皆さんから寄せられた5万件以上の書評をランキング形式で表示しています。ネタバレは禁止
していません。ご注意を!
蟷螂の斧さん |
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平均点: 6.09点 | 書評数: 1636件 |
No.336 | 7点 | 妖異金瓶梅- 山田風太郎 | 2012/12/22 11:15 |
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連作の短編ミステリーです。というより後半は文学的かも・・・。登場人物、特にヒロインの潘金蓮が魅力的でした。動機や探偵役と犯人の関係等もユニークなものです。トリック自体はそれほどビックリするものはありませんが、ロアルド・ダールの奇妙な味的なものや、「女人大魔王」(死体トリック)あたりは気に入っています。余談ですが、金瓶梅については思いで深いものがあります。ラジオ深夜放送の「パックインミュージック」(野沢那智・白石冬実コンビ・1967~1982)で放送され、お色気満載の話にニヤニヤしたものでした。 |
No.335 | 8点 | 11枚のとらんぷ- 泡坂妻夫 | 2012/12/15 15:28 |
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作中作である短編集「11枚のとらんぷ」は奇術のネタばれもあり楽しめました。そして犯人探しの伏線となっているところが構成の妙であり、至極感心しました。全体にユーモアがあり、ヒロイン牧圭子の扱いがうまいと感じました。そして、真相の逆転が一番のお気に入りです。この手の逆転劇は、直近では石持浅海氏の作品(2011)にありますが、中々珍しいような気もします。他に先行している作品もあるのかもしれませんが・・・。 |
No.334 | 4点 | 空飛ぶ馬- 北村薫 | 2012/12/12 10:23 |
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氏の作品は初めてです。「日常の謎」というジャンルを確立した(東西ベスト100より)とのことで拝読。日常の謎自体、あまり興味がわかない分野なので、ミステリーとして読むと?マークです。通常小説として読めば評価は高いのでしょう。解説(鮎川哲也氏)にある、「私が熱烈な賛辞を呈したのは、薫女史が女性であると信じたがために他ならない」という言葉が、『鮎川哲也と十三の謎』シリーズの最大のミステリーとなっているのでは・・・と考え過ぎでしょうか?。 |
No.333 | 7点 | 私が殺した少女- 原尞 | 2012/12/11 17:58 |
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ハードボイルド系はどちらかというと苦手ですが、本作は楽しめました。本格ミステリーっぽい味わいがあり、ノン・ストップで読み終えることができました。最後の一捻りは好きですね。 |
No.332 | 8点 | Xの悲劇- エラリイ・クイーン | 2012/12/10 11:57 |
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(東西ベスト100・再読)論理的推理の模範のような作品で、ロジック好みにはたまらないと思います。よく「Y」と比較されますが、私的には「Y」の方が上回っています。それは、数十年前に両作品を読んでいましたが、「Y」はおぼろげながら記憶に残っていたことや、犯人像の意外性にあると思います。やはり、ロジックより「どんでん返し」が好きなんですね。 |
No.331 | 8点 | 大誘拐- 天藤真 | 2012/12/07 20:24 |
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(東西ベスト100・既読分)誘拐物マイベスト3の一つ。飛行機内で一気読み。誘拐されたおばあちゃんの行動が秀逸。劇場型誘拐物のはしり?。映画も良かったです。主演・北林谷栄、風間トオル(虹の童子・犯人)緒形拳(刑事) |
No.330 | 8点 | 点と線- 松本清張 | 2012/12/07 20:23 |
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(東西ベスト100・既読分)松本清張にハマった一冊。4分間の空白とアリバイトリックは印象的。アリバイトリックは、現在では無理なのですが、当時はビックリしました。時代の流れを感じます。あと、動機にも重点が置かれていることが印象的でした。
(追加)甲は赤の他人の乙にうまく話しかけ、A地点に誘導することは可能である。現在なら、空飛ぶ自動車(開発済み)を利用したというようなもの(笑) |
No.329 | 8点 | 砂の器- 松本清張 | 2012/12/07 20:23 |
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(東西ベスト100・既読分)事件そのものより、背景にある差別を見事に描いていて、社会派たる所以か。映画では、加藤剛、加藤嘉(父親役)、テレビでは、田村正和ならびに中居正弘が印象に残っています。(敬称略) |
No.328 | 7点 | ゼロの焦点- 松本清張 | 2012/12/07 20:22 |
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(東西ベスト100・既読分)女性を主役にした旅情サスペンスのイメージが残っています。動機は描かれた時代を反映するもので、現在に置き換えることはできない。その点に価値があるのか・・・。 |
No.327 | 8点 | 白昼の死角- 高木彬光 | 2012/12/07 20:20 |
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(東西ベスト100・既読分)リーダビリティは抜群。実際の光クラブ事件が題材となっていた。金融機関に勤めていた目から見て、手形偽造場面では駄目出ししたくなる点もありました(笑)。映画では主演・夏木勲、主題歌の「欲望の街」(ダウン・タウン・ブギウギ・バンド)が流行りました。 |
No.326 | 6点 | モルグ街の殺人- エドガー・アラン・ポー | 2012/12/07 20:18 |
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(東西ベスト100・既読分)友人から「ポー全集」を借り読んだのが始まり。こんなのありなの?が第一印象。発表年代など知らなっかたので致し方ない。推理小説の元祖とのことで+2 |
No.325 | 6点 | あなたに似た人- ロアルド・ダール | 2012/12/07 20:17 |
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(東西ベスト100・既読分)寡作家なので、短編とはいえ作品数は少ない。代表作は「南から来た男」(単行本で18頁分)。ブラックユーモア(奇妙な味)の世界です。もし、ダ-ルを読んでいなければ、この後の阿刀田高氏の作品(同様に短編でブラックユーモア)にハマることもなかったでしょう。 |
No.324 | 6点 | 獄門島- 横溝正史 | 2012/12/06 22:33 |
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横溝正史氏の作品では「本陣殺人事件」が最高傑作(動機の真相・雰囲気)との思いがあり、他作品はあえて読んでいませんでした。映画は観ていますが・・・。今回、1986年に引き続き、東西ミステリーベスト100の国内部門1位とのことで拝読。正直な気持ち、どうして1位なのかが解りません。トリック、見立て、動機、犯人像のいずれについても際立ったものを感じることができませんでした。雰囲気は良かったのですが、もっと、おどろおどろしたものを期待していたので、やや拍子抜けの感も。「運命のいたずら」がミステリアスであり、後味はけして悪くはないのですが・・・。 |
No.323 | 5点 | 匣の中- 乾くるみ | 2012/12/06 08:18 |
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「匣の中の失楽」のオマージュ作品。解説によれば、前者の類似品(著者談)らしい。前半の構成はほとんど似通っている。後半は作中作「匣の中から匣の外へ」の意味合いに関する暗合と暗号に移行し、このへんは十分楽しめた。本作のミソは、最終章のSF的発想であると思われるが、効果は如何にといったところ。この手の作品(アンチ)はどうも疲労感が残ってしまいます(笑)。 |
No.322 | 5点 | 匣の中の失楽- 竹本健治 | 2012/12/04 13:13 |
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「虚無への供物」(1964)のオマージュか、対抗作品なのか良く解りませんが、ベース、展開は似ているようなと気がします。それに「黒死館殺人事件」(1935、薀蓄がメインらしいので未読)の薀蓄や、「ドグラ・マグラ」(1935)の幻想をプラスしたような作品でした。現実と虚構(作中作)をもって、読者を混乱させるのが、メインのような気もしますが、1章から2章へ移る段階で「あること」に気が付けば、それほど混乱はしないのでは?と思います。(しかし、自分が思っている現実と虚構が逆との書評もありましたが・・・(笑))。次は本作のオマージュ作品の「匣の中」(乾くるみ氏)を読むつもりです。 |
No.321 | 8点 | 虚無への供物- 中井英夫 | 2012/11/30 13:25 |
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三大奇書は難解?との意識があり、手に取りづらかったのですが、東西ベスト100の2位ということで拝読。通常のミステリーと同様、読みやすいものでした。推理合戦の元祖?「毒入りチョコレート事件」を彷彿させ、国内外の有名作家のトリックが引用され楽しめました。作中作や見立て殺人(シャンソン、薔薇、不動)の推理などの構成は、かなり凝っていると思います。Wikipediaより「アンチ・ミステリーとは狭義には三大奇書を・・・『ドグラ・マグラ』はその大胆な構成と幻想小説らしさ、『黒死館殺人事件』は本筋と含蓄の主客転倒、『虚無への供物』は文中に推理小説自身を否定する記述が含まれることから、三大奇書に科せられた別名であった。」本作の真相がアンチ・ミステリーの元祖であるということがよく理解できました。 |
No.320 | 7点 | 国境- 黒川博行 | 2012/11/26 18:25 |
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小説として楽しめたが、やや長編で時間がかかってしまいました。いわゆるミステリー系(謎解き)以外に分類されるエンタメ系、ハードボイルド系はあまり好みでないので・・・この評価で。 |
No.319 | 8点 | 遠海事件: 佐藤誠はなぜ首を切断したのか? - 詠坂雄二 | 2012/11/23 09:59 |
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「電気人間の虞」が全く肌に合わなかったので、本作はどうかな?という気持ちで読みましたが、これは収穫でした。佐藤誠はなぜ首を切断したのか?というホワイダニットです。真相には、「うーん、成程そういうことか・・・」と納得してしまいました。ホワイダニット1本で一冊書き上げたことについて、評価したいと思います。最終章の「署名」も余韻のある終わり方で結構でした。 |
No.318 | 7点 | 東西ミステリーベスト100(死ぬまで使えるブックガイド)- 事典・ガイド | 2012/11/22 17:28 |
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本日、週間文春より臨時増刊(1月4日号)。1985年版の改訂版であり、1985年以降の作品が多数ランクインしています。日本推理作家協会、SRの会、大学ミステリークラブ、各地の読書会、国内外のミステリー通へのアンケート結果(387人の回答)であり、得点は1位10点、2位9点・・・として集計されたものです。ちなみに、このサイトでの評価(本日現在)と比較してみました。
順位(前回) 書名 投票人数 当サイト平均点数 人数 1(1)獄門島 85 8.05 42 2(2)虚無への供物 73 6.52 21 3(21)占星術殺人事件 60 8.22 167 4(6)ドグラ・マグラ 49 5.29 14 5(-)火車 60 7.21 80 6(3)点と線 49 6.35 17 7(12)大誘拐 54 7.53 36 8(-)十角館の殺人 46 7.95 240 9(-)魍魎の匣 45 8.01 119 10(7)本陣殺人事件 31 7.60 30 <海外編> 1(4)そして誰もいなくなった 91 8.53 62 2(1)Yの悲劇 65 7.89 35 3(10)シャーロック・ホームズの冒険59 7.90 20 4(2)幻の女 60 7.88 24 5(8)アクロイド殺し 47 8.23 48 (感想)通ではない平凡なミステリーファンの私とは、だいぶ評価に差があることがわかりました。三(四)大奇書が上位に入っていることが一番の相違点ですね。このサイトで、満点をつけている法月綸太郎氏、折原一氏がベスト100に入っていませんでした(苦笑)。慰めは、このサイトで低評価3.4点(私の評価を除く)のダ・ヴィンチ・コードが69位にランクされていたことですか。ベスト100の作品が自分にとって面白いかどうかは別にして、今後参考にしてゆきたいと思います。 |
No.317 | 8点 | 造花の蜜- 連城三紀彦 | 2012/11/21 12:42 |
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誘拐物の傑作だと思います(マイベスト3に入ります)。二重三重に仕掛けられた大小のトリックに魅せられました。最終章は、続編のようなものであり、本編・続編の二つを通して題名「造花の蜜」に繋がっていくものと思いました。 |