皆さんから寄せられた5万件以上の書評をランキング形式で表示しています。ネタバレは禁止
していません。ご注意を!
レッドキングさん |
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平均点: 5.27点 | 書評数: 889件 |
No.689 | 4点 | 悪徳の輪舞曲- 中山七里 | 2023/04/08 18:43 |
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トンデモ過去持ちハードボイルド弁護士:御子柴シリーズ第四弾。今回の依頼人は、再婚相手の資産家夫殺しで法廷に立たされた実の母。冒頭の「犯行叙述」を、どう無罪判決へ「叙述トリック」反転させる?がメインとなってしまい、事件真相の方、WhoHowともかく、Whyは・・うーん、ちと説得力無いなぁ・・
※サイコパス遺伝説など一笑に付すべきだが、「たらちね」ネタでヒヨったか?作者、もっともっとハードボイルドさせなきゃ、御子柴礼司。受付の女の子に「兄妹喧嘩ですか」なんて突っ込ませてないで。 |
No.688 | 3点 | 宇宙神の不思議- 二階堂黎人 | 2023/04/07 17:03 |
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水乃サトル不思議シリーズ第二弾。 今回はUFO宇宙人ネタ絡めたカルト教団もの。
密室殺人の「針糸」トリック+降格どんでん返しオチに、3点。 宇宙人UFO遭遇現象の島荘風解釈解決に、+1点。 魅力なさすぎキャラ達のドタバタ展開つまらな過ぎ※、-1点。 ※ユニークなキャラ造りし損ねて、無理にコミックさせても、白けさせてくれるだけの痛い描写が多すぎて・・・ |
No.687 | 4点 | 勇将ジェラールの冒険- アーサー・コナン・ドイル | 2023/04/02 19:15 |
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英雄軍人ジェラールの第二(かつ最終)短編集。ナポレオン歴史譚との連作風な絡みは、ラスト二話を除いて薄れ、老兵の過去自慢武勇談てな趣の話が多く、前作のスピンオフ拾遺集て感じかな。突飛な奇譚ネタが増えて、物語構造はSF「失われた世界」と変わらない。こっちには、ラスト二話の哀切浪漫に点数オマケ。 |
No.686 | 5点 | 勇将ジェラールの回想- アーサー・コナン・ドイル | 2023/04/02 19:11 |
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ナポレオンの絶頂と失脚の歴史に運命を託した英雄軍人の連作短編集。空想冒険浪漫と歴史叙事譚の結び目鮮やかで、全編おんなじ・・使命 → ピンチ! → 逆転 → 決着!・・展開だが、良くできた少年漫画並みのハラハラドキドキ感が良く、別にミステリではないが、ほとんどの作品に出てくる「味方に変装した敵のトリック」あたりをミステリと無理に評価して・・点数オマケ |
No.685 | 3点 | フレンチ警部と漂う死体- F・W・クロフツ | 2023/03/29 21:26 |
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クロフツ第二十作。経営者一族・・一人の伯(叔)父と四人(+1人)の甥姪達・・に起きる毒殺未遂事件と船旅撲殺事件。凡庸なアリバイトリックにチョビッと伝奇浪漫風な過去譚とクルージング観光付き。 |
No.684 | 5点 | 七つの丘のある街- トマス・H・クック | 2023/03/28 20:44 |
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米国史上最年少の死刑囚少女と一回り年長の巨漢肥満男、二人の起こした残虐な連続殺人を、警察捜査と裁判で綴るノンフィクション。戦慄のサイコパスか滑稽なダメ人間か、心を持たないシリアルキラーか哀れな社会的敗残者か、狡猾な策略的知能犯か愚かな被洗脳者か・・・殺人者像の驚くべき相反する矛盾描写。結局、あいつら・特にあの少女・の本性って何だったのか・・悪魔?何かの犠牲者?Who(何者)?・・多重解釈エンドのミステリと評価してオマケの採点。
※肥満男の絵に描いた様な「ダメ白人」風貌ともかく、わが国にも、「ヒ素カレー毒殺事件」死刑囚や、近隣男児(たしか実の娘も)殺しの女等、その正体が分かりそうで分からない「ノンフィクション」女はおり・・・ |
No.683 | 5点 | 狂人の部屋- ポール・アルテ | 2023/03/22 20:17 |
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原題"La Chambre du fou"、仏語le fou(狂った)は英語the fool(愚か者)とは違うのね。「ふー」でなく鼻にかけた仏音韻「んふ」風カー。カー風に、オカルト・どたばたロマンス・不思議事件と出てくるが、カー描く英国男女は、もっと劇画チックでエキセントリックで、ミステリ臭くて・・。アリバイトリックは、もうひと工夫で「密室」してた、惜しい。※
※あの後、窓の三日月錠(か何か)をロックし、部屋の扉に外から鍵かけて、複数人で扉を破って侵入し女が失神騒ぎ起こしている間に、室内の何処かか地面の死体の服に鍵入れておけば、密室からの死体消失完成! 誰かこのアイデア使ってもいいよ。「 既出すぎダろ! てめぇ密室ナメてんのか!」って怒られても知らないけどね (^^) |
No.682 | 6点 | 方舟- 夕木春央 | 2023/03/17 21:22 |
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第三作目、これも面白かった。麻耶雄嵩以降にも、この手の「捻くれ者」出て来て実に嬉しい、今後も愉しみ!(^^)!
素晴らしき舞台設定に、3点。 探偵役の犯人限定ロジックに、1点。(残念だがロジックに「穴」がある) 驚愕のトンデモどんでん返しオチに、2点。・・計 6点。 ※連続性のロジックに成ってない・・とか、それ以前に、人殺しになるより、「皆で協力して一人二人水中脱出させて、救援呼んで来させる」て風に意思働かないか?普通・・てな野暮は言わんとこ、面白かったし。 |
No.681 | 6点 | 沼地の記憶- トマス・H・クック | 2023/03/13 20:56 |
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南部の朽ち果てた屋敷に一人暮らす名家の孤独な老人。半世紀前の、若き高校教師として「悪について」をテーマにしたゼミでの追想記述に、謎の裁判描写をカット挿入しながら、「何起きたの?」で読者を釣り、師と弟子・父と子・米国階級・スクールカーストロマン・血の宿命・「様々なる悪」・・のドラマが綴られて行く。
カズオ・イシグロがSF的に描いた英国同様に、自由でありながら、どうしようもなく非平等な階級社会米国を生きる若者たちの宿命の切なさが胸を打つ。※ミステリとしては3点、ブンガクとしては8点。で、間とってオマケ付けて。 |
No.680 | 6点 | 化石少女と七つの冒険- 麻耶雄嵩 | 2023/03/11 19:36 |
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相当な名探偵の陽キャラ天然女子高生と、やまれぬ事情から探偵の推理結果を打ち消しにかかるワトソン役の後輩男子の学園ミステリ続編。タイトル通り7件の殺人事件・・何と1~2ヶ月おきに普通に殺人事件が起きる名門学園・・を巡る小ネタロジック短編の集積。(麻耶、もう纏まった長編ミステリ拵える意欲も力も失せちゃったのか?)
前編の「半汚れ」超えた「ブラック」展開と、ブラック効果に効いた叙述トリックに2~3点オマケあげちゃう。 |
No.679 | 4点 | 恩讐の鎮魂曲- 中山七里 | 2023/03/07 09:20 |
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老人施設で起きた撲殺事件。加害者は車椅子の入居老人で、被害者は屈強な介護士。己への裁きを要求する被告老人の自白に反し、実際に起こったことは何だったのか、のWhyWhatミステリ。思わず一気読み誘う程に面白く、かつ感動的だが、シリーズ前二作にあったアクの強い捻りが足りない・・(ミステリマニアは人が悪いからねえ)
※それは別として、作者の「良心」に水差してワリいが、暴力クズ父(夫)、野獣レベル囚人、手負獣の如き患者・・24時間中こんな類と付き合わざるを得ない家族や職業に・・同情しちゃうなア。 |
No.678 | 7点 | 死が招く- ポール・アルテ | 2023/03/05 22:23 |
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しょぼいトリックが売りのアルテらしからぬ、なかなかにナカナカの密室トリック。ダミー造形も、だみぃでなく |
No.677 | 7点 | 第四の扉- ポール・アルテ | 2023/03/03 08:44 |
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フレンチ・カーでぃあん、アルテ処女(?)作。「密室」三つ・・施錠・封印・雪足跡・・に、オカルトドタバタ・・・
カーおまーじゅ、標準近いレベルでクリアし、新本格風どんでん返し見事で、点数おまけ加点。 |
No.676 | 6点 | 奇跡島の不思議- 二階堂黎人 | 2023/02/27 22:53 |
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水乃サトル不思議シリーズ第一弾。孤島・奇館(何とプチガウディ!)・学生サークル・「そして誰も」連続殺人・見立て・足跡物・密室、ナンという超本格定番! 二つの密室は「密室の帝王」にしてはチト凡庸で、青春物としては、「リラ荘」・綾辻「館物」・有栖川「学生物」より面白い。が、女神崇拝に絡めたアートネタでは麻耶「夏冬奏鳴曲」に遠く及ばない。
見立てのWhyは、ちょっと斬新。 |
No.675 | 5点 | 追憶の夜想曲- 中山七里 | 2023/02/20 18:14 |
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平凡な中年女の起こしたカッターナイフ刺殺事件の法廷サスペンス劇。被告はキャラ・容姿共に冴えない主婦で、被害者は失業引きこもりのDV夫。客観も自供も明白な事件をリングに、トンデモ過去・・誰が見てもアノ事件が元ネタ・・持ちのスーパー弁護士と、テク・情熱・モラル兼備の凄腕検事が、スーパーヘビー級の丁丁発止カードを展開し、ミステリとしては事件の真相Whatに、被告女の「秘密」と「弁護士、何故この女に拘る?」Whyがキモになる。
でもさあ、働きもせず部屋に引きこもり、妻や娘に暴力を振るう、肥大した自尊心だけのDVクズ男を殺したからって、「同情の余地なき悪女」とまでは叩かれんだろう。むしろ「夫の方に問題ある」って情状酌量空気になるんじゃね?世間。あと、主人公の「Why」、「偽善」とまでは言わんけど、ちと眉に唾つけたくなるな、この手の「君たちはどう生きるか」。むしろ、抑えることの不可能な「過去からの呪縛」としてほしかった。 |
No.674 | 6点 | ある殺意- P・D・ジェイムズ | 2023/02/18 00:41 |
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精神病院の地下室で起きた女事務長刺殺事件。病院地下室は、外部者の犯行ではあり得ない「密室」状態だった。「密室」言っても、医師達に看護婦達、療法士にカウンセラー、事務員用務員達・・実に十数人もの容疑者達がひしめき、時間アリバイロジックらしき骨格も、明確な・チト素直すぎな・伏線も、Whoドンデン返し決着もあるが、容疑者達のキャラ描写と人間関係・・主に男女関係・・描写の方がミステリ展開を引っ張って行く。 |
No.673 | 3点 | 東尋坊マジック- 二階堂黎人 | 2023/02/13 18:49 |
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水乃サトル・マジックシリーズ第五弾。4年周期に繰り返される残虐な女性殺人事件と、銃による交換殺人事件の強引な連結。捻り付きの贅沢までは望まないが、せめて二つのネタには、偶然ではない物語的統合性がほしく。
銃殺アリバイトリックに2点、猟奇殺人鬼「冥妖星」のプロファイリング風ネタに1点プラス。 |
No.672 | 7点 | 緋色の迷宮- トマス・H・クック | 2023/02/10 21:19 |
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小さな写真店を経営し、短大講師の妻と友一人いない「理想的でない」息子を家族に持ち、それなりの、決して敗け組と言えない人生を送る中年男。そして、男が生まれ育ち、脆くも崩れ落ちた過去の家庭・・病死した妹・事故死した母・残された狷介な父と「人生敗残者」の兄。少女行方不明事件の容疑が、ベビーシッターをしていた息子にかかり、男の堅固なはずの家庭を腐食し始めて、過去の家庭の追憶にも地獄絵図が追塗装されて行く。絶望的な結末を暗示する追想記述が、現在・過去二つの家庭悲劇文学を陰影深くリードして行くが、少女事件のミステリどんでん返し決着に併せて、鮮やかに、しかし、苦く収束する。
※親が愛するのが「理想の子」であって、自分でない事を知る子供の苦しみ。現前の子供の実像を愛することのできない親の地獄。取り繕われた紙細工の家庭・・米国男って、難儀そうだなア、家庭経営・・(どこも同じか) |
No.671 | 5点 | 女の顔を覆え- P・D・ジェイムズ | 2023/02/07 18:50 |
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P・D・ジェイムズ処女作。薬物飲まされ扼殺されたシングルマザーのメイド。富裕ではない・・にしては二人も住込み女中抱えてるが・・旧家の家族に、使用人・近隣・縁者達容疑者揃えた古典的Whoダニット。伏線追って詳細に読み込めば結構ロジカルなんだろが、キモは被害者のユニークなキャラに絡めたWhy ”何で殺されちゃったの?”。なんていうか、クリスティーより一回りアク強く「こんなんだろなあ、英国の女」感が描写されてて、よく。(点数オマケ) |
No.670 | 4点 | 連続殺人鬼カエル男ふたたび- 中山七里 | 2023/02/04 12:15 |
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「カエル男」続編。「ABC~」で「ホッグ連続~」で「意外な犯人」で予想通りの「オチ」で・・最初から最後まで「ありふれた」ミステリで、面白くないことはなく、前作のクドーい劇画風乱闘格闘シーンないので減点なし。また、音楽を「神聖化」してない事と、刑法ネタ出しても人権派vsアンチ人権派の双方を平等に冷眼視するバランス感覚は、なかなかに良く。 |