皆さんから寄せられた5万件以上の書評をランキング形式で表示しています。ネタバレは禁止
していません。ご注意を!
バードさん |
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平均点: 6.14点 | 書評数: 315件 |
No.115 | 6点 | 春にして君を離れ- アガサ・クリスティー | 2018/12/30 20:55 |
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楽しめた・・・のかなぁ。巻末の解説の言葉で書くなら、哀しい話と感じたねぇ。
暗いというか、哀しみが先行して、満足感みたいなのは皆無で、苦手なタイプの話だった。しかし苦手と思った私から見ても、この手の小説の中では非常にレベルが高いと思う。途中で一度真実に気づかせた上で、あの結末に落とすというのは、リアルというか、容赦がないというか・・・。作者の腕が光ったシナリオだね。 楽しくない小説なので、個人的な点数は2点引いて6点。(小説のレベルは8~9相当と思う。) |
No.114 | 5点 | 富豪刑事- 筒井康隆 | 2018/12/27 13:30 |
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ユーモラスな小説でそこそこ気に入った。(読後感はAAミルンの赤い館の秘密に似ている。)筒井さんのミステリは二冊目(1本目はロートレック壮)。個人的にはロートレック壮の方が好きかな。
密室の富豪刑事が推理要素があって一番良かったね。しかし、私が思った以上に皆さん高評価なのね。 |
No.113 | 5点 | 本格推理②奇想の冒険者たち- アンソロジー(国内編集者) | 2018/12/24 11:37 |
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特別意識したわけではないが、①を読んだときと比較すると厳しい目で読んだ。(読んでしばらくしてそう思った。)
はしがきで鮎川編集が述べたように、この手のシリーズでは読者がそういった目線で読んでしまうことは避けられないのかもしれない。 一つ言わせていただくと、メインの仕掛けに自信をもってよいのに、余計な小細工を仕込んでいる作品がいくつかあると感じた。皆さんそれぞれおもしろい仕掛けを考案しているので、次を読む機会があればよりレベルが高いものを期待したい。 個人的に好きな話 ・佐々植仁 作「死線」 簡略化した図を見せることでミスリードを誘っており上手いと思った。この位シンプルなトリックは好き。自分は蝶番の隙間から狙撃というあほ推理をしました。 ・江島伸吾 作「アンソロジー」 招待枠とのことですが、これもシンプルなしかけで好きですわね。ありそうで今まで見たことなかったタイプかと。今後読む作品内で、本が問題になったらこの仕掛けも頭の隅においておきたい。 |
No.112 | 5点 | 詩的私的ジャック- 森博嗣 | 2018/12/23 12:55 |
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S&Mシリーズの4冊目だがこれまでの中では一番凡作臭を感じた。
登場人物が少なく、なんとなく犯人を予想することはできるが、読者が論理的に犯人を当てられる構成かどうかは疑問である。 序盤から引っ張っていた密室をなぜ作ったか?という問題であるが、いまいち納得できなかった。容疑者から犯人自身を外したいのであれば、双子の入れ替わりによるアリバイ工作だけで十分だったと思う。また被害者の服をとった理由もあまり面白くなかったね。 このように、やや不満点の多い作品。ただし、双子の入れ替わりのやり方はシンプルだけど好き。 |
No.111 | 6点 | 氷菓- 米澤穂信 | 2018/12/20 23:44 |
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タイトルだけは知っていたが、このようなライトノベル(?)だとは知らなかった。そこまでいれこむ程にははまらなかったが、軽いミステリを読みたくなったら古典部シリーズの続きを手に取るかもしれない。
また、アニメや実写もあるらしいので、わたし、気になります。 |
No.110 | 5点 | 11文字の殺人- 東野圭吾 | 2018/12/19 10:07 |
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これは意外な人物を犯人とすることで驚きを生むタイプの作品であるが、注意して読むと犯人の正体に序盤で気づけそうだと感じた。その辺りの点がやや盛り上がりにかける理由だろうか。
ストーリーはそれほどひねったものでもなく分かりやすい。人物描写が薄めな気もするがそれほど気にはならかった。 |
No.109 | 9点 | フランス白粉の秘密- エラリイ・クイーン | 2018/12/16 16:38 |
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非常に秀作だなあと思う。
論理的に犯人を一意に特定できるという点で良くできている。トリックでなくロジックに重きを置く人にぜひ勧めたい一冊だ。 この内容なら犯人当てたかったなぁ。少しつめが甘かった。 話はエラリーが手がかりを集めて最後に犯人を名指しするというオーソドックスなもの。この犯人だが、その正体は賛否両論である。賛については意外性があるという点だ。論理的に犯人を絞る話ではどうしても意外性が無くなりがちだが、それを軽減させている。否については、非常に個人的なものなのであるが、このてのキャラが犯人というのは私の嫌いな共犯ものに似たずるさを感じる点である。 最後に反省点であるが、いつでもどこでも携帯電話で連絡がとれる今の時代の感覚で読んでしまったのは正しい推理をする上で良くなかったわね。 |
No.108 | 4点 | さまよう刃- 東野圭吾 | 2018/11/28 11:34 |
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自分にあわない作品だった。(あわなかった点1 謎がない。 2 登場人物に感情移入できなかった。 3 決局主人公(長嶺)が目的を達成せずに死ぬラスト。 4 テーマが暗すぎてエンタメとして楽しめない。)
全体的に話をまわすのに都合のいい展開も多かった気がする。上手く表現できないが、私には本作の登場人物が役者の演じるキャラに見えたということかな。(ドラマ向きかも、とも思った。) |
No.107 | 7点 | 理由- 宮部みゆき | 2018/11/24 13:07 |
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先が気になり一気に読んでしまった。それは700ページ近い作品をわずか2日で読みきったという点から間違いない。読んでる間は面白かった。しかし、月日がたつと忘れてしまいそうな作品という気がする。
つまり何が言いたいのかというと、話は良かった(8-9点)が、ミステリとしてガツンとインパクトのある何かはない(5-6点)という印象で、脳に衝撃を与えるタイプの作品ではない。(別作者だが、ゴールデンスランバーを読んで受けた印象に似ている。) 具体的に良かった点を挙げると、被害者らの身元に関する謎をひっぱることで緊張感をなくさずに読ませたという点かしら。それらが明らかになる中盤が一番読んでて盛り上がったね。 |
No.106 | 6点 | ゴルフ場殺人事件- アガサ・クリスティー | 2018/11/22 15:14 |
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クリスティ作品の中では佳作といったところ。しかし今回の謎は、私にとってそれほど興味深いものでなかったので6点とする。(読んだ直後は6~7点位でどちらの点にしようか迷った。)
終わりから100ページ前くらいで明かされる、ルノー夫妻の元々の計画はポアロの誘導があったので当てられた。しかし、殺人の犯人はほぼ考える間もなく物語が動いてあっという間に終わってしまった。 本作は殺人犯を論理的に当てられる作品なのかどうか、分からない。探偵に言われりゃなるほどそうか、と思うが。 |
No.105 | 9点 | 本陣殺人事件- 横溝正史 | 2018/11/14 11:05 |
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非常に良くできているのでは?
私にとっては獄門島、犬神家に続く3冊目の横溝さんの作品なのだが、個人的にはこの2作品と比べロジックが上手いと感じさせられた。また、現代ミステリの土台となるような要素、例えば ・雪によって犯人の意図しない密室ができてしまう ・水車と紐を使った分かりやすい物理トリック ・三本指という特徴のある体の部位を使った犯人像の印象操作 ・○○者が実は犯人 が盛り込まれており、後の作品への影響力という意味でも価値のある作品だったのだろう。 次の横溝作品は八つ墓村にしようと思っているが、この感じなら期待できそう。 -------------------------------------------------------- 私は角川文庫で読んだが、本陣殺人事件の他に他に中編が2個入っているので、それらについても述べておく。 それらは読者が推理できる要素は少なく金田一が謎を解くのを読むという感じになる。私の好み的には満足度普通くらい。両方とも6~7点くらい。 |
No.104 | 6点 | 本格推理①新しい挑戦者たち- アンソロジー(国内編集者) | 2018/11/10 13:28 |
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一話が約50ページという制約のもとで書かれているので、謎の大きさは小粒なものが多いが、作者の各々のセンスが出ていて良かった。一冊で何人分もの作品が読めるというお得感もある。
個人的に好きな話 ・藁麦米単九 作「鳥」 図面も多く事件の全体像がつかみやすかった。私はトリックを外してしまったが、謎のレベルは程よく、挑戦しがいがある。 ・村瀬継弥 作「藤田先生と人間消失」 殺伐とした話が多いミステリの枠内でほっこりするいい話。この時点で印象にも残るし、話も面白かった。人間消失の謎の解明は外しました。 ・山沢春雄 作「砧未発表の事件」 簡単な叙述要素があり印象に残った。そして見事に引っ掛けられた。鮎川編集者のお言葉通り、丹念に読むほど味がわかる構成だった。 ・二階堂黎人 作「赤死荘の殺人」 実は謎の7割くらいは当てられた。だからといって作品のレベルが低いとはならない。むしろ、二階堂さんの力量が高いから謎をしっかり理解できたのだと思う。 こうしてみると全体的に引っ掛けられてばかり。もう少し鋭い読者を目指さねば(汗)。 |
No.103 | 6点 | アルキメデスは手を汚さない- 小峰元 | 2018/11/06 11:37 |
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まあまあ楽しめた。
良かった点といまいちと感じた点を挙げると、 良かった点 ・流れるようなテンポ。非常に読みやすい。 ・タイトル回収をきちんとした。 いまいち点 ・柳生を中心に起こる三つの事件の関連性が薄い。加えて重さも一つだけ殺人で、後は大した事無いというバランスの悪さが気になった。 ・タイトルが分かりやすすぎるかな?このタイトルで普通に読んでりゃ結末が予想できるので、その点はマイナスとも感じる。 ・謎のレベルが小粒。 ・姉の自殺のくだりとか、要所で雑な展開も気になった。 このように列挙するとマイナス点が多いな(笑)。特に二つ目のタイトルによるネタバレはミステリとしては致命的かも。でもつまらないとは思わなかったよ。あとキャラはいけ好かない奴が多かったね。自分がそう思っただけでマイナス点ではないですが。 あと小説の感想ではないけども、ここの書評では、思ったより皆さん辛口評価なのね(笑)。 |
No.102 | 6点 | ドグラ・マグラ- 夢野久作 | 2018/11/04 21:12 |
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評価に困る、の一言。
読後の感覚の似てる作品が無い。他の人の感想をぜひ聞きたいものものである。 中身については理解できたようでさっぱりわからなかったという感じ。(本当に読んだのか?とつっこまれそう。) 個人的な感想を述べると、前半の正木博士の遺書パートが読みにくくその部分が辛い反面、後半で問題がぼんやり見えてきたところから一気にのめりこめた。ただし最後まで読んでも何を読ませられたのかが判然としない。 一応点数の付け方は、前半2点、後半8点で平均5点。それに加えてこれまで味わったことの無いオリジナリティの高さを評価して6点とした。しかし、この評価が妥当かどうか私本人にも良くわからない。 |
No.101 | 8点 | 笑わない数学者- 森博嗣 | 2018/10/20 22:18 |
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三冊目の森さんの本。
久しぶりにミステリを読んだが、メインのしかけはとても簡単という印象。トリック、犯人共に当てられて、にんまり。ということで読んだ後の感想は、簡単すぎるしS&Mの掛け合いの面白さでなんとか6点くらいかな~と思っていた。 しかし、森さんいわくこの本のトリックはあえて簡単にしたとのこと。その理由をみて非常に納得。自分はまた作者の手の上で踊らされておったのか、といい意味で悔しく思えた。狙った難易度調整、そして見事に踊らされた点を踏まえて8点! |
No.100 | 7点 | Another- 綾辻行人 | 2018/10/20 21:16 |
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別の作品で取り上げられていたので、気になりこの機会に読んでみた。
ミステリ要素は思っていたよりは少な目と感じた。後半の展開は強引な感じも受けたが、最後まで根本的には呪いの問題を解決できていない点が安易なエンドでなく好印象である。 また、例のしかけは綾辻さんの得意なやり方という印象。彼の作品を何冊も読んでるとさすがに耐性がついているみたい(笑)。嬉しくもあり、悲しくもある。 |
No.99 | 7点 | 白昼の悪魔- アガサ・クリスティー | 2014/11/09 14:26 |
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クリスティ作品の標準やや上くらい。最後の最後まで裏のある構成、完璧に当てるのはできなかった。最初の日焼けのくだりとか伏線はあっただけに悔しい。
登場キャラもかぶっている人が少なく読んでて混乱しにくかったのも好印象。比較的コンパクトにまとまっている良作。 |
No.98 | 2点 | 白ゆき姫殺人事件- 湊かなえ | 2014/08/15 10:46 |
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湊さんの作品を読むのは初めてだったがこれはあわなかった。
なんというか人の浅はかさを書きたかったのだとは思ったけどこれだけ浅いと読んでても全然面白くない。借りて読んだ本なので最後まで読んだけど途中でなげたくなった。 内容については最後の当事者の章だけは良かったのでその部分で最低点は避けた、他はどうでもいい内容の垂れ流し、最後の犯人についてはもはや興味を持てなかった。ただ一冊じゃ作者との相性はわからないので「告白」は読もうと思う。 |
No.97 | 6点 | 出雲伝説7/8の殺人- 島田荘司 | 2014/08/07 17:46 |
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しばらくミステリから離れていたのでリハビリとしてこの本をチョイスした。結論から言ってしまえばリハビリとして調度よかった、難しい謎過ぎずまたかといって複雑すぎないいい塩梅だったと思う。
しかし派手な事件の始まりに対してトリックは地味目というか良くも悪くも及第点といった感じ。出雲の言い伝えの部分に関しては深追いしすぎず小説への取り入れ方としては良かった。(最近の御手洗シリーズなどでは余計な話にページをさきすぎてる気がするので。) |
No.96 | 8点 | ゴールデンスランバー- 伊坂幸太郎 | 2014/03/29 11:59 |
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長い話だが一気に読めた。結末に近づくにつれなんとなくこの場面見たことあるな~と感じたので、おそらくもうほとんど記憶にないが昔映画を見たことがあったのだろう。
途中からは主人公の青柳に完全に感情移入してしまいなんとか逃げ延びてくれという思いだった。巻末の作者の言葉によるとあえて風呂敷をたたまなかった作品らしいがそれでも小説としての面白さが損なわれていないのが凄い。(普通はきれいにたたんでないと消化不良なのだから)これぞまさに小説はエンターテイメントといえる作品。 |