皆さんから寄せられた5万件以上の書評をランキング形式で表示しています。ネタバレは禁止
していません。ご注意を!
蟷螂の斧さん |
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平均点: 6.09点 | 書評数: 1668件 |
No.708 | 6点 | 倒錯の舞踏- ローレンス・ブロック | 2015/01/28 11:24 |
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苦手ですが、高評価のハードボイルドに挑戦(笑)。ハードボイルドについて調べてみると「ハードボイルド・ミステリの底流には、英国が生んだパズラー的なミステリへの反発があった。ホームズに代表される超人的な探偵や複雑で現実離れしたトリックは、特権階級的であるとしてアメリカ人の心性に馴染まなかった」とあります。なるほどとうなずいてしまいました。苦手な原因はやはり、パズルやトリックが好きということですね。ハードボイルド系にはそれが薄いということで、心情的には英国派となりますか・・・。解説に「社会が定める法という秩序では正せない犯罪を手掛ける」(日本の必殺シリーズと同じ?(笑))とありますが、警察小説や法廷ミステリーでそこを崩していく作品の方が興味を感じます。本評価については、サイコパスの登場は好みで良かったのですが、犯人特定にかかる過程(○○○の○○)がちょっと拍子抜けの感じを受けましたのでこの評価です。 |
No.707 | 8点 | 真実の行方- ウィリアム・ディール | 2015/01/26 19:04 |
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法廷もののイメージは、お堅い社会派、法廷場面ばかり?でしたので、あまり手にしませんでしたが、最近、フィリップ・マーゴリン氏の作品(法廷もの)を読み始め、このジャンルに興味を持ち始めました。本作品は、サイコ系サスペンスであり、イメージとは全く別のものでした。登場人物の造形が丁寧で素晴らしい。特に容疑者の天使のような青年、無罪を勝ち取るためには手段を択ばない弁護士などなど・・・。長編ですが一気読みできました。ラストは完全に逆手を取られたという感覚です。映画化(主演・リチャード・ギア)されているので、DVDを借りて、原作と比較してみようと思います。 |
No.706 | 6点 | 殺意の迷宮- パトリシア・ハイスミス | 2015/01/22 16:04 |
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「BOOK」データベースより~『太陽がいっぱい』や『見知らぬ乗客』で有名なパトリシア・ハイスミスが、1964年度の英国推理作家協会賞を受賞した著者の代表作である。アメリカから追っ手を逃れて冬のギリシアにやってきた詐欺師と、暗い影を背負う青年とがアテネの街角で出会い、悲劇が始まる。尋問にきた地元の刑事を殺し、クレタ島に逃れた三人を待ち受けていたのは…。~
あえて分類するならば「心理サスペンス」になるのでしょうか。どこか屈折した3人の織りなす愛憎ドラマです。なんとなく「太陽がいっぱい」の主人公を彷彿させます。ミステリー度より心理描写を楽しむ作品であると思います。 |
No.705 | 8点 | その女アレックス- ピエール・ルメートル | 2015/01/19 10:02 |
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読者の予想を覆す展開(どんでん返しではないが・・・)が新鮮でした。映画化されるようですが、グロテスクなシーンはどのように映像化するのか、それだけが心配です(苦笑)。一般読者には、あまり好まれない題材だと思っていましたが、6冠(日本4、フランス1、イギリス1)を制したということは、読者(日本)が変化したのかなあ?。それとも警部にまつわる話が良かったのか?・・・。まあ、「101ページ以降の展開は誰にも話さないでください。」とありますので、あまり書くことはできません(笑)。採点は、印象に残る作品となりうるか?という私的採点基準で+1、8点としました。 |
No.704 | 5点 | 女神の天秤- フィリップ・マーゴリン | 2015/01/17 09:59 |
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裏表紙より~『製薬会社に対する訴訟を担当することになった弁護士ダニエル・エイムズ。調査を開始すると、彼の周囲でさまざまな事件が起こる。調査への妨害にはじまり、法律事務所からの解雇通告、そして、ついには殺人まで…。アメリカで「十割打者」の異名を持つ人気作家マーゴリンが放つ、リーガル・スリラーの快作。』~
物語の進行上、医療訴訟に関する裁判の駆け引きを期待したのですが、その後の殺人事件がメインになっていました。物語自体は面白いのですが、ある調査の話が挿入され(長過ぎ)、話が飛んでしまっている印象がしました。殺人事件の犯人像がいまいち想像と一致しない(しっくりこない)点も減点対象でした。 |
No.703 | 6点 | 葬儀屋の未亡人- フィリップ・マーゴリン | 2015/01/12 07:58 |
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著者の他の作品と比べると、ややスピード感(ノンストップが売り?)に欠けます。女性上院議員(元警官)が夫を殺した強盗を殺害。しかし、血痕の飛び方からその話は嘘として逮捕される。女性議員が主人公か?と思いきや、それを裁く判事の身の回りに起こる不可解な事件に話が移ります。物語の構成上、やむを得ないのですが、なんとなくまどろこしい。どんでん返しはあるものの、衝撃度は今一。と言っても水準以上ではあると思います。他作品を読んでいるための贅沢な要求(笑)。エピローグはフランス流?の洒落たものですが・・・。 |
No.702 | 6点 | 笑う警官- マイ・シューヴァル&ペール・ヴァールー | 2015/01/09 13:15 |
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(東西ベスト30位~1985版・2012版とも)警察小説なので、致し方ないところなのか?。意外とオーソドックスな展開でした。 |
No.701 | 7点 | 野性の正義- フィリップ・マーゴリン | 2015/01/06 19:11 |
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裏表紙より~『人里離れた山小屋で発見された恐怖の手術室。周辺の山林からは、さらにおびただしい数の死体が掘り出される。犯人は犠牲者を拷問して殺し、さらには彼らの臓器を闇のルートで密売していたのだ。逮捕された医師カルドーニは、すぐに腕利き弁護士のフランクに弁護を依頼してくる。フランクの娘で新米弁護士のアマンダは、父の助手として事件の調査にあたるが、依頼人カルドーニに対する不快感を抑え切れなかった。動かぬ証拠を前に、誰もがカルドーニの有罪を信じて疑わなかったが、公判は思わぬ展開に…そして、アマンダは恐るべき事件の渦中に巻き込まれていった!』~
著者は弁護士出身なのですが、本作の場合、特に法廷場面は少なかったです。あえて、そのようにして物語の展開の方に重点を置いているようです。ノンストップ、ジェットコースター的な展開はスリリングでした。真相は判り易いと思いますが、逆にサスペンス感を盛り上げているように感じました(訳者と同様の感想<笑>) |
No.700 | 8点 | 炎の裁き- フィリップ・マーゴリン | 2015/01/03 17:42 |
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「BOOK」データベースより~『裁判でミスをしたピーターは、大物弁護士の父により勘当同然に片田舎の町へと追いやられ、細々と公選弁護人をつとめていた。そんなある日、地元の女子大生が惨殺され、障害のある青年ゲイリーが殺人容疑で起訴される。世間注視のこの裁判で勝利すれば、檜舞台に復帰できる…不純な動機からゲイリーの弁護を引き受けたピーターだったが、検察側の態勢はまさに磐石。はたしてピーターは圧倒的に不利な状況を覆せるのか。』~
読後は映画「摩天楼はバラ色に」(マイケルJ・フォックス主演)アメリカ的な立身出世物語(コメディ)を思い起こしました。いかにもアメリカ的でオーソドックスな展開ですが、リーダビリティがあり、なにしろエンタメに徹しています。久しぶりにほろりとする場面に出会ったり、読後は爽快感を味わうことができました。日本ではまだ認知度は低いようですが、アメリカではベストセラー作家の地位を確立しているようです。著者の作品は4冊目となりましたが、お気に入りの作家の1人になりそうです。 |
No.699 | 6点 | リッジウェイ家の女- リチャード・ニーリィ | 2014/12/30 21:08 |
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(タイトル女31冊目)ニーリィらしさがないと言えばないのですが、後半は作風に反して活劇的な展開となり、ファンとしては逆な意味で楽しめました。解説は自称ニーリィ中毒の折原一氏。私の場合は折原一氏中毒?からリチャード・ニーリィ氏ファンへとなりました(笑)。 |
No.698 | 5点 | 影の顔- ボアロー&ナルスジャック | 2014/12/27 19:14 |
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ハヤカワ・ミステリの裏書は、本文の3分の2までのあらすじが書かれていて興ざめでした。ここまで書いてあるのだから、かなりのどんでん返しがあるのでは?と期待してしまいます(苦笑)。盲目の心理描写(疑心暗鬼)はうまいと思います。しかし、それによる恐怖感があまり感じられなかったことが残念な点です。ラストはエスプリが効いていました。 |
No.697 | 4点 | 犠牲者たち- ボアロー&ナルスジャック | 2014/12/26 09:46 |
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結末は一瞬面白いと思いましたが、考えると不自然ではないか?。全編主人公の独白(恋愛感情が主体)でサスペンス感がなかった。 |
No.696 | 7点 | 氷の男- フィリップ・マーゴリン | 2014/12/23 20:35 |
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(タイトル男14)裏表紙より~『つねに沈着冷静で、どんな犯罪者も無罪にすることから“氷の男”の異名をとる辣腕弁護士のナッシュ。だが心の底で彼は、依頼人たちが実は有罪なのではないかという思いに苛まれていた。そんな矢先、同僚の弁護士が婦人警官殺しの容疑で逮捕された。同僚の冤罪を晴らすべく法延に立ったナッシュを、思いもよらぬ罠が待ち受けていた!どんでん返しの連続でぐいぐい読ませる、『黒い薔薇』の著者の第二作。』~ 弁護士の苦悩(依頼人は有罪ではないか?、依頼人の妻を愛してしまったことによる裁判への影響、犯人の殺人の告白は守秘義務によりどうすることもできない等)がうまく描かれていていました。どんでん返しは、予想範囲内なのですが、弁護士が精神的に追いつめられてゆく後半は読みごたえがありました。プロットがいいです。 |
No.695 | 7点 | 笑わない数学者- 森博嗣 | 2014/12/20 13:28 |
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「逆トリック」(謎が読者には解かるが、登場人物には解からない)に魅かれ拝読。それ自体は非常に簡単な問題でしたが、本命はやはり「題名」に係る謎ですね。これも少し考えれば明らかになるはず?(不定ではない(笑))。当初、博士が姿を見せないので「四季」なのか?などと思いながら読んでしまいました(苦笑)。人間関係がやや複雑なので、数学的なスッキリ感がなかったのは残念です。しかし逆説的に考えれば、不条理な世界を描いた作品であるので致し方ないのかもしれません。つまり、結果的に人間の弱さ(逃避)が原因で、犯罪を犯さなくてもよかった人間を犯罪に導いてしまったということでしょうか。 |
No.694 | 4点 | キドリントンから消えた娘- コリン・デクスター | 2014/12/16 13:36 |
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(東西ベスト80位)「毒入りチョコレート(1929)」と同様、仮説ばかりで面白味を感じることはできませんでした。根拠のある仮説なら、まだ納得はできるのですが・・・。まあ、好みの問題でこの評価としました。 |
No.693 | 4点 | 『ギロチン城』殺人事件- 北山猛邦 | 2014/12/11 21:19 |
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トリックの原理(既読分)は黒田研二氏(2000)歌野晶午氏(2004)東川篤哉氏(2005)などがありますが、本作が一番応用がきいていたとは思います。ただ、始めに物理的トリックありきで、物語性の面白味に欠けるという難点ががあるような気がします。また、もう一つのメイントリック?はいただけません。他の方も指摘されていますが、瑕疵があります。著者が叙述を意図するならばアンフェアな表現以下と言わざるを得ません。 |
No.692 | 8点 | 暗闇の囚人- フィリップ・マーゴリン | 2014/12/09 18:57 |
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著者は弁護士なので、法廷でのやり取りはやはり迫力がありますね。女性検事が別居中の夫(弁護士)を殺害した容疑で起訴される。重要証人はその女性検事を憎む凶悪犯。背景になにがあるのか?。有罪か?無罪か?。敗北を知らない辣腕弁護士が腕を発揮できるのか?弁護士の女性補佐人の活躍は?~愛の物語も同時進行・・・そしてラストに待ち受けるものは?とエンターテイメントに徹しており、テンポも心地よかったです。悲しい○の物語でもありました。 |
No.691 | 7点 | 黒い薔薇- フィリップ・マーゴリン | 2014/12/06 21:02 |
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女性弁護士ベッツィは、弁護する会社社長が本当に無罪なのかどうか疑心暗鬼になる。独自に真相に迫る姿がサスペンスフルに描かれています。また、家庭と仕事の狭間で揺れる心理もうまく描かれていると思います。二転三転する展開は読みごたえがありました。法廷ミステリーというより、サイコサスペンス色が強いと感じました。 |
No.690 | 8点 | 黒い白鳥- 鮎川哲也 | 2014/12/03 13:17 |
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(東西ベスト100位)第十三回日本探偵作家クラブ賞受賞作。時刻表トリックはあまり好みでない(「黒いトランクで苦労した経験<笑>)のですが、本作は、時刻表と”にらめっこ”することなく楽しめました。東京創元社版にある著者の「創作ノート」によると、本作と松本清張氏の「ゼロの焦点」が同時進行の形で連載され、ある類似点があることが判明したとのことです。興味深い逸話でした。また、「トリックのオリジナリティとモラル」については、「苦労して考え出したトリックを安易に転用されるのは御免こうむりたいと思う」と語る一方、同じトリックを用いた秀作に遭遇すると主張をまげないわけにはいかなくなるとも語っています。・・・ただし、その著者が先例のトリックをを知らなかった場合のようですが、それ自体はうかがい知ることはできませんので、読者としてはやはりオリジナル作品をリスペクトせざるを得ないのではと思います。解説は有栖川有栖氏です。自作「マジックミラー」(1990)については触れてはいない(この解説より先の作品か後か判りません)のですが、鮎川哲也氏へのオマージュ作品であるような気がします。オリジナルとオマージュを比べるのも読書の楽しみの一つですね。 |
No.689 | 7点 | 憎悪の化石- 鮎川哲也 | 2014/12/01 09:42 |
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第十三回日本探偵作家クラブ賞受賞作。最近の読書はサスペンスものが多く、久しぶりのアリバイ崩しで楽しめました。サブトリック?は大胆で先例を知りません。メイントリック?とサブを入れ替えた方がよりインパクトがあったような気がしました。著者は題名にかなり気を使うそうで、「憎悪の化石」の意味は読み終えれば納得できますね。 |