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[ ホラー ]
人体模型の夜
中島らも 出版月: 1991年11月 平均: 7.00点 書評数: 4件

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集英社
1991年11月

集英社
1995年11月

No.4 7点 蟷螂の斧 2023/04/17 10:09
バラエティに富んでいるというより、別々の著者が書いたような作品集といえるのでは?
①邪眼 8点  スリランカに赴任している日本人夫婦。メイドは妻の胎内に悪魔が宿っていると言う。メイドは生まれた赤子の眼を・・・アメリカ人
②セルフィネの血 7点 主人公と若い恋人がたどり着いたセルフィネ島。そこは天国のような島であった。しかし島の住人は天国などではないという・・・男が少ない島
③はなびえ 6点 調香師の女性が、かつての恋人(不動産屋)から紹介されたマンションに住む。しばらくすると奇妙な音と臭いがし始めた・・・愛人
④耳飢え 6点 盗聴が趣味の男。隣室の女性が一人でしゃべっている。女優で台詞の練習?・・・表札は男性名
⑤健脚行―43号線の怪 6点 競輪選手を目指していた兄を失った少年は自らも競輪選手を目指す・・・時速200km
⑥膝 8点 膝に人面瘡を持つ人物が現れた。その口の部分を指で触ったら噛まれた・・・伝染
⑦ピラミッドのヘソ 6点 二千億円を投じて新宿新都心にピラミッドを造った。そのピラミッドパワーは・・・消失
⑧EIGHT ARMS TO HOLD YOU 6点 ジョン・レノンの未発表曲を盗作したミュージシャンは・・・スキューバダイビング
⑨骨喰う調べ 7点 墓地を売る不動産屋の男。彼を恨む幽霊が9人も彼の部屋に住んでいる・・・隕石。SF的ギャグ
⑩貴子の胃袋 7点 テレビで中国の狗肉料理を見てから菜食主義になった女高生。両親から植物だって生命があると言われ・・・殺意
⑪乳房 6点 降霊会でインチキを暴こうと男性の霊に抱きついたが・・・ホルモン異常
⑫翼と性器 7点 産科の医師は無性願望で去勢手術。天使も無性と考える。天使が現れ・・・悪魔

No.3 7点 メルカトル 2013/02/09 21:31
再読です。
人間の身体のパーツにまつわるちょっと怖い話をまとめた、連作短編集。と言っても、それぞれが独立した話であり、相互間系は全くない。
私が一番気に入っているのは第一話の『邪眼』。ラスト一行でやられます。
しかしながら、ほとんどがオチが予想できるものであり、ページ数が残り少なくなると、なんとなく想像出来てきて、大抵が想像通りに終わってしまうのが何とも・・・
多くの短編がブラック・ジョーク風味であり、まあいかにも中島らも氏らしい作品と言えるだろうか。
それでも、一風変わった、それぞれ趣の違うホラーが並んでおり、読み出したらすぐに引き込まれることは間違いない。
どことなく『世にも奇妙な物語』的なストーリーが多いような気もする。

No.2 7点 monya 2011/02/20 22:35
読み始めたら止めることができない連作短編集
特に、寝る前にプロローグだけ読んどこうかな……とか考えてはいけません
プロローグの後は一つ目、後一つ、さらに一つ……といった具合でまさにやめられない止まらない、です
乱歩並み(ちょっと大げさか?)に物語に引き込んでくれるホラー短編集なのです

No.1 7点 ZAto 2009/11/02 22:24
この作家がアルコール、ドラッグの依存症患者であるため、こういう人の書くホラーオムニバスは幻惑的な精神世界の吐露と、シュールなアヴァンギャルドに走った文体に違いないと思っていたので、ここまでオーソドックスに手堅いプロットで構成してくる文体の持ち主であったことが何よりの驚きだった。
確かに内容は破天荒であるが、常識の尺度を踏まえたうえで破天荒をきっちりと演出しているので破綻はなく、正真正銘のプロの仕事になっている。
『はなびえ』『耳飢え』に至る辺りではすっかりこの連作短編の世界観にはまってしまったようだ。


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