海外/国内ミステリ小説の投稿型書評サイト
皆さんから寄せられた5万件以上の書評をランキング形式で表示しています。ネタバレは禁止 していません。ご注意を!

バードさん
平均点: 6.15点 書評数: 326件

プロフィール高評価と近い人書評おすすめ

No.126 7点 御手洗潔の挨拶- 島田荘司 2019/02/22 05:27
(再読シリーズ 1)
御手洗ファンならほとんどの人が楽しめるのではないかしら。自分は楽しめた。
御手洗のキャラが強いので、短編でも満足感がある。

「数字錠」 6点 : 御手洗が優しくて4話の中で、ストーリーは一番好き好き。ただし数字の組が10!個という嘘に警部も石岡君もだまされるというのは二人とも頭悪過ぎない?

「失踪する死者」 7点 : 斜め屋敷に通じるむちゃくちゃな物理トリックさね。あちらは納得できなかったが、こちらはありかな(笑)。(この差がなんなのかは自分でも良く分からん)

「紫電改研究保存会」 6点 : あまり言うことがない。

「ギリシャの犬」 7点 : 暗号が解けるとは思えないけど、ある程度納得できるからOK。たこ焼き屋盗難も最後にきちんと絡めてて良し。

No.125 5点 ミステリー傑作選・特別編5 自選ショート・ミステリー- アンソロジー(出版社編) 2019/02/21 11:47
1話平均16P.ほどのショート・ミステリ集。
全話読んだ第一の感想はショート形式のミステリを作るのは難しいのだろうなぁということ。(伏線をはったり多くの謎を提示したりできないからミステリの体をなしにくいのだろう。)なので本書の掲載作も実は半分くらいがホラーやファンタジーだったりする。

この本は普通の長編や短編集のようなメインディッシュにはならないだろう。小腹がすいたときに食べるおやつのような感覚で、少しずつ読むことをお勧めする。(私はわずかに時間が空いたときにちょっとずつ読んだので、読み終わるまでに2~3ヶ月かかった。)
非常に多くの作家が作品を出しているので、普段読まない作家を知るきっかけになる点が本書のgood pointだろう。

(特に良かった作家さん) 赤川次郎、森奈津子、霞流一、高原弘吉、小鷹信光

No.124 6点 プレーグ・コートの殺人- カーター・ディクスン 2019/02/20 21:17
自分にとって3冊目のカー作品。なんとなくカーの作風(おどろおどろしさを前面に押し出す感じ)が分かってきたが、これは自分にあってない感じ。
本作に関しては、殺人事件の解決編で語られる真相の説得力と序盤から中盤にかけての伏線の上手さが好みである。その一方で、事件の輪郭がつかめるまでの前半部分は描写がくどく、正直退屈だった。

H・Mの推理を読んだ直後は犯人当ての難易度高すぎない?と思ったが、落ち着いて考えると、彼が推理をするのに用いた材料の箇所はほぼ全て自分も違和感を覚えつつ読んでいた箇所だったのである。
例) ジョセフが見張りといいつつ、モルヒネを服用して、見張りの役に徹していない点、 ジョセフと思われる死体の顔が確認できなかった点など。
つまり、頭を使えば犯人を当てられたのだと思う。
ただし、殺しに銃を用いたということを当てるのは厳しいかと思う。なぜなら、凶器と思われた短剣のイメージがつきにくいからね。(文字だけじゃ中々伝わらないよ。)

ということで、ミステリとしての完成度は中々に高いと思った。ただし個人的にかなり読みくいと感じたので、その分減点して総合6点。

No.123 7点 マスカレード・ホテル- 東野圭吾 2019/02/14 17:20
映画化記念に読むことした、超にわか者です(笑)。
けっこう楽しめた、というのが素直な感想。少なくとも最近読んだの東野作品では一番好き。

メインのx4の犯行よりも、個別の事件が面白かったかな。警察とホテルマンの違いが良くかけており、かつ重苦しい犯罪なしにハラハラさせられた。エピソードの中では教育実習生とのやりとりが一番いい。
多くの登場人物に味があり、それも評価ポイント。

No.122 5点 魍魎の匣- 京極夏彦 2019/02/11 15:14
読んでて疲れた。
なんつーか作者と相性悪いのかなという感じ。まぁ、このことについてはデビュー作も読んでから判断しよう。

大した事件でないものを組み合わせて複雑に見せてる。加奈子殺人未遂もしかけなし、ばらばら殺人の犯人も意外性なし、須崎とか雨宮とかの犯行も行き当たりばったりと、雰囲気でごまかしてるけど面白くない。結局しょぼいものを組み合わせてむりやり読めるものに仕上げたって感じなんだよなあ。奇しくもばらばらを併せて一つの人体だよと見せられた感じといえばいいのかな。


京極堂の薀蓄もへぇーとは思うけど、それほど魅力的に感じず、わずらわしい。他のキャラも共感しにくい奴が多すぎる。

長い話だが、最後まで一気に読ませる力はあったので、その分+1点して5点で。
愚痴ばかりになりそうなのでこの辺でやめます。

No.121 8点 貴族探偵- 麻耶雄嵩 2019/02/02 12:27
各短編ごとの点数
1 ウィーンの森の物語 7点
2 トリッチ・トラッチ・ポルカ 7点
3 こうもり 9点
4 加速度円舞曲 8点
5 春の声 5点

平均したら7点ちょっと?ただし、短編でこのようなhighアベレージをだすのは難しく、お見事。よって少しげたを履かせて8点にした。

読む前はキャラものライトミステリと思っていた。しかし、1~4の仕掛けは上手く、本格至上主義の人でも満足するできばえと思う。(5は少し力技が過ぎる気もするが。)
特に、3は最後まで読んだ後、もう一度読みかえしてしまった。それだけ良い仕掛けということだろう。

加えて、貴族探偵が主人公兼モブ(こいつが居なくてもミステリ的には問題がないという点で)という新しいタイプのキャラでこれも面白かった。

No.120 9点 星を継ぐもの- ジェイムズ・P・ホーガン 2019/01/29 10:52
久しぶりにSFを読んだが、こんなに面白いジャンルだったけ?と思わせられた。この本の何がいいって、SF特有の造語が最小限で、頭を使わずともすっと物語に没頭できる点と思う。(科学用語は多用されているが、私は職業上その手の用語にはなじみがあり、読みやすかった。)

月のトリックは予想できたが、発見された事実を整理して書いているからこそ予想できたのだろう。また、新たな発見のたびに生じる科学者たちの興奮がこちらにも伝わってきて、のめりこんじまった。続きも絶対読みます。

No.119 7点 告白- 湊かなえ 2019/01/19 10:32
湊さん2冊目。1冊目はあわなかったがこれは面白く一気に読ませられた。(苦手なタイプの話だが、それでも面白いと感じた。)
少年Aについてはこんな13才いるかという気もするが、犯罪を積極的に起こすキャラだし、こういうものなのかな?少年Bはどこにでも居そうなさえない子ね。森口先生については復讐の手口えげつないな~、という感じ。ウェルテルは無能というか、蚊帳の外すぎて見てられない!、Bの母はやや気の毒な役どころといった印象。

まとめると、メインキャラは中々に個性的で、そこが良かったのかなぁと思ったり。ただいずれの奴も知り合いたくはないっすね(笑)。

No.118 8点 皇帝のかぎ煙草入れ- ジョン・ディクスン・カー 2019/01/17 14:32
犯人当てられなくて悔しいです。
奴は最初から容疑者圏外にして考えてしまった。だから作者にしてやられたの一言。
(言い訳): ネッドが遠目で見ているにもかかわらず、モーリス教の持っているものをかぎ煙草入れといった箇所が怪しいとは思ったのだが、そこを私はモーリス教が他のかぎ煙草入れを見ていたと解釈。だから、ナポレオンのかぎ煙草入れがどの段階で事件に関わったのかを考えてしまった。目の付けどころは悪くなかったのよ~。(これ英語だったら冠詞がつくからこういう読み間違いは起こらないのだが)

物語がシンプルで読みやすく、メインのしかけも良い切れ味をはなつ秀作。考えてミステリを読む人にぜひ勧めたい。

No.117 5点 眠りの森- 東野圭吾 2019/01/10 11:17
ここ最近東野さんの作品で当たりを引けない。本作も微妙っす。
推理要素が少なくいまひとつ熱中できなかった。加えて物語を通して身代わりが多くて(恋人の身代わり, 正当防衛の身代わり, 犯人の身代わり(これは違う気もするけど))読みにくかった。身代わりを多用することで物語の謎に深みを出したかったのだろうけど、単に問題を複雑にしてるだけに思えた。以上。

No.116 6点 重力ピエロ- 伊坂幸太郎 2019/01/06 09:47
そこそこかな。
伊坂さんの作品はこの作品で二冊目だが、なんとなく作風がわかってきた。本作は私個人の分類ではキャラ小説に位置する。(ストーリーは凡と思う。)登場人物について書くと、親父さんが一番好き。主人公の兄弟は、嫌いではないけども青臭いっすね(笑)。

No.115 6点 春にして君を離れ- アガサ・クリスティー 2018/12/30 20:55
楽しめた・・・のかなぁ。巻末の解説の言葉で書くなら、哀しい話と感じたねぇ。
暗いというか、哀しみが先行して、満足感みたいなのは皆無で、苦手なタイプの話だった。しかし苦手と思った私から見ても、この手の小説の中では非常にレベルが高いと思う。途中で一度真実に気づかせた上で、あの結末に落とすというのは、リアルというか、容赦がないというか・・・。作者の腕が光ったシナリオだね。
楽しくない小説なので、個人的な点数は2点引いて6点。(小説のレベルは8~9相当と思う。)

No.114 5点 富豪刑事- 筒井康隆 2018/12/27 13:30
ユーモラスな小説でそこそこ気に入った。(読後感はAAミルンの赤い館の秘密に似ている。)筒井さんのミステリは二冊目(1本目はロートレック壮)。個人的にはロートレック壮の方が好きかな。

密室の富豪刑事が推理要素があって一番良かったね。しかし、私が思った以上に皆さん高評価なのね。

No.113 5点 本格推理②奇想の冒険者たち- アンソロジー(国内編集者) 2018/12/24 11:37
特別意識したわけではないが、①を読んだときと比較すると厳しい目で読んだ。(読んでしばらくしてそう思った。)
はしがきで鮎川編集が述べたように、この手のシリーズでは読者がそういった目線で読んでしまうことは避けられないのかもしれない。

一つ言わせていただくと、メインの仕掛けに自信をもってよいのに、余計な小細工を仕込んでいる作品がいくつかあると感じた。皆さんそれぞれおもしろい仕掛けを考案しているので、次を読む機会があればよりレベルが高いものを期待したい。

個人的に好きな話
・佐々植仁  作「死線」
簡略化した図を見せることでミスリードを誘っており上手いと思った。この位シンプルなトリックは好き。自分は蝶番の隙間から狙撃というあほ推理をしました。

・江島伸吾 作「アンソロジー」
招待枠とのことですが、これもシンプルなしかけで好きですわね。ありそうで今まで見たことなかったタイプかと。今後読む作品内で、本が問題になったらこの仕掛けも頭の隅においておきたい。

No.112 5点 詩的私的ジャック- 森博嗣 2018/12/23 12:55
S&Mシリーズの4冊目だがこれまでの中では一番凡作臭を感じた。
登場人物が少なく、なんとなく犯人を予想することはできるが、読者が論理的に犯人を当てられる構成かどうかは疑問である。

序盤から引っ張っていた密室をなぜ作ったか?という問題であるが、いまいち納得できなかった。容疑者から犯人自身を外したいのであれば、双子の入れ替わりによるアリバイ工作だけで十分だったと思う。また被害者の服をとった理由もあまり面白くなかったね。
このように、やや不満点の多い作品。ただし、双子の入れ替わりのやり方はシンプルだけど好き。

No.111 6点 氷菓- 米澤穂信 2018/12/20 23:44
タイトルだけは知っていたが、このようなライトノベル(?)だとは知らなかった。そこまでいれこむ程にははまらなかったが、軽いミステリを読みたくなったら古典部シリーズの続きを手に取るかもしれない。

また、アニメや実写もあるらしいので、わたし、気になります。

No.110 5点 11文字の殺人- 東野圭吾 2018/12/19 10:07
これは意外な人物を犯人とすることで驚きを生むタイプの作品であるが、注意して読むと犯人の正体に序盤で気づけそうだと感じた。その辺りの点がやや盛り上がりにかける理由だろうか。

ストーリーはそれほどひねったものでもなく分かりやすい。人物描写が薄めな気もするがそれほど気にはならかった。

No.109 9点 フランス白粉の秘密- エラリイ・クイーン 2018/12/16 16:38
非常に秀作だなあと思う。
論理的に犯人を一意に特定できるという点で良くできている。トリックでなくロジックに重きを置く人にぜひ勧めたい一冊だ。
この内容なら犯人当てたかったなぁ。少しつめが甘かった。

話はエラリーが手がかりを集めて最後に犯人を名指しするというオーソドックスなもの。この犯人だが、その正体は賛否両論である。賛については意外性があるという点だ。論理的に犯人を絞る話ではどうしても意外性が無くなりがちだが、それを軽減させている。否については、非常に個人的なものなのであるが、このてのキャラが犯人というのは私の嫌いな共犯ものに似たずるさを感じる点である。

最後に反省点であるが、いつでもどこでも携帯電話で連絡がとれる今の時代の感覚で読んでしまったのは正しい推理をする上で良くなかったわね。

No.108 4点 さまよう刃- 東野圭吾 2018/11/28 11:34
自分にあわない作品だった。(あわなかった点1 謎がない。 2 登場人物に感情移入できなかった。 3 決局主人公(長嶺)が目的を達成せずに死ぬラスト。 4 テーマが暗すぎてエンタメとして楽しめない。)

全体的に話をまわすのに都合のいい展開も多かった気がする。上手く表現できないが、私には本作の登場人物が役者の演じるキャラに見えたということかな。(ドラマ向きかも、とも思った。)

No.107 7点 理由- 宮部みゆき 2018/11/24 13:07
先が気になり一気に読んでしまった。それは700ページ近い作品をわずか2日で読みきったという点から間違いない。読んでる間は面白かった。しかし、月日がたつと忘れてしまいそうな作品という気がする。

つまり何が言いたいのかというと、話は良かった(8-9点)が、ミステリとしてガツンとインパクトのある何かはない(5-6点)という印象で、脳に衝撃を与えるタイプの作品ではない。(別作者だが、ゴールデンスランバーを読んで受けた印象に似ている。)

具体的に良かった点を挙げると、被害者らの身元に関する謎をひっぱることで緊張感をなくさずに読ませたという点かしら。それらが明らかになる中盤が一番読んでて盛り上がったね。

キーワードから探す
バードさん
ひとこと
ミステリ好きを自称してるもののまだ超有名な名作ですら未読のものが多いにわかファンなのでご容赦ください。あと感想の文体に丁寧語を用いないため生意気な批評と感じる方もいらっしゃるかもしれません、もし不快に感...
好きな作家
(海外)エラリー・クイーン アガサ・クリスティ (国内)江戸川乱歩 島田荘司 綾辻...
採点傾向
平均点: 6.15点   採点数: 326件
採点の多い作家(TOP10)
東野圭吾(28)
有栖川有栖(18)
綾辻行人(17)
アガサ・クリスティー(14)
島田荘司(13)
宮部みゆき(10)
江戸川乱歩(10)
法月綸太郎(8)
歌野晶午(8)
エラリイ・クイーン(8)