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いいちこさん
平均点: 5.67点 書評数: 541件

プロフィール高評価と近い人書評おすすめ

No.15 5点 誰か Somebody- 宮部みゆき 2023/10/03 16:08
筆力の高さは相変わらずで、よく描けている。
作品の主題も悪くはない。
ただ、いかんせん、ミステリとしてはプロットや真相があまりにも平凡であり、回収されていない設定の存在等も含め、抜群の完成度とはいえない。
ストレスを感じることなく、読書を楽しめるものの、読者の心に何かを強く残す作品ではない。
5点の中位

No.14 4点 R.P.G.- 宮部みゆき 2023/04/06 13:54
本作に底流する、現代社会における家族のあり方に対する問題認識は鋭く、十分に共感性があるのだが、プロットそのもの、犯行動機のリアリティが乏しく、1個の作品として昇華されていない。
また、ミステリとしての基本的なお作法を破ってまで仕掛けた割には、真犯人と、その解明プロセスの双方に意外性がない。
著者の作品としては相当に凡庸なデキで、4点の最下層

No.13 7点 スナーク狩り- 宮部みゆき 2022/12/13 17:56
まるで映像を見ているかのような優れた叙述に加え、私的正義の是非を問うプロットの組み立てが見事。
全体としては、やや軽量コンパクトな印象を受けるものの、著者の充実した力量が発揮された佳作

No.12 5点 理由- 宮部みゆき 2021/11/16 20:14
本作は、当時社会問題化していた住宅ローンによる破綻と占有屋を主題に、それにまつわる人々の生き様を掘り下げつつ、1個の殺人事件に収斂させていく構成をとっている。
視点人物が刻々と変化するものの、そのプロットは単純で、骨格は一本道であり、そして何より真相がチープすぎるがゆえに、そうしたエピソードの数々が夾雑物と映り、読後に強く冗長さを感じさせるのである。
この内容で、この長尺をもたせ切る筆力はさすがだが、よく比較される「火車」には遠く及ばないと言わざるを得ない

No.11 8点 模倣犯- 宮部みゆき 2021/03/26 12:53
力作であり、よく書けている点は、掛け値なしに認める。
ただ、犯行計画にフィージブルでない、ご都合主義的な点が見受けられる点、犯人の行動が犯行動機に対して合理性を欠く点が見受けられ、その点を減点

No.10 5点 返事はいらない- 宮部みゆき 2019/08/03 17:23
いずれの短編も上手にまとめているが、ふみ込みが足りない。
リアリティも弱いし、何より胸に迫る、強い印象を残すものが何もない。
軽量コンパクトな作品群

No.9 6点 レベル7- 宮部みゆき 2018/09/03 20:54
冒頭に提示される謎の不可解性と、その後のスリリングな展開から、傑作を予感させる序盤だっただけに、非常に残念と言わざるを得ない。
精神病院の内情はじめ舞台設定にリアリティが皆無で、犯行計画と登場人物の行動に合理性が感じられない。
全般に人物描写の甘さから登場人物に魅力がなく、とりわけ敵役の人物像は至ってチープであり、最重要人物が何の伏線もなく最終盤に登場。
これだけの長尺の末に明かされた真相は極めて平凡。
序盤の大きな貯金にもかかわらず、これらの要素と相殺され、水準をやや下回るサスペンス作品に落ち着いた

No.8 7点 クロスファイア- 宮部みゆき 2018/01/06 13:52
大ヒット漫画「デスノート」と同一の主題であり、同工異曲と言うべき作品。
主人公に対する批判・悪意の反映かもしれないが、登場する悪人がチンケすぎる、主人公の行動原理が純粋な正義感ではなく恋愛感情が混入している、無関係な人間を巻き添えにするなど、主人公の行動に大義がなく、行動もあまりにも不用意である点等から、同作のような強烈な緊迫感・問題意識は伝わってこない。
そうした点から、主人公を待ち受けているラストは明々白々であるが、その着地も呆気なさ過ぎる印象を受ける。
ミステリとしての面白さ・リーダビリティは高く評価するものの、主題を十全には活かしきれていない点で画竜点睛を欠いており、消化不良と違和感が残る作品

No.7 6点 龍は眠る- 宮部みゆき 2017/03/30 19:45
サイキックゆえの悲哀と孤独を抉り出す筆力に加え、プロット全体が高い完成度を備えており、最終盤まで読者を引っ張っていく力は評価。
それだけに、明かされた真相があまりにも平凡な点は非常に残念。
サスペンスとしては紛れもなく佳作だが、ミステリとしては平凡と言わざるを得ない

No.6 4点 本所深川ふしぎ草紙- 宮部みゆき 2016/11/08 11:51
私の宮部みゆき読書のいつものパターン。
一個の読物としては相応の完成度であり、特に不満もないが、ミステリとしては淡泊すぎて高い評価はできない。
作者が、どの程度ミステリであることを意識して、本作を執筆したのか不明であるが、本サイトではミステリとして評価

No.5 6点 魔術はささやく- 宮部みゆき 2016/03/31 17:14
サスペンス大賞受賞作であるから、サスペンスにカテゴライズされるのであろうが、盛り沢山の構成の副作用として、作品の主題は拡散気味でどっちつかずの印象。
まずサスペンスとしては緊迫感に乏しく物足りなさが残る。
サブリミナル広告・ピッキング・後催眠といった飛び道具の存在にもかかわらず、ミステリとしては真相が意外性に欠ける。
主人公を攻撃・擁護する友人との人間関係に相当の紙幅を割きながら、青春小説として十分に活かし切れていない。
加えて、犯人が最も殺害すべき必然性の高い人間の殺害を中止し、社会正義のための犯行としながら犯行の露見を恐れて無関係な人物を殺害し、それでいて主人公を全面的に信用して犯行を明かすなど、その行動に合理性・一貫性が感じられない。
筆力・リーダビリティは評価しても、これ以上の評価は難しい

No.4 6点 我らが隣人の犯罪- 宮部みゆき 2016/01/25 15:09
作者の作品としては本格度が高く、無駄を削ぎ落とした筋肉質な構成。
テクニックの高さを感じさせる反面、総じて軽量コンパクトでパンチ力に欠ける印象。
ただ、好感の持てる作風で、人によっては高い評価となるのも頷ける

No.3 3点 ステップファザー・ステップ- 宮部みゆき 2015/11/25 16:51
本作は一言で言えば「キャラ小説」であり、本サイトでの高評価をミステリとして高水準であると誤認したことが失敗。
登場人物の特殊な人間関係に鋭く斬り込むアプローチがないため、舞台設定がほとんど活かされておらず、連作短編集的な捻りも見られなかった。
各話に対するミステリ的な味付けも非常に強引な付属品の印象が強い。
ミステリとしてはこの評価が妥当と考えるが、作者の執筆意図に照らせばそれほど批判的スタンスに立つべき作品でもない

No.2 5点 蒲生邸事件- 宮部みゆき 2015/09/25 20:37
タイムトラベルや2・26事件といった魅力的で大がかりな舞台装置を用意した長尺の意欲作ではあるが、十全に活かしきれておらず、平々凡々とした軽量コンパクトな結末に収斂。
エンタテインメントとしてのデキを否定するものではないが、ミステリとしての斬り込みは至って浅いと言わざるを得ない

No.1 7点 火車- 宮部みゆき 2011/12/24 16:26
ストーリーテリングは抜群で社会派ミステリの良作。
ただ本作の主題とラストを考えあわせればもう少し短い方がベターか。
間延びした感は残る

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いいちこさん
ひとこと
評価にあたっては真相とトリックの意外性・納得性を最重視しつつ、プロットの構想力・完成度、犯行のフィージビリティ・合理性に重点を置いています。
採点結果が平均6.0点前後となるよう意識して採点するととも...
好きな作家
東野圭吾、麻耶雄嵩、京極夏彦、倉知淳、奥田英朗。次点として島田荘司、有栖川有栖、法...
採点傾向
平均点: 5.67点   採点数: 541件
採点の多い作家(TOP10)
東野圭吾(31)
麻耶雄嵩(21)
島田荘司(20)
奥田英朗(15)
宮部みゆき(15)
倉知淳(15)
京極夏彦(14)
有栖川有栖(13)
アガサ・クリスティー(13)
東川篤哉(11)