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みりんさん
平均点: 6.66点 書評数: 533件

プロフィール高評価と近い人書評おすすめ

No.173 7点 亜愛一郎の狼狽- 泡坂妻夫 2023/08/11 14:18
泡坂妻夫の中では世間的に1番評価の高い作品かな?というだけあってどれも無難に面白い。しかし『しあわせの書』で作者の変態ぶりに衝撃を受け、『乱れからくり』の美しさに感銘を受けた私としてはいささか物足りない。上記と違って短編だから仕方ない部分もあるけど、こう何か一発ガツンと来るものがなかった。

1番面白かったのは『掌上の黄金仮面』でこの反転は流石に見事でした。「あ、この作者そういえば変態だったなあ」と再確認したのは私史上最高難度の暗号が登場する『掘り出された童話』ですかねぇ。でもね〜とある人間の心理を深く突いたロジックのマジック(?)『DL2号機事件』とこれぞザ・本格『曲がった部屋』も捨てがたい。
いや、やっぱり世評通りのすげえ濃密な短編集な気がしてきたぞ。

連城とか泡坂とか幻影城出身の方って連載形式だから短編が人気になりがち?

No.172 8点 十戒- 夕木春央 2023/08/08 22:35
あえてハードルは下げておきます。『方舟』よりはやや劣ると思います(でも新刊補正で+1)。発売からわずか1年で既に28件の書評数と8.39点と高い評点を獲得した『方舟』はもう本サイトではレジェンドに片足を突っ込んでるので、それと比べるのは酷ですが…
『方舟』からわずか1年でこれを書き上げる夕木春央はミステリ界の救世主(出版社的にも)ですね。
ハードルを下げたいのか上げたいのかよくわからない評価になってしまいましたが、『方舟』が好きな方は買って損はないでしょう。

No.171 5点 二銭銅貨- 江戸川乱歩 2023/08/08 03:05
乱歩のデビュー作。
よく練られたショートコントっぽい。8字ずつ飛ばす理由までついてると嬉しかった。
当時男同士では頭脳の優劣を競い合うことくらいしかやることなかったんでしょうか笑

No.170 6点 殺人鬼- 綾辻行人 2023/08/07 23:59
キツすぎ。
読んでるだけなのに共感性(?)からくる痛みを感じたのでスプラッタシーンは1部読み飛ばした。でも冒頭に気になる記述があったので最後まで耐えながら読んだらしっかり騙された。あとこれ囁きシリーズと世界繋がってるんですね。
でも2は読まなくて良さそうかな。怖いもの見たさもあって読むか迷う。

No.169 5点 盗まれた手紙- エドガー・アラン・ポー 2023/08/07 17:47
結構前に海外の古典短編集が6つくらい乗ってるやつ(著者はバラバラ)で読んでて、唯一覚えてるお話。なんかコナンドイルの赤毛連盟とかも乗ってたような気もするが思い出せん。
ふと登録されてるの発見して嬉しいので書いときます。


これにピッタリなことわざ知ってますよ。
『灯台下暗し』ドヤ

No.168 7点 黄昏の囁き- 綾辻行人 2023/08/06 23:07
ヘボ探偵すぎてたぶんここ30作品くらい連続で犯人が当てられていません(笑)

シリーズ3作品を通して読みました。
語り手の幼少期の封印された記憶が"囁き"という形で徐々に蘇ってくるのが共通ですね。物語の終盤までその記憶は2重3重に包み隠され、多用される色彩表現が幻想的な雰囲気を作り、表現し難い気持ち悪さがずっと味わえます。ずっと不安定なんですよねこの世界。最後には記憶の全貌と意外な犯人が浮かび上がり、モヤモヤが溶けました。
トリックや衝撃度は館シリーズに劣るけど、文体や雰囲気や読後の気持ち悪さはこちらの方が好みです。続編ないのですか?

シリーズの中で1番は僅差で『緋色の囁き』ですかねぇ…

No.167 7点 暗闇の囁き- 綾辻行人 2023/08/06 13:18
囁きシリーズ第二弾 
人形館〜霧越邸を描いた頃の綾辻先生、抜群に雰囲気がイイ。人形館と霧越邸好きなんです。ミステリというよりもオカルトホラー・幻想小説って感じで。で、この人形館と霧越邸の中間みたいな感じの作品が『暗闇の囁き』ですかね。
ずっと足場が不安定で眩暈のするような別世界にいる少年達。主人公との邂逅で交錯した異世界が一つの真実に収束する。そんな幻想的で救いのないお話でした。

個人的には舞台設定も含めて『緋色の囁き』の方がやや上かな。

No.166 7点 緋色の囁き- 綾辻行人 2023/08/05 16:36
綾辻先生が「今読み返すと赤面してしまう箇所がある」ってあとがきで言ってるけど、この文章が好きですよ。

【ネタバレがあります】



全寮制の厳格なお嬢様学校が舞台のキャッキャウフフな青春ミステリ…ではない!相当ホラー寄りです。
まあ十中八九二重人格オチだろうと半ば確信しながら読んでいくと、徐々に自信が揺らいでいく。いや…それでもさすがに…と思っていると反則スレスレの真相が待っています。
テーマはたぶん「血」ですよね。
ずっとこの作品に漂うカラーはタイトル通り緋色なわけですが、視覚的・物理的な血のみにとどまらず、DNAとしての血も内包しています。ラストの主人公の独白から、鮮やかな血に魅入られた母親と恐らく同じ末路を辿り、DNAには抗えないというメッセージでしょう。

No.165 7点 しおかぜ市一家殺害事件あるいは迷宮牢の殺人- 早坂吝 2023/08/04 10:46
新刊の書評なのに既に4件!
こういうのはいつも騙されるので幸せな脳です。おもしろかった。

No.164 9点 生ける屍の死- 山口雅也 2023/08/03 20:51
とんでもないのを読んでしまった。
いやこれはすごい。人生何周したらこのシナリオを思いつくのでしょうか??
特にこの作品のあのミスリードは国内最高峰ではないですかね。「なぜ死人が甦る世界で殺人が起こるのか?」動機には無限の可能性があることを示してくれました。そして「永遠」を失った人間がその代償として得た対価について問うエピローグはミステリの域を超えた。"性愛と死は兄弟" たっぷり謎解きを読ませたその先に作品の根幹にあったこのテーマを描き切った作者に拍手を。まさしく傑作中の傑作、大傑作です。

東西ミステリー15位とか10年間のミステリーで1位とか過大評価ではないと思う。審査員ウケも良さそうだし(笑)
は?じゃあなんでお前満点つけねえんだ?って言われると、エンタメ大好きマンにはキツいんだよ特に前半とか。ファストフード大好きな奴がマクドナルド行ったら高級フランス料理出てきたみたいな感じ。十分エンタメ作品ではあるし面白くないわけではないけど"すごい"って感情が勝つ。
なんか作品の重厚さに対して薄い書評になっちゃいました。

No.163 6点 彼女はひとり闇の中- 天祢涼 2023/07/31 22:47
倒叙形式は久しぶりなのでたまにはこういうのも良いね。
表紙もオシャレです。

No.162 5点 少女- 湊かなえ 2023/07/31 03:27
初湊かなえ作品
湊かなえとか東野圭吾とか辻村深月あたりの売れっ子の作家さんってどの方も文章がなめらかでスーッと頭に入ってくるから良いですよね。簡潔で物語を追う以外に一切の無駄がない感じ。

【ネタバレがあります】


テーマは友情(と因果応報)でしょうか。登場する3組の親友関係の中でもダブル主人公である敦子と由紀の脆くて繊細な関係がやはり共感を生む。お互いがお互いをどこか見下しながらも、自己より優れた個性を認めて足りないところを補完し合う。病院でのクライマックスはプライドの高い両者がそれを自覚するエピソードとして無理なく物語に落とし込まれているのではないかと思います。

No.161 6点 不連続殺人事件- 坂口安吾 2023/07/30 14:31
いやあ疲れた。名前持ちの登場人物が33人+α。今までで1番多かった『悪魔の手毬唄』の1.5倍くらいいるんじゃないか?よく多いと言われる『月光ゲーム』の2倍?
「登場人物一覧がない」とみなさんが書評で嘆いているけど、2018年新潮文庫刊行の文庫本にはちゃんと載っていました。登場人物一覧なしで読み進められた方に敬意を表します(笑)

純文学作家が探偵小説を書くって当時の本格ファンは嬉しかっただろうなあ。今なら村上春樹が急にコテコテのクローズドサークル書くようなもんか?


【ネタバレします】


「優れた犯人は心理の足跡がバレるのを嫌って密室なんて作らない」っての良いですね。この自論を主張するだけで終わるのではなく、きちんと即席の殺人による"心理の足跡"が決め手となって全ての謎が解ける構成になっているのも面白いです。

他の方の書評を見て知ったのですが、この作品があの「獄門島」と「刺青殺人事件」を抑えて日本推理協会作家賞ってまーじか。色々凄すぎるなこの1948年。

No.160 6点 此の世の果ての殺人- 荒木あかね 2023/07/29 16:30
江戸川乱歩賞繋がりでこちらも読んだ。
自動車学校の先生と生徒の女性コンビが終末の世界で連続殺人を調査するためにドライブする話。
徐々に仲間が増えていくこのRPG感がたまらない。魅力的な設定に終末を感じさせない女性コンビの軽快な会話、そして骨格は本格ミステリ。読後感もなぜか心地良い。
どうせ2ヶ月後には全てが滅んでしまうのになぜ殺人事件が起こるのか。そのホワイダニットを期待するとわりとありきたりで少し拍子抜けするかも…?
イサガワ先生の苗字がずっとカタカナで何かあると思っていたら何もなかった(笑)


23歳でこんなの書けるの尊敬する。同年代でこんなことやってのける人がいるのにエンタメを消費するだけの自分が情けなくなってきます。そろそろ脳内で妄想している「すべてがiになる」を執筆する時がきたか。

No.159 7点 テロリストのパラソル- 藤原伊織 2023/07/28 00:24
これは名作です。

No.158 8点 孤島の鬼- 江戸川乱歩 2023/07/27 01:53
これは名作ですね〜 乱歩良いな乱歩
江戸川乱歩って子供向けなイメージがあって今読んでもつまらないだろ?って失礼な先入観があったんですが、「陰獣」を読んでからイメージが180°変わりました。
「孤島の鬼」では「陰獣」のような粘着質で気持ち悪い文体ではなく、かといって清涼!爽やか!って感じでもなく、どこか不気味で不安感を駆り立てる良い雰囲気でした。

スリラー・冒険・本格・怪奇小説そしてラブロマンス どれも優秀でそれぞれが魅力を打ち消し合わずに、ジャンルが変わっていく面白さを味わえます。

No.157 8点 月灯館殺人事件- 北山猛邦 2023/07/26 00:45
【ネタバレがあります】


怪しげな館に集う7人の本格ミステリ作家。晩餐パーティで起こる罪の告発テープ。連続密室・首無・見立て殺人。
で、登場人物はというと
変な館で変な企画する奴・お嬢様言葉の奴・父親殺されたのに冷静に推理してる奴・明らかに頭悪そうな口調の奴・ストレス発散に斧振り回す奴・バラバラ殺人現場で一晩中探偵小説読む奴。
こんなの現実にいないだろうって奴しかいなくてまさに"人間が描けていない"と揶揄されるであろう小説。そうこれこそが本格ミステリ、大好き。ホントこういうのでいいんだよこういうので…まあこういうのばかりだと胃もたれするけど。本作品のような物理トリックは加賀美雅之の作品くらいしか読んでいない私にとって新鮮でした。

『本格ミステリなんて同じことの繰り返しだ。何処かで見たような設定。何処かで見たような登場人物。何処かで見たようなトリック。何一つ、新しい価値なんて見出せない。』
『本格ミステリは、あくまでアポトーシス的な役割しか持ち得ない。百年前にすでに完成された様式、すでに完成された作品を、美しいまま次の百年へと導くために、あらかじめ死ぬことを約束された細胞の一つ一つでしかないのだ。』

この作品はアンチミステリとして楽しめるだけでなくて、ちゃんと密室の謎解きがあることが素晴らしい。古典作品の焼き直しと自虐しているが、同作者の『瑠璃城』殺人事件は未読だし、他の3つの密室トリックも古典を読んでないので普通に感心(笑) すべてに図が載っていて物理トリックなのにわかりやすいのもありがたい。そしてなによりこの密室動機はマジでぶっ飛んでるしユニークすぎる。
あの有名作を彷彿とさせるラストの1行は「本格ミステリは過去作品の焼き直しだ」というテーマに適したオチだと思います。この作品がアポトーシスにならないことを祈ります。

No.156 6点 11枚のとらんぷ- 泡坂妻夫 2023/07/25 17:04
ロジックよりトリック派の私は断然「乱れからくり」の方が好みでした。

作中作でおお!って思ったマジックは「予言する電報」と「パイン氏の奇術」ですかね

No.155 8点 乱れからくり- 泡坂妻夫 2023/07/24 16:03
せ、1977年刊行!?刊行から40年以上経った今更泡坂妻夫の天才ぶりに驚愕しています。

【ネタバレします】


皆様の書評を見ると、犯人はわかりやすい方なのでしょうか。私はヤツが犯人であると1%も頭に浮かぶことはありませんでした。トリックの緻密さもさることながら、1番感心したのはねじ邸に迷路を作った理由でした。まさか迷路が○○の役割を果たしているなんて… そして犯人の最期のセリフも良いですね。
犯人が財産目的な以上、からくり身上オチにはできないのがもったいないな〜
おもちゃ蘊蓄がちょっと退屈すぎるのが欠点か

No.154 7点 しあわせの書―迷探偵ヨギガンジーの心霊術- 泡坂妻夫 2023/07/23 15:39
おおおおこれはすごいな 泡坂妻夫は変態だ。似たような趣向の作品を読んだことある(当然刊行年はしあわせの書の方が先)けれど、こちらの作品の方が大変な労力を必要としそう、たぶん。
小説として面白いかは置いといて、作者の変態的なこだわりに敬意を表してこの点数。



【ネタバレあり】


序盤はまったくと言っていいほど文章が頭に入ってこなくてこの作家とは致命的に合わないかもしれないと思っていたら、それはこの作品のギミックによるものだったのかもしれません。

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