子供の頃、親に内緒で、縁日のあやしげな屋台で食べたギトギトの焼きそばや駄菓子屋で買い食いしたドギつく染色された色とりどりの小さな揚げせんべい等々を思い出させる食感・・・といったところが個人的な感想に近いかなぁ

No.7 6点 七人の中にいる- 今邑彩 2009/06/20 23:27
今邑氏らしい纏まりのいいサスペンスフル・ミステリー。

自分は彼女をソツがないとは思わないが、本作は彼女の「ミスがない」(そりゃー細かい事を言えばキリがないが)標準作のように感じた。
文庫で500ページ近い作品だが、中だるみを覚えることもなく読んでいる間ずっと楽しめた、といってもいいエンターテインメント性の高さも感じた。
ただし、ミステリとしての切れ味を出すためには、もう少し短い方がよかったかもしれない。
少しミステリを読み慣れた人なら終盤以前に「この流れなら犯人はコイツしかあり得ない」と読めてしまうだろう。(この辺の器用貧乏さが、この人が今一つメジャーに成りきれない所以の一つではないかと思ったりもする。ていうかまだ作家やってるのかな?)

本作品は2時間、いや3時間ぐらいのドラマや映画に化しても、原作に忠実に作れば退屈とは無縁の目が離せない作品になりそう。(ミトコンドリアが逆立ちするほど安易なラストだけは少し手入れして頂いて)

No.6 6点 i(アイ)―鏡に消えた殺人者- 今邑彩 2009/02/07 21:54
カーちゃん張りのマジカル密室殺人には大いにソソられるが、タネを明かされると竜頭蛇尾な感も否めない。
そりゃー不可能に見える現象が成立するためには(故意にせよ偶然にせよ)必ずどこかに「綻び」というものがあるわけだが、本作の不可思議性の綻びドコロはちょっとお粗末ではないかなーと思うわけですよ。

本作は作者の長編ミステリの代表作的な作品とされているが、個人的にはエニシダ荘の方が遥かにインパクト強し。

この他の作品にも登場する貴島という探偵役の刑事・・・何となく東野作品のアノ刑事とダブるねー、ちょっとダラシない加賀って感じ。どっちが先か知らんけど。

No.5 6点 ルームメイト- 今邑彩 2008/07/30 23:42
ミステリとしては微妙だが、サイコ・サスペンスと割り切って読めば許容範囲内。

ストーリーも割りと面白くて読みやすいが、(サイコは別としても)無理がある、というか不自然な展開がいくつかあることも否定できない。
例えば、身内の友達とはいえ、初対面のただの大学生に訊かれるがままに複雑な家庭の事情やらプライベート性の高い話をそう易々とベラベラ話したりするものだろうか。

ラストは更にビミョー。 少なくとも驚愕する気にはなれず。

No.4 5点 「死霊」殺人事件- 今邑彩 2008/07/22 22:07
普通ならタイトルで軽くスルーする代物だが、偶々105円コーナーで見つけてしまった今邑作品なので・・・

で、読んでみると・・・・・・

いくつか面白い仕掛けもあるが、メインのカラクリは取ってつけたような不自然なアクトと好都合な事象のコラボで、とても褒められたものではない。
またプロローグは悪い意味で紛らわしいし、「顔」やオバハンは結局・・・?
過去の事件や歳月を経ての悲劇や隠蔽トリックも(これ自体は悪くはないが)本編との関係で言えば単にコンテンツ不足を補うものにしかなっておらす、一つの作品としては首を傾げざるを得ない構成になってしまっている。

本作が作者の作品群の底値であることを願いたい。

No.3 6点 ブラディ・ローズ- 今邑彩 2008/07/07 20:43
ブリジット・・の「マーチ博士の四人の息子」やらヒッチコックの「レベッカ」やら・・・・過去モノのアトモスフィアがいろいろ入っていて(この人の得意ワザらしい)面白いし、不可思議性の演出も巧いし、「真相はこうじゃないのか?」という自分のような浅薄な読者の思いつきを一つずつ丁寧に潰してくれるのも好感が持てる。

ただ、雰囲気や心理面に重きを置いた作風になっているので、ミステリ作品としてはインパクトが強い仕上がりにはなっていない。

ラストは安物ホラーサスペンスっぽい気がしないでもないが、読後遠からず忘れ去られてしまいそうな儚げな印象を補強する意味では悪くないだろう。

No.2 7点 金雀枝荘の殺人- 今邑彩 2008/05/30 23:58
予想外に(と言っては作者に失礼だが)面白かった。

特にグリム童話に見立てた連続殺人の必然性、密室トリックとの兼ね合いには唸らされるものがある。

ただ「霊」や「霊視者」を出す必要はなかったのではないかな。そんなもの出さなくても十分ケレン味は出ているのに・・・・「霊」の最後の仕事もストーリー作りの一環であるのは分かるが・・・・・・まぁミステリをブチ壊すほどではなく許容範囲ではあるが無駄骨の気がする。

また、(この人の癖なのかもしれないが)時々過去の有名作品に言及する中で、本作では登場人物にある作品のネタをポロっと口を滑らさせているのも気になるところ。

(その辺りはともかく)この人の本は2、3冊しか読んでないけど、いずれも読みやすくて長さも手頃、構成も巧く、ミステリチックな雰囲気も程がいい・・・・・結構穴場的作家?(なんていったら本人のみならずファンにも失礼極まりないですね。m(_ _)m )

No.1 6点 そして誰もいなくなる- 今邑彩 2008/04/25 21:32
かの名作を読んでいた方が楽しめるかもしれないが、未読でも普通に楽しめると思う。作者が(悪戯心から)わざとキワドイ表現をしている所もあるが、それだけにネタバレはないはず。(たぶん)

内容に関してチョコっと苦言を呈させて頂くと・・・
「見立て殺人」なんて噂が出たら、2人目までは止むを得ないにしても、本件では(見立てを採るなら)それ以後のターゲットが明白なんだから、警察や学校が(半信半疑であったとしても)非常事態として、そして何より家族が彼女達を聖火を守るが如くガードするのが普通ではないか?
実際に何人か死んでいるわけだし、如何なる理由があろうと1人で外出させたり家に残したりはしないんじゃないかと思うがね。(でも、そうしたら本作はできないけどね)

まぁ硬いことは抜きにしても、読みやすい上に小振りながら捻りも結構入っているので、余剰時間の消費には適した本と言えそう。

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シーマスターさん
ひとこと
再開おめでとうございます。
たくさんの方がたくさんの書評を寄せられることを期待しています。
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クリスティ  チェスタトン  恩田陸
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