皆さんから寄せられた5万件以上の書評をランキング形式で表示しています。ネタバレは禁止
していません。ご注意を!
take5さん |
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平均点: 6.55点 | 書評数: 309件 |
No.109 | 4点 | 百舌の叫ぶ夜- 逢坂剛 | 2018/09/09 17:43 |
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なぜでしょう?
びっくりもしなかったし、 人間が書けているとも思えなかったのです。 皆さんの高評価に対して申し訳ないです。 警察機構についても他のものでもっと詳しく ありますし。 |
No.108 | 5点 | 湖底のまつり- 泡坂妻夫 | 2018/09/03 06:01 |
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普通は(物語に入って一人称として感じるところとすれば)ばれます。
しかし叙述トリックなので騙されます。というか気づかないのです。 という男女の有り様を描いた作品。300ページ足らずよくまとまっています。 |
No.107 | 8点 | 刑事のまなざし- 薬丸岳 | 2018/08/24 21:17 |
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短編集としては最高峰の密度です。
これだけ人間を深く描きながらミステリーするのは、 筆者の技量ならびに熱意の賜物かと思います。 主人公が登場人物を励ます言葉に、 読者である私も踏ん張らなくてはと励まされました。 世の中色々あるんだ、でも…と、 人の弱さや切なさの先にある優しさが沁みます。 |
No.106 | 5点 | 倒錯のロンド- 折原一 | 2018/08/22 17:21 |
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叙述トリックは、読み終わった時に読者が
読者論に起因する偏見の内省なり、 霧が晴れるような爽快感なりを さりげない筆者の文体から感じ入る物が上等と考えますが、 これは騙すぞーが強すぎて… 文中に登場するアイリッシュやバリンジャーの作品の方が好みです。 |
No.105 | 6点 | フィッシュストーリー- 伊坂幸太郎 | 2018/08/21 23:59 |
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色々な作品の登場人物と少しずつ重なる
ところで親しみをもちながら読める短編集。 しかし多くの長編に比べて、印象は薄く、 やはり短編の名手は別にいると言わざるを得ません。 4作品中、表題作品が時間を前後させて話をつなぐ物です。 同様の展開では、別の著者による物を推す方多数でしょうか、 むしろ最終作品『ポテチ』が直球で心に残りました。 |
No.104 | 8点 | 重力ピエロ- 伊坂幸太郎 | 2018/08/19 18:20 |
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家族を考える大きな幹に、
人類の系譜、二重螺旋構造、 ガンジー、バタイユ…という 繊細かつ躍動する枝葉が伸びる大木小説、 それらが決して重厚ではなく、 一見軽く書かれている事が、 読み進める手を一層速めます。 一気読み。 |
No.103 | 6点 | 片眼の猿- 道尾秀介 | 2018/08/19 00:49 |
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ネタバレでしょうか
冒頭挿入される犬のくだりがあざといミスリードだとか、 読み返すと軽さが目立つ文体だとか、 確かにその通りなのですが、 登場人物に対する読者の思い込みを喚起しているのだとしたら、 それらは成功したと言って良いのではないでしょうか。 私の中では、その最高峰が『赤毛の男の妻』なのですが。 |
No.102 | 5点 | 連城三紀彦レジェンド2- 連城三紀彦 | 2018/08/12 11:06 |
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綾辻、伊坂、小野、米澤四氏が選んだアンソロジーです。有名作品に掲載されている物から選ばれています。
各作品に対する四氏のコメントがあるのが面白いですが、特に珍しい作品がある訳ではありません。 ぼくを見つけて 菊の塵 ゴーストトレイン 白蘭 他人たち 夜の自画像 以上収録されています。 |
No.101 | 5点 | 913号室の謎- コーネル・ウールリッチ | 2018/08/09 12:02 |
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ウィリアム・アイリッシュのコーネル名義の作品
フーダニット物ですが、途中までホテルの住人がよく書けているなあ と思っていたらエンディングがからくり物で少し残念。 でも80ページ位ならまあ楽しめました。 世界ミステリー全集4巻目に幻の女、死者との結婚、と一緒に掲載されています。 |
No.100 | 7点 | 死者との結婚- ウィリアム・アイリッシュ | 2018/08/09 11:48 |
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40年近く前の世界ミステリー全集で読みました。
幻の女も掲載されていますが既読なので、 死者との結婚を目当てに借りました。 ウィリアムアイリッシュ(と訳者)は、 やはり文体が素敵ですね。 設定は古いですが、情景描写が読ませます。 人間は弱い、 その葛藤が女性主人公のみならず脇役からも感じます。 タイトルの死者との結婚とは、文字通りの意味を越えて、エンディング後も作品に生きる大変合っている物です。 |
No.99 | 7点 | 変調二人羽織- 連城三紀彦 | 2018/08/05 12:21 |
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連城節炸裂、成る程!と唸る短編集。
40年近く前、初期の作品なのですが文章がとにかく練られています。 最後の作品、依子の日記は反転が鮮やか、恐れ入る出来栄えです。 |
No.98 | 6点 | グラスホッパー- 伊坂幸太郎 | 2018/08/04 22:15 |
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ミステリーの定義は人によりけりでしょうから、
あえてこの本がミステリーの代表的な作品とは申しません。 しかし、リーダビリティが高くカットバックも冴え、 読みやすい事この上ないです。 最後に全ての人生が交錯しますが、ここがもう少し意味が出てくると良かったです。 |
No.97 | 8点 | マリアビートル- 伊坂幸太郎 | 2018/07/28 21:54 |
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読む人によっては、
エンターテイメントの重奏曲。ハラハラドキドキが新幹線の駅毎にやってきます。 読む人によっては、 哲学の入り口。人は何のために生きるのか、悪とは死とは、をはじめとして考えるために。ドストエフスキーも出てくるので。 読む人によっては、 読者自身の在り方を省みる教材。現代社会の、特に政治に向き合う態度や諸問題に目を閉ざさないために。 という読み方ができると思わないと、自分が一気にページをめくった理由を正当化できないので(笑) ↑ 作中の人物、王子に嘲笑されそうな分析ですが 改めて読書は重要だと思いました。 |
No.96 | 7点 | 白光- 連城三紀彦 | 2018/07/17 06:32 |
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学生の時に芥川の『藪の中』を学びましたが、
正に多重の視点で物事を捉えると 真実と思われる物がいかに主観的かと気付かされます。 全ての登場人物に鬱屈、葛藤があり、 犯人の可能性がありますが、 この作品では、誰が犯人かよりも、 なぜこのような事が起こったのかに 重きを置いて読みました。 |
No.95 | 6点 | ダブル・ジョーカー- 柳広司 | 2018/07/15 07:51 |
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ジョーカーゲームの方をお勧めします。
近代の歴史をおさらいするのには、 こちらもよいのですが、 基本D機関が一枚上を行く話なので、 反対側から書くと当事者の 思い込みや失敗が当初から目立つのです。 でもリーダビリティはすこぶる高いです。 |
No.94 | 6点 | 死者との誓い- ローレンス・ブロック | 2018/07/08 17:35 |
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これまでのスカダーシリーズの中では、
事件が激し過ぎずに私は好みです。 その分、スカダーの葛藤がよく描かれています。 最後の所だけ、伴侶と被害者未亡人とどう折り合いをつけるかだけ、やや残念ですが。 展開途中の人間の描かれ方はさすがです。 スカダーの年齢が、やはり時代に伴って進んでいる印象を受け、そこは好ましいです。 |
No.93 | 5点 | ラプラスの魔女- 東野圭吾 | 2018/07/05 20:46 |
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東野圭吾さんの作品では、
五指には入らないですね。 私の中ではですが。 設定が一般の人間でないならば、 尚更悲哀をきちんと示さないと 入り込めないのです。 リーダビリティは相変わらず高いです。 |
No.92 | 7点 | 獣たちの墓- ローレンス・ブロック | 2018/06/26 23:01 |
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マットスカダーシリーズとして、時系列の中で紹介しますと、
スカダーが新たな相棒(TJ)と関わる中で事件を解決していく事と、 スカダーがヒロインと新たな関係を模索していく事が平行して描かれている作品です。 事件の内容そのものは、相変わらずグロテスク(私見)でアメリカって感じで好き分好きがありましょうが、やはりスカダー自身の人間がよく描かれているので読ませます。 |
No.91 | 6点 | 倒錯の舞踏- ローレンス・ブロック | 2018/06/08 20:16 |
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ぐいぐい読ませます。
登場人物の描写は分かりやすいですし、展開も早いです。 猟奇的な事件も、悪趣味に走らないので、社会の歪みとして真っ当に捉えられますし、 主人公のアルコール依存から脱却しようとする姿も話と平行して納得の描写です。 人物がかけている分、ラストのアクションが少し乱暴な展開かと…そこだけが惜しいかなあ。 しかし、読破後に「自分の人生恵まれているなあ」とか考えラれる位にはよい作品でした。 |
No.90 | 6点 | 限界点- ジェフリー・ディーヴァー | 2018/05/13 12:26 |
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読みやすいジェフリーディーヴァーの作品で、
いつもながらのドンデン返しですが、 主人公の一人称で語られる所に、 一長一短というか好みというかが出ます。 葛藤から一番遠い所に自身を置く必要がある 主人公が、 ゲーム理論を絡めて事件にあたる訳ですが、 エピローグのエピソードが割り切ることの出来ない 矛盾をはらんでいれば尚よかったと感じます。 うまくやれていすぎという感じがします。 それよりも一人称の語りを生かす方を、 ディーヴァーが選んだという事でしょうか。 私の好みでは、『赤毛の男の妻』のように、 主人公の悲哀や矛盾を、 読者に投げかけたまま終わる事が よりよいと思います。 |