皆さんから寄せられた5万件以上の書評をランキング形式で表示しています。ネタバレは禁止
していません。ご注意を!
ぷちレコードさん |
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平均点: 6.31点 | 書評数: 252件 |
No.32 | 7点 | 葉桜の季節に君を想うということ- 歌野晶午 | 2020/10/30 20:15 |
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読者が陥るであろう錯誤を想定してメイントリックが策定されている。トリックの作りとともに、見えない人に気づかされたという目から鱗が落ちるような読後の感触が心地良い。
しかし、関係のない事件が挿入されているのは思わせぶりで中途半端な気がした。 |
No.31 | 7点 | スイス時計の謎- 有栖川有栖 | 2020/10/22 19:25 |
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表題作は小説の形式は極めてオーソドックスな型の探偵小説。
しかし、その論理展開には新鮮なものがあり、かつ理詰めで物事を突き詰めていくことの美しさや楽しさを十二分に伝えてくれるものだった。 設定、構成などの外見的な部分でケレンに頼らず、純粋に論理のみで勝負しており、本格ミステリとして高度な達成をなしえている。 |
No.30 | 6点 | アイネクライネナハトムジーク- 伊坂幸太郎 | 2020/10/16 20:06 |
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大きな事件が起きるでもなく、衝撃的な展開もない。普通の人々が紡ぐ日常の記録、なのにキラキラと輝いてみえる。
登場人物たちの軽妙でセンス溢れるやりとりがとても心地よい。現実的なちょっとした奇跡がほっこりさせてくれる。 |
No.29 | 5点 | 貘の檻- 道尾秀介 | 2020/10/07 19:21 |
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横溝テイストにあふれた舞台設定に加え、地下水路、農作業のしるべとなる山の残雪の形、薬物、写真など多彩な道具立てを駆使し、人物の造形にも怠りのない精緻な本格ミステリ。 |
No.28 | 6点 | 孤狼の血- 柚月裕子 | 2020/09/30 20:19 |
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昭和レトロな香りのする熱い男たちのせめぎ合いを、鮮やかに活写している。心に楔を打ち込まれるようなラストの衝撃は無類。 |
No.27 | 7点 | 法月綸太郎の功績- 法月綸太郎 | 2020/09/23 20:07 |
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「都市伝説パズル」は、見立て殺人の変形とアリバイトリックを融合させる難度の高いテクニックに裏打ちされた凝りに凝った構成に感服。
「イコールYの悲劇」と「縊心伝心」は、何気ない疑問から精緻なロジックを築き上げてゆくダイナミズム、本格ミステリの根源的魅力を満喫させてくれる。 |
No.26 | 6点 | ロスト・ケア- 葉真中顕 | 2020/09/17 18:07 |
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介護問題という重いテーマに挑みながら、一方的で表層的な視線に堕することなく、しかもトリッキーな企みが炸裂している。 |
No.25 | 4点 | ゴーレムの檻- 柄刀一 | 2020/09/09 20:34 |
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作中風景や謎が詩的で美しい。だが、収録短編によっては、幻想世界での事件の興味深さに対し、外枠である現実世界の謎解きが意外にあっさりしている。 |
No.24 | 7点 | 土漠の花- 月村了衛 | 2020/08/31 19:12 |
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現実に起こり得る危機をテーマに、不利な条件、内紛、命の危機の際に示すべき人間の矜持、隠された謎など、本書には冒険小説のあらゆる要素が詰まっている。 |
No.23 | 5点 | オイディプス症候群- 笠井潔 | 2020/08/26 20:10 |
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クローズド・サークルテーマの変型と思われていた「孤島ミステリ」に哲学的なアプローチを試み、それを壮大な思索小説にまで昇華させている。
語りはしばしば渋滞し、全体の仕組みも見えにくいので読む人を選ぶ小説といえるでしょう。 |
No.22 | 6点 | 教場- 長岡弘樹 | 2020/08/19 20:13 |
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年齢も動機も職歴もさまざまな学生たちが、挫折に直面しながら、ふるいにかけられる恐怖に抗っていく。
緊密な文体、極めて密度の濃いプロット。警察小説のジャンルにエポックを画する作品。 |
No.21 | 6点 | 紅城奇譚- 鳥飼否宇 | 2020/08/05 19:36 |
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舞台は戦国時代。血で血を洗う決戦が繰り広げられ、政略結婚や下克上が当たり前であった時代の地方の一戦国大名の没落に焦点を当て、その時代だからこそ成り立つ逆説と奇想を際立たせている。 |
No.20 | 5点 | ミステリ・オペラ- 山田正紀 | 2020/07/30 19:08 |
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メタミステリ的要素を多く含みつつ、メタミステリ批評を試みた作品。分厚い長編の謎解きとしては、一つの大トリックで一挙に解決される方が美しいだろうが、本書は解決が分散型でギクシャクしている気がする。 |
No.19 | 7点 | 鏡の中は日曜日- 殊能将之 | 2020/07/22 20:13 |
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ミステリへの「逆説的な視点」を内包しつつ、ミステリを熟知した「仕掛け」が詰まっている。作者の企みが見抜けなかったのが悔しかった。
読み終わってから、伏線やミスディレクションを探し、読み返すのが楽しかった。 |
No.18 | 6点 | 紅楼夢の殺人- 芦辺拓 | 2020/07/16 19:16 |
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個々の事件、やや古風な犯罪トリックが、隠れた動機が明らかにされる時、全く新しい必然性を帯びてくる趣向、その動機の普遍性、夢幻的な余韻に満ちた結末まで間然することがない。中国古典と現代の本格ミステリを融合させることで、全く新しい本格をつくり出している。 |
No.17 | 5点 | 美濃牛- 殊能将之 | 2020/07/08 20:00 |
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作品全体に張り巡らされた伏線が、物語のラストで畳みかけるようにチェスタトン流の逆説に落とし込まれてゆく手筋の冴えに瞠目させられた。しかし、トリックと叙述に若干の無理があると思う。 |
No.16 | 4点 | 凶笑面- 北森鴻 | 2020/07/03 19:16 |
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民俗学と殺人事件が密接に関わり、すべての謎が解明されていくその構成の妙。しかも解決に至る手順は毎回異なり、民俗学との絡め方も決してワンパターンではない。
全5編のうち後半3編はまずまずだったが、前半の2編は今ひとつ。 |
No.15 | 4点 | 扉は閉ざされたまま- 石持浅海 | 2020/06/24 18:18 |
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タイトル通りの状況の倒叙ものとして、どこまでロジックを詰めていけるか奮闘している。だが、犯罪動機とその解明に不自然さを感じる。さらに肝心の論理の積み重ね部分の詰めが甘い。 |
No.14 | 6点 | 黒野葉月は鳥籠で眠らない- 織守きょうや | 2020/06/17 19:09 |
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どこにでもありそうな平凡な事件が、強烈な意思を湛えた依頼人が介在することで、意外性たっぷりのストーリーへと変貌を遂げている。 |
No.13 | 6点 | 美人薄命- 深水黎一郎 | 2020/06/11 18:48 |
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若者と老人の交流物語として充分満足させておきながら、終盤でそれまで描かれてきた風景が一変し、したたかに計算されたミステリへと変貌する。鮮やかな手並みに脱帽。 |