皆さんから寄せられた5万件以上の書評をランキング形式で表示しています。ネタバレは禁止
していません。ご注意を!
蟷螂の斧さん |
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平均点: 6.09点 | 書評数: 1667件 |
No.1507 | 7点 | 歪んだ名画- アンソロジー(国内編集者) | 2022/06/05 13:45 |
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①雪華葬刺し 赤江瀑 8点 茜は愛する男のために刺青をいれる決心をする。刺青師・彫経は茜の雪の様に白く美しい肌に生涯のすべてを賭け最後の刺青を彫る。その流儀は特異なもので尋常ではなかった・・・エロティシズムと耽美
②椛山訪雪図 泡坂妻夫 8点 「煙の殺意」で書評済 ダリのような騙し絵 ③曜変天目の夜 恩田陸 5点 関根多佳雄は「今日は、曜変天目の夜だ」という言葉を残して亡くなった友人を思い出した。友人は髪の毛を多佳雄に残していったのだが・・・その意味は? ④老松ぼっくり 黒川博行 6点 骨董商は長年の常連仕入れ先から大量の上物骨董品を仕入れたが・・・盗品? ⑤カット・アウト 法月綸太郎 8点 「パズル崩壊」で書評済 妻の遺体に絵を描く画家 ⑥オペラントの肖像 平山夢明 7点 芸術が禁止された世界。その取締官は芸術を愛する娘に恋をしてしまう・・・取締官の行く末は? ⑦装飾評伝 松本清張 8点 異端画家の生き様は彼の友人の評伝に拠るしかなかった。二人の親密さは際立っているのだが・・・表と裏 ⑧火箭 連城三紀彦 7点 「瓦斯灯」にて既読 画家の遺作が公開された。画家自身は「最高傑作になる」と豪語していたが、その絵のバックは黒く塗られており違和感が・・・画家の意図は? 本作に登場した絵画・作品 ①歌川国芳「本朝武者鏡・橘姫」「浪子燕青」「九紋龍史進」 ②ダリ「ボルテールの不可視的な胸像の幻影のある奴隷市場」「部屋として利用できる女優のメエウエストの顔」 ③長谷川等伯「枯木野猿図」 ④ポロック「カット・アウト」 ⑤ルーベンス「キリスト昇架」 ⑥ミレー「晩鐘」 ⑦エミール・ガレ「手」 ⑧ダ・ヴィンチ「モナ・リザ」 |
No.1506 | 6点 | 札幌着23時25分- 西村京太郎 | 2022/06/03 17:27 |
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タイムリミットもので楽しめました。ご都合主義的な点も結構あるような気もしますが、その点は突っ込まずに、エンタメ系サスペンスと捉え、ヤクザと警察の逆転劇を楽しめば良いと思います。 |
No.1505 | 5点 | 東京―上野3.6キロの完全犯罪- 峰隆一郎 | 2022/06/01 12:50 |
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~上野へ向かう札幌発の寝台特急「エルム」のベッドにまかれた大量の血液は、同じ頃、博多から東京へ向かっていた寝台特急「あさかぜ」内で殺された私立探偵・住吉高夫のものだった。~
エロチック・トラベル・ミステリーとのことで拝読。主人公は腿フェチで、登場人物とほとんど関係を持つという色男の探偵(苦笑)。列車トリックは期待外れで、もう少し早く気がつけよというレベルでした。犯人・動機は意外性があるも伏線がなかったのが残念な点。 |
No.1504 | 7点 | 六人の嘘つきな大学生- 浅倉秋成 | 2022/05/30 20:24 |
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「犯人、○○さんへ」と「ジャスミンティー」にはやられました(笑)。8点がつけられなかったのは、前半の○○には騙されたのですが、種明かしがうまくないので、ああそうだったのかで終わってしまった点と、あれこれ伏線の回収を狙ったものと思いますが、欲張りすぎ?で全体が薄味になってしまった感があることです。あと、後半の人物評はいらないと思いました。でもリーダビリティに優れており楽しめました。 |
No.1503 | 4点 | メルカトルかく語りき- 麻耶雄嵩 | 2022/05/28 11:52 |
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フーダニットに係るアンチミステリー短篇集としての価値はあると思います。ただし、採点は面白いか、面白くないかを基準にしました。
①死人を起こす 3点 2階からの転落死と、その1年後の他殺事件との関連は?・・・こじつけっぽい展開 ②九州旅行 6点 被害者はキャップの付いたマジックを握っていた。ダイイングメッセージを残そうとした?・・・最後の一行 ③収束 5点 冒頭の3つの殺人事件がどのように収束するのか?・・・答えでもあるが答えでもない ④答えのない絵本 3点 理科準備室で教師が殺害された。容疑者は生徒20名・・・消去法。このロジックには瑕疵がありますよね。20人のアリバイが正しいとしている点ですかね。メルカトルが出した結論は依頼者に配慮したものとは思いますけれど(苦笑) ⑤密室荘 5点 メルカトル所有の別荘「密室荘」の地下室に死体が。犯人は銘探偵メルカトルか助手の美袋しかいない・・・ギブアップ?(笑) 助手の美袋曰く「ミステリは結局解決次第だからな。つまらない解決では意味がない」(②九州旅行より)読者の気持ちをよくぞ代弁してくれました(笑) |
No.1502 | 6点 | 匿名交叉- 降田天 | 2022/05/26 11:09 |
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裏表紙より~「児童向け雑誌の担当を外された編集者の楓は、娘のコスプレ衣装を自作する「ソラパパ」のブログに批判的なコメントを残したことから、過去のブログを匿名掲示板に晒されてしまう。そのことから陰湿なストーカー被害に遭うようになった。一方、「ソラパパ」こと棚島は、家庭や職場でのストレスを解消するため、ブログで粘着してきた「色葉」を破滅に追い込もうとする―。匿名の二人が交叉したとき、驚愕の真実が浮かび上がる!」~
共感できる人物が登場しないところがイヤミスと評される所以か?。プロットは面白かったが、どんでん返し後の説明がくどいような・・・。楓14歳の事件は誰でも判り切っていると思う。よって、それらを前にもっていき、どんでん返しを最後にとすれば、効果的で評価はもっと上がったと思う。 |
No.1501 | 7点 | 法月綸太郎の冒険- 法月綸太郎 | 2022/05/22 07:37 |
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①死刑囚パズル 9点 死刑執行直前、首に輪がかかった時、死刑囚が毒殺された・・・動機から犯人を導き出すのは難しい。消去法を用いて
②黒衣の家 8点 祖母が毒殺された。容疑者は小学生の孫、果たして・・・動機の先例あるも著者19歳の時のアイデアだそうなので+1 ③カニバリズム小論 8点 同棲の女性を・・・「贈る物語Mystery」(綾辻行人編)に掲載 ④切り裂き魔 7点 図書館の本の一ページ目だけが切り取られている。それも探偵小説だけが・・・うーん、わかるわかる(笑) ⑤緑の扉は危険 7点 開かずの緑の扉は主人が死んだ後に開くという・・・密室 ⑥土曜日の本 5点 50円玉20枚を1000円に両替していく男の謎という題での競作・・・回答が男の正体で、ホワイではなくなってしまった点が残念 ⑦過ぎしに薔薇は… 6点 ④~⑦は図書館シリーズ。本の天小口(上の部分)だけ見て本を借りていく女性。返本の際には薔薇の栞が挟まっている・・・ホワイ。こんな発想には至りません(笑) |
No.1500 | 8点 | 招かれざる客たちのビュッフェ- クリスチアナ・ブランド | 2022/05/15 09:03 |
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1500冊目となりました。
①事件のあとに 8点 一座の女優が殺害された。女優の夫が犯人に間違いないのだが・・・著者の文章は読みずらいとのイメージ。案の定、何言ってるのかわからない文章が出てきた。実はこれが大伏線であった(爆) ②血兄弟 10点 双子の弟が兄の女を奪う。その弟が交通事故で子供を撥ねてしまった。兄は弟のために双子を利用しアリバイ工作をするが・・・短篇らしい展開と反転。文句なし ③婚姻飛翔 8点 披露宴で夫が毒死。三人の男が妻となる美人看護師を自分のものするために殺害?・・・クリスティ女史のような展開 ④カップの中の毒 8点 夫の愛人という女が家にやった来た。妻は毒入りの砂糖たっぷりのコーヒーを女に飲ませる・・・最後の一行 ⑤ジェミニー・クリケット事件 8点 老人が密室で、その後警官が殺された。二人とも死ぬ前に「窓」「消えていく」「長い腕」と謎の言葉・・・トリック、真相は申し分ないが、謎の言葉は大幅減点 ⑥スケープゴート 7点 脅迫されていたマジシャンの身代わりに付き人が狙撃された。向かいの建物の3Fにピストルが三脚に備え付けられていた・・・消去法 ⑦もう山査子摘みもおしまい 6点 洞窟にいた子供たちは殺人容疑者の無実を証明できるのだが・・・幼さ ⑧スコットランドの姪 7点 叔母に財産を取られた姪は真珠のネックレスを盗みに入るが・・・逆転 ⑨ジャケット 8点 口うるさい妻を殺そうとする夫はアリバイの証人として家政婦を雇ったが・・・皮肉 ⑩メリーゴーラウンド 6点 夫がポルノ写真を持っていたと強請られた妻は・・・子供の目 ⑪目撃 5点 ロールスロイスに乗った富豪が殺された。運転手が疑われた。横に走っていたタクシーの乗客がもう一人男が乗っていたと証言…幻想? ⑫バルコニーからの眺め 6点 夫婦は隣の老婆から監視されている。夫を殺害し事故に見せかけるが隣人がお見通しと諦める・・・妄想? ⑬この家に祝福あれ 9点 妻が妊娠した夫婦を納屋に泊めた老婦。そこで生まれた子供を神と信じる・・・ブラック ⑭ごくふつうの男 5点 昔、この家に住んでいたと言って男が現れた・・・恐怖 ⑮囁き 7点 ドラッグ酒場でレイプされた女高生は同行の従兄のせいにしてしまう・・・父親としては ⑯神の御業 8点 目の前で妻と子供が車に轢かれてしまった警察官。その警察官は車はスピードは出ていなかったと証言する・・・神は存在する? (余談)ジェミニ―・クリケット事件のサッカーW杯は1966年7月30日(土)決勝戦(ロンドン・ウェンブルースタジアム)イングランドVS西ドイツ 延長の末、4:2でイングランド優勝した。高校時代、自分が生きている間に日本がW杯出場するなんて100%あり得ないと思っていた。当時、日本サッカーの父であるクラマーコーチ(西ドイツ)は日本代表に初歩のインサイドキックを教えていたのだ。それほどレベルは低かった。それに引き換え、今の小学生は巧いこと!。 1993年5月15日(29年前の本日)Jリーグ開幕。その5年後の1998年、サッカー関係者には夢の夢であったフランスW杯出場が決定。監督更迭があり岡田監督が指揮を執る。エースであった三浦カズが落選。世間は大騒ぎ。でも当然と思った。中田英寿のキラーパスを受けることができなかった(ごめん)。大手旅行会社ではチケットが確保できない問題が発生。結局2、3社のみがツアーを敢行。私たち夫婦はお一人様70万円(平均は35万)のツアーを申し込んでいた。チケットが出発の三日前に取れたとの連絡。いざフランスへ。パリの街ではチケットなしでやって来た若者達がチケット求むのプラカードを掲げていた。高値は40万円だった。初戦のジャマイカ戦。中山ゴンのW杯初ゴールを観る。だが敗戦。ユニホーム姿の私たちの帰国姿がNHKニュースに流れた。その後、3連敗での帰国選手に水がかけられた。 4年後の2002年、日韓W杯。トルシエ監督が中村俊輔を外す。これがなければベスト8にはなったはず。大バカ監督である(苦笑)。横浜国際競技場のロシア戦。倍率400倍のチケットが当たる。稲本のゴールでW杯初勝利。TV視聴率は66.1%(歴代3位)。W杯初ゴールと初勝利を生で見た数少ない一人と思う。 さらに4年後のドイツW杯。チケット一枚16万で購入。それでも飛行機、宿泊を自分で手配したのでツアー並みの一人40万程度で収まる。その他、サッカー観戦ツアーはシドニーオリンピックとドイツ・コンフェデレーションズカップ。観るだけでなく、シニアッカーリーグに参加し、今でも体を動かしている。いわゆるサッカーバカである。 |
No.1499 | 8点 | 羊は安らかに草を食み- 宇佐美まこと | 2022/05/09 19:01 |
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~アイ(80)と富士子(77)は、認知症となった俳句仲間の益恵(87)を 「最後の旅」 に連れ出すことにした。益恵がかつて暮らした松山、五島列島を巡る旅である。満州からの引揚者だった益恵は、いかにして敗戦の苛酷を生き延びてきたのか、そして彼女が隠しつづけてきた秘密とは?~
満州での二人の少女の悲惨な体験(ソ連軍や満人に襲われる)は酸鼻を極めます。カテゴリーは「一般」に分類されており、ミステリー度は弱いのかもしれない。でも「戦争悲劇ミステリー」といってもいいかな?・・・。「ロシアに栄光あれ、万歳」とTVから流れる愚かなプーチンの言葉が虚しい。 |
No.1498 | 7点 | 跫音- 山田風太郎 | 2022/04/17 11:51 |
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著者の自選恐怖小説集
①三十人の三時間 6点 飛行機の無線が故障。燃料はあと3時間分。機内にパニックが・・・艶っぽいパニックも ②さようなら 8点 恋人を正気に戻すために・・・西村京太郎氏の某作品を思い出した ③女死刑囚 7点 死刑執行日まで○○時間 壮絶 ④跫音 5点 人を殺めてしまい、アリバイを頼むのだが・・・甘くはない ⑤双頭の人 7点 5人から求婚された女医。その男たちは皆自殺したという。私も彼女に惹かれ・・・怪異 ⑥黒檜姉妹 8点 絶世の美人姉妹のいるという村を訪れた医学生の見たものは・・・官能と怪異 ⑦雪女 5点 封印された雪女の絵。それを見ると目がつぶれるという・・・絵師の狂気 ⑧笑う道化師 5点 道化師の妻は笑い茸を夫に食べさせて殺そうとしたが・・・愛人と共謀 ⑨最後の晩餐 7点 美食の会で最後にだされた料理は・・・例のもの? ⑩呪恋の女 8点 美貌の青年は7時までに必ず家に帰ってしまう。彼に恋した乙女が知る真相は・・・異形の極致かも |
No.1497 | 6点 | ボッコちゃん- 星新一 | 2022/04/16 12:11 |
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大昔、読んだときはSFのイメージが強かったが、今ではSF色は薄いと感じられる。その間、科学が進歩したということか。自薦の50作品 8点~3作品 7点~7作品 6点~15作品 5点~14作品 4点~9作品 3点~2作品
①悪魔 7点 悪魔に金を無尽すると、次から次へと金貨を出してくれる・・・ ②殺し屋ですのよ 7点 完璧な殺しを引き受けるという殺し屋の正体は・・・ ③猫と鼠 7点 殺人を目撃され強請られていた男は相手を殺そうと・・・ ④生活維持者 7点 平和な世界。しかし人口抑制のため無作為に選ばれた人物は死ななければならない。殺人執行者の二人組は抽選先に向かう・・・ ⑤悲しむべきこと 8点 借金までしてプレゼントをしているサンタ。金欠のため強盗に入ると、そこの主人がアドバイスをしてくれた。サンタの肖像権を利用して儲けているデパートがあると・・・ ⑥ねらわれた星 8点 金属製のウロコがある宇宙人は人間の皮膚を溶かすビールスをまき散らし殺害しようとしたが・・・ ⑦親善キッス 8点 美人の異星人とキッスをしたい。異星人は嫌がるが地球の挨拶だといって・・・強烈なので、これは覚えていました(笑) ⑧人類愛 7点 救助隊員が遭難者に話しかけると同郷であり、アパートまで一緒と判明するが・・・ ⑨闇の眼 7点 テレパシーのある子供を持った親は、優れた能力があっても不幸という・・・ ⑩冬きたりなば 7点 地球に似た星での冬物の訪問販売。今は金がないといわれたので支払いは春でといったが・・・ |
No.1496 | 6点 | 007号の冒険- イアン・フレミング | 2022/03/26 19:48 |
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映画は初代ボンド以降観ていませんので、よくわかりませんが本作品からの題名やアクションシーンがあるようですね。
①薔薇と拳銃 6点 バイクでのチェイス。 ボンドは16歳のとき、パリの売春宿で・・・のエピソード ②読後焼却すべし 6点 上司Mの個人的な復讐ともいえる任務で葛藤するボンド ③危険 6点 コロンボという人物が麻薬のボス?彼のキャラが魅力的 ④珍魚ヒルデブランド 6点 鼻持ちならない富豪のヨットで珍魚の捕獲に向かうボンド。事件が・・・。ボンドの活躍のない異色作 ⑤ナッソーの夜 6点 ディナー・パーティーで植民地総督が、一組のカップルの数奇な運命について語りはじめた。これも異色作でボンドものでなくてもいいような・・・短篇らしいオチはある |
No.1495 | 6点 | 007/ダイヤモンドは永遠に- イアン・フレミング | 2022/03/10 16:36 |
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大ファンであるショーン・コネリー氏主演の6作をこれで読み終えました。本作(シリーズ4作目)は映画(シリーズ7作目)の内容と一番かけ離れたものでした。小説はボンドの原点であり、やはり映画とは違う味わいがあります。この後の「ロシアから愛をこめて」や「ゴールド・フィンガー」に通じるアクション・シーンが多々ありました。ボンドを助けるティファニーのキャラクターが秀逸です。小説ではNO.1、映画では「ロシアより愛をこめて」のタチアナがNO.1(笑) |
No.1494 | 6点 | 007/007は二度死ぬ- イアン・フレミング | 2022/03/03 20:21 |
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映画での日本の描き方はずいぶんおかしいところがあったと記憶(脚本はロアルド・ダール氏)。小説の方は、裏表紙にある「ボンドの眼を借りた日本観が横溢する注目作」の通り、エピソードがふんだんに挿入されています。著者による訪日のおかげですね。まず、笑ったのが「じゃんけん」と「あぐらをすると、がに股になりそう」でした。なお、びっくりしたのが「帝銀事件」が取り上げられていたことです。ただ、ボンドが日本人に変装するのはどうしても受け入れがたい(笑)。地味ですけれど、悩むボンドもいい。 |
No.1493 | 6点 | オーブランの少女- 深緑野分 | 2022/03/01 09:06 |
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①オーブランの少女 7点 美しい庭園での老女の殺人事件。老女の若し頃の日記には・・・殺人の動機。乙女チックな雰囲気なのに残酷
②仮面 5点 少女のために医師は殺人を犯すが・・・ロリコンっぽい。ある謎がそのままでモヤモヤ感が残る ③大雨とトマト 7点 大雨の日、料理店に少女が現れ、父親を捜しているという・・・短篇らしいオチ ④片思い 4点 女子寮の女高生にはある秘密が・・・女高生の雰囲気はよく描かれていますが、ミステリーとしては? ⑤氷の皇国 8点 幼い皇太子を毒殺したと二人の娘が捕らえられた。それぞれの父親は・・・究極の選択 |
No.1492 | 6点 | あやし~怪~- 宮部みゆき | 2022/02/21 15:13 |
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ホラー、短編のオチを期待すると裏切られるかも。幽霊や鬼を絡めた人情噺が多い。
①居眼り心中 5点 女中は若旦那の子を孕んだため店を追い出される・・・凶事の前兆 ②影牢 6点 息子夫婦に座敷牢に閉じ込められた母親は・・・呪い ③布団部屋 5点 酒屋は代々の主が短命であった。布団部屋に魔物が・・・怨念 ④梅の雨降る 7点 大凶のおみくじを引いた娘・おえんはある願い事を・・・精神衰弱 ⑤安達家の鬼 5点 嫁には鬼が見えないが、姑には見えるらしい。その鬼の秘密とは・・・鬼は鬼でも ⑥女の首 7点 口をきかない太郎は奉公先で女の首を見た・・・口を聞かない原因 ⑦時雨鬼 5点 女将は娘と付き合っている男はごろつきというが・・・恋は盲目 ⑧灰神楽 4点 女中が死ぬとき、口から灰のようなものを吐き出した・・・憑き物 ⑨蜆塚 5点 10年おきに同じ人間が現れる。名前も出身も違うのだが・・・不死? |
No.1491 | 7点 | 毒を売る女- 島田荘司 | 2022/02/12 13:32 |
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①毒を売る女 8点 ママ友が梅毒になり、私たちに感染させようとしている・・・疑心暗鬼と狂気の凄まじさ
②渇いた都市 7点 道にロープが張られている。いったい何のため?・・・無関係な物語が一つに ③糸ノコとジグザグ 8点 リスナーの投稿に自殺志願のメッセージ。暗号めいた現代詩。DJはリスナーの力を借りて・・・タイムリミット型パズル ④ガラスケース 6点 大きな水槽でオタマジャクシを育てるが・・・著者の「天に昇った男」を連想 ⑤バイクの舞姫 8点 15年前に死んだ恋人がバイクに乗って現れた。幻か?・・・島荘流ラブストーリー。本編が一番好きかも。長八美術館(伊豆)の静御前を見に行かねば(笑) ⑥ダイエット・コーラ 6点 体内時計25時間に合わせるべく1日15度づつ西へ移動するが・・・ユーモア系ショートショート ⑦土の殺意 6点 飲み屋で地上げ屋と口論していた老人が殺された・・・土地神話(社会派) ⑧数字のある風景 5点 ある数字の羅列に意味を見つけた男は、大地震が起きることを知るが・・・SFショート |
No.1490 | 5点 | リボルバー- 原田マハ | 2022/02/06 17:10 |
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ある日、錆びついた一丁のリボルバーが持ち込まれた。それはゴッホの自殺に使われたものだという。「ゴッホは、ほんとうにピストル自殺をしたのか? 」 「殺されたんじゃないのか?」・・・
物語としては楽しめましたが、ミステリーとしてはどうでしょうか?。実在の人物なので、驚くような真相はかなり難しいと思います。まあ、 当たり障りのない所でという事でしょう。 (余談)TVトークにて。著者のお勧め本4冊のうちの一冊が「ダ・ヴィンチ・コード」で、「楽園のカンヴァス」を書く勇気をもらった一冊とのこと。ルーブル美術館の館長が全裸でモナ・リザの前で殺されている。こういうのを書いちゃっていいんだと思ったそうです(笑)。「楽園・・」のアンリ・ルソーに関し、基礎の10%が真実(史実)、90%が嘘とおっしゃる。このようなことを敢えておっしゃるのは、読者の中にはフィクションなのに「事実ではない」などといちゃもん?をつける人が、まだいるからなんでしょうね。 |
No.1489 | 6点 | 聖アンセルム923号室- コーネル・ウールリッチ | 2022/01/27 15:38 |
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ホテル開業の日から廃業の日まで、最上階の923号室に泊まった客の7つの物語。非ミステリー系ですが、著者らしさは堪能できます。
①1896.6.20の夜 ホテルオープンの日、若い新婚夫婦が泊った。新婦が着替えるので新郎はドアの外で待つが・・・ ②1917.4.6の夜 青年は軍服を着て意中の女の子を誘う。宣戦布告がされ・・・ ③1918.11.11の夜 終戦の日、再会した二人は、どちらともぎこちない・・・ ④1924.2.17の夜 ギャングのボスが仲間を連れ、敵から逃げてきた・・・ ⑤1929.10.24 NY株価が大暴落。大損害を被った男は飛び降り自殺を考え・・・ ⑥・・・・・・・・の夜 駆け落ちしてきた若い二人。彼女は彼のことを「ケン」と呼んだ・・・・「・・・の夜」と名前の意味がラストで ⑦1957.9.30 ホテル閉館の夜、老女がやってきた。彼女は第一話の登場の女性であった・・・切ない物語ですが、ある意味怖い |
No.1488 | 6点 | 厭な物語- アンソロジー(出版社編) | 2022/01/24 17:07 |
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「厭な物語」というより「不快な物語」が2作品あった。選者のセンスに疑問符
①「崖っぷち」アガサ・クリスティー 8点 「マン島の黄金」で書評済 ②「すっぽん」パトリシア・ハイスミス 6点 母が料理用として買ってきたすっぽんを飼いたいという息子は・・・既読感あり ③「フェリシテ」モーリス・ルヴェル 6点 娼婦はある男と毎週土曜日の2時間だけデートするようになり・・・女性に人気のある作品らしい ④「ナイト・オブ・ザ・ホラー・ショウ」ジョー・R・ランズデール 1点 エログロ・バイオレンスに人種差別 ⑤「くじ」シャーリイ・ジャクスン 7点 「くじ」で書評済 ⑥「シーズンの始まり」ウラジーミル・ソローキン 7点 狩猟シーズンが到来し二人の男が森へ・・・自然の風景とラストのギャップがいい ⑦「判決」フランツ・カフカ 5点 遠く離れた友人に結婚を知らせようと、父親に話したところ・・・1912年の作品。現代ではあり得ない? ⑧「赤」リチャード・クリスチャン・マシスン 7点 彼は身をかがめて拾えるものを拾い、先を注視しながら歩き出した・・・衝撃的ではある ⑨「言えないわけ」ローレンス・ブロック 6点 強姦魔の死刑囚は被害者の兄を懐柔して死刑回避を狙うが・・・ ⑩「善人はそういない」フラナリー・オコナー 2点 旅行に出かけた家族が脱走犯に・・・ ⑪「うしろをみるな」フレドリック・ブラウン 7点 「真っ白な嘘」で書評済 |