皆さんから寄せられた5万件以上の書評をランキング形式で表示しています。ネタバレは禁止
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パメルさん |
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平均点: 6.13点 | 書評数: 622件 |
No.14 | 7点 | 真相- 横山秀夫 | 2023/07/15 07:06 |
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犯罪と人間心理をテーマとした5編からなる短編集。
「真相」十年前の殺人事件で死んだ息子の犯人を逮捕したと、税務会計事務所の経営者・篠田は警察から電話を受ける。だが、犯人は息子が万引きしたのを見たと供述する。二代目経営者として懊悩する篠田の決意と、事件の顛末が絡み合って涼やかさを残す。 「18番ホール」友人にほだされて、故郷の村の村長選挙に立候補することにした。また、どうしても村長にならなくてはならない理由もあった。疑心暗鬼に陥り、転覆していく様がサスペンスフル。ラストもいい 「不眠」会社をリストラされ、再就職もままならない中、山室は製薬会社の被験者のアルバイトのせいか、不眠がちだ。そんな中、殺人事件が起き容疑者となる。ありがちなオチだが、再生を感じさせる余韻がいい。 「花輪の海」大学時代の合宿のある夜、しごきの果てに死んだ一人の友人。それから月日が経ち、その時の同級生が集う。関わった人の心情が苦く思い。結末にやや物足りなさを感じる。 「他人の家」刑務所で罪を償い、新たな生活を始めた貝塚夫妻だったが過去の罪が知られて、住んでいる場所から出ていかなければならなくなる。さりげなく仕掛けられた悪意が明らかになり、希望を見出すラストが読みどころ。 |
No.13 | 5点 | 看守眼- 横山秀夫 | 2023/02/10 07:40 |
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「小説新潮」に掲載された短編を一冊にしたもの。タイトルから刑務所を舞台にした連作を想像させるが、実はノンシリーズのバラエティ豊かな六編からなる短編集。
「看守眼」図らずも警察署内にある留置場一筋で勤め上げてきた男が、執念を燃やす事件の真相とは。人生色々、警察官の悲哀が際立つ。鬱屈した心理が描かれている。 「自伝」ある企業の創業者の自伝を書くことになったライターが陥った罠とは。人の欲が痛々しく迫ってくる。皮肉な結末が待っており切ない。 「口癖」裁判所の調停員として勤めていた女性の目の前に現れた女性は。因果応報が巡り巡って帰ってくる。苦さを伴った余韻を残す。 「午前五時の侵入者」県警ホームページをクラッキングした男の正体は。警察内部の管理部門の内幕を描いている。中間管理職の悲哀。 「静かな家」地方新聞の整理記者が自らの犯したミスを隠蔽しようとした結果、殺人事件に巻き込まれる。元新聞記者ならではの真骨頂。「クライマーズ・ハイ」を想起させる。 「秘書課の男」知事に仕える秘書課長が、新入りに立場を脅かされるのではと疑心暗鬼になる。己の行いを回想するくだりから、一転真相がわかるところが巧い。結末は清々しい。 |
No.12 | 7点 | ノースライト- 横山秀夫 | 2022/11/19 07:42 |
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一級建築士の青瀬稔は、所沢の建築事務所に籍を置き、日々の仕事をこなしていた。そんな彼が情熱を傾けた家がY邸。クライアントのY(吉野)からの依頼は、「あなた自身が住みたい家を建ててください」。青瀬の回答は、北からの光が入る「北向きの家」を建てることだった。なぜその家が彼にとって「住みたい家」なのか。それもまた物語を通じて解き明かされる謎の一つだが、最大の謎は四ケ月前に吉野夫婦に引き渡したY邸に、誰も住んでいないという現実だ。
かくして物語は、Y邸一家の捜索譚が軸になるかと思いきや、作者はその合間に、父がダム建設に携わり全国各地を転々とした青瀬の生い立ちや、彼の建築家としての仕事ぶり、少数精鋭の岡嶋設計事務所の内情なども描きこんでいき、仕事小説や家族小説としての厚みも増していく。姿を消した吉野の家族、青瀬と別れた妻とその妻のもとにいる娘、青瀬の雇い主とその妻と息子、さらに青瀬と彼の両親、そうした人々の関係が、無人のY邸を糸口に見直されていく。 失踪した依頼人の行方を探る旅は、ナチスの迫害から逃れるために日本に滞在し、日本の建築士に影響を与えたブルーノ・タウトの足跡をたどる旅と重なっていく。その過程で、青瀬は建築への情熱を新たにする。 ありがちな捜索譚に止まらず、青瀬たちの苦闘とタウトの足跡とをシンクロさせた芸術と人生の因縁劇にもなっていて、静かながらも力強い物語に仕上がっている。 |
No.11 | 6点 | 影踏み- 横山秀夫 | 2022/06/18 08:37 |
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主人公はノビ師。ノビ師とは、空き巣の一種で家人が寝静まった夜に忍び込み、盗みを働くといういことで、通称「ノビ師」。ノビ師である真壁修一は、名前から刑事の間で「ノビカベ」と呼ばれていた。修一の頭の中には、死んだ弟・啓二の魂が住み着いていて、意識の存在として二人は会話をし、事件を共に追うというSFチックな設定。以前、取り合った女性・久子を交え織りなす7編からなる連作短編集。
「消息」修一が忍び込みで捕まった日。寝ずに起きていた女性に見つかるも、何の反応も示さなかった。あの女性は、夫を殺そうとしていたのでは。修一の頭の良さと啓二の記憶力の良さがわかる。 「刻印」幼馴染の刑事が死んでいるのが見つかった。修一は「終息」で出てきた、夫を殺そうとしていた女性が関係しているはずだと踏むが、女性にはアリバイがあった。ここでも啓二の記憶力が際立っている。 「抱擁」久子が勤める保育園で現金盗難騒ぎの話を知る。久子が疑われているらしい。修一は、犯人を探そうと調べていく。久子の揺れる思い。啓二にも決断が迫られる。 「業火」盗人狩りが立て続けに起きているという話を聞いた途端、修一も襲われた。修一は自分を曲げない、芯の強さがうかがえる。 「使途」刑務所にいた時の約束。サンタクロースをやってくれないかと頼まれた。ノビ師にしかできないと。筋を通す男の優しさが滲み出ている。 「遺言」一度会っただけの同業者が死んだ。「真壁を呼べ」と何度も口走ったと言う。真壁修一という男の複雑さが見え隠れする。 「行方」久子がストーカーされていると相談にくる。修一と啓二と久子。三人の抱えるものが、ここで終結する。啓二の告白する16年前の真相は痛切。 修一は泥棒から足を洗ったのか、久子と新たな生活を始めたのかは書かれずに終わっている。啓二の最後の願いが叶うことを願うばかり。 |
No.10 | 7点 | 顔 FACE- 横山秀夫 | 2022/04/27 08:51 |
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主人公は、婦人警官の平野瑞穂。以前は、刑事事件で重要な役割を果たす鑑識課で、目撃者からの聞き取りを元に似顔絵を作成していた。しかし今現在の部署は、複雑な事情もあり広報課である。その平野瑞穂が刑事とは別の立場、別の視点で捉え鑑識課で培った観察力と似顔絵の能力を活かし事件の解決に導いていく5編からなる連作短編集。
「魔女狩り」署内のどこかに潜むニュース・ソースを追う。作者自身の経験に裏打ちされた「心理的密室」の妙。 「決別の春」何でも相談テレフォンに掛かってきた心の悲鳴。多発する放火事件と復讐に怯える娘の記憶。誰が騙し、何を偽るのか。こじんまりとまとまった人情譚。 「疑惑のデッサン」38度の気温が招いた行きずりの殺人。平野の後釜が描いたあまりにも似すぎた似顔絵は何を意味するのか。「顔」という連作のテーマが最も際立った作品。 「共犯者」抜き打ちの銀行強盗の防犯訓練を行っていた時、同じ銀行の別支店で本物の銀行強盗が発生。被害者とその動機に鮮烈な印象を残す。 「心の銃口」女性でありながら、署でトップクラスの射撃の名手が拳銃を奪われる。平野は得意の似顔絵で犯人に迫ろうとするが、思いがけない真相に辿り着いてしまう。長編になりうるプロット。 子供の頃から婦人警官になりたかった平野瑞穂は、正義感にあふれているが男社会である警察組織という現実に上手くいかないことが多い。周囲の軋轢や失敗にもめげず、前を向く姿勢は共感が持て応援したくなってくる。爽やかな読後感をもたらす作品集。 |
No.9 | 6点 | 震度0- 横山秀夫 | 2022/03/19 08:12 |
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阪神大震災が起きた朝、七百キロ離れたN県の県警本部の警務課長の不破が失踪する。直属の上司である冬木は愕然とする。ノンキャリアの立場を踏み越えることなく知恵袋に徹し、的確な助言をあげてきた彼を、人事で抜擢する矢先だったからだ。一体何があった?それと前後してホステス殺し、交通違反のもみ消し、選挙違反事件などが浮上し、警察幹部たちが衝突する。己の保身と野心から内部闘争が激しさを増す。
今回、幹部たちの公害を舞台にして、彼らの夫人たちの瑣末な見栄を風刺して、節々で微苦笑を誘っている。この戯画化の筆法は、作者の新たな挑戦状として歓迎したい。捜査活動のダイナミズムとミステリ的興趣、人物造形の掘り下げと堅牢なドラマが揃っており、作者の魅力が発揮されている。 |
No.8 | 6点 | 深追い- 横山秀夫 | 2021/11/25 09:28 |
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職住一体の「三ツ鐘警察署」を舞台に7編からなる連作短編集。
「深追い」なぜ、その妻は事故死した夫のポケベルに夕食のメニューを送り続けるのか。小さな謎を軸に鮮やかなツイストを決めたクライムストーリー。 「又聞き」十五年前に幼かった三枝を助けようとして溺死した小西。大人になり写真家となった三枝は、ある写真に疑惑を抱く。ユニークな設定と謎解きに一工夫ある人情譚。 「引継ぎ」泥棒刑事と異名をとった盗犯一筋の父を追って警察官になった尾花。見慣れた手口が再現された時、功名心は引退した泥棒に容疑の目を向けさせる。最後の一言で、主人公も読者も救われる。 「訳あり」ある巡査の定年後の受け入れ先に悩む滝沢。果たして人事のプロは内部告発された不祥事を丸く収めることが出来るのか。多重的に組み上げられたプロットが心地良い。読後感も爽やか。 「締め出し」少年係の鬱屈が、単独捜査に三田村を駆り立て、ある人物の呟きは青春の誇りをかけた推理へと彼を導く。ダイイングメッセージものに通じる謎解きは小粒ながら納得出来る。 「仕返し」ホームレスの死が招く疑惑。閉じられた世界の論理が人々を狂わせた時、人生はやり直せるのか。決断の重みに唸ると同時に、ほろ苦い感動を呼ぶ。 「人ごと」草花博士と呼ばれる会計課長・西脇は花屋の客の落とし物を届けに行く。そこに見た人間模様。孤独なお年寄りの思いに感動。 |
No.7 | 6点 | 陰の季節- 横山秀夫 | 2021/06/30 08:30 |
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D県警が舞台になっている4編からなる短編集。
表題作「陰の季節」の主役である人事担当の二渡警視がどの編にも顔を出し、D県警シリーズ全体の主人公として位置づけられている。事件を追う刑事が主役が多い警察小説の中、この作品は全ての主役が管理部門の人間である。 「陰の季節」天下り先のOBが今年で辞めることになっているのに、辞めないと言い出す。このトラブルに対処する人事の二渡だが、相手も大物でつけ入る隙を見せない。事件捜査、犯人逮捕ではない管理の仕事のため心理ミステリとなっているが、ミステリ的な謎解きがあるのが嬉しい。トラブルの真相は意外なもので、パズルと心理ミステリの深さが相乗効果でストーリーを豊かにしている。これは長編で読んでみたかった。 その他3編も、警察内部の動きを探り陰の部分を炙り出すという点は共通しており、警察内部の描写も詳細でリアリティがある。天下りや昇進、立場や醜聞というモチーフを通して描かれ、人間の野心や欲望、弱さやしたたかさが伝わってくる。 |
No.6 | 6点 | クライマーズ・ハイ- 横山秀夫 | 2021/01/30 10:35 |
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日航の御巣鷹山事故を題材に、群馬の新聞社で繰り広げられるドラマを描いている。つまり、取材し、報道する側のドラマである。作者は実際に事故当時新聞社で働いていたらしく、その時からずっと温めていた題材であることが想像できる。
あらゆる人間ドラマがぶち込まれた全体小説の趣を呈しており、単純に事故の経緯と決着を追うストーリーではない。日航機の事故はむしろ触媒であり、その触媒に触れてあらわになる新聞社の体質、人間の卑小さあるいは尊厳、報道とは何か、新聞社の使命とは何か、人の絆とは何か、そして人間の生命の軽重とは何かなど大き過ぎる問題に真正面から向き合い、そして格闘し続ける。 事故を報道していく中で、全権デスクに任命された悠木はさまざまな試練に、決断に、そして分岐点に直面する。「世界最大の事故」で後輩が活躍することを妬み、妨害する上司、想像を絶する現場に触れておかしくなる記者たち、事故原因に関する抜きネタ、人命の軽重に疑問を投げかける一通の投書。事故原因の抜きネタを打てるか打たないか、つまり群馬の一地方紙が世界を駆け巡る特ダネをものにできるかできないかという未曾有のチャレンジを描いた章、そして悠木が一人の女子大生の投書を紙面に載せるべく記者生命を賭ける章が最高の盛り上がりを見せる。 とにかく、経験者にしか描けないと思わせるディテールが圧倒的で、新聞社の中の組織の壁や自衛隊嫌い、中曽根派福田派といった社内の綱引きなどすさまじい迫真性で読ませる。その中で動き回る悠木の内面描写がまた素晴らしく、彼の思いは状況の変化とともに揺れに揺れるのだが、このリアルな揺らぎを作者は的確に、ダイナミックに描いていく。 ここにさらに、悠木の友人で元・山男、事故直前に倒れて植物人間になった安西、というキャラクターが加わる。彼が残した「下りるために登るんさ」という言葉が彼の頭から離れない。そしてこの安西をキーパーソンにして、悠木の家庭内の問題まで取り込んでいく。少し欲張りすぎとも思えるが、本書はこれにも成功している。日航機事故ストーリーの額縁として現在の悠木の登山エピソードが使われているが、このエピソード中、安西の息子のセリフ「そのハーケン、淳君が打ち込んだんですから」には泣ける。おまけに、大きいだけに収束に時間がかかる日航機事故を扱った物語の締めくくりとして、この登山エピソードが見事に機能している。 |
No.5 | 7点 | 動機- 横山秀夫 | 2020/10/12 08:52 |
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警察官・殺人の前科者・新聞記者・裁判官が主人公で組織の中で悪戦苦闘し、胸が苦しくなるような仕上がりの4編からなる短編集。表題作の「動機」はもちろんのこと、その他の作品もそれぞれ動機がポイントになっている。その中で気に入った2作品の感想を。
「動機」推理作家協会賞受賞作。警察内部の事件を捜査する管理部門の人間が主人公。警察手帳が盗まれ、責任者として名誉を挽回するために内偵に奔走する。警察内部の軋轢や人間関係がリアルで、展開もめまぐるしいので飽きさせない。最後のオチは少し気に入らない点もあるが...。 「逆転の夏」女子高生殺しで前科のある男が、電話で見知らぬ相手から殺人を委託される。自分が一寸先は加害者または被害者になるかもしれない、そんな意識が克明に描かれており心理描写が丁寧で好印象。先が読めないスリリングな展開にプロットも捻りが効いており、どんでん返しもお見事。犯罪者の社会復帰問題についても考えさせられた。ミステリとしても人間ドラマとしても濃厚で満足。長編として、じっくり読んでみたかったと思った作品。 |
No.4 | 7点 | 第三の時効- 横山秀夫 | 2020/06/26 19:34 |
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一班、二班、三班とチームが3つあり、事件によって担当する班が違う。そして仲が非常に悪い。それぞれの班長もロジカルでクールな朽木、謀略型の楠見、天才的な閃きを持つ村瀬と個性的。班ごとの権力争いに加え、班内での出世争いなどの軋轢もあり、凶悪事件に対処すると同時に内部対立もあるということで、常にストレスを抱えている。
「沈黙のアリバイ」で朽木の読みの深さに唸り、「第三の時効」で楠見の冷血さとシャープさに慄然とし、「密室の抜け穴」で村瀬の深慮遠謀に茫然となる。 それぞれのストーリー展開も凝っており、先が読めないし、どんでん返しがあり、濃厚な人間ドラマがある。警察組織内部の葛藤もあり、それらが渾然一体となって進んでいく。作者が読者をどこへ連れて行こうとしているのか最後までわからない。プロットの巧妙さには驚かされた。 |
No.3 | 8点 | 臨場- 横山秀夫 | 2020/04/13 11:05 |
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新聞記者や検視官、刑事、婦警など異なる視線で描かれた八編からなる短編集。
この八編の謎を浮かび上がらせるのは、終身検視官と呼ばれる、捜査一課調査官、倉石義男。彼はその眼力の鋭さで、不可解な死体の謎を次々と暴く。その間の倉石は、上司にも態度や物言いを変えず、我を貫く姿勢はなかなかのもので、魅力的に映る。 倉石が暴くのは、不可思議な死の謎だけではない。死と生は連動している。死の謎を暴くことは、生のある局面に触れることでもある。そして、一つ一つの小説が、人の生の重さを見事に描き出している。 「事件」を間に挟んで描かれる人間関係は、緊張感に包まれながらも、どこか温かい。無念な死を逆転させて、爽やかな生に深い意味を与える倉石はカッコ良さをも感じさせる。 |
No.2 | 7点 | 半落ち- 横山秀夫 | 2020/03/23 10:09 |
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妻を殺害した実直な警察官が自首してくるが、犯行後の二日間の行動だけは供述を拒む。いかなる説得もはねつける。だから「完落ち」ではなく「半落ち」。おまけに、あと一年経って五十歳になったら死を決意しているらしい。一体どうなっているんだという話。
人間ドラマミステリなのだが、ユニークなのは章ごとに中心人物が移り変わっていく手法。犯人が自首し、取り調べ、送検、裁判と進んで行くのに合わせて、担当の刑事、検事、新聞記者、弁護士、裁判官、留置所の刑務官とリレーのように。 これらの人々はそれぞれの立場で、犯人の空白の二日間の謎に迫ろうとする。しかし最後の章を除いて、彼らは組織の圧力や理不尽さに負けて挫折していく。そういう意味では組織の腐敗や、保身しか考えていない上司など嫌な現実がうまく描写されている。 そして最後にようやくカタルシスが訪れる。二日間の秘密の謎が解かれ、感動のフィナーレを迎える。決して派手ではないがツボをおさえている。この謎解きを行うのは最初の章で挫折した刑事なので、そういう意味でも救いを感じさせてくれる。 |
No.1 | 5点 | 64(ロクヨン)- 横山秀夫 | 2016/03/05 10:24 |
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昭和64年の誘拐事件が警察内部で隠蔽されそれを主人公が
暴いていく所が読みどころ 刑事部と警務部との確執そして自分の家庭問題に苦悩しながら 部下に気を配り権力に立ち向かっていく主人公 組織内の争いがくどいしストレスを感じる また主人公の正義感を前面に押し出した感じがどうも好きになれない |