皆さんから寄せられた5万件以上の書評をランキング形式で表示しています。ネタバレは禁止
していません。ご注意を!
蟷螂の斧さん |
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平均点: 6.09点 | 書評数: 1630件 |
No.170 | 4点 | 崖の館- 佐々木丸美 | 2012/03/11 15:45 |
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雪に閉ざされた北海道の崖の家の雰囲気や、主人公(女学生)の心理や成長ぶりは良く描かれていると思います。しかし、トリックや動機はイマイチと感じました。(以下ネタばれ)メイントリックとは関係ないのですが、壁に掛けられていた三十数点の絵画の一部消失について、簡単にスルーされ、納得がいきませんでした。答えは消失ではなく、額を少しづつずらして隙間をあけたとのことですが、理屈はそうであっても現実には無理があるとしか思えません。床に置いてあったのなら別ですが、一枚ずつ壁に掛っていると思いますのでフックはどうしたのでしょうか?。1枚はずし、別のところに掛けたなら解りますけど・・・ |
No.169 | 6点 | ロスト・シンボル- ダン・ブラウン | 2012/03/09 15:10 |
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「天使と悪魔」『ダ・ヴィンチ・コード」に続くラングドンシリーズ。『ラングドンは、フリーメイソン最高位の資格を持つピーターから講演の代役を依頼され会場に駆けつけるが、ピーターの姿はなく彼のものと思われる切断された右手首と金の指輪があった。ピーターを人質に取ったマラーク(悪霊)と名乗る謎の男は、ラングドンに“古の門”を探せと命じる。ラングドンは駆けつけたCIA警備局長サトウと共に、“古の門”の捜索に乗り出す。』今回はワシントン・DCが舞台で、映画化を前提としているようなので、スピード感はありますが、前2作より小粒の感は否めないです。(アメリカでは1000万部売れたそうですが) |
No.168 | 8点 | 天使と悪魔- ダン・ブラウン | 2012/03/09 15:09 |
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宗教と科学の対立を描いたエンタメ系ミステリーと言えるのでしょう。2003年発売と同時に読んでいましたので、2005年ローマ教皇(ヨハネ・パウロ2世)の逝去やコンクラーベ(新教皇を選ぶ会議)のニュースが本の内容と重なり印象に残っています。映画では、本書でお気に入りの前半の科学者に関する物語や、後半の枢機卿の長々となる語り部分がカットされておりイマイチでしたが。 |
No.167 | 5点 | デセプション・ポイント- ダン・ブラウン | 2012/03/09 15:08 |
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「ダ・ヴィンチ・コード」より以前の作品で、アメリカ大統領選の陰謀を描いたものです。題名通り「偽装」なのですが、ミステリーとしてより、エンタメとして読むべき作品だと思います。 |
No.166 | 4点 | パズル・パレス- ダン・ブラウン | 2012/03/09 15:08 |
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国家秘密の通信設備に係る物語(エンタメ系)なのでミステリー的には弱いと思います。著者の良いところは、スピード感と読みやすさにあると思います。 |
No.165 | 7点 | 悪霊の館- 二階堂黎人 | 2012/03/09 09:15 |
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重厚なプロット(密室・首なし・連続殺人・幽霊・魔女・骨肉の争い・双子・過去の事件等々)を詰め込んだ長編で、作者の本格に対する意気込みを感じました。作中、主人公・二階堂蘭子にとっての推理小説を次のように述べています。「犯人が明瞭に指摘できないということは、その推理小説が単に<アンフェア>な読み物であり、必要な手がかりが読者に提示されていないという証拠だった。ただちに彼女の軽蔑の眼差しの対象となるのである。」かの2005年の「X」論争と同様、氏の本格にこだわる強い姿勢をここにも感じることができました。 |
No.164 | 8点 | カラスの親指- 道尾秀介 | 2012/03/07 08:34 |
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映画化とのことで拝読。コン・ゲームらしいので、ミステリーとしてあまり期待していませんでしたが、予想をかなり上回る面白い作品でした。著者の作品はあまり肌が合いそうではなかったのですが、本作品は大収穫となりました。どんでん返し大好きなので(笑)。 |
No.163 | 7点 | 幻惑の死と使途- 森博嗣 | 2012/03/07 08:32 |
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ショーの最中の殺人、霊柩車からの消失については、奇術師の登場ならではの話なので納得せざるを得ないでしょう。真相(動機)については、題名ともマッチしており非常に気に入りました。自分の中の真相・動機ランクでは、かなり上位の位置づけとなりました。 |
No.162 | 8点 | 追悼者- 折原一 | 2012/03/04 20:28 |
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他のサイトでは「まあまあ」の評価が多い。一読ではそのように思うかもしれないと私自身も思いました。しかし、ページをパラパラと戻してみれば、かなりの仕掛けがあることがわかります。ミスリードに次ぐミスリードのオンパレードでかなり凝っている作品です。主題にかかるミスリードも二重となっており、伏線はバッチリあるのですが、犯人はまず解らないのではないでしょうか?。主人公(男)のライターが眩暈を起こすのだから読者も当然でしょう(笑)。女性ライターにも謎があり、ラストのニュース記事にも余韻があります。マスコミを風刺する作品でもあるように感じました。 |
No.161 | 7点 | 倒錯の死角−201号室の女−- 折原一 | 2012/03/03 08:35 |
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折原ワールドに引き込まれ、面白く拝読。それぞれの登場人物の狂気がうまく描かれていると思います。結末に至る手段に若干無理があるのではと感じましたが、よく考えてみればそれ自体が本当の狂気であったので納得してしまいました。 |
No.160 | 4点 | 八日目の蝉- 角田光代 | 2012/03/03 08:29 |
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日本アカデミー賞『八日目の蝉』が最多10部門で最優秀賞!のニュース。ミステリーとは思っていなっかたので、このサイトにはないと思っていましたが、登録されていたので評価しました。サスペンス度もあまり感じませんでしたし、一章の誘拐犯の女性および二章の誘拐された女の子(成長後)の心理は男である私にはよく理解できませんでした。余談ですが、近所のおばちゃんから「この本はよかったね?」と同意を求められ困ったことがありました。(笑) |
No.159 | 7点 | まほろ市の殺人 夏- 我孫子武丸 | 2012/03/02 16:56 |
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真相は非常に面白かった。ただ短編(中編?)なのが残念で、長編で読みたいと思いました。前半は、乾くるみ氏の「イ二・ラブ」「セカンド・ラブ」的な感じの話で、私の我孫子武丸氏に対するイメージとは違っていましたが、後半は氏らしい結末を用意してくれています。 |
No.158 | 5点 | バイバイ、エンジェル- 笠井潔 | 2012/03/01 16:46 |
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ミステリー、哲学、革命論の融合?。その結果、ミステリー部分(特にフーダニット)がぼやけてしまって、集中できませんでした。また、登場人物の名前や関係を確認するため、登場人物表を何回もひっくり返しながら読まなければなりませんでした(笑)。首なし死体の真相は面白いと思いますが、犯人の設定(誰?および真相)についてはあまり感心しませんでした。 |
No.157 | 7点 | リア王密室に死す- 梶龍雄 | 2012/02/28 11:32 |
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題名の密室自体には、あまりインパクトはありませんが、物語は二重構造になっており、構成として面白いものになっています。青春時代には探偵役が登場し、事件は解決と思われますが・・・、そして30年後、主人公の息子が探偵役を務め真相を明らかにしてゆきます。この時代の日本の因習、恋愛意識、貧しさ、学生気質などがうまく描かれていると思いました。 |
No.156 | 6点 | 塔の断章- 乾くるみ | 2012/02/26 10:02 |
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小説の「あとがき」ではなく「解説」(作者の意図等完全なるネタばれの記載)があります。作品を作る過程で、読者がどう思うか、それに対してアンフェアにならないように伏線をどう張るか等面白く拝読。「イニ・ラブ」より以前の作品ですが、ああやっぱり騙されてしまったかと思いました。と同時に最後の二人の行為の恐ろしさが余韻として残ります。 |
No.155 | 8点 | 切り裂きジャック・百年の孤独- 島田荘司 | 2012/02/24 20:23 |
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服部まゆみ著「一八八八切り裂きジャック」と比較しながら読んでみました。本作品の1888年ロンドン編の真相のアイデアは秀逸で妙に納得してしまいました(笑)。1988年ベルリン編は登場人物が少ない割にうまく犯人を処理(隠匿)していると思います。猟奇的で陰鬱な事件を扱っていますが、クリーン・ミステリ氏の登場で雰囲気を和らげており、読後感は悪くはないです。 |
No.154 | 8点 | 一八八八切り裂きジャック- 服部まゆみ | 2012/02/24 20:22 |
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医学留学生から見た1888年のロンドンの様子や雰囲気がうまく描かれています。一般ミステリーとは趣が異なった小説であり、福翁自伝(諭吉氏がアメリカの異文化に驚いている様子)を思い出させるような雰囲気です。実際に起こった事件(未解決)なので大胆なトリックなどはありませんが、ある有名人物を上手に絡ませている点や、また犯人に仕掛ける罠など評価できると思います。大変な力作であることは間違いないのですが、ただちょっと長かったなあ・・・との印象です。(格調の高さに+1) |
No.153 | 7点 | 危険な童話- 土屋隆夫 | 2012/02/21 19:57 |
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証拠探しの本格物と言えるでしょう。トリックは大がかりなものや驚きはありませんが、細かいトリックが積み重ねられています。題名とトリックがうまく融合され、独特の雰囲気を味わうことができました。 |
No.152 | 6点 | 影の告発- 土屋隆夫 | 2012/02/19 15:09 |
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完璧なアリバイをいかに崩していくかというストーリーと一人の少女の独白とが交互に組み合わされています。文章は非常に読みやすいです。物語の背景にある「戦後の影」もうまく描かれていると思います。トリックはこの時代(1960年代)を考慮すれば納得できるものです。 |
No.151 | 4点 | 殺人喜劇の13人- 芦辺拓 | 2012/02/19 15:08 |
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トリックの詰め込み過ぎで食傷ぎみになってしまいました。トリックの謎解きが好きな人にはお薦めなのかもしれませんが・・・。意図的なものがあるとはいえ読みにくかったことは事実。 |