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蟷螂の斧さん
平均点: 6.09点 書評数: 1668件

プロフィール高評価と近い人書評おすすめ

No.508 6点 丹波家の殺人- 折原一 2013/11/13 14:34
評価がそれほどでもないので、あまり期待はしていなかったのですが、予想以上に楽しめました。遺産相続に絡む人間模様の醜さ、何通かある遺言書の存在(中身の滑稽さ)、惨劇が最後には喜劇になってしまうあたりですね。雪密室を期待すると拍子抜けかもしれません(本作の方が1991年で先例ですが、1992年の「N」氏の作品を先に読んでいたため感動なし(苦笑))。密室より、大仕掛けなミスディレクションを楽しむほうがよいと思います。ラスト、二転三転するあたりは折原ワールドを楽しめました。特にエピローグ「ねえ、○○、何がおかしいの?」に思わずニヤリとしてしまいました。黒星警部の活躍はほとんどありません。「第一発見者、または使用人が犯人であってはならないルールがある」には笑えましたが・・・。

No.507 6点 レアンダの英雄- アンドリュウ・ガーヴ 2013/11/12 16:38
原題は「A HERO FOR LEANDA」、邦題より原題の方がしっくりしています。サスペンスより、冒険色の方が色濃い作品でした。主人公マイク(ヨットマン)とレアンダ(独立運動の英雄カステラを崇拝する女性・・・マイクの妻役(偽装))との関係(心理)をもう少し描いてくれたら、もっと楽しめたかな?。

No.506 7点 緑のカプセルの謎- ジョン・ディクスン・カー 2013/11/08 17:22
「心理学的手法による純粋推理小説」と銘打った本作。物語の展開、心理実験、警部の恋心など申し分なし。容疑者も4人と少なく、アリバイがある。さて・・・といったところですが・・・。減点要因は、子供の犠牲者が出た毒入り事件のトリックと、心理実験のカラクリの一部に好きでない部分があったことです。心理試験は本当に盲点でした(苦笑)。

No.505 7点 天啓の殺意- 中町信 2013/11/07 15:45
作中で、「アクロイド殺し」や「Yの悲劇」に触れていたことに納得。本作のプロットの妙については、折原一氏の作品群よりも年代的に先行している点で評価したいと思います。

No.504 6点 完全犯罪に猫は何匹必要か?- 東川篤哉 2013/11/06 10:48
450Pはちょっと長かった。もう少しコンパクトにならなかったのか?という印象。トリック、凶器のアイデアは十分楽しめたのでOK。ユーモア(ドタバタ調)は前2作からみると控えめな感じ?。しかし、葬儀での滑稽場面が伏線になる辺りは、さすが氏の本領発揮といったところですね。

No.503 6点 殺人方程式- グレゴリー・マクドナルド 2013/10/23 12:47
MWAの新人賞受賞作品(1975)。同ベスト100の第29位。ユーモアミステリ部門の第1位。新聞記者のフレッチは、麻薬ルートの解明のため、ある海岸に張り込んでいた。その時、見知らぬ男が自分を殺して欲しい、報酬は2万ドルと言ってきた。依頼を承知したフレッチは、男の周辺を調査するのだが・・・。テンポもよく、楽しめました。ユーモアミステリに分類されているようですが、ドタバタ調ではありません。

No.502 9点 葬儀を終えて- アガサ・クリスティー 2013/10/21 17:59
解説は折原一氏。氏のクリスティ・ベスト1とのこと。読み終わった瞬間、「さすがクリスティ、うまい!」と思いました。一氏のベスト10の中にも未読の作品があり、今後の楽しみとします。



                                                            (以下ネタバレあり・注意)自宅の近隣の夫人とは顔見知りで、挨拶をする程度です。仕事上、ある会社を訪問した時、女性から「○○さん」と声をかけられました。見ず知らずの女性なので、きょとんとしていると「お隣ですよ」と言われましたが、その段階でもまだわからず「△△ですよ」と名前を言われ、初めて近隣の夫人とわかりました。普段着とは違い制服を着ており、化粧も違い、まさかその会社にいるとは思いもよらなかったことから大変失礼なことをしてしまいました。こんな経験があるものですから、本作のプロットは許容範囲ですね(笑)。なにしろ、フェルメールですから、今だったら値段は見当もつきませんね。                                                                     

No.501 6点 七つの棺- 折原一 2013/10/20 19:53
あとがきにあるように「折原一の出発点」の作品。「懐かしい密室」は、その後の氏の作品(叙述ミステリー)への片鱗が覗えました。密室もののパロディですが、原作を知らなくとも楽しめました。不可能性密室では「天外消失」、推理過程を楽しめたのは「脇本陣殺人事件」、オチが良かったのは「ディクスン・カーを読んだ男たち」。初登場の黒星警部が、密室好きではあるが、まだまだおとなしい(ドタバタ調ではない)感じで描かれていました。

No.500 8点 シャーロック・ホームズの冒険- アーサー・コナン・ドイル 2013/10/19 10:56
東西ミステリーベストの第3位、米ベストの第1位、英ベストの第21位。古典の評価は難しいですね。その時代の読者になって読もうとする一方、現在の自分がいるわけですから頭の切り替えがなかなかできません(苦笑)。現在の視点で読めば、有名作品の「赤毛組合」や「まだらの紐」などの結末は、かなり前段階でわかってしまいますし・・・。よって、歴史的意義や現代ミステリーへの影響度などを評価すべきだと思います。「・・・事件簿」の評価でも触れましたが、その中の「S事件」がクリスティ氏や横溝正史氏の代表作へ多大なる影響を与えているというように・・・。短編は大の苦手でなかなか食指が動かなかったのですが、500冊目の書評ということで、世界的に愛されている本書を選んでみました。

No.499 7点 密室に向かって撃て!- 東川篤哉 2013/10/18 11:59
刑事のコンビ、探偵のコンビ、プラス2人のマドンナ?が織りなす天然ボケが受けます。展開がスピーディで読みやすいですね。A・C氏の「N」、A・B氏の「D」作品がヒントになっているようですが、真相のアイデア(伏線の回収は見事)は独自のものでは?と思います。十条寺さくらの恋の行方が気になったのですが、シリーズ4弾「交換殺人には向かない夜」(既読)に登場していたのですね。やはり、シリーズものは順番に読まなくては・・・(笑)。

No.498 5点 書斎の死体- アガサ・クリスティー 2013/10/15 20:49
米ベスト100のジャンル別(本格)10位。アガサ作品では「そして・・」(1位)「アクロイド」(2位)「オリエント」(6位)「書斎の死体」(10位)とベスト4にランクされています。どこが評価されているのか、よくわかりませんでした。日米の気質の差やユーモア感の差?またはマープル好き?・・・。マープルものは、ほとんど読んでいないのですが、どうも相性が良くないようです。あまり苦労せず、あっさりと推理してしまうので、緊迫感がないような気がします。短編向きの探偵役かもしれませんね。

No.497 6点 消失!- 中西智明 2013/10/13 18:01
発表年代(歌野晶午氏、折原一氏のデビュー後、間もない頃)を考慮すれば、アイデアは素晴らしいと思います。ただ、このトリックを見破られないようにするには、やはり文章表現に難しいものがあり、無理があると思いました。私的には、ミッシングリンクの真相の方が気に入っています。評価が分かれても致し方ない作品といった感じですね。

No.496 6点 ヒートアップ- 中山七里 2013/10/10 20:13
「魔女は甦る」の続編ですが、主人公は変わっています。麻薬取締官・七尾とヤクザがコンビを組み、ヒート(非合法ドラッグ)の売人を追うという展開です。このコンビのやり取りは楽しめます。後半はアクション映画並みの展開となります。前作同様、ミステリーよりアクションに重きが置かれているような気がします。

No.495 6点 魔女は甦る- 中山七里 2013/10/10 20:12
ミステリーというより、パニックホラー系の作品です。前半は、バラバラ死体を捜査する刑事を中心に物語は進みます。真相が判明した後半は、ヒッチコックの有名作品+ミラ・ジョヴォヴィッチ主演映画のような展開です。被害者(男性)が、その場所へ訪れた目的は?(この真相を知りたいのですが・・・)、負傷した刑事と、被害者の恋人のその後は?と未完のままで終了。続編「ヒートアップ」でということか?

No.494 8点 狂人の部屋- ポール・アルテ 2013/10/08 12:22
裏表紙より『ハットン荘のその部屋で、百年ほど前、部屋に引きこもっていた文学青年が怪死したのだ。死因はまったくの不明。奇怪なことに、部屋の絨毯は水でぐっしょりと濡れていた…以来、あかずの間となっていた部屋を現在の当主ハリスが開いた途端に、怪事が屋敷に襲いかかった。ハリスは、部屋の窓から墜落死し、その直後に部屋の中を見た彼の妻が卒倒したのだ。しかも、部屋の絨毯は百年前と同じように濡れていた。』
ハリスの弟に予言能力があり、上記事件や、その後の怪奇現象を言い当てるという謎。妻が部屋の中で何を見て卒倒したのかという謎で引っ張ってゆきます。この真相(後者)はユニークでしたね。また、探偵役の青年と人妻(元恋人)とのロマンスが、事件と絡まっている点で、いい味を出していると思います。プロローグとエピローグで「棺を開けたら何がある?」も決まっていました。近年、海外で本格ミステリーを書く作家は少ないらしいので、希少価値の存在であるのかもしれません。本書を著者の最高傑作と押す声が多いらしいのですが、いい作品であるのは間違いがないと思います。

No.493 7点 第四の扉- ポール・アルテ 2013/10/06 19:40
(ネタバレあり)密室がメイントリックかと思わせ、実は・・・という凝った作品です。また3分の2くらいまでの物語(一人称形式)が突如、○○により打ち切られる。そして突然のツイスト博士の登場となる。この展開も新鮮でした。密室を期待すると、裏切られるかもといった感じですね。本作は1987年ですが、ほぼ同時期発表のU氏(日本)のN殺人と似ています。やはり、プロット勝負といった作品だと思います。

No.492 5点 猿島館の殺人~モンキー・パズル~- 折原一 2013/10/04 19:12
黒星警部と葉山虹子のコンビによるシリーズ。ちょっぴりお色気混じりのユーモアもので、結構好きなタイプで楽しめます。パロディなので、トリック自体にそれほど期待はしませんが・・・(笑)。「オリエント急行の殺人」が頻繁に出てきていたので、ラストはまさかとは思いましたが、違いました。(ホッ・・・)

No.491 6点 アメリカ探偵作家クラブが選んだミステリBEST100- 事典・ガイド 2013/10/03 20:44
1995年、アメリカ探偵作家クラブ(ミステリの著作を発表している作家200名)が選んだベスト100。選出方法は、ジャンルを①古典②サスペンス③ハード・ボイルド、探偵④警察⑤スパイ、スリラー⑥犯罪⑦本格推理⑧歴史ミステリ⑨ユーモア・ミステリ⑩法廷とし、ジャンルごとに5作品を投票。結果、2090作品、880人の作家が選ばれ、総合ベスト100、並びに各ジャンルのベスト10が発表されたもの。本邦「東西ミステリーベスト100(2013年版)」のベスト10のうち、「Yの悲劇・エラリー・クイーン」(2位)「幻の女・ウイリアム・アイリッシュ」(4位)「火刑法廷・ジョン・ディクスン・カー」(10位)の3作品はランクインしていないという結果。日米の嗜好の差か?。米ではハード・ボイルド、スパイものが好まれている印象。なお、冒険ものは、ミステリーのジャンル外らしい。各ジャンルの1位は、①古典「シャーロック・ホームズ・シリーズ」(アーサー・コナン・ドイル)②サスペンス「レベッカ」(ダフネ・デュ・モーリア)③ハードボイルド・探偵「マルタの鷹」(ダシール・ハメット)④警察「死者の舞踏場」(トニイ・ヒラーマン)⑤スパイ・スリラー「寒い国から帰ってきたスパイ」(ジョン・ル・カレ)⑥犯罪「ゴッドファーザー」(マリオ・プーヅォ)⑦本格推理「そして誰もいなくなった」(アガサ・クリスティ)⑧歴史「時の娘」(ジョセフィン・ティ)⑨ユーモア「フレッチ/殺人方程式」(グレゴリー・マクドナルド)⑩法廷「推定無罪」(スコット・トゥロー)。本格ものジャンルでは、アガサ・クリスティがダントツ。上位20作品のうち8作品がランクイン。次に、ドロシー・L・セイヤーズが5作品。9位に「三つの棺」(カー)18位「災厄の町」(クイーン)となっている。その他、好きな作家、探偵、凶器、ミステリ映画などのアンケート結果も掲載されている。凶器では第1位が好きなダールの「冷凍の小羊の脚」で思わずニヤリ。本書のきっかけは、総合24位に「罪と罰」(ドストエフスキー)がランクインしており、本サイトでの書評ではミステリー分類に?マークがあったことより、興味を持ったものです。以下、関連文を参考までに記載。≪ミステリ史上の最高傑作といえば?もちろん『ナイン・テイラーズ』に決まってるわ。ちょっと待った、断然『時の娘』だよ。おいおい、『マルタの鷹』を忘れちゃいないか?いや、むしろ『バスカヴィル家の犬』をあげるべきだろうね。それじゃ『罪と罰』は?これもミステリよ。(中略)ただ愛好家同志あれこれ言い合っているだけでも楽しいものだ。≫≪『月長石』は、推理小説の枠内におさまりきらない小説でもあり、トップテン(古典部門)入りした作品の半数にも同じことがいえる。たとえば、『白衣の女』、『罪と罰』、『吸血鬼ドラキュラ』、『螺旋階段』、『エドウィン・ドルードの謎』もまた然り。これらは犯罪小説というより、むしろ謎という引き綱をつけた純文学である。私見を述べれば、両者の違いは、純文学がなにより観念を表現することを主眼としてかかれるのに対し、ミステリは、まず読者を楽しませることを第一主義とし、二次的な狙いとしてさまざまな観念を盛り込んで読者をひきつけるところにある。検査官(アメリカ探偵作家クラブの意味)は、純文学をリストから除外しようとするだろうか?いや、そんなことはない。たとえばドストエフスキーがラスコーリニコフというひとりの学生の恐ろしい心の起伏を推理小説とはまったく異なる目的で描いたのだとしても、『罪と罰』はやはり、後世の推理作家たちの尊敬すべき手本と位置づけてよいと思われる。というのも、1920年代から40年代までの流れがどうであれ、今日では、ほとんどの推理小説が純文学の要素をふんだんに持ちあわせているからである。・・・≫同感です。     只今、「レッド・オクトーバーを追え」(未読・ショーン・コネリー主演の映画は観た)の著者トム・クランシー氏の訃報がニュースで流れました。合掌。

No.490 5点 おんな牢秘抄- 山田風太郎 2013/10/03 13:35
ミステリー度を期待すると微妙な感じがします。時代劇なので、トリック自体は小粒になってしまうのは仕方ないことと思います。痛快時代劇として読めば楽しめると思います。

No.489 5点 ある殺意- P・D・ジェイムズ 2013/10/02 12:04
ロンドンのある診療所で殺人が起こり、内部の犯行が明らかになる。警視による事情聴取が、一人ひとり行われる様子と登場人物の私生活が語られる。人間描写に定評があるとのことですが、この展開は冗長としか思えませんでした。顛末も想定内でした。

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蟷螂の斧さん
ひとこと
ミステリーは、作家中心では読んでおらず、話題作や、ネットでのお勧め作品を読んでいます。(2013.6追加~本サイトを非常に参考とさせてもらっています。現在は、読後、類似なトリック・モチーフの作品を探した...
好きな作家
ミステリー以外で「石川達三」、短編で「阿刀田高」、思想家で「荘子」
採点傾向
平均点: 6.09点   採点数: 1668件
採点の多い作家(TOP10)
アガサ・クリスティー(53)
折原一(48)
中山七里(34)
松本清張(28)
アンソロジー(国内編集者)(22)
東野圭吾(20)
西村京太郎(20)
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パトリック・クェンティン(18)