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ブラックペアン1988
バブル三部作
海堂尊 出版月: 2007年09月 平均: 6.29点 書評数: 7件

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講談社
2007年09月

講談社
2009年12月

No.7 6点 ぷちレコード 2021/05/26 22:47
初期三作同様、東城大学医学部付属病院を舞台にしているものの、題名のとおり、一九八八年の出来事が語られていく作品。
外科研修医の世良は、日本を代表する名医である佐伯教授のもと第二助手として外科手術の現場に携わることになった。そんな時、新たに講師として外科教室にやってきた高階は、最新の手術用機器を積極的に導入しようして、佐伯教授と対立していった。世良は現場の経験を積みながらも、大学院内の様々な暗部や策謀を目の当たりにする。
例によって「糸結びの練習」「小天狗」など、印象深いエピソードやキャラクターが随所に登場し、最後まで一気に読ませていく。主人公が新人研修医だけに苦い青春ものとしての味わいもある一方、従来の過剰なドタバタ劇が影を潜めた分、人間ドラマの奥行きが増し、海堂版「白い巨塔」の趣も強い。

No.6 5点 風桜青紫 2016/07/11 18:59
バチスタシリーズの外伝作品としてそれなりに楽しめるが、いかんせん軽い。他の方も指摘しておられるようにキャラクター小説として読むのがいいのだろう。『となりのトトロ』のほうがずっと上。

No.5 7点 E-BANKER 2012/09/28 22:28
「チームバチスタの栄光」から続く田口&白鳥シリーズ、或いは桜宮・東城大学をめぐるシリーズに連なる作品。
ただし、タイトルどおり時系列的には最も昔の「東城大学医学部付属病院」が描かれる。

~1988年、世はバブル景気の頂点を謳歌する時代。「神の手」を持つ佐伯教授が君臨する東城大学総合外科学教室に、帝華大のビックマウス」高階講師が新兵器を手土産に送り込まれてきた。「スナイプAZ1988」を使えば、困難な食道癌の手術が簡単に行えるという。腕は立つが曲者の外科医・渡海がこの挑戦を受けて立つ。現役医師も熱狂する超医学ミステリー~

かなり面白い。
ただし、本シリーズの愛好者にとってはだが・・・
バチスタシリーズの主要登場人物である高階講師(現在では病院長)、藤原・猫田・花房の看護婦トリオ、何より速水・島津・田口(もちろん本シリーズの主役である)の3人までもがインターンとして登場するのが何とも心憎い配慮。
その他にも、現在のシリーズにつながる「伏線」がそこかしこに配置されるなどサービス精神も十分。
(田口が手術立会で血を見て、外科医をあきらめるというエピソードまでも披露される)

他の方の書評にもありましたが、ストーリーは「白い巨頭」を髣髴させるように、「人の命」や「医者の間のライバル心」そして「外科医としての矜持」などが魅力的な登場人物をとおして語られていく。
憎まれ役(?)として登場する佐伯教授や渡海医師の振る舞いも最後には意味あるものとして「カッコいい」印象を残していく・・・
特に高階の姿は、現在の姿と比較すると何とも印象的。患者をより多く助けるため、医療の質向上に奔走していた高階が、どこか政治的にも見える現在の姿にどうしてなったのか。20年余りの間に彼に何が起こったのかが気になるところだ。

まぁ、ミステリーという冠はどうかと思うが、良質な医療エンタメ小説という評価は実に正しいと思う。
とにかく、作者の「世界観」には賞賛&敬意を表します。
(因みに、「ペアン」とは手術の際に用いる止血用の鉗子(かんし)の代表格的医療用具)

No.4 7点 VOLKS 2010/09/19 23:33
そうなんだよね、みんなそれぞれに「かっこいい」
海堂ワールドにどっぷりな自分には、過去の話からしっかり掬いとっておきたいので、読んでおいて正解。

No.3 3点 まさむね 2010/02/06 17:54
うーん。期待はずれ。

No.2 8点 あるびれお 2009/09/25 10:43
いろんなタイプの医師が登場するけれど、みんなそれぞれに「カッコいい」ところが凄い。グッチー&白鳥の話では医療崩壊が描かれているが、本作において描かれる医師の矜持というものがあってなお、なぜこんなに医療は崩壊してしまったのだろう。

No.1 8点 江守森江 2009/08/01 10:23
読み始めは海堂版「白い巨塔」でミステリーではない印象だった。
しかし、最終章では「ブラックペアン」の意味をも含めしっかりミステリーしていた。
臨場感溢れる手術シーンの描写、短くまとめスリリングさが増したストーリー、医療物作品として採点すれば満点でもよい。
田口シリーズの外伝に位置付けられ、過去を描いている。
シリーズ本編より素晴らしく“本作”が現状の最高作だと思う。
そして、自分が海堂ワールドにどっぷり浸かっていると認識した。


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