皆さんから寄せられた5万件以上の書評をランキング形式で表示しています。ネタバレは禁止
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ことはさん |
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平均点: 6.28点 | 書評数: 254件 |
No.14 | 5点 | カックー線事件- アンドリュウ・ガーヴ | 2023/08/19 18:32 |
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この作品を読んだ後、カーヴはしばらく読まなくなったのだが、ここ数年でたくさん読んだので、読み方が変わるかもと思い、再読。
初読のときは意識できていなかったが、うん、これはかなりクロフツ風だ。 容疑がかけられた人物の潔白を証明するため、家族が捜査をすすめていくのだが、ここがかなりクロフツの味わいだと思った。でも、ここに意外な展開がなく、さらにうまくいきすぎで、それほど面白くないのが残念なところ。 視点人物が場面によって変わって、主人公が明確でないのも、物語に没入できなくしていると思う。 なんでこの作品を文庫化の3番目にしたのかな? ガーヴの中では下の方。初読時の評価は変わらなかった。 |
No.13 | 6点 | レアンダの英雄- アンドリュウ・ガーヴ | 2022/10/15 14:58 |
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読んでいて、初期の007(映画の方)を思い出した。
(本作の主人公の行動は、ほぼスパイといっていいのだが)スパイといっても、リアルなものではなくて、物語の中にしかいないような、のんびりした感じのスパイ。舞台は、現実にはなかなか行けないアフリカの島で、読者に観光気分を感じさせてくれる。相棒になるのは、(作中に細かな描写は少ないけど)美貌の女性。こう書いてみると、うん、やっぱり007ですね。 物語は、へんな寄り道なく、まっすぐ、すべるようにすすんでいく。するする読めて、一気読み。面白い。 とはいっても、展開は予想がつくし、心理描写には筆は割かれていないので、感動するほどではない。ポケミスで170ページと薄いので、2、3時間で読めて、「あぁ、面白かった」と読み終われる、佳作というところ。 ガーヴらしさとしては、ヨットの操船/行程に関してのデティールが細かいところ。多分、ここが一番書きたかったのだなと思う。あと、ラストのあっさりさは、やはりガーヴ。でも、このあと、主人公はどうするの? |
No.12 | 5点 | 暗い燈台- アンドリュウ・ガーヴ | 2022/02/13 11:04 |
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コンパクトで(ポケミスで170ページ)、楽しいサスペンスではあるので、つまらなくはない。
でも、なんともサスペンスが盛り上がらない。 読み終わって考察してみると、下記2点が原因かな。 1つめは、視点が3人称他視点であること。これだと全体を俯瞰する形になるため、ハラハラしないのだと思う。 2つめは、心理描写があっさりしていること。やっぱりサスペンスは、登場人物によりそうことが重要だと実感。 あとは、「罠」の感想にも書いたが、「ガーブの味がなく、個性が薄いといえる」のは、本作にもあてはまる気がした。 ひとつひとつ要素を取り出してみると、「舞台が特徴的(本作は燈台)」「冒険風味あり(本作でも海をわたるシーンあり)」「ラストがあっさり」と、ガーヴ印なのだが、ガーブの味がない気がするのはどうしてだろう? ひとつひとつの要素が薄味だからか? いずれにしろ、これがポケミス最後(ポケミス914)のガーヴとなってしまった。 |
No.11 | 6点 | 罠- アンドリュウ・ガーヴ | 2020/04/19 23:05 |
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これは驚き。完全に謎解きミステリ。
クロフツ風……、というより、鮎川哲也のほうが空気感が似ているかな。ガーヴ、こんなのも書けるんだ。 全編、会話が主体で軽快に読める。 トリックは確かに有名なのかも(知ってるし)。軽い謎解きミステリとして、なかなか好感触。 とはいっても、ガーブの味がなく、個性が薄いといえる。埋もれていってしまうのは、しかたないのかも。 |
No.10 | 5点 | 囚人の友- アンドリュウ・ガーヴ | 2020/03/01 18:16 |
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今回は舞台設定に凝った要素がないのが残念。
社会派の要素を入れようとしているのか、保護観察師が主人公。でもストーリーは型通りのサスペンスで、保護観察師の設定は物語の入り口なだけで、社会派風味はあまりなしです。 全編にわたりひとつひとつの段取りが丁寧で、しっかりガーヴ風味です。終盤はもうすっかりクロフツ!(それもガーヴの味だけどね) でも展開の意外性はあまりない(それもガーヴ) ガーヴの中では下の方かな。 |
No.9 | 5点 | 兵士の館- アンドリュウ・ガーヴ | 2020/03/01 18:08 |
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意識して読むと、これも3部構成。ちょうど転換点の事象が1/3,2/3で起きる。
今回の舞台設定はアイルランドの遺跡で、他の作品と比べると、ちょっと魅力が薄い。 他に今まで読んだ作品と少し違うのは、心理サスペンスというより社会派サスペンスといったほうがあう作風ということ。社会派風の部分が、ガーヴはつくりものめいてるなぁ。 主人公が戦うモチベーションが正義感だけなのも弱い。 ガーヴの中では、下の方だなぁ。 |
No.8 | 5点 | 道の果て- アンドリュウ・ガーヴ | 2019/08/29 01:11 |
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これはあまりみるところがない。退屈はしないからこの点数だけど。
前半は恐喝されるサスペンスがガーヴにしてはスリリング。しかし、恐喝者が死んでからは、主人公が悪い方へ悪い方へもっていっていて、どうにも共感できない。舞台の大森林のイメージが湧かないのも弱いいなぁ。 ラストシーンは良い感じ。 |
No.7 | 8点 | 遠い砂- アンドリュウ・ガーヴ | 2019/08/29 01:07 |
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これはいい。冒頭の出会いから風景描写がよくて、事件が起きるまでも楽しく読める。
事件発生から捜査の過程もスリリングで、主人公ふたりの葛藤も味がある。特に主人公のモチベーション(それは読者のモチベーションにも直結するけど)が、明快なのがいい。 「遠い砂」を読んで、「メグストン計画」「ギャラウエイ事件」を思い起こすと、あれらは主人公のモチベーションが弱いと思う。こっちのほうが好き。(福島正実訳好きとしては、それで数割増しているとは思うけど) それに、ラストシーンはツボ。「ギャラウエイ事件」にもこういうエピローグが必要でしょ! 今のところガーヴで一番いい。 |
No.6 | 6点 | 地下洞- アンドリュウ・ガーヴ | 2019/08/29 01:01 |
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これもガーヴらしく3部構成。
事件発生、恋愛サスペンス、そして……。 1部の洞窟描写は味がある。いいね。 2部の恋愛サスペンス、悪くない。でも1部からの引き続きとしては、違う方向に行っている感が……。 と思ったら、3部でそっちの方向?! なんだ、この違うベクトルの話を3つ繋げた話は。嫌いじゃないけど。1部が一番好きかな。 |
No.5 | 7点 | メグストン計画- アンドリュウ・ガーヴ | 2019/08/29 00:54 |
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きれいな3部構成。計画、実行、実行後。どこもよどみなく楽しく読める。
2部の冒険小説風の味がカーヴなんだろうなぁ。冒険小説はそんなに好きでない私でも楽しめた。 (ジャンル投票は冒険小説にしました) ラストは、ささっと終わる。これもカーヴ印。 うん、楽しい。ガーヴの特徴がでているという意味で、確かに代表作。でも、これが代表作だとインパクトは薄いかなぁ。ガーヴがメジャーにならないのはその辺りにあるのかなぁ。 |
No.4 | 7点 | ギャラウエイ事件- アンドリュウ・ガーヴ | 2019/08/29 00:44 |
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冒頭の二人の出会いから再会まで、とても楽しく読める。
ここの流れはいかにもガーヴ。なるほどクロフツ風との評がでるのもわかる緻密さ。いい。 そこから一転、剽窃事件へ。試行錯誤の道行きが楽しい。最後は冒険小説風で、ここはちょっとベタすぎかなぁ。 どうしてもいいたいのは、ラスト! ああ、これは、エピローグが必要でしょ! 読んだ人、わかるよねぇ。 |
No.3 | 7点 | 死と空と- アンドリュウ・ガーヴ | 2019/08/29 00:40 |
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ガーヴは3部構成が多いけど、これも3部構成。
よくできたサスペンス。瀬戸川さんが「夜明けの睡魔」で「幻の女」より面白いと書いていたけど、まあ、それは言い過ぎにしても、持ち上げたくなる気持ちはわかる。これが絶版とは! 2部の脱走のスリリングさ、いい。古き良きイギリスの冒険小説のイメージですね。 ラストが、ささっと終わるのが、インパクトが薄くなってしまうかもしれないけど、でもこれはそれがはまっているように思う。 「ギャラウエイ事件」「メグストン計画」より好き。 |
No.2 | 6点 | ヒルダよ眠れ- アンドリュウ・ガーヴ | 2019/03/20 00:02 |
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瀬戸川さんの文庫解説に共感。犯人が絞られる展開はあっけないし、後半になってくると視点人物は変わるし、最後の自白は冗長すぎる。
でも、途中の展開は私立探偵小説のようで、少しずつ見えてくるヒルダのキャラクターは、気味が悪くてザワザワする感じでよい。「傑作」「名作」ではないけど、後々まで残る個性的的な「佳作」ではあると思う。 いいところと、残念なところのある、ガーヴの習作というところ。 あ、最後の章(数ページだけだけど)は、ガーヴ印。(お話でも、そんな風にするかよっで感じ。苦笑) |
No.1 | 6点 | サムスン島の謎- アンドリュウ・ガーヴ | 2019/02/10 11:08 |
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去年からガーヴをたくさん読んでいますが、本書は平均点の出来です。
観光地が舞台の2時間サスペンスのようなプロットです。 テレビのサスペンスより、品がいいのがガーヴの良さでしょう。 福島正実訳好きとしては、ガーヴに福島正実訳が多いのがうれしいです。本書も福島正実訳です。 ちなみに、舞台は実在の場所で、Wikiに航空写真があります。 本書の冒頭に地図が掲載されていますが、航空写真と比べても、かなり正確に書かれています。 私は航空写真をカラー印刷して、参照しながら読んだので、情景イメージが湧きやすかったのか、観光地の空気感を楽しめました。 |